直流電動機(直流モーター)
電磁石を使った機械のなかで電動機は近代産業の原動力と言える、もっとも大事な機械です。
工場の機械が動くのも、電車が走るのも、電気洗濯機が動くのも、電動機のはたらきです。
電動機には、交流電動機と直流電動機があります。
ふつう使われているのは、すべて交流電動機ですがはじめに、理解しやすい直流電動機について述べましょう。
二極電動機の作り方
トタン板とエナメル線で、図のような二極電動機をつくってみましょう。
二極電動機はしくみはかんたんですが、力の弱い電動機です。
できあがったら、電池(3~4.5ボルト)につないでみましょう。
はじめに、指で少しまわしてやれば、くるくるとまわり続けます。
まわらないときは、コイルのまき方や整流子の接触をよく調べてみましょう。
界磁と電機子とが離れすぎているとまわりません。
二極電動機のまわるわけ
二極電動機の外側の電磁石を界磁、その内側でまわる電磁石を電機子と言います。
電機子の軸についていて、電機子のコイルに流れる電流の出入り口になっているものを整流子と言います。
図を見てください。
電機子が①のような位置にあるとき電流は、まき線の矢印の方向に流れ、界磁と電機子は、磁石となります。
このとき、むかいあった磁石の極どうしはNとN(またはSとS)になっているので同じ極どうしは退け合って、電機子は右へまわります。
電機子が②のところにくると、右側の界磁のSと電機子のNは引き合って電機子は、ますます右へまわります。
②から③にうつるところで、整機子が反対になるので電機子のコイルに流れる電流が逆になり、いままでNであった電機子の極が急にSになり③の状態になります。
①と③とはまったく同じような状態ですが、それは電機子がまだ半回転しかしていないのに、整流子は①と③では反対になっているからです。
このように、半回転で、界磁と電機子の極の関係はまた前と同じようになり、続けて右へぐるぐるまわるわけです。
二極電動機は、はじめ、指でまわしてやらないと、まわりださないことがあります。
これは、図のような、死点という状態があるからです。
死点のときは、図のように、電機子と界磁の極がNとS、またはSとS(またはNとN)のようにむきあって、吸引力または反発力の向きが電機子を回転させる方向にむいていません。
また、ブラシが2つの整流子にまたがって接触する位置では電流が、ブラシ→整流子→ブラシと流れて電機子には流れません。
死点または死点のすぐそばでは、回転力が0または非常に小さくなりますがいったんまわりはじめれば、勢いで死点を通り越してしまうわけです。
また、界磁はN・Sの極が常に一定ですから、永久磁石を使ってもよいわけです。模型の電動機には、そのようなものもあります。
このように、二極電動機のまわる原理は電磁石のあいだの吸引力・反発力によって回転迎動をおこさせるわけです。
しかし整流子がなければ、せいぜい半回転で止まってしまうでしょう。
整流子によって電流の流れる方向をかえ、電機子のN・Sの極を上手にとりかえて止まることなく回転できるようにしたのが、二極電動機です。
これまで、電動機の動くわけを電磁石と電磁石のあいだの力として説明しましたが図のように、磁界の中の電流にはたらく力としても説明することができます。
すなわち、①の状態では、電流は整流子C1からコイルをabcdの方向に通りますからまえに述べたフレミングの左手の法則で、コイルのcd部分には上向きの力がはたらき、abの部分には、下向きの力がはたらいて電機子は右に回転します。
半回転した②の状態では、電流は整流子がC2にかわっているのでやはり図のように右にまわる力がはたらいていて回転を続けます。
三極電動機の作り方
二極電動機は死点があるために、まわりはじめに指でまわしてやらなければならないような欠点があります。
この欠点をなくすために、三極電動機が考えられました。
三極電動機には電機子の極が3つあり、整流子も3つあって死点ができない特徴があります。まわる原理は、二極の場合と同じです。
立流電動機は電車によく使われていますが速度をかえるのに便利なことと、スタートのときの力が強いので電車の運転に適しています。
電車の電動機は多極電動機ですから三極電動機より力が強く、回転もなめらかです。
東海道新幹線では、交流き電方式といって、パンタグラフに送られる電気は交流ですが、列車の中で交流を直流にかえ、直流電動機をまわしています。
これは、電気を送るには交流のほうが便利がよいためです。
いっぽう、直流電動機は電車を動かすのに適しているからです。