反射のはたらき
ひざを叩いたり、熱いものや、針などに触ると、思わず手や足を動かすことがあります。
これは、知らせが大脳半球までいかず、脊髄や延髄で、命令となって折り返されます。
ですから、頭で考えることなく、運動がおこなわれます。
このようなはたらきを、反射といいます。
反射には、ふつうの反射と、条件反射とがあります。
反射
椅子に腰掛けてひざの下を叩くと、足が前に触れて動きます。
これを、ひざ反射といいます。
これは、ひざの下にある腱が叩かれると、その知らせが、つぎのような道を通って、足を伸ばす運動かおこなわれるからです。
→知覚線維(ひざの腱)→脊髄→運動繊維(ももの筋肉)→
熱いものや、針などに触ったとき、思わず手や足を引っこめるのは、ひざ反射と同じような道を、知らせが通って、運動がおこなわれるからです。
→知覚線維(皮膚)→脊髄→運動線維(手や足)→
条件反射
食べ物を食べると、つばきが出てくるのは、やはり反射のためです。
このとき、舌にある感覚器の知らせが延髄に伝わります。
延髄は、だ液腺に、つばきを出せという命令を折り返します。
舌の神経→延髄→つばきを出す神経
この反射は、人間にも、犬にも見られます。
犬に、ベルの音を聞かせてみます。
もちろんこれだけでは、つばきなど出てきません。
しかし。ベルの音を聞かせるとき、いつも食べ物をやるようにしておきます。
これを何回も繰り返すと、しまいには、食べ物がなくてもベルの音を聞いただけで、つばきが出てくるようになります。
これは、音の知らせが大脳半球に伝えられ、前に食べたときのことを思いだして、だ液腺に命令がいくからです。
大脳半球 中脳 耳の神経 つばきを出す神経,食べ物を食べて、つばきの出る反射やひざ反射などは、うまれつき備わっています。
しかし、犬のつばきの出る反射は、まえにあったことを、覚えこむという大脳半球のはたらきによって起こる反射なのです。
このような反射を、条件反射とよんでいます。
たとえば、酸っぱいものを、舌の上に乗せると、つばきが出てきます。
これは、うまれつきある反射です。
しかし、梅干しを見たり、梅干しという言葉を聞いたりしただけで、つばきが出てくるのは、条件反射の1つです。
もし、梅干しを見たことも、聞いたこともないアメリカ人だったら、つばきなど出てきません。
このように、私たちが、梅干しを見ただけでもつばきが出てくるのは、梅干しは、酸っぱい味がするということを覚えこんだ大脳半球のはたらきで、反射がつくられろためです。
私たもの精神のはたらきには、この条件反射が、たいへん大切なはたらきをしています。