たんぱく質のはたらきとは? 灰分とは? わかりやすく解説!

たんぱく質は、窒素をふくんでいて、栄養分として大切な役目をもっています。
また、カロリーのもとにもなりますが、体をつくる材料としていちばん大事な栄養素です。

私たちの体では、皮膚・筋肉・骨・髪の毛・爪・血液・いろいろな内臓などにたくさんふくまれています。

たんぱく質を多くふくむ食べ物は、たまご・肉類・魚肉・牛乳・豆などです。


アミノ酸

たんぱく質が消化されていくと、最後にはアミノ酸というものになります。

アミノ酸には、いろいろな種類がありますが、栄養のうえからみると私たちの体になくてはならないもの(必須アミノ酸)ととらなくてもさしつかえないもの(非必須アミノ酸)の2種類があります。

必須アミノ酸は、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質にたくさんふくまれています。

ですから、栄養のうえからみると動物性たんぱく質のほうが植物性たんぱく質よりも価値が高いのです。

たんぱく質のはたらき

私たちがたんぱく質をとると消化されてアミノ酸となり、腸の壁から吸収されます。
アミノ酸は門脈を通って肝臓に行き、ここから体のいろいろな部分に運ばれるのです。

そこで、いろいろなアミノ酸が組み合わされ、新しいたんぱく質がつくられます。

余分なアミノ酸は、熱量素として使われ1グラムあたり約4カロリーの割合で、熱をだします。

残ったものは、尿素などになって、尿といっしょに体の外へ捨てられます。



灰分

動物や植物を燃やしたあとに、白い灰が残ります。
この灰には、カルシウム・鉄・リン・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどがふくまれています。

これらをまとめて灰分というのです。
灰分は、体をつくる材料として大切なものです。

私たちの体では、歯・骨・血液・内臓などにふくまれています。
また体液に溶けていて、体のいろいろなはたらきを助け健康を保つ役目をしています。

カルシウム

歯や骨は、おもに、カルシウムからできています。
カルシウムは、血液にも、ふくまれています。

これは、病気にたいする抵抗力を増したり、体の中にできたいろいろの酸を中和するはたらきをしています。

食べ物としては、牛乳、魚の骨、植物の葉などにふくまれています。

リン

カルシウムと同じように、歯や骨にたくさんふくまれています。
そのほか、脳・血液・内臓の組織にもあります。

このように、リンは、体の材料となっています。
また、体液に溶けていて、体のはたらきを助けたり、成長をさかんにしたりします。

たまごの黄身、牛乳、魚の骨、肉類などが、リンをふくんだ食べ物です。

赤血球にふくまれるヘモグロビンの大切な成分で酸素や二酸化炭素を運ぶのに役立っています。
これが不足すると、貧血をおこします。

鉄は、肉、魚、動物の肝臓、たまご、青野菜、海藻、茶などにふくまれています。

食塩

食塩は、血液の中にふくまれていて、体の水分を調節するはたらきをしています。

私たちは、1日に10~20グラムの食塩を必要とします。
食塩は、汗といっしょにでていくので汗をだしてはたらく人には、もっとたくさん必要です。

味噌汁・塩魚・ハム・漬物などには、食塩がふくまれていますがそれだけでは足りないので、食塩や醤油で味つけした食べ物などからも食塩をとっています。




栄養とは? 栄養素の役目とは? わかりやすく解説!

私たちは毎日、三度三度食事をとり、その合間にもお腹が空いたといっては、おやつを食べます。

こうして、なにげなく食べている食べ物がみな、私たちの体に役に立っているのです。
体が大きくなるのも、丈夫な体になるのも勉強や運動ができるのもみな、食べ物を食べているおかげです。


栄養

私たちが、毎日食べ物を食べて、体をつくるもとにしたりエネルギーのもとにしたりすることを栄養といいます。

人間にかぎらず、生物は生きていくために、たえずエネルギーを使っています。

これを補うためには、外からエネルギーのもとになるものをとらなければならないのです。

このエネルギーのもとになるものでとくに、食べ物の中にふくまれているものを栄養素といいます。

栄養素は大きく分けると、たんぱく質・炭水化物・脂肪・灰分・ビタミンの5つになります。

広い意味では酸素・水も、栄養素ですが、ふつう特別に考えられています。
このうち、炭水化物・脂肪・たんぱく質は、食べ物の中にふくまれる量が多いので三大栄養素といわれます。



栄養素の役目

栄養素は、体をつくる材料となります。
体を成長させたり、体の消耗を補うために必要な栄養素は、水・たんぱく質・灰分です。

私たちの体は、つぎのような割合で、できています。

水   分……65%
たんぱく質……16%
炭水化物・脂肪・ビタミン……14%
灰分……5%

栄養素のいちばん大事な役目は、私たちの体で変化してカロリーのもととなることです。
体温を一定に保つ熱になったり、体を動かす力のもとになったりします。

それには、炭水化物・脂肪・たんぱく質の3つが使われます。
また、ビタミンや灰分のように、体の調子を整えるはたらきをするものがあります。

このように、栄養素には、体をつくる材料となったり、熱や力のもとになったり体の調子をよくしたりする役目があります。




腐敗とは? 脂肪とたんぱく質の腐敗とは? わかりやすく解説!

腐敗というのは、発酵と同じように、微生物のはたらきによってもっとくわしくいえば、微生物のもつ酵素のはたらきによって物質が変化することです。

しかし、その変化が、有害なものや、いやなにおいを発するなどいっぱん的に品質を悪くする方向に向かっておこなわれる場合を、とくに腐敗といいます。


パスツールの実験

腐敗が、そこに繁殖する微生物の生活の営みによっておこることをはじめて証明したのも、やはりパスツールです。

パスツールは、肉の汁をフラスコに入れたのちフラスコのくびを細く曲げて引きのばしたものをいったんよく煮沸しておいてからほうっておいたものは腐敗しないがくびを引きのばさないでほうっておいたものはやがて腐敗していくことをしめしました。

これは、空中のごみといっしよに細菌がフラスコの中におちて繁殖したからです。
つまり、細長く、まがりくねったくびをもつフラスコの中にはこのような空気中の細菌をふくんだごみがおちにくいからです。

もちろん顕微鏡でみれば、腐敗した肉の汁には細菌がたくさん観察されます。

腐敗のときの変化

ミカンなどを、温かい部屋においておくとよく皮がべとべとになって、くずれるようになります。

それは微生物が繁殖し、それがつくりだす酵素のはたらきでミカンの皮をつくっているペクチン質などがおかされていくからです。

生のジャガイモなどが腐るのも同じ理屈です。
このとき、べっとりした、ねばっこいものが同時にできることがあります。

これはちょうど、納豆の場合と同じことで微生物のはたらきによって、水に溶けてねばっこい性質をしめすような物質(おもに、たくさんの糖からできている大きな分子からなるもの)がつくりだされたからです。

腐敗と納豆

納豆の場合には、納豆菌という一種の細菌が蒸した大豆に繁殖して大豆のたんぱく質を分解すると同時に納豆菌特有の粘質物を分泌してできたものです。

しかし、納豆はこれによって、味も風味もよくなるものですから別に腐敗とはいいません。

脂肪の腐敗

脂肪、とくに魚の油は長くほうっておくと生ぐさい嫌なにおいをはなつようになります。

この変化は、空気中で、酸素や日光のはたらきでもゆっくりおこりますが、微生物の繁殖によって非常に早くおこります。

これは、脂肪の中にふくまれる脂肪酸のうちのことに不飽和脂肪酸といって、いろいろの反応性にとむ脂肪酸が酸化されてアルデヒドのような物質にかわるからです。

また、このような、酸化の途中で脂肪酸は、分子が多数結合しあって、かっ色に着色したりかたまったりすることもあります。

微生物のはたらきによって、脂肪が分解するときはおもに微生物のもつリポキシダーゼという不飽和脂肪酸を酸化する酵素が関係しているのです。

このような酸化は、ビタミンEなどの酸化防止剤を添加することによってもある程度ふせぐことができます。



たんぱく質の腐敗

よく、くさった魚肉などで中毒することがあります。
これは魚肉の中のたんぱく質が、微生物によって分解されアミノ酸を生じこれがさらに変化をうけて、いろいろ有毒な物質を生じるからです。

アミノ酸から二酸化炭素がとれてできるいろいろの物質は激しい生理作用をもつものが多くその中にはプトレシン・カダペリンのような猛毒のあるものが知られています。

また、たんぱく質がくさるといやなにおいをだしますがこれは、アミノ酸が分解してできる。

硫化水素・メルカプタン・イソドール・スカトール・アソモニアなどによるのです。
たまごが腐ると黒くなりますが、これは硫化水素と鉄分が反応して硫化鉄ができるからです。

食物の保存

食物が腐敗する一つの原因は、細菌・酵母・カビなどの微生物が繁殖しこれらのもついろいろな酵素によって、食品の成分が変化をうけるからです。

それで、微生物が繁殖しにくいような条件にしてやればなかなか腐敗しないことになります。

このためには、いろいろな工夫がなされています。

たとえば、冷凍にしたり、冷蔵庫に入れたりして低い温度で食物をたもっておく方法が、よく使われます。
これは、微生物が、低い温度では繁殖しにくいからです。

このほか、微生物が、よく繁殖するためには適当な水分が必要です。

それで、食品をよく乾燥して水分を少なくしておくこともよい方法です。
乾物・あるいは乾燥食品というのがこれです。

また、防腐剤として、わりあい人体に害が少なくて微生物の発育をおさえ、これを殺すような薬品をくわえる方法も使われています。
防腐剤には、サリチル酸エステルや、抗生物質などが用いられます。

缶詰や瓶詰のようにして、あらかじめ、加熱して殺菌したあと食物を外気から遮断して微生物が入らないようにする方法もあります。

また、特別な微生物を除いては、非常に高い濃度の食塩や砂糖の溶液酸性の強い液中では、繁殖しにくいので、塩漬けや砂糖づけにしたり酢につけたりして保存することもあります。

ミルクやビール・清酒などの滅菌操作としては、火入れをおこないます。
これは微生物は、ある温度以上では、死んでしまうからです。

これは、パスツールによって有害な微生物を殺して腐敗をふせぐ方法として発見されたものですから今日でも、パスツーリゼイションとよんでいます。

残った食物でも、ときどき煮ておくとかなり長いあいだ保存できることは、家庭でもよく知られ、行われていることです。




たんぱく質の消化とは? たんぱく質の消化酵素とは?

たんぱく質は、たくさんの、しかもいろいろなアミノ酸がつながってできている大きな分子の栄養素です。


このような大きい分子は、そのままでは吸収されません。
また自分の体をつくっているたんぱく質とは、違ったたんぱく質がそのままの形で何かの原因で(たとえば注射などによって)体内に入るとアレルギーやショックなどをおこす危険があります。

この場合、体内というのは、胃や腸の中はふくまれません。

それは、胃や腸のような消化管は、口から肛門につながる体の中を通り抜けているトンネルのようなものなので厳密な意味では、体内といえないのです。

このようなわけで、私たちの体をつくるために必要なたんぱく質はいったん、アミノ酸にまで小さく分解されて、はじめて腸で吸収されます。

吸収されたアミノ酸は、血液によって、いろいろな部分に運ばれ私たもの体をつくるたんぱく質につくりかえられるわけです。

たんぱく質の消化酵素

たんぱく質の消化酵素には、ペプシン・トリプシン・キモトリプシン・ペプチダーゼなどがあります。

ペプシンは胃液にトリプシンやキモトリプシンはすい液にベプチダーゼはすい液や腸液にふくまれる消化酵素です。



ペプシンのはたらき

ペプシンは、胃の中で、たんぱく質のアミノ酸のくさりのところどころを切りはなして、ペプトンというものにかえるはたらきをします。

このペプトンは、まだかなり多くのアミノ酸のつながった物質です。
ペプシンという酵素は、胃液の中にふくまれる塩酸の酸性によってそのはたらきが助けられています。

トリプシン・キモトリプシンのはたらき

ペプトンは、やがて十二指腸に運ばれていきますが十二指腸には、すい臓からの消化酵素が流れこんでいます。

その中のトリプシンやキモトリプシンという酵素によってこのペプトンは、また細かくばらばらに壊されさらに小さいオリゴペプチッドといわれるアミノ酸が数個ずつむすびついた程度のものにまで、切られていきます。

ペプチダーゼのはたらき

ペプチダーゼというのは、やはりすい液にふくまれる数種類の消化酵素の総称です。

この酵素によって、オリゴペプチッドは再びくさりのはしからアミノ酸を切りはなしていってとうとう最後に、完全にアミノ酸にまで分解してしまいます。

アミノ酸は、そこではじめて、腸の壁から吸収されていくわけです。




必須アミノ酸と非必須アミノ酸とは? たんぱく質の栄養価とは?

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

私たちの髪の毛や爪は、いつのまにかのびていきます。
また皮膚は、あかとなってむけていきます。

このほかにも、いろいろな証拠によって体のたんぱく質は
成長が止まったあとでも、たえず形づくられていることがわかります。


いっぽう、たんぱく質は、アミノ酸まで分解されて
その窒素は尿素として排出されています。
ですから、私たちが生きていくためには体のたんぱく質をつくるために
その原料になるたんぱく質やアミノ酸などを食物からとり入れる必要があるのです。

しかし、たんぱく質をつくるアミノ酸は
すべて食物としてとり入れなくても体のなかで
ほかのものから合成されるものもあるのです。

栄養学上でいう必須アミノ酸というのは体のなかではつくることができないので
どうしても外から栄養としてとり入れないと
完全な成長を続けることができないものをいいます。

人の場合はロイシンーイソロイシン・バリン・スレオニン
メチオニン・フエニルアラニン・リジン・トリプトファンの8種類が
必須アミノ酸です。

このほかのアミノ酸は体内で必須アミノ酸や
ほかの物質からつくることができるので、とくに食物としてとり入れなくても
どうにか補っていけるものです。

このようなアミノ酸を非必須アミノ酸といいます。

たんぱく質の栄養価

体内にとり入れられたたんぱく質は、消化酵素のはたらきをうけてアミノ酸にまで分解され、吸収されます。

こうしてとり入れられたアミノ酸は体の中で合成されたアミノ酸とともに酵素の助けにより新しく私たちの体をつくるたんぱく質につくりなおされます。

また余分なアミノ酸は分解されて、一部はエネルギー源になってしまいます。

ですから体のたんぱく質をつくるのに適当なアミノ酸がそのときにてそろっていなければ、それだけ利用される割合が少なくなるわけです。

このようなわけで、食物のたんぱく質の栄養価は必須アミノ酸の種類と量によって、包まることがわかります。



アミノ酸の割合をわかりやすく、おけにしてあらわすと下の図のようになります。

どのアミノ酸も必要量だけふくまれていてアミノ酸どうしのバランスがとれているものを標準たんぱく栄養おけとすることにしてこれと各食品のたんぱく質にふくまれるアミノ酸の割合を比較してみましよう。

おけの板の幅は、標準たんぱくおけの板の幅と同じで高さがいろいろとかわってくるわけです。
もし1枚の板がなげれば、このおけに水を入れることはできません。

ですから、たんよく質としての栄養価は0になるわけです。
また1枚の板が半分であれば、栄養価もおけ半分になってしまうでしょう。

このようにして、すべてのアミノ酸はもっとも不足するアミノ酸に比例して利用され残りはかなり無駄になってしまいます。
それで、おけの板のでこぼこが少ないほど、よいたんぱく質といえます。

各種の食品についてみるといっぱんに植物性たんぱく質は動物性たんぱく質にくらべてアミノ酸組成の点でも劣っていることはおけの図からもよくわかるでしょう。

ただ、大豆はよいアミノ酸組成をもっています。
現在、私たちはたんぱく質の20~30パーセントを動物性食品からとっているにすぎません。

これからは、もう少したんぱく質の量とアミノ酸のバランスを考えて、食物の組みあわせを工夫することが大切です。



たんぱく質と酸の関係とは? わかりやすく解説!

たんぱく質と酸

牛乳に酸を少しくわえるとカゼインというたんぱく質が沈殿して白いかたまりができます。
また、牛乳が古くなっても白いかたまりができます。


これは、牛乳の中にある乳糖が、乳酸菌によって乳酸にかわりこの酸のはたらきによって、カゼインが沈殿するからです。

牛乳が新しいか古いかを検査するのに乳酸の量をはかるという方法がありますが乳酸の量が多いほど、古い牛乳ということになります。

たんぱく質を、濃い酸といっしょに長い時間熱するとたんぱく質は分解して、いろいろのアミノ酸になります。

味の素の商品名で知られている化学調味料はグルタミン酸というアミノ酸のナトリウム塩でたんぱく質を、酸で分解してつくったものです。

石油から合成する方法もあります。

ビウレット反応

たんぱく質に水酸化ナトリウムと少量の硫酸銅をくわえると、紫色にかわります。
この反応をビウレッ卜反応といい、アミノ酸が3個以上つながったものならペプチドでもペプトンでも同じ反応をしめします。

実験

試験管に5~6倍の水でうすめたたまごの白身を1立方センチほどとりこれに1パーセントの硫酸銅液を一滴10パーセントの水酸化ナトリウム液を5、6滴くわえてよくふってみましょう。

液の色が紫色にかわります。これはビウレッ卜反応によるものです。



キサントプロテイン反応

たんぱく質に、濃硝酸を少量くわえて熱すると黄色の沈殿ができます。
これを冷やしたあとで、塩基性にすれば、だいだい色にかわります。

これをキサントプロテイン反応といいたんぱく質にふくまれるチロシンとかトリプトファンというアミノ酸が硝酸と反応した結果おこるものです。

実験

試験管に、5~6倍の水でうすめたたまごの白身1立方センチをとりこれに濃硝酸1立方センチをくわえて、熱すれば黄色になります。

そしてこれを冷やしてからアンモニアを少量くわえると、だいたい色になります。
このとき、指に硝酸がつかないように注意しましょう。

硝酸がつくと、皮膚は黄色になりますがこれは私たちの体がたんぱく質からできている証拠なのです。

ミロン反応

たんぱく質にミロン試薬(水銀を濃硝酸に溶かして水でうすめ、ろ過した液)を
くわえると白い沈殿ができます。

さらにこれを熱すれば、レンガ色にかわります。これをミロソ反応といいます。
これは、たんぱく質中のチロシンの存在による反応です。

実験

5~6倍の水でうすめたたまごの白身1立方センチにミロソ試薬1立方センチをくわえたのち、これを熱します。

はじめ、白い沈殿ができますが、熱するとレンガ色にかわるのがわかります。

ニンヒドリン反応

たんぱく質にニンヒドリン液をくわえて熱すると、紫色になります。
これをニンヒドリン反応といいたんぱく質中にアミノ基という窒素と水素からできている原子団があることをしめしています。

この反応はアミノ酸でもおこります。

実験

5~6倍の水でうすめたたまごの白身1立方センチに0.2パーセントのニンヒドリン液を1,2滴くわえ、強く熱します。
液が紫色にかわることを確かめましょう。



たんぱく質の成分とは? わかりやすく解説!

たんぱく質の成分

たんぱく質には、たくさんの種類がありますがその組成はお互いによく似ています。

炭素・水素・酸素のほかに、窒素と硫黄をふくむことが炭水化物や脂肪と違う点です。


髪の毛や、つめを燃やすとくさいにおいがします。
髪の毛やつめは、ケラチンというたんぱく質からできていますがこのケラチンは硫黄をふくんだシスチンというアミノ酸をたくさんふくんでいます。

くさいにおいは、硫黄が燃えてできた二酸化硫黄のにおいなのです。

また、たんぱく質に水酸化ナトリウムの固体をくわえて熱すると鼻につんとくる蒸気がでてきます。
これは、たんぱく質中のグルタミンやアスパラギンが分解してできたアンモニアのにおいです。

たんぱく質を酸や塩基などといっしょに熱したりペプシンやトリプシンのような消化酵素をはたらかせたりするとだんだん分解してペプトンやペプチドや、いろいろの種類のアミノ酸を生じます。

ペプトソやペプチドは、分解を完全におこなえば最後にはアミノ酸になります。

天然のたんぱく質の分解によってえられるアミノ酸は、20数種知られていますがこの20数種のアミノ酸のなかには動物が生きていくためにどうしても食物からとり入れなくてはならないものがあります。

これが必須アミノ酸です。
その他のアミノ酸は、動物が体の中で心須アミノ酸やその他の物質からつくることができるのでとくに食物としてとらなくても大丈夫なのです。

ここで、たんぱく質の種類によってふくまれているアミノ酸の種類と量が非常に違う、ということに注意しましょう。

たとえばゼラチンは、トリプトファンやバリンのような大事なアミノ酸をふくんでいないのでゼラチンだけを食べていると、栄養不足になります。



また、小麦にふくまれているグリアジンというたんぱく質だけでネズミを飼っていると、ネズミは成長が遅くなるしトウモロコシにふくまれているツェインというたんぱく質だけあたえているとネズミの体重は、だんだん減ってやがて死んでしまいます。

グリアジンには、リジンが少ししかふくまれていないしツェインにはリジンとトリプトファンという心須アミノ酸がふくまれていないからです。

ふつう、動物性たんぱく質は、植物性のたんぱく質にくらべて心須アミノ酸を多くふくんでいて、栄養的にすぐれています。

たんぱく質と熱

牛乳を煮ると、表面にうすい膜ができ、たまごを茹でるとかたくなります。
このように、たんぱく質には熱によって変化して、かたまってしまうものがあります。

この変化は、たんぱく質の変性とよばれ、変性をうけたたんぱく質はもう、もとのたんぱく質にもどることはありません。

ゆでたまごが、生たまごより消化がいいのはたまごが熱による変性をうけたために消化酵素のはたらきをうけやすくなっているからです。

たんぱく質の変性は、熱のほかに酸・塩基・アルコールなどによってもおこります。
変性をうけると、いっぱんに溶けにくくなってかたまったり、沈殿を生じることが知られています。




たんぱく質の種類とは? わかりやすく解説!

私たちの体をつくっている物質の中で、その量からいってもはたらきの複雑なことからいっても、いちばん大切なものは、たんぱく質です。

筋肉や皮膚など体の支えとなるものばかりでなく生理作用のうえでも、大切な役割をはたしている物質はほとんど、たんぱく質から成り立っています。


たんぱく質の性質による分け方

たんぱく質は、だいたい20種ばかりのアミノ酸が何百とつながって、たいへん大きな分子をつくっている物質です。

アミノ酸というのは、同じ分子の中に窒素と水素からなるアミノ基―NH2と炭素・酸素・水素からなるカルボキシル基―COOHとをもつ有機化合物をいうのです。

いろいろなたんぱく質の性質の違いはこれらのアミノ酸のつながり方の順序や、その種類、数によって決まります。

体の中にあるたんぱく質の種類は非常に多いのですが水や塩類溶液、その他のものにたいする溶け方などによりいろいろと分類されています。

アルブミン

水に溶け熱によって固まる性質のあるたんぱく質をアルブミンといい血清アルブミン・たまごアルブミンなどがあります。

血清アルブミンは、血清中に多くふくまれていますが人と牛と馬とでは少しずつアミノ酸の並び方に違いがあったりして細かい性質が違っています。

たまごアルブミンは、たまごの白身に多くふくまれています。

グロブリン

水に溶けにくく、食塩水によく溶け、熱によってだいたい固まる性質のたんぱく質です。
血清中や動植物の体の組織の中にふくまれています。

プロラミン

水に溶けないが、うすい酸・うすい塩基、50~80パーセントのアルコールに溶けるたんぱく質です。
植物種子に多く、グルタミン酸というアミノ酸を多くふくんでいます。

小麦に多くふくまれるグリアジンというたんぱく質は、プロラミンの一種です。

グルテリン

植物種子に多くふくまれ水に溶けないが、うすい酸・うすい塩基に溶けます。
プロラミンと同じように、グルタミン酸を多くふくみます。

グルテリンの一種であるグルテニンはグリアジンとともにグルテンという複合物をつくります。
小麦のグルテンからは、化学調味料のグルタミン酸ナトリウムがつくられます。



硬たんぱく質

動物の毛やつめ・皮ふの表皮などをつくっているケラチン、骨・軟骨・関節などに多くふくまれているコラーゲンなどのたんぱく質のことです。

水や塩類溶液・うすい酸・うすい塩基に溶けず消化されにくいので、栄養的価値はほとんどありません。

色素たんぱく質 色素と結合しているたんぱく質です。
私たちの血液中の赤血球にあって、酸素を体の組織に運んでいるヘモグロビンはヘムという色素と結合した、グロビンというたんぱく質からなりたっています。

動物性たんぱく質

動物性たんぱく質は、おもにアルブミンやグロフリン・ヒストン・プロラミンなどのような細胞内のたんぱく質と、コラーゲンやケラチンのように細胞の外側に存在しているたんぱく質の2つから成り立っています。

このうち栄養的に大切なものは、おもに細胞内のたんぱく質です。

たまご・牛肉・牛乳などの動物性食品には、たんぱく質がたくさんふくまれています。

魚には、だいたい、牛肉と同じ量のたんぱく質がふくまれています。
また、動物性たんぱく質は、質がよいので体内で無駄になることが少なく有効に利用されますから、植物性たんぱく質ほど、たくさん食べなくてもよいのです。

植物性たんぱく質

植物性たんぱく質は、おもにプロラミンやダルテリン・アルブミン・グロブリンのようなものから成り立っています。

下の表からもわかるように、植物性食品にふくまれるたんぱく質は大豆や豆腐を除いて、動物性食品にくらべて量も少なくまた、質も悪いので一定の栄養状態を保つためにはたくさん食べなければならず、胃の負担もそれだけ多くなるわけです。

けれども大豆は、たんぱく質にとみ、質もすぐれているので私たちにとっては大事なたんぱく源となる食品です。



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