溶解
砂糖や塩を水に溶かした液は、もとの水と見分けがつきません。
しかし、粘土を水に人れてかき混ぜた液は、にごりがひどいのでもとの水とすぐ見分けがつきます。
これは、水の中にある砂糖や塩と粘土との様子が、まるで違っているからです。
水の中に溶け込んだ砂糖や塩の粒は非常に小さくて、顕微鏡を使っても見ることができません。
砂糖や塩の粒が、分子の大きさになって水の中に入っているからです。
物質が溶けて、このような状態になることを、溶解するといいます。
砂糖や塩が水に溶解して、砂糖水や塩水になった場合はろ過をしても砂糖や塩と水を分けることはできません。
これに対して、粘土のためにごった水を顕微鏡で見ると粘土の粒が見えます。
粘土の粒は分子にくらべると非常に大きな状態で水と混ざっているからです。
物質が、このような状態になっている場合は溶解とはいいません。
これは、粘土と水のただの混合物ですからろ過をすれば、粘土と水に分けることができます。
溶液
砂糖水や塩水のように液体がある物質を溶解しているものを溶液といいます。
砂糖水や塩水は、固体である砂糖や塩が液体である水に溶解したものですが溶液には、液体が液体を溶解したものや液体が気体を溶解したものなどいろいろな種類があります。
例えば、炭酸水は水に気体の二酸化炭素がとが溶け込んだものですしアルコールを水に溶かしたものは、液体を液体に溶解した溶液です。
溶質と溶媒
溶液をつくっている物質のうち溶けているものを溶質、溶かしているものを溶媒といいます。
例えば、砂糖水では、砂糖が溶質、水が溶媒です。
溶質も溶媒も液体の場合にはどちらが溶けているのかはっきりしませんが溶液の半分以上を占めるほうを溶媒半分以下のほうを溶質といっています。
溶媒が水の溶液を水溶液、溶媒がアルコール溶液をアルコール溶液といいます。
例えば、海水は、塩化ナトリウムや硫酸マグネシウムなどの塩分を溶かしこんだ水溶液ですしヨードチンキは、ヨウ素とヨウ化カリウムのアルコール溶液です。
物質は、固体・液体・気体と3つの状態になりますが溶媒や溶質がいろいろな状態の場合をまとめると上の表のようになります。
上の表で、ふつう溶液というのは、サイダーやジュースのように液体の状態にあるものをいいます。
空気のように、2種以上の物質が混ざりあって気体となっているものは、ふつう混合気体といいハンダのように、固体となっているものはふつう固溶体といわれます。
溶液・混合気体・固溶体の3つをあわせて溶体といいますが溶液と溶体を同じ意味に使うこともあります。
溶質の状態
溶質が水に溶けると、見えなくなります。
しかし、溶質そのものがなくなったのではありません。
砂糖と水とを別々にはかりその合計の重さと、砂糖を水に溶かしたものの重さとをくらべると、まったく同じになっていることがわかります。
つまり、水に溶かした砂糖は見えない状態になりますが、なくなったのではないのです。
砂糖などが水に溶解したときは、分子の大きさになって水の分子の間に入りこんでいます。
それが塩化ナトリウム(食塩)の場合はナトリウムイオンと塩素イオンとにばらばらに分かれて水の分子と混ざります。
溶質は、分子くらいの粒になって水の分子と分子のすき間に入り込むのですから溶液になると、その体積はもとの水の体積と溶質の体積をたしたものより小さくなります。