色・におい・味
白い粉末を2種類見せられて、どちらが砂糖でどちらが食塩かと訊かれたとき
私たちは、どうするでしょう。
砂糖と食塩である、ということがわかっていれば
いちばん早いのは、なめて味をみることではないでしょうか。
それには、物質がもっている味は、物質固有のものであって味が違えば物質が違うということがあらかじめわかっていなければなりません。
色の違う、2つの指輪を見せられたときに2つの指輪は質が違う、とすぐ答えることができるでしょう。
それは、金でつくられているとか、白金でつくられているとかそれらのどれが値段が高いかといったようなことを知らなくてもただ色が違うということだけで、2つの金属は質の違う金属なのだとすぐ答えることができるのです。
しかし、その指輪が、めっきされたものであり表面だけの色が違っている場合はどうでしょう。
こうなると、もはや色では区別することはできません。
色で区別ができる場合は、物の表面の色も、内部の色も同じであるときすなわち、そのもの自身がもつ色をくらべることができるときなのです。
この2つの例のように、私たちは物質を見たときに見かけの性質の違いによって分けることができるし多くの物質は、それぞれ見ただけでわかるような他のものと違う性質をもっています。
丸く切った鉄板Aと四角に切った鉄板Bとを見てAとBとは違った物質であるとはいいません。
また、コップ1杯の水と、バケツ1杯の水を見てこれらが違う物質だとも言いません。
このように、形とか大きさにはよらないで物質が他の物質と違うということを区別できる性質のことを物質の特性といいます。
それでは、物質の特性にはどんなものがあるでしょうか。
観察によって見わけがつく特性について調べてみましよう。
物質の色の特性
まえに書いたように、物質はその物質特有の色をもっています。
金や銅は、小さく切りきざんでも、切り口の色はかわりません。
また、青色の硫酸銅の色は、大きな結晶でも小さな結晶でもかわりがありません。
ですから、物質Aと物質Bとの色が違えばAとBは違う物質ではないかと疑うことはできるわけです。
鉄に黒さびができて、表面が黒ずんできたようなものと銅にさびができたようなものとでは
外から見たとき、ちょっと区別できないことがあります。
ですから、色によって物質の違いを調べるような場合は表面の色も、それをこすりおとしたときの内部の色も同じかどうかをしっかり確かめてみることが必要です。
銀は、銀色の色をもっているといわれますが銀が粉末になったときは黒色になります。
銅も金もこれらがかたまりであるときと粉末になったときとでは色が違います。
ですから、物質の色を観察するときには粒の大きさにも注意しなければならないのです。
物質のにおいの特性
アンモニアのにおいと、都市ガスが漏れたときのにおいとははっきり違います。
ガスの漏れたにおいで「あぶない」と危険を感じるのはにおいによって毒性のあるガスとそうでないガスを区別することができるからです。
このように、物質によって、その物質特有のにおいを持つものがありにおいは、物質を区別することができる性質(物質の特性)の1つです。
物質の味の特性
まえに、砂糖と食塩の味が違うことについて説明しました。
味も物質特有の性質であって、味が違えば物質が違うということができます。
しかし、味だけに頼って物質を区別することはたいへん難しいしときに銅は間違いをおかすこともあります。
酢をなめると、すっぱい味がすることは誰でも知っていることです。
しかし、他の物質を味わったとき、すっぱい味がしたらそれはすべて酢であるといえるでしょうか。
もちろん、この判断は間違いです。
梅干しの汁も、ミカンの汁もすっぱい味がしますがこれらは酢ではありません。