たんぱく質のはたらきとは? 灰分とは? わかりやすく解説!

たんぱく質は、窒素をふくんでいて、栄養分として大切な役目をもっています。
また、カロリーのもとにもなりますが、体をつくる材料としていちばん大事な栄養素です。

私たちの体では、皮膚・筋肉・骨・髪の毛・爪・血液・いろいろな内臓などにたくさんふくまれています。

たんぱく質を多くふくむ食べ物は、たまご・肉類・魚肉・牛乳・豆などです。


アミノ酸

たんぱく質が消化されていくと、最後にはアミノ酸というものになります。

アミノ酸には、いろいろな種類がありますが、栄養のうえからみると私たちの体になくてはならないもの(必須アミノ酸)ととらなくてもさしつかえないもの(非必須アミノ酸)の2種類があります。

必須アミノ酸は、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質にたくさんふくまれています。

ですから、栄養のうえからみると動物性たんぱく質のほうが植物性たんぱく質よりも価値が高いのです。

たんぱく質のはたらき

私たちがたんぱく質をとると消化されてアミノ酸となり、腸の壁から吸収されます。
アミノ酸は門脈を通って肝臓に行き、ここから体のいろいろな部分に運ばれるのです。

そこで、いろいろなアミノ酸が組み合わされ、新しいたんぱく質がつくられます。

余分なアミノ酸は、熱量素として使われ1グラムあたり約4カロリーの割合で、熱をだします。

残ったものは、尿素などになって、尿といっしょに体の外へ捨てられます。



灰分

動物や植物を燃やしたあとに、白い灰が残ります。
この灰には、カルシウム・鉄・リン・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどがふくまれています。

これらをまとめて灰分というのです。
灰分は、体をつくる材料として大切なものです。

私たちの体では、歯・骨・血液・内臓などにふくまれています。
また体液に溶けていて、体のいろいろなはたらきを助け健康を保つ役目をしています。

カルシウム

歯や骨は、おもに、カルシウムからできています。
カルシウムは、血液にも、ふくまれています。

これは、病気にたいする抵抗力を増したり、体の中にできたいろいろの酸を中和するはたらきをしています。

食べ物としては、牛乳、魚の骨、植物の葉などにふくまれています。

リン

カルシウムと同じように、歯や骨にたくさんふくまれています。
そのほか、脳・血液・内臓の組織にもあります。

このように、リンは、体の材料となっています。
また、体液に溶けていて、体のはたらきを助けたり、成長をさかんにしたりします。

たまごの黄身、牛乳、魚の骨、肉類などが、リンをふくんだ食べ物です。

赤血球にふくまれるヘモグロビンの大切な成分で酸素や二酸化炭素を運ぶのに役立っています。
これが不足すると、貧血をおこします。

鉄は、肉、魚、動物の肝臓、たまご、青野菜、海藻、茶などにふくまれています。

食塩

食塩は、血液の中にふくまれていて、体の水分を調節するはたらきをしています。

私たちは、1日に10~20グラムの食塩を必要とします。
食塩は、汗といっしょにでていくので汗をだしてはたらく人には、もっとたくさん必要です。

味噌汁・塩魚・ハム・漬物などには、食塩がふくまれていますがそれだけでは足りないので、食塩や醤油で味つけした食べ物などからも食塩をとっています。




たんぱく質の消化とは? たんぱく質の消化酵素とは?

たんぱく質は、たくさんの、しかもいろいろなアミノ酸がつながってできている大きな分子の栄養素です。


このような大きい分子は、そのままでは吸収されません。
また自分の体をつくっているたんぱく質とは、違ったたんぱく質がそのままの形で何かの原因で(たとえば注射などによって)体内に入るとアレルギーやショックなどをおこす危険があります。

この場合、体内というのは、胃や腸の中はふくまれません。

それは、胃や腸のような消化管は、口から肛門につながる体の中を通り抜けているトンネルのようなものなので厳密な意味では、体内といえないのです。

このようなわけで、私たちの体をつくるために必要なたんぱく質はいったん、アミノ酸にまで小さく分解されて、はじめて腸で吸収されます。

吸収されたアミノ酸は、血液によって、いろいろな部分に運ばれ私たもの体をつくるたんぱく質につくりかえられるわけです。

たんぱく質の消化酵素

たんぱく質の消化酵素には、ペプシン・トリプシン・キモトリプシン・ペプチダーゼなどがあります。

ペプシンは胃液にトリプシンやキモトリプシンはすい液にベプチダーゼはすい液や腸液にふくまれる消化酵素です。



ペプシンのはたらき

ペプシンは、胃の中で、たんぱく質のアミノ酸のくさりのところどころを切りはなして、ペプトンというものにかえるはたらきをします。

このペプトンは、まだかなり多くのアミノ酸のつながった物質です。
ペプシンという酵素は、胃液の中にふくまれる塩酸の酸性によってそのはたらきが助けられています。

トリプシン・キモトリプシンのはたらき

ペプトンは、やがて十二指腸に運ばれていきますが十二指腸には、すい臓からの消化酵素が流れこんでいます。

その中のトリプシンやキモトリプシンという酵素によってこのペプトンは、また細かくばらばらに壊されさらに小さいオリゴペプチッドといわれるアミノ酸が数個ずつむすびついた程度のものにまで、切られていきます。

ペプチダーゼのはたらき

ペプチダーゼというのは、やはりすい液にふくまれる数種類の消化酵素の総称です。

この酵素によって、オリゴペプチッドは再びくさりのはしからアミノ酸を切りはなしていってとうとう最後に、完全にアミノ酸にまで分解してしまいます。

アミノ酸は、そこではじめて、腸の壁から吸収されていくわけです。




必須アミノ酸と非必須アミノ酸とは? たんぱく質の栄養価とは?

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

私たちの髪の毛や爪は、いつのまにかのびていきます。
また皮膚は、あかとなってむけていきます。

このほかにも、いろいろな証拠によって体のたんぱく質は
成長が止まったあとでも、たえず形づくられていることがわかります。


いっぽう、たんぱく質は、アミノ酸まで分解されて
その窒素は尿素として排出されています。
ですから、私たちが生きていくためには体のたんぱく質をつくるために
その原料になるたんぱく質やアミノ酸などを食物からとり入れる必要があるのです。

しかし、たんぱく質をつくるアミノ酸は
すべて食物としてとり入れなくても体のなかで
ほかのものから合成されるものもあるのです。

栄養学上でいう必須アミノ酸というのは体のなかではつくることができないので
どうしても外から栄養としてとり入れないと
完全な成長を続けることができないものをいいます。

人の場合はロイシンーイソロイシン・バリン・スレオニン
メチオニン・フエニルアラニン・リジン・トリプトファンの8種類が
必須アミノ酸です。

このほかのアミノ酸は体内で必須アミノ酸や
ほかの物質からつくることができるので、とくに食物としてとり入れなくても
どうにか補っていけるものです。

このようなアミノ酸を非必須アミノ酸といいます。

たんぱく質の栄養価

体内にとり入れられたたんぱく質は、消化酵素のはたらきをうけてアミノ酸にまで分解され、吸収されます。

こうしてとり入れられたアミノ酸は体の中で合成されたアミノ酸とともに酵素の助けにより新しく私たちの体をつくるたんぱく質につくりなおされます。

また余分なアミノ酸は分解されて、一部はエネルギー源になってしまいます。

ですから体のたんぱく質をつくるのに適当なアミノ酸がそのときにてそろっていなければ、それだけ利用される割合が少なくなるわけです。

このようなわけで、食物のたんぱく質の栄養価は必須アミノ酸の種類と量によって、包まることがわかります。



アミノ酸の割合をわかりやすく、おけにしてあらわすと下の図のようになります。

どのアミノ酸も必要量だけふくまれていてアミノ酸どうしのバランスがとれているものを標準たんぱく栄養おけとすることにしてこれと各食品のたんぱく質にふくまれるアミノ酸の割合を比較してみましよう。

おけの板の幅は、標準たんぱくおけの板の幅と同じで高さがいろいろとかわってくるわけです。
もし1枚の板がなげれば、このおけに水を入れることはできません。

ですから、たんよく質としての栄養価は0になるわけです。
また1枚の板が半分であれば、栄養価もおけ半分になってしまうでしょう。

このようにして、すべてのアミノ酸はもっとも不足するアミノ酸に比例して利用され残りはかなり無駄になってしまいます。
それで、おけの板のでこぼこが少ないほど、よいたんぱく質といえます。

各種の食品についてみるといっぱんに植物性たんぱく質は動物性たんぱく質にくらべてアミノ酸組成の点でも劣っていることはおけの図からもよくわかるでしょう。

ただ、大豆はよいアミノ酸組成をもっています。
現在、私たちはたんぱく質の20~30パーセントを動物性食品からとっているにすぎません。

これからは、もう少したんぱく質の量とアミノ酸のバランスを考えて、食物の組みあわせを工夫することが大切です。



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