ディーゼル機関のしくみとはたらき
ディーゼル機関には、気化器がありません。
空気だけを吸いこみ、圧縮行程で空気だけを、30~40気圧に圧縮します。
これは、ガソリン機関よりも、はるかに圧縮の程度が高いので押し縮められた空気の温度はずっと高くなり、600度くらいになります。
この圧縮空気の中に燃料を細かい粒にして吹き込むと燃料は空気の高熱で自然に火がつき、燃え広がっていっそう高湿度・高圧力になります。
このために電気点火のしくみはいりません。
ディーゼル機関の燃料にはガソリンよりはるかに揮発性の少ない軽油や重油が用いられます。
燃料噴射
燃料をふきこむことを燃料噴射と言い、噴射ポンプ・噴射管および噴射弁を使います。
このうち噴射ポンプは燃料を圧縮するしくみでその圧力は、250~500気圧にもなります。
この高圧の燃料を、丈夫な噴射管の中を通して、噴射弁に送ります。
そして噴射弁にある、3~8個の小さい穴からシリンダの圧縮空気の中に、ふきださせます。
燃料のふきでる速さは、たいへん速いのでちぎれて細かい粒となり、速く燃えるのに都合よくなります。
ディーゼル機関はドイツ人のルドルフ・ディーゼルが今世紀のはじめころに発明した機関です。
その後、たいへんに進歩したので現在では、熱効率は40パーセントを越しています。
ディーゼル機関のいろいろ
ディーゼル機関は、大きな船から小さい船までいろいろな種類の船のプロペラをまわす動力として用いられています。
また、船の中で発電したり、ほかの機械類をまわすのにも使われます。
これには、値段の安い重油を使うので、運転の費用が安くつきます。
重油はガソリンにくらべて引火点が高いので火がつく危険が少ないことも都合のよい点です。
大型船の大馬力のディーゼル機関は、全部水冷二行程式です。
シリンダは、直列四シリンダから直列九シリンダのならべ方があります。
現在、もっとも大馬力のものは、シリンダの直径が86センチ、ピストンの動く距離が1メートル60センチもあり直列9シリンダで約2万馬力をだします。
二行程式ディーゼル機関では、掃気ポンプで空気を押しこみます。
これには、ピストンを使ったポンプが多いのですが排気タービンを使った、遠心送風機も使われるようになりました。
100~200馬力の機関は遠洋漁業の船に用いられ、水冷四行程式につくられています。