硫酸の製法

硫黄や硫黄をふくんだ鉱石を、空気を通しながら焼くと二酸化硫黄(亜硫酸ガス)ができます。


硫酸は、図の式のように、二酸化硫黄を空気中の酸素で酸化して三酸化硫黄とし、さらに水を反応させてつくります。

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しかし、この反応は触媒がなければうまくおこりません。
触媒というのは、化学反応を助けたりさまたげたりして、反応速度を加えるけれどもそれ自身は変化しないような物質のことです。

鉛室法

大きな鉛ばりの部屋(鉛室)の中で二酸化窒素を触媒として二酸化硫黄を硫酸にかえます。

鉛室法による硫酸はあまり純粋ではなくまた、この方法は現在、ほとんど行われなくなりました。

接触法

二酸化イオウと空気を400~550℃に熱した触媒(五酸化バナジウムまたは酸化鉄)の上を通すと、①式のように、三酸化硫黄ができます。

酸化硫黄を水に溶かすと、②式のように硫酸ができます。
三酸化硫黄は、無水硫酸ともいいます。

接触法でできた硫酸は純粋です。

したがって、接触法は、純度の高い硫酸や濃硫酸・発煙硫酸などの製造に用いられています。


硫酸の性質

水をふくまない純粋な濃硫酸はねばりけのある無色の液体で比重は1.84です。

硫酸は、どんな割合にでも水とまざります。
水にその5分の1の容積の硫酸をくわえたものは濃硫酸ほど危険ではないので、使用に便利です。

また実験室では、ふつう、この硫酸をさらに5倍の水でうすめた希硫酸を使います。

硫酸を水でうすめるときには熱が発生して温度があがり、加えた水が急に沸騰して硫酸が飛び散る危険があります。

ですから濃硫酸を水でうすめるときには硫酸の中に水をくわえてはいけません。

水の中に硫酸を少量くわえてよくかきまぜ冷えてからまた少量くわえるようにします。

濃硫酸は、水を吸う性質が非常に強いのでデシケーターに入れて、乾燥剤として使います。

硫酸は水分を吸収するだけではなく化合物の中から、酸素と水素を水の割合でうばいとるはたらきもあります。

たとえば、砂糖や紙などが濃硫酸にふれると水素と酸素が水の割合でとれてあとに炭素が残るので黒くこげたようになります。

このような硫酸が水を吸いとる性質を脱水作用といいます。
このほか、高温の硫酸には、非常に強い酸化作用があります。

硫酸の用途

硫酸は、脱水作用や酸化作用をもっている薬品のうちでは
もっとも安いので、利用範囲が非常に広く、重要な工業薬品です。

硫酸の大部分は、肥料の原料として使われます。

硫酸とアンモニアからつくる硫酸アンモニウム(硫安)は窒素肥料としてもっとも重要なものですしリン酸肥料として大切な過リン酸石灰もリン鉱石に硫酸を作用させてつくります。

硫酸はこのほかにも、いろいろな化学工業で広く使われています。

とくに、火薬・染料・医薬品などの製造には、硫酸はなくてはならないものですし、石油の精製にもぜひ必要です。

また、銅の電解精練などの冶金工業でも重要な薬品です。