水の合成・化合・化学変化と物理変化とは? わかりやすく解説!

水素と酸素の化合

水を分解すると、水素と酸素が体積で2対1の割合でできますがこれとは逆に、水素と酸素とから水をつくることもできます。


しかし、水素と酸素とを体積で2対1の割合に混ぜただけでは水はできません。
この気体に火をつけると、爆発して水素も酸素もなくなり、水ができるのです。

この実験は、大量の気体で、壊れやすい器具を使って行うと危険です。
図のような装置を使い、少量の気体で水の中で行うと安全にできます。

この装置で、ニクロム線に電気を通し気体に火をつけると、爆発がおきます。

そして、管の中を水が上がるので気体がなくなったことがわかります。

もし、水素と酸素の割合が2対1になっていないと多いほうの気体のうち、余分なものが水にかわらずそのまま管の中に残ります。

水のかわりに、水銀を入れたユージオメーターという装置を使うと水素と酸素から水ができることが観察できます。

このように、水素と酸素がはたらきあって、結びつき水になることを、水素と酸素が化合して、水ができたといいます。



化合と合成

一般に、2つ以上の物がはたらきあって結びつきもとの物とは違った、全く新しい物になることを、化合といいます。

また、化合によってできる物を化合物といいます。

化合物をつくるもとの物の割合は水が水素2体積と酸素1体積の割合でできるように化合物によって決まっています。

気体以外の物では、体積では比べられれないので重さの割合で比べますがやはりもとの物の重さの割合は決まっています。

水素と酸素を化合させて水をつくったように化合を利用して化合物をつくることを合成といいます。

私たちの身の周りには、合成によってつくられたものが実にたくさんあります。

合成樹脂・合成ゴムはもちろんのこと塩酸やアンモニアなどの薬品のほとんどが合成によってつくられています。
 

化学変化と物理変化

分解や化合でできた物は、もとの物とは全く違った新しい物です。

このような分解や化合によっておこる変化を化学変化といいます。
水が分解して、水素と酸素とになる変化は化学変化です。

これに対して、水が熱せられて水蒸気になったり冷やされて氷になったりする変化は水の状態が変化するだけであって水そのものが変化したわけではありません。

このように、状態だけが変化することを物理変化といいます。

食塩を水に溶かすと、食塩と同じように塩辛い水になりますが食塩水を蒸留すると、また食塩と水がえられます。

この物が溶けるということも物理変化です。



水素と酸素の性質とは? わかりやすく解説!

水を電気分解すると水素と酸素ができました。また、水素が酸素と結びつくと水ができます。

このことから、水は水素と酸素とからできていることがわかります。
ここでは、水素と酸素について調べてみましょう。


工業的製法と実験室的製法」

水素・酸素などの気体や硫酸・水酸化ナトリウムなどの薬品をつくるとき工場
と実験室とでは、つくる方法が違う場合があります。

工業的には、設備や原料を考えてできるだけ安くしかも大量につくる必要がありますが実験室では簡単な装置で手軽につくる必要があるからです。
      
そこで、工業で使う方法を工業的製法、実験室で使う方法を実験室的製法といって区別します。
 

水素の工業的製法

水素の工業的製法には、水性ガスから分ける方法水の電気分解による方法、天然ガスを分解する方法などがあります。

水性ガスから分ける方法

熱したたコークスに水蒸気を通すと、コークスの炭素によって水蒸気が分解され水素と一酸化炭素の混ざった水性ガスができます。

この水性ガスと水蒸気を500℃ぐらいで作用させると一酸化炭素がすべて二酸化炭素に変わります。

これに高い圧力をかけて水で洗うと水素が得られます。

天然ガスを分解する方法

石油を分解したガスや深い井戸から噴き出す天然ガスの主成分はメタンガスです。

メタンガスと水蒸気とを混ぜて、800℃ぐらいに熱しこれを二ッケルという金属に触れさせるとメタンガスが分解して水素ができます。
  
この分解した水素には不純物が混じっているので取り除き、精製します。

水素の実験室的製法

鉄・亜鉛・アルミニウムなどの金属に希硫酸や塩酸を注ぐと水素ができますが
ふつう亜鉛に希硫酸を注いでつくっています。

試験管に希硫酸を入れ、それに亜鉛の粒を2、3個入れると水素が泡になって盛んに出ます。

この場合、亜鉛があまり新しすぎると水素の発生がよくありませんから古い亜鉛を混ぜて使います。

水素の性質

水素には、右の表のような物理的性質があります。
そして、空気と同じように色も匂いもない気体ですべての物質の中で最も軽いものです。

実際の重さは、1リットル約0.1グラムで空気のほぼ14分の1にしかすぎません。

水素は非常によく燃えます。

水素をいっぱい入れた瓶を逆さまにして瓶の口から火のついたロウソクを入れると中に入ったロウソクの火は消えますが瓶の口では、水素がほとんど色のない炎を出して燃えます。

このことから、水素はよく燃えるが他の物を燃やす働きはないことがわかります。

水素と空気が混ざった物に火をつけると爆発しますが爆発するのは、混ざる空気の量が水素の体積の3分の1から25倍までの範囲です。
3分の1以下では水素が燃えるだけですし、25倍以上では燃えも爆発もしません。



【実験】

水素の爆発は、次のような実験で確かめることができます。

図のように、水素の発生装置から水素をとります。
試験管に水素が半分ぐらいたまったとき引き上げると水素と空気の混ざった気体ができます。

この試験管を逆さまにしたままアルコールランプの炎を近づけるとポンと音をたてます。

これが水素の爆発です。

この実験は、水素の量が多くなるほど爆発が大きくなりますから決して、大量の水素を使って実験してはいけません。

水素がもえてできる物

水素が燃えると、水ができます。
このことは、図のような装置で実験すると確かめることができます。

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ビーカーについた水滴は、水素が燃えてできた水蒸気が冷えたものです。
この実験で発生装置に空気が残っていると爆発する危険があります。

それで、図のように防爆管をつけておきます。
防爆管の中には、細い銅線がつめてありここで熱を吸収し発生装置の温度が上がって爆発することを防いでいます。

また、塩化カルシウム管には、水分をよく吸収する塩化カルシウムの粒が入っていて水素に水分が混じって出てくるのを防いでいます。
 

水素の用途

水素は、酸水素炎吹管という装置で酸素と混ぜて火をつけると非常に高い温度を出して燃えます。

この炎を酸水素炎といい、炎の先は2500℃もの高い温度になります。

また、酸素アセチレン炎に水素を高速で吹き付け2万℃以上の高温をえることもできます。

また、水素は、すべての物質の中で最も軽く空気に対しても1立方メートルあたり1.2キログラムも軽いのです。

それで、気球や風船などにつめる物として使われます。
この気球は、気象観測用や広告用(アドバルーン)として利用されています。

しかし、水素のいちばん大切な用途は薬品の原料として使われることです。

化学調味料や合成樹脂の製造に必要な塩酸、肥料やレーヨンの製造に必要なアンモニアはいずれも、水素がその重要な原料となっています。

そのほか、魚油や鯨油を石鹸やロウソクの原料にかえたり人造バターにしたりするときにも、水素が使われます。

酸素

酸素は、水を電気分解してもえられますが空気中にもたくさん含まれています。

工業的には、この空気の中から約5分の1を占めている酸素を取り出して利用しています。




水の成り立ちとは? 水の分解とは? わかりやすく解説!

海の水や川の水などは、天然水ですが海の水は、塩分が溶け込んでいて塩辛く、川の水でも少量の塩分を含んでいます。


いちばん混じりけの少ない雨や雪でさえ1リットルに1グラムの100分の1ぐらいの塩分が含まれています。

天然水に含まれている不純物のうち細かい泥の粒や植物の切れ端などのように、にごりとなっているものはろ過という方法で取り除くことができます。

にごった水をろ紙や砂の層や素焼きなどの目の細かいものに通すとにごりのもとがこし取られます。

しかし、砂糖や塩のように水に溶け込んでいるものはろ過の方法ではこし分けることができません。

このような液から、純粋な水をつくるには水を熱して沸騰させ出てくる水蒸気をほかのところに導いて冷やし、純粋な水にします。

こうしてできた水が、蒸留水です。

ここでは、水が何からできているか、調べてみましょう。

水の電気分解

純粋な水は、ほとんど電気を通しませんが
少量の硫酸か水酸化ナトリウムを加えてやると電流をよく通すようになります。

この液を次の図のような装置に入れて電流を流すと陰極に水素、陽極に酸素が体積の比で2対1の割合で出てきます。

この場合、水に溶かした硫酸や水酸化ナトリウムは残った液に全部含まれていることが実験で確かめられます。

このことから、出てきた水素や酸素は、硫酸や水酸化ナトリウムが変化してできたのではなく水だけが分けられてできたのだと考えられます。

そして、この水素や酸素はもとの水とは全く性質の違ったものです。

このように、もとの物から全く性質の違う2つ以上の物ができることを分解といい電流を使って分解することを電気分解といいます。

  
水の電気分解のときに使う電極は、硫酸を加える場合には白金か鉛を水酸化ナトリウムを加える場合には、ニッケルを使います。
 
工業的に水を電気分解するときには鉄の電解槽の中に水酸化ナトリウムの溶液を入れ鉄板を陰極、ニッケルメッキした鉄板を陽極として大量の水素と酸素をつくっています。

電気分解は、水の分解に使われるだけでなく銅・アルミニウムなどの金属の精錬や水酸化ナトリウム・過酸化水素などの薬品をつくるとき、また、塩素・水素などの気体をつくるとき、などにも使われます。

つまり、電気分解は、物を分解して新しい物をつくるときだけでなく不純な物を純粋な物に変えるときにも使われる大切な方法なのです。

金属による水の分解

水を入れた水槽に、水を満たした試験管を逆さに立てこの試験管の口から、柔らかい紙に包んだナトリウムの小さな粒を1つ入れると、盛んに泡が出て試験管に気体がたまります。

この気体に火をつけると、小さい爆発音を出して燃えます。
この燃える気体は水素で、ナトリウムが水を分解したためにできたものです。

また、水槽の中の水をリトマス紙で調べると塩基性をしめすことがわかります。
これは、ナトリウムが水と結びついて水酸化ナトリウムになったからです。

水はナトリウムのほか、カリウム・カルシウムなどによっても分解されて水素をだします。

また、高温ではマグネシウム・亜鉛などによっても分解されます。




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