反射のはたらきとは? わかりやすく解説!

反射のはたらき

ひざを叩いたり、熱いものや、針などに触ると、思わず手や足を動かすことがあります。

これは、知らせが大脳半球までいかず、脊髄や延髄で、命令となって折り返されます。
ですから、頭で考えることなく、運動がおこなわれます。
このようなはたらきを、反射といいます。

反射には、ふつうの反射と、条件反射とがあります。


反射

椅子に腰掛けてひざの下を叩くと、足が前に触れて動きます。
これを、ひざ反射といいます。

これは、ひざの下にある腱が叩かれると、その知らせが、つぎのような道を通って、足を伸ばす運動かおこなわれるからです。

→知覚線維(ひざの腱)→脊髄→運動繊維(ももの筋肉)→

熱いものや、針などに触ったとき、思わず手や足を引っこめるのは、ひざ反射と同じような道を、知らせが通って、運動がおこなわれるからです。

→知覚線維(皮膚)→脊髄→運動線維(手や足)→

条件反射

食べ物を食べると、つばきが出てくるのは、やはり反射のためです。
このとき、舌にある感覚器の知らせが延髄に伝わります。

延髄は、だ液腺に、つばきを出せという命令を折り返します。

舌の神経→延髄→つばきを出す神経

この反射は、人間にも、犬にも見られます。
犬に、ベルの音を聞かせてみます。
もちろんこれだけでは、つばきなど出てきません。

しかし。ベルの音を聞かせるとき、いつも食べ物をやるようにしておきます。
これを何回も繰り返すと、しまいには、食べ物がなくてもベルの音を聞いただけで、つばきが出てくるようになります。

これは、音の知らせが大脳半球に伝えられ、前に食べたときのことを思いだして、だ液腺に命令がいくからです。

大脳半球 中脳 耳の神経 つばきを出す神経,食べ物を食べて、つばきの出る反射やひざ反射などは、うまれつき備わっています。

しかし、犬のつばきの出る反射は、まえにあったことを、覚えこむという大脳半球のはたらきによって起こる反射なのです。

このような反射を、条件反射とよんでいます。

たとえば、酸っぱいものを、舌の上に乗せると、つばきが出てきます。
これは、うまれつきある反射です。

しかし、梅干しを見たり、梅干しという言葉を聞いたりしただけで、つばきが出てくるのは、条件反射の1つです。

もし、梅干しを見たことも、聞いたこともないアメリカ人だったら、つばきなど出てきません。

このように、私たちが、梅干しを見ただけでもつばきが出てくるのは、梅干しは、酸っぱい味がするということを覚えこんだ大脳半球のはたらきで、反射がつくられろためです。

私たもの精神のはたらきには、この条件反射が、たいへん大切なはたらきをしています。




自律神経とは? 神経系のはたらきとは? わかりやすく解説!

自律神経

平滑筋は、私たもの思い通りには動かせません。
この平滑筋と、心臓の筋肉のはたらきを受け持っているのが自律神経とよばれるものです。

自律神経は脳神経や脊髄神経の中に混じっていたり背骨の両側に細長くつながっていたりします。

つばを出したり、食べ物を胃や腸で消化したりするはたらき汗を出して体温を調節するはたらき、心臓のうちかたを整えるはたらきなどは自律神経が受け持っています。

自律神経には交感神経と副交感神経とがあって内臓のはたらきを強めたり、おさえたりしています。

この2つの神経が脳の命令をうけないで内臓の調子を整えています。

このようなはたらきは、ああしよう、こうしようと思ってもかえることはできません。
しかし、気づかないでいるときや、眠っている間でも心臓・胃・腸などは、はたらいてくれます。

これは、自律神経のはたらきのおかげです。


神経系のはたらき

神経のいろいろな部分が、どんなふうにまとまってはたらいているか蚊がひざを刺したときのことから、考えてみましょう。

まず、かゆいという知らせが、皮膚から知覚線維を伝わって脊髄を通り大脳半球に届きます。
ここではじめて、かゆいという感じが起こります。

脳は前に同じようなかゆさを感じたときのことを思いだしこのかゆさは、きっと、蚊に刺されたのだと考えます。

そして、どうしたらよいかを決めます。

つぎに脳は、目に命令して、蚊の止まっている場所を見つけます。
それが、わかったら、手に命令して、蚊を叩くように動かします。

しかし、蚊が逃げないように手をそっと動かさなければなりません。
このため、手が蚊に近づく間中、腕や手から大脳半球や小脳へ手の位置や動く早やさを教える知らせがいきます。

また、目からも蚊の様子、手の格好などについての知らせが届きます。

脳は、これらの知らせを受け取って、もし手が曲がりすぎていたりいきすぎていたりすれば、すぐそれを正しく直すように細かく命令を出します。

こうして、手は滑らかに動きます。

また、蚊に刺されたあとのかゆいところは体を曲げ、かきやすい姿勢でかきます。
このときも、はたしてかゆいところを正しくかいているかどうかという知らせはたえず脳へ伝えられます。

脳は、この知らせによって、指を動かす筋肉へ命令を出しちょうど、うまくかくようにしています。

また、私たちが、蚊のことで一生懸命になっているあいだでも自律神経は心臓を動かし、食べ物を消化できるように腸をはたらかせています。

蚊に刺されたとき、私たちはもちろんこんなことを1つ1つ考えてやっているのではありません。

しかし、神経系はこんなふうに、細かく助け合っているのです。




ホルモンのはたらきとは? わかりやすく解説!

体のはたらきの調節

私たちの体では、たとえば運動をして酸素が
不足すると、呼吸がさかんになり、血液のめぐりがよくなります。
運動を少しやり過ぎると、疲れが出て、もう止めろと命令します。

けれども、その運動を繰り返して体を鍛えると
体力がついてきて、まえほど疲れなくなります。

このように、体のはたらきは、たいへんうまく調節されています。
それは、神経とホルモンとが力を合わせて助け合っているからです。

ホルモンというのは内分泌腺という器官でつくられる化学的物質で
それが血液の中に出て体の中をめぐっていくうちに
いろいろなはたらきをして体のつり合いに役立っています。

ホルモンは、ビタミンのように食物の中から栄養としてとるのではなく
体の中にある内分泌腺から必要なだけつくられるのです。

ホルモンやビタミンは、ごく少しばかりの量でそのはたらきをするのですが
それが少なすぎても、また多すぎても体に悪いのです。

ですから、何かの理由でホルモンが不足すると
自然に内分泌腺のはたらきが増し、反対にホルモンが多すぎると
内分泌腺のはたらきが止められるようにできています。

ホルモンが足りないために起こった病気のときに
医者がそのホルモンを注射したり、飲ませたりすることは必要な手当ですが
もしもそれが多すぎると、その人の内分泌液を壊してしまったりしますから注意しなければなりません。

内分泌腺の主なものは、図にしめしたようなものですが
そのほかにも、まだたくさんの場所からホルモンが出ているといわれています。


脳下垂体

神経に中枢があって、全体をまとめているように
内分泌腺のはたらきをまとめているのは、脳下垂体です。

脳下垂体は、大脳の下にくっついている豆粒ほどの器官ですが
たいへん大切なものです。
これは、前葉と後葉との2つの部分に分かれます。

後葉は血管を縮めて血圧をあげるホルモンや平滑筋
とくに子宮を収縮させるホルモン、腎臓で尿の分泌をおさえるホルモンなどを出します。

前葉は、まず、成長ホルモンをだします。

成長ホルモンが多すぎると、たいへん体の大きい巨人ができ
少なすぎると、一寸ぼうしができます。

前葉はまた、ほかの内分泌腺(甲状腺・副腎皮質・性腺など)の発育をうながし
それらのはたらきを増すようなホルモンを分泌します。

たとえば、甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺ホルモンの分泌を増しますが
甲状腺ホルモンがあまり多くなりすぎると
その結果は、めぐりめぐって前葉の中の甲状腺刺激ホルモンを出す
細胞のはたらきをおさえてしまいます。

このようにして、体の中の甲状腺ホルモンが多すぎることも
少なすぎることもふせがれ、うまく調節されます。

同じようなことが、副腎皮質や性腺についてもいえます。

甲状腺

これは、甲状軟骨(のど笛)のところにある器官で
ヨウ素をふくむサイロキシン(チロキシン)というホルモンを出します。

このホルモンは、体の活動的なはたらきをさかんにするもので
心臓や筋肉のはたらきを強め、体温を高めます。

甲状腺のはたらきが強すぎる病気を、バセドウ病といいます。

上皮小体

甲状腺のそばについている腺で、血液の中のカルシウムの分量を整えます。
このホルモンが少なすぎると、骨や歯がぼろぼろになり
また、筋肉がひきつって、テタニーという病気になります。

すい臓

十二指腸のそばにある消化液を分泌する大切な器官です。
その中に島細胞といってインシュリンという
亜鉛をふくんだホルモンを出す細胞があります。

インシュリンは血液の中の糖が多すぎないように調節するはたらきがあって
これが不足すると、血糖が多くなり、その結果、糖尿病が起こります。



副腎

副腎は、腎臓の上にかぶさっている器官で、外側のほうの副腎皮質と中のほうの副腎髄質とに分けられます。

副腎皮質からは、コーチゾンというホルモンが出されますがこれは余ったたんぱく質を糖にかえるもの、腎臓の塩類の分泌を調節するもの一種の性ホルモンなどをふくんでいます。

コーチゾンが少なすぎると、関節リューマチのようになったりアジソン病になり、多すぎると、病気にかかりやすくなったり脳下垂体のはたらきが止まったりします。

副腎髄質からは、アドレナリンというホルモンが出されます。

これは、交感神経のはたらきを強めるホルモンで心臓のはたらきを増し、血管を収縮させて血圧をあげたり胃腸のはたらきを止めたり、甲状腺と助け合って活動的なはたらきをします。

そのほか、血液の中の糖を増したりして、インシュリンと反対のはたらきをします。
アドレナリンとインシュリンは互いにつり合って血糖の調節をします。

性腺

男は精巣から男性ホルモンを女は卵巣から女性ホルモンを出します。

男性ホルモンは、男を男らしくするはたらきがありひげがはえたり、声が太くなったり、骨組みがしっかりしたり男らしい心になるのは男性ホルモンのためです。

女性ホルモンは、肉づきをまるくしたり、やさしい声を出すようにしたり女らしい心やはたらきをさせるものです。

これらの性ホルモンは、多すぎたり、少なすぎたりすると脳下垂体のはたらきに変化を与えますから体の栄養状態などにいろいろな変化を起こすことになります。

その他の分泌腺

今まで述べたような分泌腺のほか、松果体は大脳のつけ根のすぐ上についていて脳下垂体のはたらきをおさえるホルモンを出します。

胸腺は、子どものときには体の栄養状態や成長を調節していて性腺のはたらきをとめているのですが、性腺のはたらきがはじまるとそれに役目を譲り渡して小さくなってしまいます。

また、胃腸の粘膜には、消化液の分泌をさかんにするようなホルモンや腎臓の分泌を止めるようなホルモンが出されており腎臓からは血圧をあげるようなホルモンなどが出されていることもわかっています。

そのほか、脳の中の細胞・肝臓・脾臓・リンパ節・だ液腺などからもホルモンが出されるらしいといわれています。

このようなたくさんのホルモンを出す分泌腺はお互いに助け合ったり、反対に止めあったりします。

また、ホルモンは神経のはたらきを強めたり、弱めたりするはたらきもします。
その反対に神経はホルモンの分泌液のはたらきを強めたり弱めたりします。

このようにして、ホルモンと神経とはお互いにはたらきあいつり合って、体のはたらきの調節に役立っているのです。




神経の衛生とは? 脳や神経の病気とは? わかりやすく解説!

神経の病気は、どれも原因や診断が難しいので、治療をはじめるのが遅れがちです。

神経の病気は、脳出血・日本脳炎・脳腫瘍・小児麻痺・神経痛などのように脳や神経そのものの病気と、ものの感じかたや考えかたがふつうでなくなる精神病との2つに分けられます。

精神病には、精神分裂症・躁鬱病・神経症(ノイローゼ)てんかん・精神薄弱・老年痴呆などがあります。

頭痛は、神経の病気ばかりでなく風邪や、目・耳・鼻の病気などのときにも起きます。


神経症

ノイローゼともよばれ、体には悪いところがないのにいろいろな症状が起こる病気です。

この病気は、強い精神的ショックを受けたり心の中に不満があったりするときに起こりますが、その人の性質も関係します。

たとえば、なんとなく不安になって、心臓がどきどきしてそれがいつまでも止まらなくなったり、目まい・冷や汗・震えなど体にいろいろな症状があらわれたりします。

また、夜になってよく眠れないようなときつぎの日は、わずかの光や音にも疲れて仕事があまりできなくなることがあります。

これをいわゆる神経衰弱といっていますが私たちの体には、しばしば起こる状態です。

このほか、自分でもバカバカしいとわかっていることでも気になってしようがないことがあります。

たとえば、戸締りを何十回となく調べなければ気がすまないようなときがそうです。

このようなノイローゼは、いつも神経をいらいらさせていると起こるものですから普段よく眠り、静かな生活を楽しむように心掛けましょう。

脳波

私たちの脳からは、いつも弱い電流が出ています。
この電流を測定器で紙に記録すると、波形の曲線になるのでこれを脳波とよびます。
脳波はまた、脳電図ともよばれます。

脳波は、そのときの精神状態によって、いろいろな波形の曲線になって出てきます。

たとえば、てんかんの人の脳波を測定するとふつうの人と違った、特別な曲線になります。

このように、脳波は、その人の悩や神経の病気を調べるのに、とても役に立ちます。




皮膚のしくみとはたらきとは? わかりやすく解説!

皮膚のはたらき

私たもの体の形は、骨や筋肉がつくっています。
この体のいちばん外側を包んでいるのが皮膚です。
皮膚は、どんなはたらきをしているのか調べてみましょう。

皮膚は、体に毒になるものや病原菌が、体の中へ入り込むのをふせいでいます。
また、体の内部が、外からの刺激(熱さ、寒さ、日光にてらされることなど)を直に受けないようにふせいでいます。

このようにして、皮膚は体の内部の大事な器官を守っています。
そのほか、熱さ・寒さ・痛さなどを感じる役目も皮膚がしていますし触られたり・押されたりしたときにも皮膚はそれを感じます。

体の体温を調節するのにも、皮膚は、大事なはたらきをしています。


皮膚のしくみ

図のように、皮膚は3つの部分に分けられます。
外側から順に、表皮・真皮・皮下組織と分かれています。

皮下組織には、脂肪がたくわえられています。
太っている人は、この皮下脂肪が多く、やせている人は、それが少ないのです。

表皮は、たくさんの細胞が、幾重にも重なりあってできています。
表皮の細胞は、上のほうからだんだん死んで、あかやふけとなり、下のほうから新しい表皮の細胞がつくられ、それを補充していきます。

表皮のいちばん深いところに並んでいる細胞の中にはメラニンという色素があります。

私たちの皮膚の色は、このメラニンの多いか少ないかによって違います。
皮膚は紫外線をふせぐ働きがあり、日焼けするとメラニンが増えます。

あざは、メラニンをもった細胞が集まったものです。

また、白人はメラニンが少ないために白い肌をしており黒人はメラニンが多いために黒い肌をしています。

皮膚には、血管がきています。
また、神経もきていて、いろいろな感じを受け取ります。

皮膚には、毛がはえています。
毛穴の中には、あぶらを出す腺があって、あぶらを皮膚の表面へとおくり出します。
このあぶらは、皮膚の表面を滑らかにし、皮膚が乾くのをふせぎます。

汗は、汗腺という器官からでます。
汗腺は、たまになっている部分とそこから皮膚の表面まで続いている管とからできています。

このたまになっているところで、汗がつくられます。
汗は、そこから管を通って、皮膚の外に出ます。

汗は、目で見えるほど、滴となって出ることもありますがふつうは目ではわからないくらいわずかずつ汗の水分がたえず皮膚から蒸発しています。

ガラスの上に、手の平をあててごらんなさい。
手の平があたったところだけ、くもるでしょう。
これは、皮膚から蒸発している水分のためなのです。

鳥肌

私たちの皮膚は、体温の調節に役立ってています。
寒さにあうと皮膚も皮膚の血管も縮んで、なるべく熱を逃がさないようにします。

皮膚にはえている毛には筋肉がついています。この筋肉を立毛筋といいます。
寒さにあうと、立毛筋が縮んで、そのため毛が逆立ち毛穴が持ち上がって、ちょうど羽根をむしった鳥の皮膚のようになります。

これを鳥肌といいます。



指紋

指紋は、ひとりひとり違った形をしています。
指紋は、指のはらの皮膚のでこぼこになった筋がつくっている形です。

指のはらにインキをつけて、紙に押し付けると、指紋の形がうつされます。
指紋は一生かわりませんので、人を見わけるときに使われます。

手とつめ

毛は、ほとんど体中にはえていて、皮膚の中にその根(毛根)があります。
毛が伸びていくのは、毛が育ってくからです。

毛には、細くて短いのと、太くて長いのと2種類あります。

細くて短いのは、うぶ毛で、これは、体の大部分にはえている毛です。
太くて長いのは、こう毛で、髪の毛・まつ毛などの毛です。

つめは、指先からはえています。
つめの根本は、皮膚につつまれていて見えませんがつめは、そこで育って伸びていきます。

皮膚でわかる感じ

皮膚でわかる感じには、ものに触った感じ、熱い感じ冷たい感じ、痛い感じの4つがあります。
そのほか、足の裏や、わきの下などに触ると、くすぐったく感じます。

皮膚の表面で痛みを感じる点を痛点、皮膚に触ったのを感じる点を触点、温かさを感じる点を温点、冷たさを感じる点を冷点といいます。

痛点・触点・温点・冷点は、皮膚の表面にばらまかれていてそれぞれ特別なしくみがあって、それぞれの感じを受け取ります。

この感じを受ける点は、体の部分によってそれぞれ、多いところと、少ないところがあります。

実験

先のとがったものを冷たくして手の甲に触れながら、ずらしていきます。
そのとき、冷たく感じるところが冷点です。

こんどは、温めて今と同じようにすると、温かさを感じるところがあります。

そこが温点です。

やはり、先のとがったものを手の甲に触れながら、ずらしていきます。
そのとき、触ったことがわかるところが触点で痛みを感じるところが痛点です。



皮膚の衛生とは? 体温を調節するしくみとは? わかりやすく解説!

皮膚の衛生

皮膚の表面には、皮膚から出る汗(水分)やあぶらがついています。
この汗やあぶらのついている皮膚には、空気中のほこりや細菌がつきやすく
皮膚を洗わないと、汗・あぶら・ほこり・細菌がたまって皮膚が汚れてきます。


皮膚は、いつもきれいにしておくことが大切です。
ほどよく日光にあたると、皮膚は丈夫になります。これは、皮膚に色素が増えて、皮膚の抵抗力が増すからです。

しかし、強い日光にあまり長くあたりすぎると皮膚に、ひぶくれができます。

夏に汗をかくと、汗疹ができることがあります。
汗をかいたときには、水でしめした布できれいにふき皮膚を早く乾かすようにすれば汗疹もができません。

冷水浴・冷水摩擦をすると、皮膚が丈夫になります。
冬、激しい寒さにあうと、手足にしもやけができることがあります。

これは、寒さのために血液がよくまわらなくなり、皮膚の組織が壊されるためです。
寒いときは手足をよくこすって血液の循環をよくしたり、皮膚を乾かすことが大事です。

田虫・水虫・しらくもなどは、皮膚にカビがついたために起こる病気です。
また、皮膚がかゆくなるかいせんという病気はカイセンチュウが皮膚につくためです。
カイセンチュウは、めすが皮膚にもぐります。

体温を調節するしくみ

私たちが健康であるためには、まわりが熱くても、寒くても体温を37度ぐらいに、たもたなければなりません。

体には、この体温を一定に保とうとするはたらきが自然に備わっています。

体の中では、いつも食べ物をもとにして熱がつくられています。
これが、体温のもとになっています。

この熱は、体温を保つだけあればよいので余った分は、たえず体の外に出さなければなりません。

余った熱は、ほとんどが皮膚からまわりの空気中へ出されます。
そのほか、大便や尿といっしょに体の外へ出されます。



皮膚から失われる熱

皮膚からは、つぎの4つの方法で熱が失われていきます。

伝導

私たちのからどの皮膚の表面から、まわりの空気へと熱が伝わって逃げていきます。
これは、伝導という熱の伝わりかたの1つです。

冬になって寒くなると、毛の洋服を着ますが毛は熱を伝えにくく、伝導により熱か逃げるのをふせぐことができるからです。

対流

皮膚に触れている空気は体の熟で温められると軽くなって上にあがります。
そのあとへ、冷たい空気が入れ替わって入ってきます。

これを繰り返して、空気は、皮膚から熟をとっていきます。
これに、対流という熱の伝わりかたの1つです。

洋服を着ると、皮膚とまわりの空気とのあいだに動かない空気の層ができるので、熱の対流や伝導をふせぎ冬でも体を温かくしておくことができるのです。

放射

熱したストーブに近よると、熱さを感じますがこれはストーブが熱を放射しているからです。

私たちの体の表面でも放射で、熱をもらったり、熱を失ったりしています。

夏に白い着物を着るのは、まわりからの放射熱を反射するため冬に、黒い着物を着るのは放射熱を吸収するためです。

蒸発

私たちの皮膚からは、たえず水分が蒸発しています。
体から水分が蒸発するとき、皮膚から熱を奪っていきます。

皮膚から熱が失われるのはこの4つのうちどれにいちばんよるかというと、気温や湿り気などいろいろな場合によって違います。

私たちの身の周りの空気の温度が低いほど放射・伝導で熱を奪われることが多く、空気が乾いていると蒸発がさかんになり、風邪が強いと対流と蒸発が、さかんになります。




脳神経と脊髄神経とは? わかりやすく解説!

脳は、頭の骨の中にあり、大切に守られています。脳の下側らは、脊髄が伸びています。

脳や脊髄いは、末梢神径の伝える知らせを受け取ってどうしたらよいかを決め、命令を出すところです。

脳は、大脳半球・間脳・中脳・小脳・延髄などに分けられます。


大脳半球

大脳半球は、脳の中でもいちばん大きなところでおよそ140億もの神経細胞が集まってできています。

左右2つの大脳半球が真ん中で合わさっておりその表面には、込み入ったしわがたくさんあります。
私たちが、ああしよう、こうしようということはみな大脳半球から・命令がでているのです。

間脳

間脳は、自律神経のはたらきや栄養・体温などを正しく整えます。
間脳の前の下のほうには、豆粒のようにぶらさがっている脳下垂体があります。

中脳

目や耳など、首から上の感じは、たいてい脳神経を伝わって、まず中脳へ入ります。

中脳は、それらの知らせを整理して、大脳半球に伝えます。
ですから、電話でいえば、交換台にあたります。

延髄

首の後ろ側で、頭との境目あたりにあります。
ここは、脳と脊髄を結ぶ神経線維が、たくさん通っています。

少しも休まないで呼吸運動がおこなわれたり、心臓がうったりするのは延髄から、繰り返し命令がでているからです。

小脳

平均台を渡るときなど、うまく体のつり合いをとったり目を閉じたまま、まっすぐに立ったりするはたらきは小脳の役目です。

小脳は体の姿勢をうまく保つはたらきをしています。
このために、小脳は、内耳にあるつり合いを感じるしくみからの知らせや関節の曲がり具合などの知らせを受けて、筋肉を引き締めたり緩めたりする命令を出しています。



脊髄

魚を食べるとき、魚の背骨を折ってごらんなさい。
背骨の中に、穴がずっと縦に通じその中に白いやわらかい糸のようなものが通っています。

これが脊髄です。

私たちの脊髄も、同じように、延髄からはじまって背骨の中を通り、腰のあたりまで伸びています。

脊髄は、おもに神経線維の集まりで、脳と手足をつなぐ電話線の束のようなものです。
しかし、神経細胞が少しあって、反射などの大切なはたらきをしています。

脳神経と脊髄神経

脳や脊髄からは、白い糸のような神経線維の束が伸びています。
これらは脳神経と脊髄神経とに分けられます。

脳神経は、脳の一部である中脳や、延髄などから何本も出て顏の皮膚・目・耳・鼻・舌などに行き渡っています。

脊髄神経は脊髄から左右に、それぞれ31本ずつでていて体中に行き渡っています。

これらの脳神経や脊髄神経は、知覚線維と運動線維をもっています。

知覚線維は、見たり、聞いたり皮膚が感じたり(痛い・冷たい・重いなど)した知らせを脳や脊髄に伝えるはたらきをしています。

知覚線維だけからなる神経を感覚神経ともいいます。
運動線維は脳や脊髄の命令を、手足の筋肉に伝えるはたらきをしています。

このように、知覚線維と運動線維は伝える向きが反対です。
ですから、ちょうど2種類の電話線のような役目をしているといえます。




体の調節のしくみとは? 神経・神経系とは? わかりやすく解説!

体の調節のしくみ

私たちは、毎日、何気なく食べたり、勉強したり、遊んだりしています。
そして、夜がくると安心して熟睡します。
このようにして、いつのまにか、心身ともに立派に成長しているのです。

この健康な暮らしと毎日の成長は、私たちの体の手足や、胃湯などいろいろな器官が、お互いに助け合ってうまくまとまってはたらいてくれるおかげです。

このようなはたらきを、体の調子といいます。

この体の調節にいちばん役立つものは、神経とホルモンです。


神経と神経系

神経という言葉は「あの人は運動神経が発達している」というときのように体の運動をしたり、感じを伝えたりする神経のはたらきをあらわす場合と「あの人は、神経が敏感だ」というように精神(こころ)のはたらきをあらわす場合と、2つの意味をもっています。

ふつうは、この両方を神経とよんでいます。

神経は、ちょうどオーケストラでいえば指揮者のようなものです。
指揮者が、いろいろの楽器を演奏する大勢の人たちを指図してまとまった美しい音楽をうみだすように神経は体中のいろいろのはたらきをとりまとめて私たちがいつも健康に生きていけるようにします。

神経のいちばんもとになるものは、神経細胞です。
ふつうの神経には、1本の細長い糸のような枝(神経繊維)といくつかの短い枝とがあります。

これらの枝が、つきつぎに、ほかの神経細胞の枝とからみあって細長く続いています。

この神経細胞のつながったものを、いろいろな知らせが伝わります。
知らせが神径を伝わる速さは、太い神経線維ではだいたい1秒間に120メートルぐらいです。

神経細胞の枝の、長くつながったものがいくつも集まって、神経系をつくっています。

神経系は、しくみのうえから大きく分けると中枢神経系(脳と脊髄)と末梢神経系(脳神経・脊髄神経・自律神経)の2つに分けられます。




鼻と舌のしくみとは? わかりやすく解説!

鼻は、呼吸をするときの空気の出入り口で、入り囗に鼻毛があり吸い込むほこりや、細菌を取り除くはたらきもします。

また、においをかぐはたらきもあります。


においを感じるしくみ

鼻の中は、鼻こうとよばれ、左右2つに仕切られています。
この仕切りを、鼻中かくといいます。
鼻こうは、咽頭へつながっていますが咽頭には、左右の仕切りがありません。

鼻中かくに向き合った壁には、ひだが3つ並んでいます。
いちばん上のひだの近くには、においを感じる特別なしくみがあります。

においをもった細かい粒が空気に運ばれて鼻こうに入り、このしくみに触れます。
そのしらせは神経を通って脳へ伝わり、においが感じられるのです。

ですから、鼻風邪のために、鼻こうの粘膜がはれると空気の通りが悪くなって、においが感じられなくなります。

においをかぐはたらきは、子どものほうが大人よりもよくまた、人間よりも動物のほうが、いっそうよくはたらきます。

しかし、私たちの鼻は、同じにおいを長い時間かいでいるとそのうち感じなくなります。
これは、においを感じる部分が疲れてにおいをかぎわける力が衰えるからです。

鼻こうの周りには、いりくんだ洞穴が、いくつかあります。この穴を、副鼻腔といいます。
鼻風邪をひいたときに、鼻声になるのはこの副鼻腔が詰まるためです。

鼻の衛生

人の呼吸は鼻からするもので、口からすると病気になります。
ですから、鼻呼吸をすることが大切です。

蓄膿症は、細菌などの感染によって、副鼻腔に膿がたまる病気です。
これが長く続くと、病気を治してもにおいを感じなくなることがあります。



舌は、口の中に入った食べ物の味を感じたり、かき混ぜたりこれをのどのほうへおくったりするはたらきをします。
また、私たちが、言葉を喋るにも、舌はなくてはたらないものです。

味を感じるしくみ

ものの味は、おもに舌で感じます。
舌には、味らいという味を感じる感覚器があります。
しかし、味らいのないところでも、味を感じることができます。
味を感じるしくみには、よくわからない点があります。

味をもった物質が、つばに溶けて、味らいに触れると味が感じられます。

味には、甘味・鹹味・酸味・苦味の4つがあります。
辛味・渋味などは味のほかに、ものに触った感じ傷みの感じなどが混じったものです。

味の感覚が損なわれると食べ物がまずくなり、食欲が減ります。
口の中は、いつもきれいにして舌が荒れないように気をつけていなければなりません。

実験

甘味・鹹味・酸味・苦味はそれぞれ感じやすい場所が違いいます。
どの部分で、どの味がいちばん感じられるか、試してみましょう。

砂糖・食塩・食酢で、それぞれ甘味・鹹味・酸味を調べます。

苦味は害のないように、溶かしてもらったキニーネなどの薬を使います。
これらを水でうすめて、それぞれ別の筆につけ、舌のいろいろな部分に塗ってみます。

どこで、どんな味を感じるかがわかります。
苦味は、あとまで残りますから、いちばんあとで調べましょう。

鹹味は、どこでも同じに感じます。
甘味は、舌の先、酸味はわき、苦味は奥のほうでいちばんよく感じることがわかります。




耳のしくみとは? なぜ音が聞こえるのか? わかりやすく解説!

耳のしくみ

耳は、音を感じる器官です。
耳は、外から見ると、顔の両側に穴があいているだけのように見えますがその内部は非常に複雑なしくみになっています。
耳は、音を感じるだけでなく、体のつり合いを感じるはたらきをします。

耳は、その形とはたらきから、外耳・中耳・内耳の3つの部分に分けられます。


外耳

下の図のように、鼓膜から外側の部分を外耳といいます。
ここには、耳かいと外耳道があります。

私たちが、ふつう耳といっているところは、耳かいです。
耳かいは、いつもじんと張っていますがこれは、耳かいの中にな人骨が入っているからです。

耳かいは、音を集める形になっています。手を耳かいにあてると、よく聞こえます。

外耳道は、耳の穴のことです。鼓膜はこの外耳道のつきあたりにあります。

鼓膜は、まるい形をした薄い膜です。
空気の振動が、鼓膜に届くと、鼓膜は、細かく震えます。

中耳

中耳は、鼓膜の内側にある部屋です。中耳は、咽頭の上部(鼻の奥)と細い管でつながっています。

この管を耳管といいます。耳管は、いつもは閉じています。

私たちが、つばきを飲み込んだり、あくびをしたりすると開き、空気が出入りします。

こうして、鼓室の中の空気の圧力と外の圧力が釣り合うようになっています。

もういちど、上の図を見てください。
鼓膜の内側から、つち骨・きぬた骨・あぶみ骨という3つの小さな骨がつながっています。

鼓膜が音波のためにふるえると、この3つの骨がさらに音を奥のほうへ伝えるのです。

これらの骨には、細い筋肉がついていて強い音を伝えるとき、調節する役目をしています。

内耳

中耳から奥のほうは、内耳とよばれます。
内耳は、たいヘん込み入っているので、迷路ともいわれます。

カタツムリのような形をしたものが、蝸牛です。
この中には、コルチ器官があり、音を感じるはたらきをしています。
蝸牛には、リンパ液が入っています。

音波が鼓膜を震わせ
つち骨・きぬた骨・あぶみ骨と伝わって、リンパ液を震わせます。
リンパ液からはコルチ器官に伝わり、脳へ知らせが届きます。

こうして音が感じられるのです。



つり合いを感じるしくみ

内耳は、音のほか、運動や姿勢の位置を感じるはたらきがあります。
これは、三半規管と前庭の役目です。

電車・船・飛行機に乗ったり、片足で立ったりするときはここが刺激されて反応します。

内耳には、輪の形をしたものが、3つあります。この輪が三半規管です。

三半規管の中には、リンパ液が入っています。私たちの体が動くと、このリンパ液も動きます。
三半規管には特別なしくみがあってこのリンパ液の動きを感じると大脳半球や小脳へ知らせるのです。

こうして、体の動きを感じることができるのです。

前庭は、三半規管とか牛の間にあります。
ここには、体のつり合いを感じる特別なしくみがあります。

上の図のように三半規管や前庭には、ちょっともりあがったところがありこの上に細かい石のようなものがのっています。

体が傾くと、細かい石の重みのかかり方がかわります。
この知らせが脳へ伝わり、つり合いを感じるのです。

耳の衛生

耳の穴には、よく耳あかがたまります。
耳あかは、外耳道の皮膚から出されたあぶらに、外のほこりが混じったものです。

耳あかは、よく掃除しないと、長いあいだにはだんごのように詰まって耳が聞こえなくなったり、できものができたりします。

鼻が悪かったり、アデノイドが大きかったりすると耳管のはたらきが悪くなって、鼓膜がへこみます。
ときには鼓室に粘液がたまって、耳が遠くなることがあります。

耳の病気では中耳炎がおもなものです。
これは、病原菌が中耳へ入って膿む病気でたいへん傷んだり、耳だれが出たりします。

これをほうっておくと、破れた鼓膜がふさがらずに、耳が聞こえにくくなります。

中耳炎は、鼻やのどに起こった病気が耳管を通って中耳に及ぶために起こることが多いのです。
また、外耳道から水が入った場合なども中耳炎になることがあります。

前庭や、三半規管のはたらきがおかされると目まいや吐き気がしたり、立っていられなくなります。




近視・遠視・乱視とは? 目の病気とは? 錯覚とは?

近視・遠視・乱視

水晶体の調節が、うまくいかなくなると、近視や遠視になります。
ふつう、近いものを見るときは、目の水晶体が厚くなりものの像がうまく網膜にうつるようになっています。

ところが、あまり長いあいだ、ものを近づけて見る習慣をつけるとそれになれてしまって水晶体の厚みが、もとにかえらなくなります。

こうなると、遠いところにあるものを見ても像は網膜の前に結ばれ、はっきり見えないのです。

これが仮性近視です。

近視というのは、眼球の奥行が長すぎるために起こるものをいいます。

近視は、凹レンズの眼鏡をかけて、調節することができます。
遠視はうまれつきのもので、近視と反対に眼球の奥行が短いと起こり近くのものがはっきり見えません。

これは凸レンズで調節することができます。

また、長いあいだ使ったために、水晶体がかたくなりうまくふくらまないこともあります。

これが、老眼です。

お年寄りが新聞などを読むのに手を伸ばして新聞を遠くへやって読むのは、このためです。

乱視は、ふつう、かく膜のゆがみによって起こります。
ときには、水晶体や限底がゆがんでいて乱視になることもあります。

目に入ってきた光が、ゆがんだ部分を通るので、ものなどが二重に見えるのです。
乱視は、このゆがみを直す、特別な眼鏡をかけて目を調節します。


近視の予防

日本人には、とくに近視が多いといわれています。
それも、うまれつきの人は少なく、上の学校にすすむにつれて多くなるのがふつうです。

小学生では、100人のうち9人ぐらいの割合で近視の人がいますが大学生になると、17人にも増えるのです。

これは、細かい字を暗いところで読んだり読むときの姿勢が悪かったりしたためです。

本を読むときは、必ず明るいところで、正しい姿勢で読みましょう。

目の病気の予防

ほこりや細菌が目に入ると、よく結膜炎にかかります。
目が赤くなったり、目やにが出たり、傷んだりします。

汚れた手で月をこすったりほこりの多いところで遊んだりするのは危険なことです。

トラホーム

トラホーム(トラローマ)は、ビールスによって起こります。
これにかかると、結膜に粒々ができ、眼球を傷めることになります。

手ぬぐいや洗面器からうつる場合が多いのです。トラホームにかかった人のものは、使わないようにしましょう。

目と栄養

体に、ビタミンAが足りなくなると、とり目になります。
これは、夜になると、目が見えなくなる病気です。
肝油などを飲んでビタミンAをとらなければなりません。



錯覚

私たちは、白い着物を人と間違えたり雨の音を泥棒の足音とかん違いしたりすることがあります。

このように、あるものを、見間違えたり、聞き違えることを錯覚といいます。
これは、とても疲れているときや、神経の病気のときなどに起こります。

また、ものの並び方や、置かれたときの形などで正確に見ることができないときがあります。

たとえば、図のように、等しい長さの線が違って見えたり平行な線が曲がって見えたりします。

錯覚と似ているので、よく間違えられるのが幻覚です。
錯覚は、実際にあるものを、見間違えたり、聞き違えたりするのですが幻覚は実際には、なにもないのに見えたり(幻視)だれもいないのに、声が聞こえてくる(幻聴)ことをいいます。

このような幻覚がいちばんよく見られるのは神経の病気のときですが健康な人でも、たいへん疲れたときには経験することがあります。




目のしくみとは? なぜ物や色、距離感がわかるのか?

目や耳のように、感じを受け取る器官のことを、感覚器といいます。

音楽を聞いたり、映画を見たりして私たちは、楽しい時間を過ごします。
これは、目や耳のおかげです。

感覚器には、目や耳のほかに、味を感じる舌、においをかぐ鼻、痛さ・熱さ・冷たさなどを感じる皮膚などがあります。

これらはみな、私たちがまわりの様子を知るために、大切な感覚器です。

これらの感覚器によって、いろいろな刺激が受け取られます。
この知らせは、神経によって脳に届きます。
こうして、はじめて感じが起こるのです。

私たちが、さまざまなことを知ることができるのは、みな感覚器を通してのことなのです。


目のしくみ

目は、光の刺激を受けて、ものを見るはたらきをする感覚器です。

顔の骨の中には、眼かというくぼみがあります。
この中には、目の道具がみな入っています。

まぶたのうしろには、目玉(眼球)があり、そのうしろに視神経があります。
眼球のまわりには眼筋とよばれる筋肉がありこのはたらきによって眼球を上下左右に動かすことができるのです。

眼球は、目の中でも大切なところで、そのはたらきを助けたり保護するために、眉毛・まつ毛・瞼・涙を出す器官、目の筋肉などがあります。

涙腺から出る涙は、悲しいときだけに出るのではなく、いつも少しずつ流れ出ていて眼球の表面が乾かないいようにしています。

また、ほこりやごみが入ったときは洗い流す役目をします。

ものが見えるしくみ

目のしくみは、カメラと非常によく似ています。

カメラのレンズにあたるものが、目では水品体です。
カメラでは、ものの形がフィルムにうつりますが、目では網膜にうつります。
また、カメラのしぼりにあたるのは、目のの虹彩です。

虹彩は、光の強さによって、ひとりでに広がったり
縮んだりして、瞳の大きさをかえます。

こうして、中に入ってくる光線を調節するのです。
明るいところでは瞳が縮み、暗いところでは開いて大きくなるのは、このためです。

カメラではピントをあわせるのにレンズを動かします。

目では、毛様体のはたらきによって、水晶体がふくらんだり平たくなったりして、その役目をします。

水晶体は、目に入ってくる光を屈折させ網膜にものの形をうつしだします。

網膜には、光を感じる視細胞があり、これによって光の刺激が大脳に伝えられ、はじめてものが見えるのです。

目と大脳を連絡する役目は、視神経がつとめています。
網膜の中央に近いところにある黄はんは、感覚がいちばんするどいところです。

この黄はんの近くに、視神経の入り口になっている部分があります。
ここを盲点といいます。

盲点は、よく「気がつかないところ」という意味に使われるように光を感じないところです。

網膜を詳しく調べてみるとここには、かん状体とすい状体という2種類の視細胞が並んでいるのがわかります。

かん状体は、棒のような形をしていて光をよく感じ暗いときによくはたらきますが色を区別する力はありません。

もう1つのすい状体は、きりのような形をしていて光にたいする感じ方は、かん状体に劣りますが色を見わける力があり光が明るいときによくはたらきます。

ふつうの明るさのときには、すい状体がはたらいてものを見わけたり、明るさを感じたり、ものの色を感じたりします。

しかし、夕方のように暗くなると、すい状体にかわってかん状体がはたらくようになるので色を見わけにくくなります。

かん状体がなかったり、そのはたらきが悪くなると、明るいときはすい状体がはたらくのでよく見えるのですが、うす暗くなると、見えなくなります。

これがとり目(夜盲症)です。
また、かん状体は、緑の光を感じやすい性質があるので、実際は、かなり暗い月の光を、明るい青白い光に感じるのです。



色を感じるしくみ

網膜にあるすい状体という細胞が色を感じるはたらきをしていますがこれには、赤・青・緑に感じる3種類の細胞があると考えられています。

これらの細胞の1つか2つが故障すると色の区別ができなくなります。これが色盲なのです。

私たちの中には、うまれつき、色盲の人がいます。

遠近を知るしくみ

片目をふさいで、手に持った鉛筆の先をもういっぽうの手に持った鉛筆の先ついてみましょう。
両目を開ければなんでもないことでも、片目ではうまくいきません。
これは、片目では、遠近感がなくなるからです。

物の遠近を感じるのは、目が2つあるからだろうと考えられています。
1つの物でも右の目で見るのと左の目で見るのとではいくらか形が違い、その違いは近くにある物ほど大きくなります。

視角

左右の目と物を直線で結ぶと遠い物と近い物では角度が違ってきます。
この角度を視角といい、視角が小さい物は遠く、視角が大きい物ほど近くにあります。

つまり、視角の大小によって、物の遠近がわかるのです。
このように、目が2つあるのは、距離を知るのに大切なことです。




泌尿器の衛生、腎臓・膀胱の病気とは? わかりやすく解説!

腎臓の病気

腎炎

風邪・扁桃腺炎・しょう紅熱などのあとに起こりやすい病気です。

おもに糸球体が炎症を起こしたもので、尿の量が減り尿の中に、たんぱく質や血液が混じってでます。

体がむくみ、血圧が高くなります。


尿毒症

腎臓が、血液の中の不用物をうまく取り除くことができないとこれらは血液の中にたまって脳などがおかされます。

これが尿毒症です。

しだいに疲れやすくなり、口が乾き意識がなくなっていきます。

腎石症

尿の成分が、結石といって腎臓の中で石のようにかたまりこれが腎盤や尿管の途中につかえて腹や腰が、ときどき激しく痛む病気です。

この痛みは石が尿管を通るときに起こるものです。

腎臓結核

結核菌が、腎臓についてただれる病気です。
尿の中に血液やたんぱく質がでますが必ず膀胱結核もいっしょに起こり、なかなか治りません。

片側の腎臓がおかされているときはその腎臓をとってしまう手術が、よくおこなわれています。

膀胱の病気

膀胱炎

細菌が膀胱についてその内側の、粘膜がただれる病気です。
尿はにごり、ときに血液がまざります。
粘膜が刺激されるのでたびたび排尿したくなり、また排尿のときに痛みます。

ふつう、抗生物質でよくなります。

膀胱結核

細菌のうち、とくに結核菌が膀胱をおかした場合を膀胱結核とよび膀胱炎の一種で症状も同じようなものです。

膀胱腫瘍

膀胱の内側に、できものができる病気です。
おもな症状は、尿の中に血液がまじっていることですができものが、がんであるかどうかを早く確かめなければなりません。




腎臓と膀胱のはたらきとは? わかりやすく解説!

私たちの体の組織や器官がはたらくと二酸化炭素・水・尿素・塩分などの不用物ができます。

そのうち、二酸化炭素は、肺から外へ出されます。
その他の不用物は汗となるものもありますが、大部分は腎臓で尿にかえられます。

このように、体の中にできた不用物を捨てることを排出といいます。
尿をつくり、排出する器官を泌尿器とよびます。

尿をつくるのが、腎臓の役目で尿管がこれを膀胱に運び膀胱にたまった尿は、さらに尿道という管で体外に出されます。


腎臓

腎臓は、腹の少し上のあたりで、腸のうしろにある赤黒い色をしている器官で左右に1個ずつあります。

その形は、そら豆のようで縦に長くなっています。

腎臓のつくり

腎臓の内側の中央部には腎門というへこみがあってここには、かなり太い動脈と静脈、尿を運びだす尿管が通っています。

腎臓を縦に切ってみると、いちばん内側には尿管が広がってできている腎盤(腎盂ともいう)という部分があります。
また、それをとりまいて放射状のすじがたくさんある髄質という部分があります。

いちばん外側は、皮質といいます。
皮質の中には、点のように見える、腎小体(マルピギー小体)という直径0.2ミリほどの球形のかたまりが見られます。

この腎小体を顕微鏡で調べてみると毛細血管がたくさん集まっていて毛糸の玉のようになっています。

これを糸球体といいます。

糸球体のまわりを袋が囲んでいて、この袋が尿細管という管に続きます。
尿細管は、おもに髄質の中を通って複雑に曲がりくねったのち何本も合わさって太くなり、腎盤につながっています。

腎臓のはたらき

腎臓は、尿をつくりだす器官です。
腎臓にくる動脈血が、この糸球体の毛細血管を通るあいだに血液から不用物がこし出されます。

これが、尿のもとになるものです。

この尿のもとになる液体は、尿細管を通るあいだにその中にふくまれている水分と塩分が、ふたたび吸収され尿となって腎盤に流れ出ます。

腎臓は不要物を排出するほかに尿細管での再吸収によって体液の成分を、いつも一定になるように調節しているのです。

1個の腎臓だけで2人分の体をまかなえる力があります。
したがって左右どちらかの腎臓が手術で取り去られても、ほとんど差支えありません。

尿

健康な人の尿は、透き通っていて黄色がかっています。
尿には食塩などのいろいろな物質が溶けているので比重は1より大きく比重も浸透圧も、ほぼ海水と同じです。

尿の1日の量は、大人で1.2~1.5リットルですがこの量は水分のとりかた、汗の出方などでかわります。

尿の成分は、水分を別にすれば尿素がいちばん多く、そのつぎに多いのが塩分です。

糸球体でこしだされる、尿のもとになる液体の量は1日に170リットルもあるといわれています。
ですから、そのうちの99パーセントもの量が尿細管で再吸収されているわけです。



膀胱

腎臓でつくられた尿は腎盤をへて尿管という25センチほどの長い管で、膀胱へおくられます。

膀胱のつくり

膀胱は、腹の下のほうにある筋肉でできた袋です。
尿が入っていないときは、押しつぶされていますが尿が固まってくると西洋梨のような形にふくれます。

膀胱には大人で0.5リットル以上の尿が入ります。
膀胱には腎臓につながる左右一対の尿管がつながりまた下のほうでは、尿道に続いています。

この尿道への出口には、括約筋という筋肉が厚く取り巻いて尿が流れでるのをふせいでいます。

膀胱のはたらき

腎臓からは、いつも少しずつ尿がでています。
これをためておいて、ある程度まとめてから、体外に排出するための袋が膀胱です。

尿が、膀胱から体外へ出るときには、いろいろの反射運動がはたらきます。

膀胱に尿が一定量以上たまると、尿意(小便をしたい気持ち)が起こり膀胱の筋肉が縮み、尿道のはじまりのところにある括約筋が緩んで尿が尿道のほうへ勢いよく出ていけるようになります。

また、尿が体外へ出されるときには、膀胱の筋肉だけでなく腹の力も加わって膀胱をおし、尿の排出を助けています。




心臓・血管・血液の病気とは? わかりやすく解説!

心臓と血管の病気

先天性心臓病

お母さんのお腹の中にいるときからの、うまれつき持っている心臓病です。
心臓ができあがる段階でなんらかの故障がおきそのままできあがった、いわばかたわの心臓です。

心臓弁膜症と同じような症状をしめすものや大動脈と肺動脈がつながっているのや心房や心室の左右を区別する膜がなかったり、穴が開いていたりするものもあります。


心臓弁膜症

心臓の弁膜が、うまく閉じたり開いたりできなくなる病気でよくリューマチのあとで起こります。

弁膜の入り口がせまくなったり、うまく閉じなかったりするので血液が通りにくくなかったり、あるいは逆に流れたりします。
このため心臓は、ふつうの人より余計にはたらかなければならないので早く疲れたり弱ったりします。

心臓内膜炎

リューマチ・肺炎・敗血症などの病原体が心臓の内膜につくと、内膜がはれたり壊れたりします。
たいてい、弁膜が壊されるので、あとで弁膜症になります。

狭心症

心臓に栄養を運ぶ血管(冠状動脈)がせまくなったりけいれんを起こしたりして、血液の通りが悪くなるために心臓の筋肉に、酸素や養分が足りなくなって起こります。胸が激しく痛みます。

動脈硬化のために起こることが多く、年寄りに多い病気です。
年をとった人は、ときには心電図をとって狭心症の予防をしたほうがよいのです。

高血圧

年をとると動脈が硬くなって、よく伸び縮みしなくなり血圧が高くなります。
こうなると、のぼせ・動悸・肩こり・耳なり・目まいなどする人が多くなります。

このゆおなときには、血管が破れやすく脳出血を起こしやすくなります。
それで、ときには血圧をはかって注意しなければなりません。

脳卒中

脳の血管が破れて、脳の中に出血するのが脳出血で脳の血管の中で血液がかたまって詰まるのが脳血栓(または脳軟化症)でこの両方を脳卒中といいます。

どちらも、動脈硬化がもとで起こります。

出血したり、血管の詰まった部分の脳の神経がおかされてはたらかなくなります。
そのためよく、体の右、あるいは左半分が麻痺し、動かせなくなります。

また、口をきいたり、ものを飲み込んだりすることが、うまくできなくなります。



血液の病気

血液は、酸素や養分を運ぶ大切な役目をしているため血液が足りなくなると体にいろいろと具合の悪いことが起こります。

血液は、たんぱく質や鉄をたくさんふくんでいるので血液を増やして元気になるには偏食がしないようにしなければなりません。

とくに、ホウレンソウ、動物の肝臓、果物などは血液のもとになるので、よく食べるようにしましょう。

貧血

赤血球が足りなくなる病気です。
たいていは、ほかの病気・怪我・寄生虫・栄養不足で起こります。

また、血液をつくる骨髄のはたらきが衰えて血液のできかたが少なくなるために起こることもあります。
顔が青白かったり、つめの色がうすかったりするので、すぐわかります。

紫斑病

体のところどころの皮下に出血しますが、血友病よりもかるい病気です。
血小板が少ないために起こることが多いといわれています。

そのほか、血液の中にマラリアなどの病原体が入って血液がおかされることがあります。




血液型とは? 輸血とは? リンパとは? わかりやすく解説!

血液型

血液に人によって違った型があります。これを血液型といいます。

血液型の分けかたで、大切なのは、ABO式とRh(アールエイチ)式の2つです。
ABO式では、A型・B型・O型・AB型の4つの型があります。

Rh式では、Rh陽性型とRh陰性型があります。


血液型の調べかた

ある型の血清とほかのある型の血球を混ぜると赤血球が集まって、目に見える粒々にかたまります。

これ凝集反応といいます。

この性質を利用して血液型を調べることができます。
A型およびB型とはっきりわかっている2種類の血清を使いそれぞれに調べようとする人の血液を少しずつ混ぜます。

そして、A型血清でかたまれば、その人の血液型はB型、B型血清でかたまれば、その人の血液型はA型です。

また、どちらの血清でもかたまらなければその人の血液はO型、両方ともかたまれば、その人の血液はAB型です。

輸血

怪我や病気のために、血液が足りなくなった人に丈夫な人の血液をとって輸血することがあります。

輸血をするときには血液をもらう人の体の中で凝集反応がおこらないように、あらかじめ血液型を調べなければなりません。

また、輸血する血液の中に、ほかの病気のもとがあっては困りますからよく調べることが大切です。

O型の血液は、どの型の人にも輸血できますがA型は、A型とAB型の人にしかできません。
B型は、B型とAB型の人にできます。

AB型は、AB型の人にしか輸血できませんが、どの型の人からでも受血することができます。
またO型の人は、O型の人からだけ受血できます。

もし間違って輸血すると、凝集反応のため血液がめぐらなくなり死んでしまうことがあります。

輸血をするには、ある人からとった血液をすぐほかの人に輸血するのがふつうです。

しかし、それでは、急ぐときに間に合いません。
それで、いつでも、どこでも使えるように乾燥血しょうというものがあります。

これは、血液から赤血球・白血球・血小板をのぞいて瓶につめ、乾かしたたものです。
また、いつでもまに合うように人からとった血液をたくわえている血液銀行があります。

Rh式

Rh式では、Rh陽性型とRh陰性型とに分けられますがRh陽性の赤血球をかたまらせる抗体は人間でははじめから持っているわけではありません。

これは、ABO血液型と違うところです。
Rh陽性の赤血球をかたまらせる抗体は、Rh陰性の人にRh陽性の血液を注射したときにだけできます。

このことは、ABO式の場合と同じように輸血のときに気をつけなければならないことです。

Rh陽性の血液をRh陽性の人に輸血するのはよいのですがRh陰性の人に、Rh陽性の血液を輸血すると体の中で赤血液がかたまったり、溶けたりして病気をおこすことがあります。

しかし、日本人は、Rh陽性の人が大部分で陰性の人は1000人のうち10人ぐらいしかいません。
外国人は、Rh陰性の人が1000人のうち100人もいます。

Rh式について注意しなければならないのは輸血のときよりも、新しくうまれてくる赤ちゃんの重い病気の原因になることがあるからです。

Rh陽性のお父さんと、Rh陰性のお母さんとの間にうまれるRh陽性の赤ちゃんはお腹の中にいるときに、赤ちゃんのRh陽性の赤血球がお母さんの体に入ってRh抗体をつくりそれが赤ちゃんの体にもどってきて赤ちゃんの赤血球をかたまらせたり、溶かしたりします。

こんな赤ちゃんは、うまれたとき重い黄疸や貧血の病気をもっておりそのために死んでしまうこともあり、助かっても脳性小児麻痺になることがあります。

これを助けるには、交換輸血といって、赤ちゃんの体の血液を安全な大人の血液と全部取り換えてしまいます。



リンパ

リンパは、血液の成分の一部が毛細血管から染み出したものでリンパしょうとリンパ球(小さい白血球)からできています。

血液は血管を通って、体中を周りますが、そのままでは血管の外へは出られません。
このため、体をつくっている1つ1つの細胞まで、入ってはいけないのです。

それで、血液の一部分がリンパとなって血管からでて細胞までいきます。
そして自分のもっている栄養分を細胞にわたし、いらなくなったものを受け取ります。

リンパは、いくらか毛細血管にもどるものがありますが大部分がリンパ管に入ります。
リンパ管は、血管とは別の細い管で、体中に広がりだんだん集まって静脈につながっています。

またリンパは腸から吸収された脂肪を運ぶ役目もしています。

リンパ節

リンパ管のところどころにはリンパ節という豆のような形の小さなかたまりがあります。
このリンパ節は、外から体の中にはいる微生物とくに病原体を食い止めるはたらきをしているのです。
手や足のつけ根によくできるぐりぐりはリンパ節が、たくさんの化膿菌を食い止めて、はれたものです。

また、風邪をひくと、すぐ、のどがはれます。
これは、リンパ節に似た扁桃が、病原体をふせぐはたらきをしているのです。
リンパ節はまた、白血球(リンパ球)をつくるはたらきもしています。




血液の成分とはたらきとは? 赤血球・白血球とは? わかりやすく解説!

血液は、赤い色の液体で、水よりも少し重く、ねばねばする物質です。
この血液をつくっている成分には、赤血球・白血球・血小板など形のあるものと血しょうという液状のものとがあります。

血液は、血管を通って、体中をまわり肺で酸素を取り入れ、腸で吸収された栄養分をもらいます。

そして、体中に、必要な酸素や栄養分を配りかわりに体でできた二酸化炭素や、いらないものをもってかえります。

この二酸化炭素は肺で新しい酸素と取り換えられいらないものは腎臓で尿の中に捨てられるのです。

また、血液は、いろいろな病原体を殺します。
このほか抗体を運んだり、ホルモンを運搬したりします。


赤血球

赤血球は、骨の中にある骨髄でつくられています。
赤血球は、まるくて平たい形をしていて直径7.5ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)くらいの大きさです。
その数は男では血液1立方ミリメートルの中に、およそ500万女では450万ほどあります。

赤血球の中には、ヘモグロビン(血色素)というものがふくまれています。
このヘモグロビンのために血液が赤く見えるのです。

ヘモグロビンは鉄をふくんだ、たんぱく質でできていて酸素が結びついたり離れたりしやすい性質があります。

まわりに酸素が多いときには、たやすく酸素と結びつきますがまわりに酸素が少ないところでは、たやすくはなしてしまいます。

これは、酸素と二酸化炭素のとりかえにたいへん便利なことです。
ヘモグロビンのおかけで、血液は体中に酸素をおくり届けます。
組織にたまった二酸化炭素は、血液によって肺におくられます。

肺には、肺胞という薄い膜でできている袋がありこれを通して、血液は酸素と二酸化炭素をとりかえます。

白血球

白血球の数は、血液1立方ミリメートルの中に7000ぐらいです。

白血球には、2つの種類があります。
1つはふつうの白血球で、赤血球よりずっと大きく直径10ミクロンぐらいで、いろいろな形の核をもっています。

全体の白血球の60~70パーセントはこの型です。
もう1つはリンパ球とよばれ赤血球より少し大きく、まるくて中にまるい核があります。

ふつうの型の白血球は、赤血球と同じように骨髄でつくられますがリンパ球は、リンパ節や脾臓でできます。

白血球は、食菌作用というはたらきがあります。
体の中に病原体が入ってくると、白血球は血管の小さな穴からもぐりでて病原体を自分の体の中へ取り込んで殺してしまいます。



血小板

血小板は、いろいろな形をしていますが非常に小さくて直径が1ミクロン以下です。
血液1立方ミリメートルの中に、10万から30万ぐらいふくまれています。

血ぺいと血清

血液は、体の外に出ると、固まる性質があります。
小さな怪我をしても、すぐ血液がでなくなるのは、このためです。

血液を試験管に入れて静かにしておくと、まもなく固まりはじめます。
1,2時間も経つと、下のほうに赤黒いかたまりができ上に黄色の液体が染み出してたまってきます。

このかたまりを血ぺいといい、黄色い液体を血清といいます。

血液が血管から外に出ると、すぐに固まるのは血ぺいができることなのです。
血小板は、血ぺいができるのに必要なものです。

血しょう

血液から赤血球・白血球・血小板などをのぞいたものを血しょうといいます。

血しょうの中には7、8パーセントのたんぱく質をはじめ脂肪・ぶどう糖・塩類など、いろいろな栄養分やホルモンなどのいろいろな栄養分やホルモンなどをふくんでいます。

血しょうは、これらの栄養分をふくみ、血球を浮かばせて体中をまわり細胞に必要な養分をあたえます。

そのほか人によっては、病原体と戦う抗体をふくんでいることもあります。




毛細血管とは? 血液の循環とは? わかりやすく解説!

毛細血管

動脈や静脈は、心臓から離れるにしたがって、枝分かれして細くなります。

この細い動脈と静脈の間は、もっと細い顕微鏡で見なければ見えないほどの血管が網の目のようになってつながっています。

これを毛細血管といいます。


毛細血管は、体のどこにでもあり、すみからすみまで、血液が流れるようになっているのです。
毛細血管の壁はとても薄く、酸素・二酸化炭素・栄養分・不用物などはこの壁を自由に通ります。

左心室から流れてきた動脈血は毛細血管を通る間に酸素や養分を、いろいろな細胞に渡してやり二酸化炭素と不用物をもらって静脈血になります。

また、右心室から肺にきた静脈血は肺の毛細血管の中を通る間に空気に触れて二酸化炭素を出し、酸素をもらって動脈血にかわるのです。

運動したり、風呂に入ったりすると皮膚が赤く見えるのは毛細血管が広がり、血液の流れがよくなったためです。

大循環

心臓の左心室からおくりだされた酸素をたくさんふくんだ動脈血はしだいに枝分かれする動脈を通って、ついには体のすみずみの毛細血管に達します。

血液が毛細血管を通っているときに、動脈血の中の酸素や養分がまわりの組織や細胞にあたえられ、かわりに二酸化炭素と組織の中のいらないものが血液の中に入って、暗い赤色の静脈血になります。

この静脈血は、しだいに太くなる静脈に集まって、ついに右心房に達します。
これを大循環といいます。

小循環

右心房に入った静脈血は、すぐ右心室にいき、ここから肺動脈を通って肺に達します。

肺の毛細血管では静脈血から二酸化炭素が出され空気中の酸素が血液の中に入って動脈血となり、肺静脈を通って左心房にもどります。
これを小循環といいます。




動脈と静脈とは? 脈拍と血圧とは? わかりやすく解説!

心臓には、入り口と出口に血管がつながってちょうどポンプについているホースのような役目をしています。

この血管のうち、心房へ血液を流しこむ管を静脈心室から血液を体の中に押し出す管を動脈といいます。

動脈も静脈も、心臓に近いところでは太い管ですが心臓を離れるにしたがって、たくさんにわかれて細くなります。

手足や内臓の中では、糸のように細くなっているのです。
その様子は、木が幹のところでは太く先にいくほど、枝分かれして、細くなっていくのに似ています。

右心室を出て肺へ行く動脈を肺動脈、肺から左心房へ行く静脈を肺静脈といいます。
体の血液は、ぐるぐる周っているわけです。


動脈血と静脈血

酸素が少なくなって二酸化炭素の多い赤黒い血液を静脈血といい酸素が多くて二酸化炭素の少ないきれいな赤い血液を動脈血といいます。

静脈血は、体中の静脈を通って右心房に集まります。
そして右心室から肺動脈に押し出されて肺に行きここで酸素をもらい、二酸化炭素を出して、きれいな動脈血になるのです。

この血液は、肺静脈を通って左心房へ集まり左心室から大動脈に押し出されるのです。
ですから、静脈血といっても、静脈だけを流れるのではなくて
肺動脈も流れるわけですし、また動脈血といっても肺静脈を流れるのもあるわけです。

脈拍

男の大人の手足を見ると青い筋が、皮膚の下にたくさん見えるのに気がつくでしょう。
これは、皮膚のすぐ下にある静脈です。
女の人や子どもでははっきり見えないこともあります。

動脈は、皮膚から、かなり深いところを通っているので、外側からは見えません。
しかし、場所によっては浅いところもあるのでその場所をうまく指先でおさえるとぴくぴくするのが感じられます。

ぴくぴく動くのは、心臓のうつ勢いが動脈に伝わるためです。
1分間にうつ脈の数は、心臓が1分間にうつ数と同じです。
病気になると、医者は必ず手首のところで脈拍を調べます。

これは、脈拍が速いか遅いか、勢いが良しか悪いか規則正しくうっているかどうかを調べて心臓のはたらきが、うまくいっているかどうかを調べるためなのです。



血圧

怪我をするとよく血液がでます。
小さなかすり傷のときなら、血液は少しでてしばらくおさえていれば止まってしまいます。

しかし、大怪我をして動脈を切ったらたいへんです。

血液が強く吹き出して、きつくおさえなければ止まりません。
これは、心臓から力強く押し出された血液が動脈の中を勢いよく流れているからです。

血管の中を流れる血液の圧力を血圧といいます。
医者が、血圧計という器械で、血圧を測るのを見たことがありますか?

写真のように、腕に空気の入る袋をまいてふくらませ手首の脈がなくなるのを調べるか、または、ひじの動脈の音を聞いて血圧を測ります。

心臓が縮んで血を送り出したときの収縮期圧は子どもでは80~100、大人では120~150くらいです。

また、心臓が広がったときの拡張期圧は、子どもで40~50、大人は60~80くらいです。

静脈では血圧がとても低く、動脈のように脈もうちませんし血液の流れる速さも遅くなります。

それで、静脈の中には、ところどころに弁があり血液が体のはしのほうから心臓にむかって流れ、逆もどりしないようになっています。




心臓の動きとしくみとは? わかりやすく解説!

循環器


心臓

左の乳のちょっと下のところへ、指先をあててみると何かがぴくりぴくりと規則正しく動いているのがわかります。

これは、心臓が動いているためです。
ぴくりぴくりしているのを感じるところは心臓の下のはしで心臓全体は、もっと大きく握りこぶしぐらいあります。

心臓は、左右の肺のあいだにはさまれていてろっ骨と胸骨で、しっかり囲まれています。
生きている人の心臓が動いているのは、体の外からはよくわかりませんがX線をかけてみるとよくわかります。

心臓の動き

心臓は、筋肉でできた袋です。
しかし、手や足の筋肉と違い、ひとりでに、縮んだり膨らんだりして血液を押し出したり、吸い込んだりしています。

そして、うまれてから死ぬまで、寝ているときも起きているときもはたらき続けているのです。

心臓が縮むたびに、下のはしのちょっととがった部分が胸の皮膚の内側にぶつかって乳の下のところで、ぴくりぴくりと触れるのです。

心臓が伸び縮みすることを、心臓がうつというのはこのためです。

嬉しいことや心配なことがあると、胸がどきどきします。
これは、脳のはたらきかけで、心臓が速くうつためです。

また、病気になって熱が出ると、やはり心臓が速くうちます。
眠っているときは、心臓がゆっくりうちます。
このように、心臓のうつ速さは、場合によって違うのです。

心電図

生きている組織、たとえば、筋繊維や神経繊維がはたらくときわずかですが、電流が起こります。
そして、はたらいているところと、はたらかないところとの間に電位の違いがあります。

それで、この2つの場所を導線で結んでみると、電流が流れます。
このような電流を活動電流といいます。
この電流を、精密な方法で捕えると、グラフに書くことができます。

心電図は、心臓の活動電流のグラフです。
心臓に故障があると、このグラフがかわってきます。

ですから、この心電図は心臓の病気を診断したりするのに、たいへん必要なものなのです。



心臓のしくみ

心臓の役目は、血液を体中に送り出すことです。
そして、そのしくみは、ポンプによく似ています。

上の図は、心臓を縦に切った断面図です。
これでわかるように、心臓の中は1つの袋ではなく真ん中に仕切りがあって、右と左に分かれています。

また、その左右の袋が、どちらも上下に分かれています。
この上のほうの、筋肉の薄い部屋を心房といい下のほうの、筋肉の厚い部屋を心室といいます。

つまり心臓には、右心房・右心室・左心房・左心室の4つの部屋があるわけです。

心房と心室の間には、弁があります。
この弁によって、血液は、心房から心室へは流れますが逆に、心室から心房へは流れないようになっています。

また、心室の出口にも弁があり、心室から外へ血液が流れることはできますが
逆の方向には流れないようになっています。

つまり心臓は、ポンプが左右に2つ並んだような仕掛けになっているといえます。

ポンプでは、ピストンを上げ下げして、水を吸い上げたり、押し出したりします。

心臓も同じで、心室がふくらむときに血液が心房から流れこみ、心室が縮むと血液は出口から動脈のほうに勢いよくでるのです。

心臓の部屋のうちで、力を込めて血液を押し出すのは、心室の役目です。
このため、心室の壁は、心房にくらべて、ずっと厚い筋肉の層でできています。




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