化合物や化学変化を、いちいち文章であらわすのは大変です。
そこで、元素を元素記号であらわすように化合物や化学変化も記号であらわしています。
分子式と組成式
水素分子や酸素分子の1個はそれぞれ水素原子、酸素原子が2個ずつ結びついてできています。
水素分子や酸素分子を記号であらわすにはそれぞれの元素記号を使ってH2Oとあらわしています。
2Hとか2Oとあらわした場合はそれぞれ、水素原子2個、酸素原子2個という意味で分子をあらわすことにはなりません。
また、水の分子は水素原子2個と酸素原子1個とからできていますからH2Oとあらわし、水の分子2個は2H2Oとあらわします。
このような分子をあらわす記号を分子式といいます。
ところで、食塩の成分である塩化ナトリウムはナトリウムイオンと塩素イオンとの化合物ですがその結晶は、ナトリウムの陽イオンと塩素の陰イオンが四方八方につながっていて、分子の区別はつきません。
しかし、ナトリウムイオンと塩素イオンの比にいつでも1対1になっています。
それで、塩化ナトリウムの成分元素とその割合を記号であらわすと、NaClとなります。
このような場合に、分子式といわずに、組成式ということがあります。
また、イオウ・リンなどの単体や、金属などはその分子1個をつくる原子の数がはっきりしていませんがこれらの物質の分子式に、元素記号をそのま使ってあらわしています。
化学式と化学反応式
分子式や組成式のように物質をあらわすのに元素記号を使った式を化学式といいます。
化学式を使って化学変化をあらわすといろいろなことをいちどにしめすことができて非常に便利です。
例えば、水素と酸素とから水ができる化学変化は
2H2 + O2 → 2H2O
とあらわします。
この式の左辺は、反応する前の物質が水素と酸素であり水素2分子と酸素1分子の割合で反応することをしめします。
また右辺は、反応してできた物質は水であり水素2分子と酸素1分子とからは、水2分子ができることをしめしています。
このように、化学式を使って化学変化の様子だけでなくその量の関係まであらわす式を化学反応式といいます。
化学反応式では、反応の途中で原子がなくなったり、新しくできたりすることはありません。
化学反応式の左辺に水素原子が4個あれば右辺にもかならず4個の水素原子かあるというように化学反応式の右辺と左辺の原子は必ず、同じ数でなければなりません。
水素ができる反応などは化学反応式を使ってつぎのようにあらわすことができます。
水素ができる反応
水を電気分解する
2H2O → 2H2 + O2
水 → 水素 + 酸素
ナトリウムによって水を分解する
2H2O + 2Na → H2 + 2NaOH
水 + ナトリウム → 水素 + 水酸化ナトリウム
希硫酸と亜鉛から水素を発生させる
Zn + H2SO4 → H2 + ZnSO4
亜鉛 + 硫酸 → 水素 + 硫酸亜鉛