磁石の性質

物が落ちるのは、物と地球とのあいだに万有引力があるからです。
このことに気づいたのはイギリスのニュートンでした。

太陽や月や星の運動もこの万有引力によって説明されています。
しかし、机の上に2つの物をおいても万有引力で近づくということはありません。


星と星とか地球と物とか、いっぽう、または両方が非常に大きい物でないと万有引力も大きな力にならないからです。

ところが、小さい物どうしのあいだで引き合ったり、跳ね返したりする力がはたらく場合があります。

物が電気を帯びた場合(摩擦電気)と、磁気を帯びた場合です。
この2つの現象はむかし、古代ギリシアの時代からわかっていました。

電気は、こはくと絹を摩擦するとおきたので英語のエレクトリシティー(電気)という言葉はギリシア語のこはくという言葉からでたのです。

また当時、リディア(小アジア)のマグネシア地方から磁鉄鉱が出てこれが磁気をもっていたので、磁石をマグネットとよんだのだと言われています。

ところで、電気とか磁気とかいう名に、引っ張りあったり跳ね返したりする力の原因につけられたもので電気と磁気は全く別な現象として考えられていたのです。

その後、イタリアのボルタによって電池がつくられ電気の流れ、すなわち電流が発見されデンマークのエ-ルステッドは鉄に電線をまいて電流を通すと磁石がつくられることを発見しました。

こうして、電気と磁気は、非常に深いつながりのあることがわかってきたのです。

電流を通して磁石をつくり、それを利用した機械や器共には電信機・電動機・ベル・スピーカー・電流計・クレーンなど私たちの生活にかくことのできないものが、たくさんあります。

N極とS極

はじめに、いちばんかんたんな棒磁石について、その主な性質を調べてみましょう。

いま、鉄粉を棒磁石にふりかけてみると写真のように鉄粉は磁石の両はしだけにたくさん吸いつけられます。

bandicam 2015-04-19 19-28-57-613-min

また、釘を磁石に近づけると、両はしでは強くひきつけられ中央の部分ではなんの力も感じないことがわかります。

この磁石の力の強い両はしを磁極と言います。

実験

棒磁石と磁針を用意します。
磁針は、多くの場合、黒くぬったほうがN極で、北を指すはずです。

そこで、磁針の板に北(N)と書いてある方向に磁針を重ねれば磁針の板の東・西・南・北が、実際の方角をしめします。

ところで、棒磁石のN極を、磁針のN極に近づけると、どうなるでしょう。
磁針のN極は、棒磁石から遠ざかるようにまわります。

つぎに、棒磁石のN極を、磁針のS極に近づけると、磁針のS極が近よってきます。

棒磁石をもちかえて、S極でも同じような実験をすれば棒磁石のS極と磁針のS極は退け合い棒磁石のS極と磁針のN極は引き合うことがわかります。

このことから、同じ磁極(SとS、またはNとN)は退け合い違う磁極(NとS)は引き合うということがわかります。

そこで、S極にある磁気とS極にある磁気とは性質が違うので、N極にある磁気を+、S極にある磁気を-と言うこともできます。



磁力

まえの棒磁石と磁針を使った実験から、棒磁石のN極と磁針のN極、またはS極とS極は互いに退け合い、N極とS極は互いに引き合うことがわかりました。

このような磁石の力を、磁力と言います。

分子磁石

棒磁石を2つに折ると、2つの磁石になります。
折るまえに磁気のなかった真ん中のところにNとSがあらわれるのです。

また、これをさらに2つに折ると4つの磁石ができます。
縦割りしても、細長い4つの磁石ができます。
これを何回も繰り返したと考えてごらんなさい。

1つの磁石は非常に小さな磁石の集まりと考えることができます。
このように考えられた、非常に小さな磁石を分子磁石と言います。

この考え方は、あとに出てくる電磁石の説明に使われる大事な考え方です。

こんどは逆に、2つの磁石のNとSの極を引きあわせてくっつけてみると1つの磁石になってしまいます。

まえに棒磁石の真ん中には磁気がないと言いましたが実はそうではなくて、NとSの磁気が互いに打消し合っているのです。

それで、磁石は両はしにしかないように見えるわけです。

磁力線

磁石を乾いた砂の中に入れると、黒い粉がたくさんついてきます。
これは砂鉄と言って、細かい鉄の鉱石です。

砂鉄をガラス板の上にまいて、ガラスの下に磁石をおきガラスをかるくたたくと、写真のようにきれいな模様ができます。
よく見ると、砂鉄がつぎつぎとつながって曲線になっていることがわかります。

これを、磁力線と言います。

実験

白い紙の上に磁石をおいて、そのまわりの磁力線の様子を小さな磁針で調べてみましょう。
まず、どこでも磁石の近くに磁針をおきます。

説明の都合により、磁針の位置は磁石のS極よりはN極に近いとします。
磁針のN極の先にあたるところに、えんぴつで印をつけます。

つぎに、いま印をつけたところに磁針のS極がくるように磁針を動かしまたN極の先に印をつけます。
これを何回もくりかえし、印をつけた点をむすんでいくと磁力線を描くことができます。

こうして描いた磁力線は磁石の極と極とをむすぶ形となります。
そこで、磁力線の方向として、磁力線はN極からでて、S極に入ると決められています。
N極の磁気は+ですから、磁力線は+の磁気からでて、-の磁気に入るとも言えます。

磁界

磁石の力(磁力)のはたらいている範囲を、磁界と言います。
磁界の中に磁針をおいたとき、磁針のN極が指す方向が磁界の方向です。

砂鉄は1つ1つが小さい磁針と考えられ磁界の方向を指して模様をつくるのです。

地球と磁石

磁針の針が南北を指すのは地球自身が1つの大きな磁石になっているのではないか、ということが考えられます。

実際、地球は1つの大きな磁石で地球の北極の近くに磁石としてのS極があり、南極の近くにN極があります。

ですから、地球上では磁針のN極は地球の北極にあるS極と引き合って北を指すことになります。