定滑車と動滑車
溝のついた車が、軸のまわりをまわれるようにしたものを滑車と言います。
この滑車は、使い方によって、2つの種類にわけられます。
滑車の軸を、動かないように、しっかりと枠に取り付けて溝にかけたひもを引くと車だけがまわるようにしたものを定滑車と言います。
また、軸が動くようになっていて、ひもをひくと、車がまわりながら
滑車全体が動くようにしたもりを動滑車と言います。
私たもの使っている機械には滑車のはたらきを利用したものが、たくさんあります。
定滑車のはたらき
定滑車にかけたひものはしに重りを結びつけてもう一方のはしをひくと重りがあがっていきます。
ひもをひく力は、下向きにはたらいていますがこの力が、ひもを通して重りに伝えられるときには上向きの力になっています。
このように定滑車では、上から下へひっぱる力で重りを下から上へ持ち上げるわけですから力の方向をかえるはたらきをします。
下向きの力で、重りを上にひきあげることができるのは私たちにとって、たいへん便利なことです。
もし、重りにひもをつけて、直に上にひきあげなければならないとすると、自分が高いところにのぼっていなければなりません。
そのうえ、悪い足場で、不自由な姿勢で力を出さなければならないので大きな力は出せません。
ところが、定滑車を使うと、便利な足場を、自由に選ぶことができます。
また、自分の体重を利用して、ひもをひけばよいわけですから楽に大きな力が出せることになります。
それでは、ひもをひく力は、どれほどいるでしょうか。
写真のように、ひもの両はしに同じ重さの重りをつけるとつりあって動きません。
しかし一方の重りを、ほんの少しだけ増してももう一方の重りが引き上げられます。
このことから、ひもをひく力は重りの重さと同じでよいと考えられます。
定滑車は、ちょうど真ん中が支点になっているてこと考えることができます。
支点から作用点までの距離と、力点までの距離は、滑車の半径です。
このようなてこは、両側の力が等しいときに、つり合います。
動滑車のはたらき
動滑車では、力の向きはかえられませんが力の得ができます。
このわけを、下の写真のようにして、調べてみましょう。
まず、①の写真のように重りを滑車につるして全体の重さを、ばねばかりで測ります。
つぎに、②の写真のように滑車にひもを通して動滑車のしくみにし一方のひものはしに、ばねばかりをつけて、その目もりを読みます。
すると、ばねばかりがひもをひいている力は①のときの2分の1になっていることがわかります。
これは、動滑車と重りをつるしているのは1本のひもではなくて、2本のひもであるからです。
もちろん滑車に通してあるひもは、続いている1本のひもですが動滑車の一方のはしから入って他方のはしから出ているので動滑車の両はしをあわせて1本のひもでつるしていることになるのです。
このことは、棒の真ん中に荷物をつるしふたりでその両はしを持ち上げれば、ひとりが出す力は荷物と棒の重さの、半分の力ですむということと同じです。
この場合、棒の一方のはしを人が持つかわりにひもでどこかにつるしても、同じです。
このように動滑車のしくみを使うと、ひもを引く力は滑車と重りの重さの半分でよいことになります。
これが、動滑車のはたらきです。
また、動滑車は、図のように、支点がはしにあって作用点が真ん中、力点がもう一方のはしにあるてこと考えることもできます。
このてこでは、支点から作用点までの距離は滑車の半径にあたり、支点から力点までの距離はその2倍(直径)になっています。
このことからも、力が半分でよいことがわかります。
動滑車の重さは、重りの重さにくらべるとごく小さいのがふつうですから、動滑車の重さは考えにいれないことにします。
すると、動滑車で重りを上げるとき、ひもを引く力の大きさは重りの重さの半分でよいことになります。
動滑車だけで重りを上げるには上向きにひもをひかなければならないので、たいへん不便です。
そこで、下向きに引く力で重りを上げられるように、いつも定滑車と組み合わせて使います。