原子量と分子量とは? 原子価と構造式とは?

原子価と構造式

いくつかの原子が結びついて分子をつくっているとき原子同士がどのように結びついているかを考えるには結びつく手を考えると便利です。


例えば水H2Oは、水素原子が1本酸素原子が2本の手をもっていて互いに結びついていると、考えるわけです。

同じように、水素・酸素・二酸化炭素・アンモニアなどの分子もそれぞれの分子をつくっている原子がいく本かずつの手をだして互いに結びついていると考えられます。

このようにして、いろいろな原子の結びつき方を調べてみると元素の種類によって、手の数が決まっていることがわかります。

この原子の手の数を原子価といい手の数が一本、二本、三本……のときの原子価はそれぞれ、一価、二価、三価……というようにあらわします。

原子価は、ふつう元素の種類によって決まっていますが中には、つくる化合物の種類によって、原子価がかわる元素もあります。

また、原子価には元素の種類によって+と-の性質があって+のものと-のものが結びつきやすいのです。

原子どうしが結合するときにはそれそれの原子が出しあった手を一本ずつ結びます。

この結びついた一組の手を一本の線であらわし原子を元素記号であらわして分子の成り立ちをしめした式を構造式といいます。

構造式は化学式の一種です。

前にしめした、水や酸素などの分子を構造式でしめすと右のようになります。

またナイロンなどの複雑な化合物の分子も構造式でしめすと、原子の並びかたがよくわかります。

有機化合物には炭素・水素などでできた複雑な化合物が非常に多く構造式であらわすと、その結びつき方がよくわかります。

原子量と分子量

原子や分子1個の重さは非常に小さいのでこれを、いちいちグラムであらわしていてはたいヘん面倒です。

そこで、原子量とか分子量という値であらわします。
原子量というのは、炭素原子のなかで、原子核が陽子6個と中性子6個とからできている原子つまり質量数12の炭素原子の重さを12.0000としてそれに比べたほかの元素の原子の重さをあらわしたものです。

また、分子量というのは分子をつくっている原子の原子量を全部足したものでその分子の重さをあらわしたものです。

原子量は、専門的に厳密な値をもとめる以外は小数点以下第四位まで正確に計算する必要はありません。

ふつう私たちが扱う場合には右の表でしめしたような数値で充分です。

水素や酸素・水などの分子量は水素の原子量を1、酸素の原子足を16として計算するとそれぞれ、2、32、18となります。




化学変化のあらわし方とは? 分子式・化学式とは?

化合物や化学変化を、いちいち文章であらわすのは大変です。
そこで、元素を元素記号であらわすように化合物や化学変化も記号であらわしています。


分子式と組成式

水素分子や酸素分子の1個はそれぞれ水素原子、酸素原子が2個ずつ結びついてできています。

水素分子や酸素分子を記号であらわすにはそれぞれの元素記号を使ってH2Oとあらわしています。

2Hとか2Oとあらわした場合はそれぞれ、水素原子2個、酸素原子2個という意味で分子をあらわすことにはなりません。

また、水の分子は水素原子2個と酸素原子1個とからできていますからH2Oとあらわし、水の分子2個は2H2Oとあらわします。

このような分子をあらわす記号を分子式といいます。

ところで、食塩の成分である塩化ナトリウムはナトリウムイオンと塩素イオンとの化合物ですがその結晶は、ナトリウムの陽イオンと塩素の陰イオンが四方八方につながっていて、分子の区別はつきません。

しかし、ナトリウムイオンと塩素イオンの比にいつでも1対1になっています。

それで、塩化ナトリウムの成分元素とその割合を記号であらわすと、NaClとなります。

このような場合に、分子式といわずに、組成式ということがあります。

また、イオウ・リンなどの単体や、金属などはその分子1個をつくる原子の数がはっきりしていませんがこれらの物質の分子式に、元素記号をそのま使ってあらわしています。



化学式と化学反応式

分子式や組成式のように物質をあらわすのに元素記号を使った式を化学式といいます。

化学式を使って化学変化をあらわすといろいろなことをいちどにしめすことができて非常に便利です。

例えば、水素と酸素とから水ができる化学変化は
  2H2 + O2 → 2H2O
とあらわします。

この式の左辺は、反応する前の物質が水素と酸素であり水素2分子と酸素1分子の割合で反応することをしめします。
また右辺は、反応してできた物質は水であり水素2分子と酸素1分子とからは、水2分子ができることをしめしています。

このように、化学式を使って化学変化の様子だけでなくその量の関係まであらわす式を化学反応式といいます。

化学反応式では、反応の途中で原子がなくなったり、新しくできたりすることはありません。

化学反応式の左辺に水素原子が4個あれば右辺にもかならず4個の水素原子かあるというように化学反応式の右辺と左辺の原子は必ず、同じ数でなければなりません。

水素ができる反応などは化学反応式を使ってつぎのようにあらわすことができます。

水素ができる反応

水を電気分解する

2H2O → 2H2 + O2
水 → 水素 + 酸素

ナトリウムによって水を分解する

2H2O + 2Na → H2 + 2NaOH
水 + ナトリウム → 水素 + 水酸化ナトリウム

希硫酸と亜鉛から水素を発生させる

Zn + H2SO4 → H2 + ZnSO4
亜鉛 + 硫酸 → 水素 + 硫酸亜鉛




元素の周期律表とは? 元素記号とは? わかりやすく解説!

元素の周期律

19世紀に入って、次々に新しい元素が発見されました。
これらの元素には性質のよく似たものもありました。
      
ところが、元素を重さの順にならべるとだいたい決まった数ごとに性質のよく似た元素が並ぶことがわかりました。

例えば、フッ素から8番めの塩素塩素から18番めの臭素、臭素から18番めのヨウ素の4つの元素はどれもほかの元素と化合物をつくりやすく硝酸銀と作用させると、銀との化合物をつくります。

このように、元素を並べていってよく似た性質の元素が周期的にあらわれることを元素の周期律といいます。

元素の周期律を最初にまとめたのはロシアのメンデレーエフとドイツのマイヤーです。


元素の予言

メンデレーエフが元素の周期律について発表したのは1869年です。
そのころ知られていた元素は63種でした。

彼は元素を並べるときに、適当な元素がないところは空けておきそこに入るはずの元素の性質を予言しました。

後になって、その元素が発見されるとメンデレーエフの予言がよく当たっていたので元素の周期律の価値が人々に認められるようになりました。

予言した元素 → 発見された元素

エ力ホウ素  → スカンジウム Sc

エカケイ素  → ゲルマニウム Ge

エカアルミニウム → ガリウム   Ga
エカマンガン   → テクネチウム Te
ドビーマンガン  → レニウム   Re
 

元素の周期律表

元素の周期律をまとめて表にしたものを周期律表といいます。

表にあらわす方法はいくつも考えられていますが長周期型とよばれるものがよく使われています。

メンデレーエフのころは元素を重さの順に並べましたが今では、原子番号の順に並べることになっています。

周期律表の元素の名前のところにしめしてある数字が原子番号をあらわしています。

また、アルファベットの文字はその元素をあらわす記号で、元素記号とよばれるものです。

フッ素・塩素・臭素・ヨウ素はどれも銀と化合物をつくりやすいだけでなく水素と化合すると、強い酸性をしめす化合物をつくるしこれらの元素だけでできているものはどれも刺激の強い臭いをもっています。

それで、これらの元素をまとめて、ハロゲン族とよんでいます。

また、周期律表の左に並んでいるリチウム・ナトリウム・カリウムなどの金属は水をよく分解して水素を発生させますし塩素と化合すると、食塩によくにた化合物をつくります。

これらの元素は、アルカリ金属とよばれます。

そのほか、ヘリウム・ネオン・アルゴンなどは産出量が少なく、なかなか化合物をつくりにくい性質があって希ガスとよばれます。

このように、周期律表の縦に並んでいる元素はみんな共通の性質をもっています。

また、周期律表の中で、左下にある元素ほど金属としての化学的な性置が強く、右上にある元素ほど、非金属としての化学的な性質が強くたっています。



元素の名前

水素・酸素・同・金などの名前はよく聞くことがありますが中には、アルゴン・ラドン・テクネチウムなどのように怪獣の名前のような元素もあります。

これらの元素の名前は、主にラテン語からとったものです。
元素の名前は、地名をとったものもありますし星の名前、元素の性質、科学者の名前、神様の名前などいろいろの呼び名がもとになっています。
 

元素記号

元素をあらわすには、記号をつかうと便利ですから昔からいろいろな元素記号が考えられました。

古い時代には、そのころ知られていた金属に太陽系の遊星をあらわす神様をあてはめて図のような形でそれをあらわしたこともあります。

その後、長いあいだに、新しい元素がつぎつぎと発見され18世紀の終わりごろには、その数も数十に達しました。

1803年に、イギリスの科学者ドールトンは元素にはその元素に特有な原子があることをはじめて説明しそれは球形をしているとして、上の図のような記号を考えました。

しかし、水・二酸化炭素・アンモニアなども元素と考えていたようです。

スウエーデンの化学者ベルセリウスは、元素をアルファベットであらわす方法を考えます。

彼の方法では、元素のラテン語の頭文字を、活字体の大文字で書いて元素記号とするものです。

もし、同じ頭文字の元素が2つ以上ある場合にはそれらの元素の名前から、他の一字をとり、それを小文字で書きそえます。

例えば、Cの字のつく元素記号とそのラテン語名は、上の図のようになります。




元素と元素記号とは? 元素の種類と歴史とは? わかりやすく解説!

元素

水は水素と酸素とに分解されますが水素や酸素はどのような科学的方法を使ってもほかの物に分解することはできません。

水素や酸素のように、いろいろな物のもとになりそれ以上は決して分解されないような物を元素といいます。


元素の種類

現在知られている元素の種類は100以上あります。
これらの中には、金・銅・鉄などのように金属として知られている元素かあり
これらは金属元素といわれています。

また、水素・酸素・塩素などのように、金属でない元素がありこれらは非金属元素とよばれています。

このほかに、ゲルマニウム・スズ・アンチモンなどのように金属元素と非金属元素の両方の性質をもっている元素があります。

このような元素は、特に両性元素といわれています。
元素の分け方には、このほかいろいろあります。

例えば、水素・酸素などのようにふつうの状態で気体の元素は、気体元素といわれていますしウランやラジウムなどのように放射能をもっている元素は放射性元素といわれています。



元素の歴史

自然を形づくっている、あらゆる物のもとは何かということは紀元前から考えられていました。

古代中国やインドの「すべての物質は、地・水・火・風・空よりなる」という五大説や古代ギリシアの「あらゆる物質のもとは、水・風・土・火の四つである」という四元素説などが有名です。

しかし、このころの説はただ頭の中で考えられたものであって実際にその説を証明する実験は行われませんでした。

もちろん、これらの説は正しくはありませんでしたがすべての物質のもとになる物すなわち元素という物かあるということを予言した点ではすぐれた考えであるといえます。

中世に経ってから、金でない物を金にかえることと不老不死の薬をつくることを目的とした錬金術が盛んになり、1000年以上も錬金術師の時代がつづきました。

このころの錬金術師たちは水銀と硫黄、あるいは、水銀・硫黄・塩を元素だと考えていました。
錬金術の目的こそ達せられませんでしたが錬金術師たちの長い間の努力によっていろいろな物の扱い方やつくり方の技術はたいへん発達しました。

17世紀以後に、実験をもとにして物を扱う方法が盛んになりイギリスのボイル、フランスのラボアジエなどのすぐれた科学者があらわれて、現在のような元素の考え方が確立されました。

18世紀から19世紀にかけて、次々と新しい元素が発見され今では92種の自然元素が知られています。

また、物質のいちばんもとであると考えられていた元素も特別な方法で変化させ違った種類の元素にすることができるようになりました。

この方法で、11種の人工元素がつくりだされています。




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