海の水や川の水などは、天然水ですが海の水は、塩分が溶け込んでいて塩辛く、川の水でも少量の塩分を含んでいます。
いちばん混じりけの少ない雨や雪でさえ1リットルに1グラムの100分の1ぐらいの塩分が含まれています。
天然水に含まれている不純物のうち細かい泥の粒や植物の切れ端などのように、にごりとなっているものはろ過という方法で取り除くことができます。
にごった水をろ紙や砂の層や素焼きなどの目の細かいものに通すとにごりのもとがこし取られます。
しかし、砂糖や塩のように水に溶け込んでいるものはろ過の方法ではこし分けることができません。
このような液から、純粋な水をつくるには水を熱して沸騰させ出てくる水蒸気をほかのところに導いて冷やし、純粋な水にします。
こうしてできた水が、蒸留水です。
ここでは、水が何からできているか、調べてみましょう。
水の電気分解
純粋な水は、ほとんど電気を通しませんが
少量の硫酸か水酸化ナトリウムを加えてやると電流をよく通すようになります。
この液を次の図のような装置に入れて電流を流すと陰極に水素、陽極に酸素が体積の比で2対1の割合で出てきます。
この場合、水に溶かした硫酸や水酸化ナトリウムは残った液に全部含まれていることが実験で確かめられます。
このことから、出てきた水素や酸素は、硫酸や水酸化ナトリウムが変化してできたのではなく水だけが分けられてできたのだと考えられます。
そして、この水素や酸素はもとの水とは全く性質の違ったものです。
このように、もとの物から全く性質の違う2つ以上の物ができることを分解といい電流を使って分解することを電気分解といいます。
水の電気分解のときに使う電極は、硫酸を加える場合には白金か鉛を水酸化ナトリウムを加える場合には、ニッケルを使います。
工業的に水を電気分解するときには鉄の電解槽の中に水酸化ナトリウムの溶液を入れ鉄板を陰極、ニッケルメッキした鉄板を陽極として大量の水素と酸素をつくっています。
電気分解は、水の分解に使われるだけでなく銅・アルミニウムなどの金属の精錬や水酸化ナトリウム・過酸化水素などの薬品をつくるとき、また、塩素・水素などの気体をつくるとき、などにも使われます。
つまり、電気分解は、物を分解して新しい物をつくるときだけでなく不純な物を純粋な物に変えるときにも使われる大切な方法なのです。
金属による水の分解
水を入れた水槽に、水を満たした試験管を逆さに立てこの試験管の口から、柔らかい紙に包んだナトリウムの小さな粒を1つ入れると、盛んに泡が出て試験管に気体がたまります。
この気体に火をつけると、小さい爆発音を出して燃えます。
この燃える気体は水素で、ナトリウムが水を分解したためにできたものです。
また、水槽の中の水をリトマス紙で調べると塩基性をしめすことがわかります。
これは、ナトリウムが水と結びついて水酸化ナトリウムになったからです。
水はナトリウムのほか、カリウム・カルシウムなどによっても分解されて水素をだします。
また、高温ではマグネシウム・亜鉛などによっても分解されます。