ボイラのいろいろ
大きさの折り合いに、強い力を出す蒸気機関をつくるにはまず、高い圧力の蒸気をつくらなければなりません。
蒸気をつくるためには、いろいろなボイラが工夫されています。
ボイラは、燃料から出た熱をできるだけたくさん水に伝えるようなしくみでなければなりません。
横がまと縦がま
このボイラは、かんたんなしくみで、おもに小さな工場で使われています。
工場用の横がまは、ふつう10気圧まで、縦がまは6気圧までの蒸気をつくります。
また、蒸気機関をすえた船ではどう体の直径が大きく、奥行の短い船用がまが使われます。
これは、20気圧くらいまでの蒸気をつくります。
これらのボイラは、燃料を燃やす部分の炉と、水の入った部分とにわかれます。
炉のたき口の底には、火ごうしがあります。
この火ごうしの上に、たき口から石炭を投げこんで、燃やすのです。
水管式ボイラ
このボイラは、中にたくさんの管があって水が管の中を通り、燃料が燃えて出来た炎や、熱い気体は管のあいだを通ります。
このような管を使うと熱が伝わる面積が非常に大きくなり熱を無駄なく水に伝えることができます。
はたらきのよい水管式ボイラでは、燃料を燃やしてできる熱のうち90パーセントくらいまでを、水に伝えることができるほどです。
そして30気圧以上の圧力の蒸気をつくることができます。
発電所などでは100気圧以上もある蒸気をつくるボイラがあります。
燃料には、細かい石炭(粉炭)やさらに細かく砕いた微粉炭、重油、原油などが用いられます。
重油や原油を燃やすときには、バーナーという燃焼装置を用います。
燃料をよく燃やすためには、空気(酸素)が必要ですので高い煙突をたて、その通風力を利用したり、送風機で空気を送りこんだりします。
飽和蒸気と過熱蒸気
ボイラの中では、水が湧きたって、蒸気がいっぱいになっています。
このとき、水と蒸気は、同じ温度になっています。
そして、この温度は、圧力によって決まります。
このような蒸気を、飽和蒸気と言います。
高い温度の飽和蒸気は、圧力も高くなります。
温度100度の飽和蒸気の圧力は、1気圧ですが150度の飽和蒸気は5気圧になります。
さらに、温度を上げていくと、ボイラの中の蒸気の圧力もどんどん上がります。
そして、360度では約190気圧になります。
このような飽和蒸気の温度と圧力の関係は実験でくわしく測定され、蒸気表として発表されています。
つぎに、飽和蒸気だけを取り出して熱すれば圧力をそのままで、いくらでも高い温度にすることができます。
このように、高い温度の蒸気を過熱蒸気と言い、熱するしくみを過熱器と言います。
飽和蒸気は、温度が少しでも下がると、すぐ水になってしまいます。
それで、飽和蒸気を使った蒸気機関のなかには、水がたまりやすくなります。
しかし、過熱蒸気を使えば、このようなことは起こらず、熱効率もよくなります。
そのため水管式ボイラには必ず過熱器が取り付けてあります。