原子量と分子量とは? 原子価と構造式とは?

原子価と構造式

いくつかの原子が結びついて分子をつくっているとき原子同士がどのように結びついているかを考えるには結びつく手を考えると便利です。


例えば水H2Oは、水素原子が1本酸素原子が2本の手をもっていて互いに結びついていると、考えるわけです。

同じように、水素・酸素・二酸化炭素・アンモニアなどの分子もそれぞれの分子をつくっている原子がいく本かずつの手をだして互いに結びついていると考えられます。

このようにして、いろいろな原子の結びつき方を調べてみると元素の種類によって、手の数が決まっていることがわかります。

この原子の手の数を原子価といい手の数が一本、二本、三本……のときの原子価はそれぞれ、一価、二価、三価……というようにあらわします。

原子価は、ふつう元素の種類によって決まっていますが中には、つくる化合物の種類によって、原子価がかわる元素もあります。

また、原子価には元素の種類によって+と-の性質があって+のものと-のものが結びつきやすいのです。

原子どうしが結合するときにはそれそれの原子が出しあった手を一本ずつ結びます。

この結びついた一組の手を一本の線であらわし原子を元素記号であらわして分子の成り立ちをしめした式を構造式といいます。

構造式は化学式の一種です。

前にしめした、水や酸素などの分子を構造式でしめすと右のようになります。

またナイロンなどの複雑な化合物の分子も構造式でしめすと、原子の並びかたがよくわかります。

有機化合物には炭素・水素などでできた複雑な化合物が非常に多く構造式であらわすと、その結びつき方がよくわかります。

原子量と分子量

原子や分子1個の重さは非常に小さいのでこれを、いちいちグラムであらわしていてはたいヘん面倒です。

そこで、原子量とか分子量という値であらわします。
原子量というのは、炭素原子のなかで、原子核が陽子6個と中性子6個とからできている原子つまり質量数12の炭素原子の重さを12.0000としてそれに比べたほかの元素の原子の重さをあらわしたものです。

また、分子量というのは分子をつくっている原子の原子量を全部足したものでその分子の重さをあらわしたものです。

原子量は、専門的に厳密な値をもとめる以外は小数点以下第四位まで正確に計算する必要はありません。

ふつう私たちが扱う場合には右の表でしめしたような数値で充分です。

水素や酸素・水などの分子量は水素の原子量を1、酸素の原子足を16として計算するとそれぞれ、2、32、18となります。




化学変化のあらわし方とは? 分子式・化学式とは?

化合物や化学変化を、いちいち文章であらわすのは大変です。
そこで、元素を元素記号であらわすように化合物や化学変化も記号であらわしています。


分子式と組成式

水素分子や酸素分子の1個はそれぞれ水素原子、酸素原子が2個ずつ結びついてできています。

水素分子や酸素分子を記号であらわすにはそれぞれの元素記号を使ってH2Oとあらわしています。

2Hとか2Oとあらわした場合はそれぞれ、水素原子2個、酸素原子2個という意味で分子をあらわすことにはなりません。

また、水の分子は水素原子2個と酸素原子1個とからできていますからH2Oとあらわし、水の分子2個は2H2Oとあらわします。

このような分子をあらわす記号を分子式といいます。

ところで、食塩の成分である塩化ナトリウムはナトリウムイオンと塩素イオンとの化合物ですがその結晶は、ナトリウムの陽イオンと塩素の陰イオンが四方八方につながっていて、分子の区別はつきません。

しかし、ナトリウムイオンと塩素イオンの比にいつでも1対1になっています。

それで、塩化ナトリウムの成分元素とその割合を記号であらわすと、NaClとなります。

このような場合に、分子式といわずに、組成式ということがあります。

また、イオウ・リンなどの単体や、金属などはその分子1個をつくる原子の数がはっきりしていませんがこれらの物質の分子式に、元素記号をそのま使ってあらわしています。



化学式と化学反応式

分子式や組成式のように物質をあらわすのに元素記号を使った式を化学式といいます。

化学式を使って化学変化をあらわすといろいろなことをいちどにしめすことができて非常に便利です。

例えば、水素と酸素とから水ができる化学変化は
  2H2 + O2 → 2H2O
とあらわします。

この式の左辺は、反応する前の物質が水素と酸素であり水素2分子と酸素1分子の割合で反応することをしめします。
また右辺は、反応してできた物質は水であり水素2分子と酸素1分子とからは、水2分子ができることをしめしています。

このように、化学式を使って化学変化の様子だけでなくその量の関係まであらわす式を化学反応式といいます。

化学反応式では、反応の途中で原子がなくなったり、新しくできたりすることはありません。

化学反応式の左辺に水素原子が4個あれば右辺にもかならず4個の水素原子かあるというように化学反応式の右辺と左辺の原子は必ず、同じ数でなければなりません。

水素ができる反応などは化学反応式を使ってつぎのようにあらわすことができます。

水素ができる反応

水を電気分解する

2H2O → 2H2 + O2
水 → 水素 + 酸素

ナトリウムによって水を分解する

2H2O + 2Na → H2 + 2NaOH
水 + ナトリウム → 水素 + 水酸化ナトリウム

希硫酸と亜鉛から水素を発生させる

Zn + H2SO4 → H2 + ZnSO4
亜鉛 + 硫酸 → 水素 + 硫酸亜鉛




同位体とは? 放射性同位体とは? わかりやすく解説!

同位体

原子核にふくまれる陽子と中性子の数とを足したものを質量数といいます。


今ここに、陽子が1つで中性子の数がそれぞれ、0・1・2のつまり質量数が、1・2・3と違う原子核をもつ3つの原子があるとします。

この3つの原子は、みんな陽子を1つずつもっていますから原子番号が1の水素原子だということになります。

しかし、重さはそれぞれ、1対2対3の割合になっています。

この重さから違う原子は軽いほうから順に軽水素・重水素・三重水素とよばれ
どれも水素の原子です。

このように、原子番号が同じで質量数が違う原子を、同位体(アイソトープ)といいます。

放射性同位体

水素の同位体のうち三重水素は原子核が壊れやすく、放射能をもっています。

たいていの元素には放射能をもった同位体があって特に放射性同位体と呼ばれています。

ストロンチウム90・セシウム137・コバルト60などとよばれている元素はすべて放射性同位体です。

これらの元素の名前の下についている数はそれぞれの元素の質量数をあらわしています。

三重水素・ストロンチウム90などは原水爆実験などでできる人工的な同位体ですが天然にも、ウランやラジウムなどのように放射能をもった元素があります。

放射能に人体に害をあたえますが病気の治療、金属の検査、農作物の研究品種改良などに利用できます。

例えば、放射性同位体からでる放射線を当てて体の内部にできたガンの組織を破壊することができます。

また、肥料の中に放射性同位体を混ぜて農作物のからだに肥料がどのように吸収されるかを調べたり(トレーサー)ジャガイモに放射線をあてて発芽をおさえ長く保存できるようにすることもできます。

放射線には、α栓・β栓・γ線などがありますがもちろんこれらをを目で見ることはできません。

しかし、図のような装置を用いて実験すると夜光塗針にふくまれている放射性物質からでてくる放射線(α線)の通った道(飛跡)を肉限で見ることができます。



原子のつくり、原子核とは? わかりやすく解説!

原子のつくリ

原子はこのように小さいものですから、原子が考えだされたころにはただ、丸くて固い玉のようなものだと想像するだけでした。


その後、研究が進むにつれて原子のつくりもはっきりしてきました。

1913年に、デンマークの物理学者のボーアは「原子は、重くて小さい原子核の周りを電子がとりまいているものだ」ということを明らかにしました。

原子核とは、原子の中心にあって原子の直径の10万分の1ほどの大きさのもので陽電気をもった部分です。

また、電子は、陰電気をもちその1個の重さは水素原子の1837分の1です。

原子の中にふくまれる電子の数は元素の種類によって決まっています。

原子が結びついたり離れりして化学変化がおこるときには電子が非常に大切なはたらきをしています。

原子核は原子の中心にあって形は玉のようなものと考えられます。

しかし、電子はちょうど太陽の周りをまわる地球のように丸いということもできますし原子核をとりまいている雲のようなものということもできます。

わかりにくい形でしょうがこのわかりにくいのが、電子の形の特徴なのです。
    
今、水素の原子核を東京にある直径1メートルのアドバルーンとするなら水素の原子は、ピンポン玉ぐらいの電子が茅ヶ崎・青梅などを結ぶ円周上をまわっている形であるということができます。



原子核

原子核には、その原子がもつ電子の数と同じ数の陽子とよばれる粒といくつかの中性子とがしっかり結びついて含まれています。

陽子と中性子とは、重さは同じですが陽子が陽電気をもっているのに対し中性子は電気をもっていません。

陽子や中性子の重さは1グラムの1兆分の1を、さらに1兆分の1にしたぐらいで電子の重さの1836倍にあたります。

原子核にふくまれる陽子の数を原子番号といいます。

原子番号は、原子核がどの元素のものかを決めるのに大切な数です。
つまり、元素にはすべて原子番号がつけてありどの原子核も、陽子の数がわかればどの元素に属するかがわかるのです。

例えば、陽子8つをふくむ原子核は原子番号8の酸素の原子核です。

また逆に、水素の原子番号は1ですから水素の原子核にふくまれる陽子の数は1だということもわかります。

電気を帯びていない原子では原子核にふくまれる陽子の数と原子核をまわっている電子の数とが等しくて原子全体としては、陽電気と陰電気とが消し合っていることになっています。

陽子の数と電子の数が等しくないときはその原子全体が電気を帯びることになります。

これがイオンです。






元素と原子、分子とは? わかりやすく解説!

元素と原子

物質を細かく分けていくと最後に、もうそれ以上分けることができない小さな粒になるという考えは古代のギリシアやローマ・インドの学者たちも考えました。


ギリシアのデモクリトスはこの粒を「分けることができない」という意味で、アトムと名づけました。

その後、1808年にイギリスのドールトンは物質のもとになる粒について、つぎのような原子説を発表しました。

「元素は、原子という小さな粒からできている。
同じ元素の原子はみな等しく、元素か違えば原子も違う。

水素や酸素などは一種類の原子からできており水の原子には、水素や酸素の原子が含まれている。

物質の変化は、原子の集まり方がかわるだけであってそれぞれの原子は、一定の重さをもっていてなくなることも壊れることもなくまた、新しくできるというようなこともない」

この原子説は、そのころの学者たちにすぐには認められませんでしたがいろいろな物質の変化をうまく説明するにはどうしても、原子を考えたほうが都合がよいのでその後、だんだん認められるようになりました。

今では、原子というものがあるということは世界中で認められ、原子の構造もわかってきて原子のもつ性質を原子力として利用するまでになりました。

同じ元素の原子は、性質・重さ・大きさなどが全く同じです。
ですから、原子の種類は元素の種類と同じ数だけあるわけです。

そして、水素・酸素・炭素などの元素の原子はそれぞれの元素の名前をとって水素原子・酸素原子・炭素原子などと呼ばれて区別されます。



分子

水を細かく分けていくと、水の性質をもっていてしかも、これ以上分けるともう水の性質がなくなってしまうような小さな粒になります。

このような、物質の性質をなくさない最も小さい粒をその物質の分子といいます。

分子は、その物質を形づくっている元素の原子が結びつきあってできています。
         
例えば、水の分子は、水素原子2個と酸素原子1個とからできています。

また、水素の分子は水素原子2個から酸素の分子は酸素原子2個からそれぞれできています。

また、砂糖の分子や石油の成分の分子などには1個の分子に50個ぐらいの炭素や水素などの原子がふくまれています。

一方、たんぱく質や合成樹脂など高分子物質の中には、炭素・水素・酸素などの原子が100万個以上も集まってできている物質もあります。

原子・分子の大きさ

原子やふつうの分子の一個一個は目には見えませんし顕微鏡を使っても見ることができないほど小さい粒です。

原子一個の大きさは、だいたい直径が1億分の1センチメートル重さが1グラムの1兆分の1のさらに1千億分の1ぐらいで想像することができないほど小さいものです。

分子1個の大きさや重さもだいたい、原子と同じぐらいですが中には、ようやく、光の助けをかりてその存在を認めることができる程度の大きさのものもあります。

原子や分子の大きさや重さはこのように非常に小さいものですから、わずかの物質を取ってみてもその中にふくまれている原子や分子の数はものすごく多くなります。

例えば、コップ一杯の水(160立方センチ)には約6兆の1兆倍個の水の分子がふくまれています。

もしかりに、コップ一杯の水を海に注ぎ世界中の海をかき混ぜて、もういちどコップ一杯くみあげればこのコップの中には、もとの水の分子が800個ほどふくまれることになります。

また、コップ一杯の水の分子が砂粒ほどの大きさになったとするとそれは地球の全表面を1センチメートルの厚さで覆うほどになります。




元素の周期律表とは? 元素記号とは? わかりやすく解説!

元素の周期律

19世紀に入って、次々に新しい元素が発見されました。
これらの元素には性質のよく似たものもありました。
      
ところが、元素を重さの順にならべるとだいたい決まった数ごとに性質のよく似た元素が並ぶことがわかりました。

例えば、フッ素から8番めの塩素塩素から18番めの臭素、臭素から18番めのヨウ素の4つの元素はどれもほかの元素と化合物をつくりやすく硝酸銀と作用させると、銀との化合物をつくります。

このように、元素を並べていってよく似た性質の元素が周期的にあらわれることを元素の周期律といいます。

元素の周期律を最初にまとめたのはロシアのメンデレーエフとドイツのマイヤーです。


元素の予言

メンデレーエフが元素の周期律について発表したのは1869年です。
そのころ知られていた元素は63種でした。

彼は元素を並べるときに、適当な元素がないところは空けておきそこに入るはずの元素の性質を予言しました。

後になって、その元素が発見されるとメンデレーエフの予言がよく当たっていたので元素の周期律の価値が人々に認められるようになりました。

予言した元素 → 発見された元素

エ力ホウ素  → スカンジウム Sc

エカケイ素  → ゲルマニウム Ge

エカアルミニウム → ガリウム   Ga
エカマンガン   → テクネチウム Te
ドビーマンガン  → レニウム   Re
 

元素の周期律表

元素の周期律をまとめて表にしたものを周期律表といいます。

表にあらわす方法はいくつも考えられていますが長周期型とよばれるものがよく使われています。

メンデレーエフのころは元素を重さの順に並べましたが今では、原子番号の順に並べることになっています。

周期律表の元素の名前のところにしめしてある数字が原子番号をあらわしています。

また、アルファベットの文字はその元素をあらわす記号で、元素記号とよばれるものです。

フッ素・塩素・臭素・ヨウ素はどれも銀と化合物をつくりやすいだけでなく水素と化合すると、強い酸性をしめす化合物をつくるしこれらの元素だけでできているものはどれも刺激の強い臭いをもっています。

それで、これらの元素をまとめて、ハロゲン族とよんでいます。

また、周期律表の左に並んでいるリチウム・ナトリウム・カリウムなどの金属は水をよく分解して水素を発生させますし塩素と化合すると、食塩によくにた化合物をつくります。

これらの元素は、アルカリ金属とよばれます。

そのほか、ヘリウム・ネオン・アルゴンなどは産出量が少なく、なかなか化合物をつくりにくい性質があって希ガスとよばれます。

このように、周期律表の縦に並んでいる元素はみんな共通の性質をもっています。

また、周期律表の中で、左下にある元素ほど金属としての化学的な性置が強く、右上にある元素ほど、非金属としての化学的な性質が強くたっています。



元素の名前

水素・酸素・同・金などの名前はよく聞くことがありますが中には、アルゴン・ラドン・テクネチウムなどのように怪獣の名前のような元素もあります。

これらの元素の名前は、主にラテン語からとったものです。
元素の名前は、地名をとったものもありますし星の名前、元素の性質、科学者の名前、神様の名前などいろいろの呼び名がもとになっています。
 

元素記号

元素をあらわすには、記号をつかうと便利ですから昔からいろいろな元素記号が考えられました。

古い時代には、そのころ知られていた金属に太陽系の遊星をあらわす神様をあてはめて図のような形でそれをあらわしたこともあります。

その後、長いあいだに、新しい元素がつぎつぎと発見され18世紀の終わりごろには、その数も数十に達しました。

1803年に、イギリスの科学者ドールトンは元素にはその元素に特有な原子があることをはじめて説明しそれは球形をしているとして、上の図のような記号を考えました。

しかし、水・二酸化炭素・アンモニアなども元素と考えていたようです。

スウエーデンの化学者ベルセリウスは、元素をアルファベットであらわす方法を考えます。

彼の方法では、元素のラテン語の頭文字を、活字体の大文字で書いて元素記号とするものです。

もし、同じ頭文字の元素が2つ以上ある場合にはそれらの元素の名前から、他の一字をとり、それを小文字で書きそえます。

例えば、Cの字のつく元素記号とそのラテン語名は、上の図のようになります。




元素と元素記号とは? 元素の種類と歴史とは? わかりやすく解説!

元素

水は水素と酸素とに分解されますが水素や酸素はどのような科学的方法を使ってもほかの物に分解することはできません。

水素や酸素のように、いろいろな物のもとになりそれ以上は決して分解されないような物を元素といいます。


元素の種類

現在知られている元素の種類は100以上あります。
これらの中には、金・銅・鉄などのように金属として知られている元素かあり
これらは金属元素といわれています。

また、水素・酸素・塩素などのように、金属でない元素がありこれらは非金属元素とよばれています。

このほかに、ゲルマニウム・スズ・アンチモンなどのように金属元素と非金属元素の両方の性質をもっている元素があります。

このような元素は、特に両性元素といわれています。
元素の分け方には、このほかいろいろあります。

例えば、水素・酸素などのようにふつうの状態で気体の元素は、気体元素といわれていますしウランやラジウムなどのように放射能をもっている元素は放射性元素といわれています。



元素の歴史

自然を形づくっている、あらゆる物のもとは何かということは紀元前から考えられていました。

古代中国やインドの「すべての物質は、地・水・火・風・空よりなる」という五大説や古代ギリシアの「あらゆる物質のもとは、水・風・土・火の四つである」という四元素説などが有名です。

しかし、このころの説はただ頭の中で考えられたものであって実際にその説を証明する実験は行われませんでした。

もちろん、これらの説は正しくはありませんでしたがすべての物質のもとになる物すなわち元素という物かあるということを予言した点ではすぐれた考えであるといえます。

中世に経ってから、金でない物を金にかえることと不老不死の薬をつくることを目的とした錬金術が盛んになり、1000年以上も錬金術師の時代がつづきました。

このころの錬金術師たちは水銀と硫黄、あるいは、水銀・硫黄・塩を元素だと考えていました。
錬金術の目的こそ達せられませんでしたが錬金術師たちの長い間の努力によっていろいろな物の扱い方やつくり方の技術はたいへん発達しました。

17世紀以後に、実験をもとにして物を扱う方法が盛んになりイギリスのボイル、フランスのラボアジエなどのすぐれた科学者があらわれて、現在のような元素の考え方が確立されました。

18世紀から19世紀にかけて、次々と新しい元素が発見され今では92種の自然元素が知られています。

また、物質のいちばんもとであると考えられていた元素も特別な方法で変化させ違った種類の元素にすることができるようになりました。

この方法で、11種の人工元素がつくりだされています。




水の合成・化合・化学変化と物理変化とは? わかりやすく解説!

水素と酸素の化合

水を分解すると、水素と酸素が体積で2対1の割合でできますがこれとは逆に、水素と酸素とから水をつくることもできます。


しかし、水素と酸素とを体積で2対1の割合に混ぜただけでは水はできません。
この気体に火をつけると、爆発して水素も酸素もなくなり、水ができるのです。

この実験は、大量の気体で、壊れやすい器具を使って行うと危険です。
図のような装置を使い、少量の気体で水の中で行うと安全にできます。

この装置で、ニクロム線に電気を通し気体に火をつけると、爆発がおきます。

そして、管の中を水が上がるので気体がなくなったことがわかります。

もし、水素と酸素の割合が2対1になっていないと多いほうの気体のうち、余分なものが水にかわらずそのまま管の中に残ります。

水のかわりに、水銀を入れたユージオメーターという装置を使うと水素と酸素から水ができることが観察できます。

このように、水素と酸素がはたらきあって、結びつき水になることを、水素と酸素が化合して、水ができたといいます。



化合と合成

一般に、2つ以上の物がはたらきあって結びつきもとの物とは違った、全く新しい物になることを、化合といいます。

また、化合によってできる物を化合物といいます。

化合物をつくるもとの物の割合は水が水素2体積と酸素1体積の割合でできるように化合物によって決まっています。

気体以外の物では、体積では比べられれないので重さの割合で比べますがやはりもとの物の重さの割合は決まっています。

水素と酸素を化合させて水をつくったように化合を利用して化合物をつくることを合成といいます。

私たちの身の周りには、合成によってつくられたものが実にたくさんあります。

合成樹脂・合成ゴムはもちろんのこと塩酸やアンモニアなどの薬品のほとんどが合成によってつくられています。
 

化学変化と物理変化

分解や化合でできた物は、もとの物とは全く違った新しい物です。

このような分解や化合によっておこる変化を化学変化といいます。
水が分解して、水素と酸素とになる変化は化学変化です。

これに対して、水が熱せられて水蒸気になったり冷やされて氷になったりする変化は水の状態が変化するだけであって水そのものが変化したわけではありません。

このように、状態だけが変化することを物理変化といいます。

食塩を水に溶かすと、食塩と同じように塩辛い水になりますが食塩水を蒸留すると、また食塩と水がえられます。

この物が溶けるということも物理変化です。



水素と酸素の性質とは? わかりやすく解説!

水を電気分解すると水素と酸素ができました。また、水素が酸素と結びつくと水ができます。

このことから、水は水素と酸素とからできていることがわかります。
ここでは、水素と酸素について調べてみましょう。


工業的製法と実験室的製法」

水素・酸素などの気体や硫酸・水酸化ナトリウムなどの薬品をつくるとき工場
と実験室とでは、つくる方法が違う場合があります。

工業的には、設備や原料を考えてできるだけ安くしかも大量につくる必要がありますが実験室では簡単な装置で手軽につくる必要があるからです。
      
そこで、工業で使う方法を工業的製法、実験室で使う方法を実験室的製法といって区別します。
 

水素の工業的製法

水素の工業的製法には、水性ガスから分ける方法水の電気分解による方法、天然ガスを分解する方法などがあります。

水性ガスから分ける方法

熱したたコークスに水蒸気を通すと、コークスの炭素によって水蒸気が分解され水素と一酸化炭素の混ざった水性ガスができます。

この水性ガスと水蒸気を500℃ぐらいで作用させると一酸化炭素がすべて二酸化炭素に変わります。

これに高い圧力をかけて水で洗うと水素が得られます。

天然ガスを分解する方法

石油を分解したガスや深い井戸から噴き出す天然ガスの主成分はメタンガスです。

メタンガスと水蒸気とを混ぜて、800℃ぐらいに熱しこれを二ッケルという金属に触れさせるとメタンガスが分解して水素ができます。
  
この分解した水素には不純物が混じっているので取り除き、精製します。

水素の実験室的製法

鉄・亜鉛・アルミニウムなどの金属に希硫酸や塩酸を注ぐと水素ができますが
ふつう亜鉛に希硫酸を注いでつくっています。

試験管に希硫酸を入れ、それに亜鉛の粒を2、3個入れると水素が泡になって盛んに出ます。

この場合、亜鉛があまり新しすぎると水素の発生がよくありませんから古い亜鉛を混ぜて使います。

水素の性質

水素には、右の表のような物理的性質があります。
そして、空気と同じように色も匂いもない気体ですべての物質の中で最も軽いものです。

実際の重さは、1リットル約0.1グラムで空気のほぼ14分の1にしかすぎません。

水素は非常によく燃えます。

水素をいっぱい入れた瓶を逆さまにして瓶の口から火のついたロウソクを入れると中に入ったロウソクの火は消えますが瓶の口では、水素がほとんど色のない炎を出して燃えます。

このことから、水素はよく燃えるが他の物を燃やす働きはないことがわかります。

水素と空気が混ざった物に火をつけると爆発しますが爆発するのは、混ざる空気の量が水素の体積の3分の1から25倍までの範囲です。
3分の1以下では水素が燃えるだけですし、25倍以上では燃えも爆発もしません。



【実験】

水素の爆発は、次のような実験で確かめることができます。

図のように、水素の発生装置から水素をとります。
試験管に水素が半分ぐらいたまったとき引き上げると水素と空気の混ざった気体ができます。

この試験管を逆さまにしたままアルコールランプの炎を近づけるとポンと音をたてます。

これが水素の爆発です。

この実験は、水素の量が多くなるほど爆発が大きくなりますから決して、大量の水素を使って実験してはいけません。

水素がもえてできる物

水素が燃えると、水ができます。
このことは、図のような装置で実験すると確かめることができます。

ビーカーについた水滴は、水素が燃えてできた水蒸気が冷えたものです。
この実験で発生装置に空気が残っていると爆発する危険があります。

それで、図のように防爆管をつけておきます。
防爆管の中には、細い銅線がつめてありここで熱を吸収し発生装置の温度が上がって爆発することを防いでいます。

また、塩化カルシウム管には、水分をよく吸収する塩化カルシウムの粒が入っていて水素に水分が混じって出てくるのを防いでいます。
 

水素の用途

水素は、酸水素炎吹管という装置で酸素と混ぜて火をつけると非常に高い温度を出して燃えます。

この炎を酸水素炎といい、炎の先は2500℃もの高い温度になります。

また、酸素アセチレン炎に水素を高速で吹き付け2万℃以上の高温をえることもできます。

また、水素は、すべての物質の中で最も軽く空気に対しても1立方メートルあたり1.2キログラムも軽いのです。

それで、気球や風船などにつめる物として使われます。
この気球は、気象観測用や広告用(アドバルーン)として利用されています。

しかし、水素のいちばん大切な用途は薬品の原料として使われることです。

化学調味料や合成樹脂の製造に必要な塩酸、肥料やレーヨンの製造に必要なアンモニアはいずれも、水素がその重要な原料となっています。

そのほか、魚油や鯨油を石鹸やロウソクの原料にかえたり人造バターにしたりするときにも、水素が使われます。

酸素

酸素は、水を電気分解してもえられますが空気中にもたくさん含まれています。

工業的には、この空気の中から約5分の1を占めている酸素を取り出して利用しています。




水の成り立ちとは? 水の分解とは? わかりやすく解説!

海の水や川の水などは、天然水ですが海の水は、塩分が溶け込んでいて塩辛く、川の水でも少量の塩分を含んでいます。


いちばん混じりけの少ない雨や雪でさえ1リットルに1グラムの100分の1ぐらいの塩分が含まれています。

天然水に含まれている不純物のうち細かい泥の粒や植物の切れ端などのように、にごりとなっているものはろ過という方法で取り除くことができます。

にごった水をろ紙や砂の層や素焼きなどの目の細かいものに通すとにごりのもとがこし取られます。

しかし、砂糖や塩のように水に溶け込んでいるものはろ過の方法ではこし分けることができません。

このような液から、純粋な水をつくるには水を熱して沸騰させ出てくる水蒸気をほかのところに導いて冷やし、純粋な水にします。

こうしてできた水が、蒸留水です。

ここでは、水が何からできているか、調べてみましょう。

水の電気分解

純粋な水は、ほとんど電気を通しませんが
少量の硫酸か水酸化ナトリウムを加えてやると電流をよく通すようになります。

この液を次の図のような装置に入れて電流を流すと陰極に水素、陽極に酸素が体積の比で2対1の割合で出てきます。

この場合、水に溶かした硫酸や水酸化ナトリウムは残った液に全部含まれていることが実験で確かめられます。

このことから、出てきた水素や酸素は、硫酸や水酸化ナトリウムが変化してできたのではなく水だけが分けられてできたのだと考えられます。

そして、この水素や酸素はもとの水とは全く性質の違ったものです。

このように、もとの物から全く性質の違う2つ以上の物ができることを分解といい電流を使って分解することを電気分解といいます。

  
水の電気分解のときに使う電極は、硫酸を加える場合には白金か鉛を水酸化ナトリウムを加える場合には、ニッケルを使います。
 
工業的に水を電気分解するときには鉄の電解槽の中に水酸化ナトリウムの溶液を入れ鉄板を陰極、ニッケルメッキした鉄板を陽極として大量の水素と酸素をつくっています。

電気分解は、水の分解に使われるだけでなく銅・アルミニウムなどの金属の精錬や水酸化ナトリウム・過酸化水素などの薬品をつくるとき、また、塩素・水素などの気体をつくるとき、などにも使われます。

つまり、電気分解は、物を分解して新しい物をつくるときだけでなく不純な物を純粋な物に変えるときにも使われる大切な方法なのです。

金属による水の分解

水を入れた水槽に、水を満たした試験管を逆さに立てこの試験管の口から、柔らかい紙に包んだナトリウムの小さな粒を1つ入れると、盛んに泡が出て試験管に気体がたまります。

この気体に火をつけると、小さい爆発音を出して燃えます。
この燃える気体は水素で、ナトリウムが水を分解したためにできたものです。

また、水槽の中の水をリトマス紙で調べると塩基性をしめすことがわかります。
これは、ナトリウムが水と結びついて水酸化ナトリウムになったからです。

水はナトリウムのほか、カリウム・カルシウムなどによっても分解されて水素をだします。

また、高温ではマグネシウム・亜鉛などによっても分解されます。




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