溶解度と濃度とは? 溶解度曲線とは? わかりやすく解説!

溶解度

溶解度は、溶媒100グラムに溶ける溶質の量(グラム数)であらわされます。

ホウ酸と塩化ナトリウムの溶解度を比べるとわかるように溶解度は、溶媒が同じでも溶質の種類によって違います。



また、同じ溶質でも、溶媒の種類がかわると溶解度は違ってきます。

例えば、水100グラムに砂糖を溶けるだけ溶けるいつぽうで、アルコール100グラムに水に溶かしたと同じ量の砂糖を溶かします。

この場合、アルコールの濃度が濃いとアルコールに入れた砂糖はほとんど溶けず、固体のまま残ります。

また、前にも説明したように同じ溶媒、同じ溶質でも温度か違うと溶解度も違ってきます。

ですから、溶解度をあらわすには温度と溶質の種類、溶媒の種類をはっきりさせておかなければなりません。

例えば、塩化ナトリウムは20℃の水100グラムに36.0グラム溶けますから塩化ナトリウムの水にたいする溶解度は20℃で36.0であるといいます。



溶解度と濃度

濃度(パーセント濃度)は溶液100グラム中にふくまれる溶質のグラム数と同じです。

例えば、20℃で塩化ナトリウムを溶けるだけとかした水溶液では塩化ナトリウム(溶質)の溶解度が36.0ですから36.0グラムの溶質が、136グラムの溶液(水100グラム+溶質36グラム)に溶けこんでいることになります。

この溶液100グラムにふくまれる溶質の量は

で、約26.5グラムになります。
そこでこの溶液の濃度をパーセント濃度であらわすと26.5パーセントということになります。

いろいろな物質の、水にたいする溶解度を0℃から100℃まで、右のグラフにまとめました。

このような、物質の溶解度と温度との関係をしめすグラフを、溶解度曲線といいます。






溶解度とは? ホウ酸・食塩・水酸化カルシウムの溶け方とは?

物がよく溶けるという言い方には2通りの意味があります。

その1つは、物が早く溶けるということでもう1つは、物が多く溶けるということです。


溶解度というのは、ある物質かある溶媒にどれだけ溶解するかをあらわすものです。

ですから溶解度がわかればその物質がどれだけ溶解するかを知ることができるわけです。

ホウ酸のとけ方

ホウ酸は、雲母のような薄い感じのきらきらした無色の結晶です。
ホウ酸の溶液は、目薬・うがい薬・しっぷ薬などに使われます。

つぎの表は、いろいろな温度で100グラムの水にホウ酸がどれくらい溶けるかをしめしたものです。

この表をグラフにすると図のようになります。

このグラフを見ると、水の温度が高いほど多くのホウ酸が溶解することがわかります。

いま、50℃の水100グラムにホウ酸を溶かすと11.54グラム溶けるわけですがこの溶液の温度を10℃に下げるとどうなるでしょう。

10℃の水100グラムに溶けるホウ酸の量は3.57グラムですから11.54グラムとの差の7.97グラムはホウ酸の固体となり、溶液から分かれて沈みます。

ホウ酸の大きな粒と小さな粒の溶け方を比べると大きいものより小さいもののほうが早く溶けることがわかります。

一般に、溶質は溶媒の温度が高ければ高いほど多く、しかも早く溶けます。
また、溶質の粒が小さいほど、早く溶けます。



食塩のとけ方

食塩が水に溶けると、食塩水ができます。
食塩の主な成分は塩化ナトリウムですが塩化ナトリウムがいろいろな温度で100グラムの水に溶ける量はつぎの表のようになっています。

いま50℃の水100グラムに塩化ナトリウムを溶かすと37.0グラム溶けます。

この溶液を、10℃に冷やすと10℃の水100グラムに溶ける塩化ナトリウムの量は35.8グラムですからその差の1.2グラムの塩化ナトリウムが溶けきれずに固体になって沈みます。

これをホウ酸のときと比べるとずっと少ない量であることがわかります。

塩化ナトリウムの溶解度をグラフにすると図のようになります。

このグラフは、ホウ酸のグラフと比べると線の傾きが平らになっています。

この線の傾きが小さいのは温度の変化による溶解度の変化が少ないことをあらわすのです。

その反対に、グラフの線の傾きが大きいのは温度の変化による溶解度の変化が多くなることをあらわします。

水酸化カルシウムの溶け方

水酸化カルシウムは消石灰ともいわれ運動場などに白線をひくときに使われる白い粉です。

一般に、溶媒の温度が高いほど溶ける溶質の量が多くなりますが水酸化カルシウムの場合は、これと反対で水の温度が高くなるほど、溶ける量は少なくなります。

水酸化カルシウムが、いろいろな温度で水100グラムに溶ける量は、表のようになります。

この表からもわかるように水酸化カルシウムに、ホウ酸や塩化ナトリウムよりも溶解度が小さくしかも、溶媒の温度が高くなるほど小さくなっています。

この表をグラフにすると左のようになります。
このグラフは、ホウ酸や塩化ナトリウムのグラフと違って右のほうが左のほうより下がっています。

また、溶解度の変化が非常に小さいので、これまでのグラフと違って溶質の量をあらわすたての目盛りを、ずっと引き伸ばしてあります。




溶液の濃度とは? コロイド溶液とは? わかりやすく解説!

溶液の沸点と氷点

純粋な水に、一気圧のもとでは、0℃以下では氷になりますが100℃になると沸騰して水蒸気にかわります。


このことを、水の氷点(融点)は0℃であり、沸点は100℃であるといいます。

しかし、水にいろいろな物質が溶解しているとこの溶液の氷点や沸点は、純粋な水のときと違ってきます。

ビーカーに純粋な水を入れ、沸騰しているときの温度をはかりつぎに、砂糖を溶かして沸騰させ、その温度をはかって水のときと比べると違いがよくわかります。

溶質が砂糖や塩化ナトリウムのように固体であるときは、その水溶液の氷点は0℃以下となり沸点は100℃を越えるようになります。

つぎのグラフは、砂糖の水溶液の氷点と沸点とをしめしたものです。

このグラフから、氷点の下がる程度や沸点の上がる程度は、溶かした砂糖の重さに比例していることがわかるでしょう。

このことを利用して、分子量がわからない物質の分子量を実験によってもとめることもできるのです。

ここでは、純粋な溶媒に他の物質を溶かしたときに沸点や氷点(融点)がかわるということを覚えておいて下さい。

溶液の濃度

物質の溶け方を注意してみると砂糖のように非常に水に溶けやすいものと塩化ナトリウム(食塩)のようにそれほどよく溶けないものとがあります。

そこで、ある溶媒に溶質がどれだけ溶けるかとかこの溶液には溶質がどれだけ、溶けているかとかをあらわすのに溶液の濃さをはかる基準を決めておくと、たいへん便利です。

この基準を濃度といいます。

濃度のあらわし方としては、ふつうパーセント濃度が使われます。

パーセント濃度は、つぎの式のようにして計算します。

ここで注意しなければならないのはパーセント濃度は、溶質の溶液にたいする割合であって溶質の溶媒にたいする割合ではないということです。

また、濃度をあらわすのに溶液1リットルに溶けている溶質のグラム数を溶質の分子量で割った値を使うこともあります。



コロイド溶液

溶液中の溶質は分子の大きさで溶媒中に散らばっています。
そして、この溶液は色のついていることはありますがすべて透明です。

また、ろ紙を自由に通り抜けます。

ところが、溶液中に散らばっている粒子が1ミリの100万分の1から1万分の1ぐらいの大きさになるとろ紙は通り抜けますが、光の進む道をさえぎるようになります。

このくらいの大きさの粒子には1粒に原子が1000から10億個ぐらいふくまれていてコロイド粒子といわれます。

また、このコロイド粒子を含んでいる溶液をコロイド溶液といって、ふつうの溶液とは区別しています。

コロイド粒子は、ろ紙は通り抜けますがろ紙より目の細かいセロハンやポリニチレンの膜などは通り抜けません。

コロイド溶液に、細い光の筋を当てると光の進む道が、ぼんやりとにごって見えます。

このように、コロイド溶液に光の筋を当てて光の進む道が見える現象をチンダル現象といいます。

また、コロイド粒子はふつうの顕微鏡では見ることができませんが限外顕微鏡という特別な装置をつけた顕微鏡で見ると粒子のひとつひとつが光の点となって見えます。

この粒子をよく見るとひとつひとつが、あちこちと不規則に動き周っているのがわかります。

この粒子の運動を、ブラウン運動といいます。

チンダル現象とブラウン運動はコロイド粒子にだけ見られる特別な性質です。




溶解と溶液とは? 溶質と溶媒とは? わかりやすく解説!

溶解

砂糖や塩を水に溶かした液は、もとの水と見分けがつきません。

しかし、粘土を水に人れてかき混ぜた液は、にごりがひどいのでもとの水とすぐ見分けがつきます。


これは、水の中にある砂糖や塩と粘土との様子が、まるで違っているからです。

水の中に溶け込んだ砂糖や塩の粒は非常に小さくて、顕微鏡を使っても見ることができません。

砂糖や塩の粒が、分子の大きさになって水の中に入っているからです。
物質が溶けて、このような状態になることを、溶解するといいます。

砂糖や塩が水に溶解して、砂糖水や塩水になった場合はろ過をしても砂糖や塩と水を分けることはできません。

これに対して、粘土のためにごった水を顕微鏡で見ると粘土の粒が見えます。

粘土の粒は分子にくらべると非常に大きな状態で水と混ざっているからです。

物質が、このような状態になっている場合は溶解とはいいません。

これは、粘土と水のただの混合物ですからろ過をすれば、粘土と水に分けることができます。

溶液

砂糖水や塩水のように液体がある物質を溶解しているものを溶液といいます。

砂糖水や塩水は、固体である砂糖や塩が液体である水に溶解したものですが溶液には、液体が液体を溶解したものや液体が気体を溶解したものなどいろいろな種類があります。

例えば、炭酸水は水に気体の二酸化炭素がとが溶け込んだものですしアルコールを水に溶かしたものは、液体を液体に溶解した溶液です。



溶質と溶媒

溶液をつくっている物質のうち溶けているものを溶質、溶かしているものを溶媒といいます。

例えば、砂糖水では、砂糖が溶質、水が溶媒です。

溶質も溶媒も液体の場合にはどちらが溶けているのかはっきりしませんが溶液の半分以上を占めるほうを溶媒半分以下のほうを溶質といっています。

溶媒が水の溶液を水溶液、溶媒がアルコール溶液をアルコール溶液といいます。
      
例えば、海水は、塩化ナトリウムや硫酸マグネシウムなどの塩分を溶かしこんだ水溶液ですしヨードチンキは、ヨウ素とヨウ化カリウムのアルコール溶液です。

物質は、固体・液体・気体と3つの状態になりますが溶媒や溶質がいろいろな状態の場合をまとめると上の表のようになります。

上の表で、ふつう溶液というのは、サイダーやジュースのように液体の状態にあるものをいいます。

空気のように、2種以上の物質が混ざりあって気体となっているものは、ふつう混合気体といいハンダのように、固体となっているものはふつう固溶体といわれます。
 
溶液・混合気体・固溶体の3つをあわせて溶体といいますが溶液と溶体を同じ意味に使うこともあります。
 

溶質の状態

溶質が水に溶けると、見えなくなります。
しかし、溶質そのものがなくなったのではありません。

砂糖と水とを別々にはかりその合計の重さと、砂糖を水に溶かしたものの重さとをくらべると、まったく同じになっていることがわかります。

つまり、水に溶かした砂糖は見えない状態になりますが、なくなったのではないのです。

砂糖などが水に溶解したときは、分子の大きさになって水の分子の間に入りこんでいます。

それが塩化ナトリウム(食塩)の場合はナトリウムイオンと塩素イオンとにばらばらに分かれて水の分子と混ざります。

溶質は、分子くらいの粒になって水の分子と分子のすき間に入り込むのですから溶液になると、その体積はもとの水の体積と溶質の体積をたしたものより小さくなります。




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