イオンとは? イオンのつくりと表し方とは? わかりやすく解説!

陽イオンと陰イオン

塩化第二銅の水溶液を電気分解するとき銅は陰極の表面につくのですから溶液中の銅は、陰極に引きつけられるような溶け方をしていると考えられます。 


それには、銅が十の電気を帯びて溶けているのにたいして塩素は一の電気を帯て溶けていると考えれば電気分解か起こる仕組みを無理なく説明づけることができます。

塩化第二銅が水に溶けたときには+の電気を帯びた銅の原子と、-の電気を帯びた塩素の原子とになっています。

ところが、水溶液に浸された電極のうち陰極のほうには-の電気がきていますから+の電気を帯びた銅の原子が引きつけられ電極の表面につきます。

ここで+と-の電気がいっしょになるために電気を帯びていない銅の原子になるわけです。

一の電気を帯びた塩素の原子は陽極に引きつけられ電気を失って塩素原子になりますが
塩素原子が2個むすびついて1個の塩素分子をつくります。

塩素分子はかなり水に溶けますが気体になって空気中に出ていくものもあります。

ここで、最初に考えたような電気を帯びた原子のことをイオンといいます。
そして+の電気を帯びた原子を陽イオン-の電気を帯びた原子を陰イオンといいます。

イオンのつくリ

原子のつくりは前に調べましたがイオンのつくりは原子のつくりとどう違うのでしょう。

原子は、+電気をもった陽子と電気をもたない中性子とがつまった原子核と
その周りを取り囲む電子とでできていました。

しかも、陽子の数と電子の数とは同じでした。
陽子がもっている十電気の量と電子がもっている一電気の量とは同じですから
原子ではそれらが互いに打消しあって電気的に+も-もしめさない中性になっています。

ところが、原子から電子をいくつか取り去ると原子から-電気の量が減るので+電気があまり原子は十電気を帯びた状態になります。

これが陽イオンです。



また、原子に他から電子が加わると-電気の量が増えるので原子は、-電気を帯びた状態になります。

これが陰イオンです。

いろいろな元素の原子のどれが陽イオンになりやすいか陰イオンになりやすいかということはその原子にふくまれている電子の数によって決まります。

いいいかえれば、元素の種類によって決まるわけです。

一般に金属元素の原子は陽イオンになりやすく非金属元素の原子は陰イオンになりやすくなっています。

また、1個の原子から電子がとれたり電子が加わったりして陽イオンや陰イオンができるだけではありません。

いくつかの原子がむすびついた原子の集団から電子がとれたり電子が加わったりして原子の集団全体として1個の陽イオンや陰イオンとなるときもあります。

例えば、硫酸の水溶液にはイオウ原子1個と酸素原子4個とからできた原子の集団に2個の電子が加わった硫酸イオンとよばれる陰イオンがふくまれています。

イオンのあらわし方

原子1個は元素記号であらわし、分子1個は分子式であらわされます。

また、いろいろな物質は化学式であらわされています。
イオンをあらわすのには元素記号と+や-の電気の量をあらわす記号とが使われています。

1個の原子が1個のイオンになった場合は、その元素記号で種類をあらわし
陽イオンの場合は元素記号の右肩に+の記号陰イオンの場合は-の記号をつけます。

そして、何個の電子が離れたり加わったりしたかによって+や-の記号にその数をあらわす数字をつけます。

また+や-の記号をその数だけならべる書き方もあります。

これをイオン式といいます。

例えば、第二銅イオンの場合は原子から2個の電子が離れて+電気を帯びるのですから銅の元素記号Cuにの右肩に+をつけます。

Cu2+または、Cu++のとなるわけです。

イオンに関係する電子の数1が1個のときは+や-に数字をつけないことになっています。




元素と元素記号とは? 元素の種類と歴史とは? わかりやすく解説!

元素

水は水素と酸素とに分解されますが水素や酸素はどのような科学的方法を使ってもほかの物に分解することはできません。

水素や酸素のように、いろいろな物のもとになりそれ以上は決して分解されないような物を元素といいます。


元素の種類

現在知られている元素の種類は100以上あります。
これらの中には、金・銅・鉄などのように金属として知られている元素かあり
これらは金属元素といわれています。

また、水素・酸素・塩素などのように、金属でない元素がありこれらは非金属元素とよばれています。

このほかに、ゲルマニウム・スズ・アンチモンなどのように金属元素と非金属元素の両方の性質をもっている元素があります。

このような元素は、特に両性元素といわれています。
元素の分け方には、このほかいろいろあります。

例えば、水素・酸素などのようにふつうの状態で気体の元素は、気体元素といわれていますしウランやラジウムなどのように放射能をもっている元素は放射性元素といわれています。



元素の歴史

自然を形づくっている、あらゆる物のもとは何かということは紀元前から考えられていました。

古代中国やインドの「すべての物質は、地・水・火・風・空よりなる」という五大説や古代ギリシアの「あらゆる物質のもとは、水・風・土・火の四つである」という四元素説などが有名です。

しかし、このころの説はただ頭の中で考えられたものであって実際にその説を証明する実験は行われませんでした。

もちろん、これらの説は正しくはありませんでしたがすべての物質のもとになる物すなわち元素という物かあるということを予言した点ではすぐれた考えであるといえます。

中世に経ってから、金でない物を金にかえることと不老不死の薬をつくることを目的とした錬金術が盛んになり、1000年以上も錬金術師の時代がつづきました。

このころの錬金術師たちは水銀と硫黄、あるいは、水銀・硫黄・塩を元素だと考えていました。
錬金術の目的こそ達せられませんでしたが錬金術師たちの長い間の努力によっていろいろな物の扱い方やつくり方の技術はたいへん発達しました。

17世紀以後に、実験をもとにして物を扱う方法が盛んになりイギリスのボイル、フランスのラボアジエなどのすぐれた科学者があらわれて、現在のような元素の考え方が確立されました。

18世紀から19世紀にかけて、次々と新しい元素が発見され今では92種の自然元素が知られています。

また、物質のいちばんもとであると考えられていた元素も特別な方法で変化させ違った種類の元素にすることができるようになりました。

この方法で、11種の人工元素がつくりだされています。




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