ビタミンは私たちの体の調子を整えたり、成長を促したりするはたらきがあります。
人間の体を機械にたとえると、ビタミンは、この機械にさす油だといえましょう。
もし、ビタミンのとり方が足りないと、体が疲れやすくなったり思うようにはたらけなくなったり、また、いろいろな病気をおこしたりします。
ビタミンの必要量は、たいへんわずかですが毎日とらなければなりません。
しかし、このように大切なはたらきをするビタミンも必要以上に毎日たくさんとりすぎると、いろいろの病気にかかることがあります。
昔から「過ぎたるは、及ばざるがごとし」ということわざがあるようにビタミンの中でとくに、ビタミンAやDをその必要量の何10倍も多くとりすぎるとかえって害を及ぼすものです。
ビタミンには、いろいろな種類が知られています。
これらは、ふつうに食べ物をとっていれば、あまり不足することはありません。
ただ、ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンCにはとくに気をつけなければなりません。
ビタミンは、たいてい、熱・酸・塩基とか空気中の酸素によって壊されやすいので加工するときや料理するとき、とくに加熱するときには気をつけなければなりません。
ビタミンA
ビタミンAは、目や肝臓のはたらきを助けたり体の抵抗力を強めたりするはたらきがあります。
また、私たちが成長するときには、たいへん必要なものです。
昼間はなんともなくても夜になると目が見えない、とり目という病気があります。
この病気は、ビタミンAが足りないために起こります。
ビタミンAは、肝油・バター・たまごの黄身・肝臓(レバー)などの脂肪に溶けてふくまれています。
まだ、植物にふくまれているカロチンは私たちの体に入ってビタミンAにかわります。
ですから、カロチンをとっても、ビタミンAをとったのと同じことになります。
カロチンは、ニンジン・カボチヤ・トマト・ホウレンソウなど色のついた野菜にたくさんふくまれています。
ビタミンB1
ビタミンB1は、水に溶けるビタミンです。
炭水化物が、体の中で栄養にかわるとき、ビタミンB1がなくてはなりません。
ですから、毎日でんぷんをたくさん食べる日本人はビタミンB1もたくさんとらなければなりません。
とくに仕事をする人、運動やスポーツをする人たちはビタミンB1がたくさん必要になります。
このビタミンB1が足りなくなると、疲れやすくなったり食べ物がほしくなくなったり、かっけになって足がはれ、しびれてきたりします。
穀類の胚芽、大豆、小豆、落花生、大根の葉、生しいたけ、豚肉、動物の肝臓、粉乳、イーストなどは、ビタミンB1をふくんでいる食べ物です。
ビタミンB2
ビタミンB2は、水に溶けるビタミンで、私たちが成長するときになくてはなりません。
これが足りなくなると、成長が悪くなるばかりでなく口角炎というくちびるがただれる病気をおこします。
このビタミンは、肉類、動物の肝臓、牛乳、チーズ、たまご、ニンジンの葉、キャベツ、ホウレンソウ、イーストなどにふくまれています。
ビタミンC
これは、水に溶けるビタミンで、血液の循環を助けるはたらきがあります。
このビタミンCが不足すると、毛細管が破れやすくなり皮膚や粘膜、とくに歯ぐきなどから、よく出血します。
この病気を、壊血病といいます。
食べ物では、ミカン類に多く、ホウレンソウ、キュウリ、ニンジンの葉、大根の葉、茶などにふくまれています。
ビタミンは、いっぱんに新しい食べ物に多くふくまれていますが古くなると、ビタミンがしだいに減ってきます。
ことにビタミンCがいちばん壊れやすいので、野菜や果物などのように、ビタミンCの多いものは新しいうちに食べるようにしましょう。
料理のときも、このビタミンがいちばん失われやすく長い間熟をくわえる料理では、ビタミンCはほとんど壊れてしまいます。
ビタミンD
これは、骨をつくるのに大切なビタミンです。
これが足りなくなると、骨、か弱くなり、子どもでは、くる病にかかります。
ビタミンDが多い食べ物は、肝油、バター、動物の肝臓などです。
その他のビタミン
以上のほかに、よく知られているビタミンに二コチン酸・ビタミンB6・パントテン酸などがあります。
これらは、いずれも、皮膚などの栄養に必要なビタミンで動物の肝臓・肉・魚・脱脂粉乳・大豆などにたくさんふくまれています。
ビタミンB12・葉酸は、貧血の予防に必要なビタミンでB12は、動物の肝臓・貝・肉・魚に、葉酸は、動物の肝臓・野菜・大豆に多くあります。
強化食品
食品の中には、ビタミンなどの栄養素が足りないものがあります。
このような食品に、足りないビタミンをくわえて栄養価を高くする方法がおこなわれています。
白米にビタミンB1やB2をくわえた強化米マーガリンにビタミンAをくわえた強化マーガリンなどがそれです。