気体の溶け方とは? 圧力・温度と気体の溶解度とは?

水が温まる様子を見ていると水を入れた器の底に泡がつきます。
この泡は、水に溶けていた空気が気体になったものです。

ここでは、気体が水に溶ける様子を調べてみましょう。


気体の圧力と溶解度

アンモニアや塩化水素などの気体は非常に水に溶けやすく、その水溶液はそれぞれ、アンモニア水・塩酸とよばれています。

これにたいして、酸素や水素などの気体はあまり水に溶けません。

また、溶質が固体や液体のときは圧力がかわっても溶解度はそれほどかわりませんが溶質が気体のときは、圧力がかわるにつれて溶解度が非常にかわります。

例えば、サイダーやビールの瓶の中は二酸化炭素の圧力が高く多量の二酸化炭素が溶解しています。

ところが瓶の栓をとると、急に圧力が下がるために二酸化炭素の溶解度も下がりそれまでサイダーやビールに溶けていた二酸化炭素の一部が、泡になって逃げ出します。

サイダーやビールの瓶を空けると泡が吹きこぼれるのも二酸化炭素の溶解度が小さくなったために起こることです。

このように、圧力をかけて気体を水に溶かすと圧力をかけないときより多く気体が溶けます。

詳しく調べると、温度を同じにしておけば100グラムの水に、1気圧で2グラム溶ける気体は2気圧では4グラム溶けることがわかります。

つまり「温度が一定ならば、気体の溶解度はその圧力に比例する」ということになります。
これをヘンリーの法則といいます。

ところが、ボイルの法則によると気体の体積は、温度が一定ならば圧力に反比例します。

したがって、圧力が2倍になると気体の体積は2分の1になります。

ですから、ヘンリーの法則は「温度が一定ならば、決まった体積の水に溶ける気体の体積は圧力がかわっても変化しない」といいかえることもできます。



温度と気体の溶解度

水を温めていくと、沸騰する前に空気が泡になって浮かび上がってきます。
これは、水が温められて空気の溶解度が減ったために起こることです。

一般に、気体の溶解度は固体の場合と違って温度が上がるとかえって減ります。
このこととは、サイダーで試すとよくわかります。

まずサイダー瓶の栓を抜くと圧力が下がるので二酸化炭素が泡になって、盛んに出てきます。

これをビーカーに注ぐとしばらくの間、泡がでますがそのままほうっておくと、しまいに泡がでなくなります。

こうなったサイダーを温めるとまた、盛んに泡がでるようになります。

下の表は、酸素や水素などの気体が1気圧のときにいろいろな温度の水1キログラムに、どれだけ溶けるかをしめしたものです。

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この表で、窒素や酸素などの気体は水1キログラムに、0.1グラムも溶けないことがわかります。

つまり、空気は水にあまり溶けないわけです。
0度の水に溶ける酸素0.069グラムは体積になおすと86立方センチたらずですが
この酸素は、魚や貝など水中で生活する動物にとってはなくてはならないものです。

この表にあげた気体と違ってアンモニアや塩化水素などの気体は非常によく水に溶けます。

例えば、1気圧・0℃のときには1キログラムの水に、アンモニアは882.5グラム、塩化水素は、821.3グラムも溶けます。




気体の混合物の分離とは? わかりやすく解説!

液体にして分離する方法

空気は、窒素・酸素、その他の気体の混合物ですが、これに圧力をかけて、冷やすと、液体空気が得られます。


液体空気の中にある液体窒素も液体酸素もそれぞれ違った沸点をもっていますからこれを放置しておくと、沸点の低いヘリウムやネオンが気体となって蒸発し続いて窒素・アルゴンが蒸発します。

残った液には、酸素が多く含まれますがこれが蒸発すると、クリプトンやキセノンなどの液体が残ります。

このような方法でそれぞれの気体を分離することができます。

また、アンモニアと水素や窒素の混合気体を冷やすとアンモニアは液体になり、他は気体のままでいるのでアンモニアを分離することができます。

このように気体混合物は、その全部を液体にしてから分留するか液化しやすい気体だけを液化して分離します。

吸収剤・吸着剤などで分離する方法

二酸化炭素と酸素の混合気体から酸素だけを分離するにはつぎのようにします。

混合気体を注射器に入れ、二酸化炭素をよく吸収する液(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの濃い水溶液)を吸い込み栓をしてよく振ります。

すると、二酸化炭素は、それらの液に溶けるので気体の体積は小さくなり、酸素だけが残ります。



空気中の酸素の量を測定する

窒素の混合気体から、酸素を取り除くには、つぎのようにします。

酸素は、塩基性にしたピロガロールの水溶液(ピロガロールの5%水溶液と10%水酸化ナトリウム水溶液を1対1に混ぜたもの)に吸収されるのでまえのように注射器に入れて振ると、酸素は吸収され窒素だけが分離します。

この方法を用いると、空気中の酸素の量を測定することができます。
すなわち、注射器にとってはじめの空気の体積V1をはかっておき、つぎにピロガロールを入れて、これに吸収された酸素の体積2をはかればV2/V1 が空気中の酸素の割合となります。

また、つぎのような方法もあります。

繊維状の鉄(スチールウール)を試験管に入れ水の中に逆さまに立てておくと、空気中の酸素はスチールウールをさびさせるのに使われてしまいます。

そのため、使われた酸素の量(体積)だけ水が試験管の中に入りますからその体積から酸素の量を測定することができます。




気体の膨張率とは? シャルルの法則とは?

気体の膨張

空気や窒素・酸素などの気体も、温度を高くすると体積が膨張します。
下の図のような装置で、空気の膨張を測定し体積と温度との関係をグラフにすることができます。 

空気のかわりに、二酸化炭素・窒素・酸素などの気体を入れ空気のときと同じようにして膨張する割合をグラフに記入してみましょう。

そうすると膨張する気体の量は上がった温度に比例しますが膨張する割合はどの気体も同じであることがわかります。

これは、固体や液体の膨張率が物質によって特有の値であるのに反して気体の膨張率は、物質の特性とはならないことをしめしています。

気体の体積と温度

いっぱんに、気体は圧力が一定ならば、温度が1℃上がるごとにその気体の0℃のときの体積の273分の1だけ増えるのです。

つまり、気体の体積は、圧力が一定ならば絶対温度(物理や化学の計算に使われる温度で摂氏の温度に273をくわえたもの に正比例してかわるという関係があるのです。

これをシャルルの法則といいます。

ですから、体積が0℃のときの2倍になるのは273℃ということになります。

またこの法則でいくと、温度を、零下273℃にすると体積が0になってしまうはずですが、どんな気体でも零下273℃にならないうちに液体か固体になってしまうので体積が0になることはありません。


【実験】

①フラスコにガラス管をつけた栓をします。
このフラスコを温めてから、管の先を水にちょっとつけると、水滴が吸い込まれます。

つぎに、このフラスコを左の図のようにスタンドにとりつけ手の平で温めたり、冷やしたりしてみましょう。

フラスコを温めると、管の水滴が下がり手の平を遠ざけて中の空気を冷やすと、水滴があがってきます。

これは、中の空気の体積が温度によって大きくなったり小さくなったりするからです。

②フラスコを100℃ぐらいの湯につけとてからこれを逆さまにし10℃ぐらいに冷やします。

すると、フラスコの中に4分の1ほど水が入ってきます。
これは、中の空気が90℃だけ冷えたため体積が4分の1ほど減ったことをしめします。

体の体積と温度・圧カ

ある決まった気体の体積が大きくなるのは温度が上がったときか、圧力が小さくなったときです。

また、体積が小さくなるのは、温度が下がったときか圧力が大きくなったときです。

では、体積をかえると、温度や圧力はどうなるでしょう。

たいていの場合、気体は圧力をかけて体積を小さくすると温度があがります。

自転車の空気入れの先をふさいでおいて急にピストンを押し下げると、空気入れの下のほうがかなり厚くなります。

これは空気を圧縮して熱が出たためです。

まえの場合と反対に、気体を温めないか温まる暇のないくらい早く膨張させればその気体の温度は下がります。

夏など、強い日光で温めれた地表の空気が何千メートルも上昇していくうらに、膨張して温度が下がります。

それで、その空気にふくまれていた水蒸気が水滴になって雲になることがあります。

入道雲はこのようにしてできた雲です。




気体の重さと体積とは? わかりやすく解説!

空気を注射器に入れて、注射器の先を閉じ、
ピストンを押したり引いたりすると空気は縮んだり、広がったりします。


これは、気体が液体や固体とは著しく異なるところです。
物質の状態を考えるとき、温度と圧力と体積は大切な要素です。

固体や液体の重さと体積を考えるときは、圧力の影響があまりないのでまったく触れませんでしたが、気体について調べるときは圧力を考えなければなりません。

気体の体積と圧力

瓶の中に液体や固体を入れるとき、ある決まった量だけ入れるとそれ以上は入りません。

しかし、空気のような気体では、かなりの量を詰め込むことができます。
それを確かめるために圧力計をつけた瓶の中に空気をふきこんでみましょう。

すると、空気が多く入るにつれて瓶の中の圧力が高くなることがわかるでしょう。

これは、気体の体積と圧力との間にある決まった関係があるからなのです。

それは、ある決まった量の気体の体積が2分の1になれば圧力はもとの2倍になり
体積が3分の1になれば、圧力は3倍になるということなのです。

また、反対に体積が2倍になると、圧力は2分の1になります。

つまり、温度が一定のとき、決まった量の気体の体積は圧力に反比例してかわるのです。

この関係は、空気ばかりでなく、どの気体にもあてはまります。

この関係をボイルの法則といいます。

注射器の内側を水でぬらし、先を指でおさえてピストンを押していくとだんだんピストンを押し返す力が増していきます。

これは、筒の中の空気の体積が縮めば縮むほど、その空気の圧力が大きくなくなるからです。



気体の重さと体積

気体の重さをはかるには、外から力を加えない状態にして体積をはかり、その体積で何グラムの重さがあるかを測定しなければなりません。

空気の重さは、はかることができます。

スプレーの空き缶の重さをはかっておき、これにポンプで空気を押し込んで、再び重さをはかります。

空気を押し込んだときのスプレーの重さからはじめのスプレーの重さを引けば、押し込んだだ空気の重さがわかります。

つぎに、押し込んだ空気を水で満たした水槽の中に逆さまに立てたメスシリンダーの中にはかりとれば何立方センチの空気を押し込んだかがわかります。

その体積で、空気の重さを割れば1立方センチあたりの空気の重さをもとめることができるわけです。

空気ばかりでなく、酸素や水素、二酸化炭素などの気体も空気と同じ方法でその重さをもとめることができます。

気体も、固体や液体と同じように1立方センチあたりの重さ、または1000立方センチあたりの重さはその気体の種類によって決まっています。

このように、物質の種類によってその物質1立方センチあたりの重さが決まっていることはたいへん重要なことなのです。

1立方センチあたりの重さを密度といいます。

まえに述べたような、物質の色・におい・味などは物質の特性としては、曖昧なものですが物質の密度は、物質の特性の代表的なものの一つです。

密度をはかれば、その物質は何であるかとはっきりわからないまでもある程度の検討をつけることはできます。




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