食塩水の電気分解とは? わかりやすく解説!

食塩水の電気分解

食塩は塩化ナトリウムという電解質でできていますが
この濃い水溶液を電気分解してみましょう。



実際に実験してみると
陽極から塩素が、陰極から水素が発生することがわかります。

そして、陰極に近い水は水酸化ナトリウムの水溶液となっています。

このときの反応は、つぎのように説明されます。

① 水に溶けた食塩は、ナトリウムイオンと塩素イオンとに電離しています。

② 塩素イオンは陰イオンですから陽極に引かれ電極にくっついて、塩素原子になります。

そして、塩素原子が2個で塩素分子をつくり、水に溶けたり、気体になったりします。

③ ナトリウムイオンは陽イオンですから陰極に引かれますが陰極の材料によって様子が違います。

(A) 陰極が黒鉛や鉄でできていると水のわずかな電離でできた水素イオンが陰極にくっついて水素原子となりこれから水素分子となります。

一方、液の中には、ナトリウムイオンと水酸イオンとが残るわけですから水分を蒸発させると、水酸化ナトリウムが残ります。

(B) 陰極が水銀だと、ナトリウムイオンは一の電気と結びついて、ナトリウム原子となって水銀に溶けます。
この水銀に水を通すと、ナトリウムが反応して水酸化ナトリウムと水素になります。



ここでできた水酸化ナトリウムは強電解質ですから水に溶けている間は、ナトリウムイオンと水酸イオンとに電離していますが液を蒸発させると水酸化ナトリウムの固体としてえられます。

なお、食塩水の電気分解においては陰極にできた水酸化ナトリウムと陽極にできた塩素とが反応して塩素酸ナトリウムNaclO3ができることがあります。

これを防ぐために、食塩の工業的電気分解には陰極と陽極を隔膜で分ける隔膜法や陰極に水銀を用いる水銀法などが用いられるわけです。

食塩水は、工業的に塩化マグネシウム・硫酸マグネシウム・硫酸カルシウムなどの製造原料として大切なものですがいちばん重要な用途は、電気分解することにより塩素・水素・水酸化ナトリウム・ナトリウムなどをつくることです。

このような工業を、ソーダエ業といいます。

水酸化ナトリウムや水素の性質についてはほかのところで詳しく説明してありますからここでは、塩素とナトリウムについて調べてみましょう。






電気分解の原理とは? わかりやすく解説!

電解質の水溶液に電流を通すとイオンが電気を運ぶ役目をして電極にくっついて電気を失い、もとの物質と違う物質を生じます。 

イオンがあれば、いつもこのような電気分解が行われるかどうかこれから調べることにしましょう。


電気分解の原理

電解質の水溶液には陽イオンと陰イオンとが数多くあります。

この溶液に、2つの電極を浸して片方を電池の陽極につなぎ、もう一方を陰極につなぎます。

すると、陽イオンは陰極のほうへ陰イオンは陽極のほうへ引っぱられて動きます。

つまり、水溶液の中を電流が通るわけですが金属の中を電流が通るときと様子が違います。

金属の中では電子が動いて電流が流れることになりますが水溶液の中では、イオンが電気を運ぶので電流が流れます。

物質そのものが移動するのです。



水の電気分解

純粋な水は、ほとんど電離していませんからイオンが少なくて電流が流れません。

しかし、水酸化ナトリウムや硫酸のような電解質を溶かすと電流がよく流れるようになります。

ここでは水酸化ナトリウムを溶かした水溶液を電気分解するときのことを考えてみましょう。

水酸化ナトリウムの水溶液には陽イオンのナトリウムイオンと陰イオンの水酸イオンがたくさんあります。

このうちの水酸イオンは-の電気をもっていますから陽極に引っぱられてくっつき電極の+の電気をもらって、電気を帯びなくなります。

そして、水酸イオンの電気のなくなったものが酸素と水に変化して、陽極からは酸素が発生するわけです。

また、ナトリウムイオンは陰極に引きつけられますがなかなか電極にくっつきません。

かえって、水がごくわずか電離して生じている水素イオンのほうが陰極にくっつき、電極の-の電気をもらって電気を帯びない水素原子になってしまいます。

そして、水素原子が2個集まって水素分子となり、陰極から水素が発生します。

水酸イオンや水素イオンが少なくなると、水が新しく電離してこれを補うので結局は、水の電気分解となり、水酸化ナトリウムは変化しないことになります。

実験室で、電気分解をする場合はホフマン電解装置という図のような装置がよく用いられます。

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電極のところをよく観察すると陽極から酸素が、陰極から水素が発生しているのがわかります。

水の電気分解をまとめると式にあるように、水2分子から水素2分子と酸素1分子ができる反応ですから電気分解によって生じる酸素と水素の体積は常に1対2となります。




電解質と非電解質とは? わかりやすく解説!

電解質

陽イオンや陰イオンがどのような仕組みになっているかは今までの説明でわかったことと思います。 


ところでみなさんは+電気と-電気が引きあってくっつこうとすることは知っているでしょう。

陽イオンと陰イオンもそれぞれ+電気と-電気をもっているのですからお互いに引きあってくっつきます。

例えば、+電気をもっているナトリウムイオンと-電気をもっている塩素イオンとは水溶液でないときは、お互いにくっついて、塩化ナトリウムという化合物になります。

このようにしてできている化合物は塩化ナトリウムのほかに塩化第二銅や硫酸アンモニウムなど、たくさんあります。

このような化合物は、水に溶かすと水のはたらきによってまた陽イオンと陰イオンとに分かれてしまいます。

ある物質が水に溶けてその成分の陽イオンと陰イオンとに分かれることを電離といいます。

電離するような物質の水溶液は電流をよく導き電流によって電気分解される性質があるので水に溶けて電離する物質のことを電解質といいます。



非電解質

電解質の水溶液がよく電気を導くのにたいして砂糖の水溶液は電気を導きません。

純粋な水もほとんど電気を導きませんがそれは、これらの液の中にイオンがないから電気を導かないのです。

つまり、砂糖も水も電離しにくいわけです。

水に溶けてもイオンを生じない物質は電気を通しませんし電気分解されることもありません。

それで、このような性質をもった物質を非電解質といいます。

このように、その水溶液が電流を通すか、通さないかによって物質を電解質と非電解質とに分けることができますが物質の種類によっては、どちらともつかない中くらいに電離するものもあります。

例えば、酢酸の水溶液が電気を導く程度は塩化ナトリウムの水溶液に比べると悪いですが砂糖の水溶液よりは、電気をよく導ききます。

これは、酢酸の水溶液中で酢酸は完全には電離せずほんの少ししか電離していないためです。
このような電解質を弱電解質といいます。

これにたいして、塩化ナトリウムのように水に溶けて、完全に電離してしまうような電解質のことをとくに、強電解質といいます。

また、水の分子も極めてわずかですが電離しています。
つまり、水分子1千万個について1個のわりで電離しています。

この程度では電気を導くことはほとんどできません。

しかし、水のこのわずかの電離によってできた水素イオンが電気分解のときなどには大切なはたらきをしています。




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