歯車のはたらき
動く部分がある機械には、ほとんどと言ってよいほど歯車が使われています。
とくに、時計やゼンマイで動くおもちゃなどは歯車ばかりで出来ていると言ってもよいでしょう。
歯車は、摩擦車や、ベルトとベルト車などと同じように回転数や回転の向き、回転軸の方向や回転力の大きさなどをかえて必要な回転運動を伝えるしくみの1つです。
摩擦車と歯車
摩擦車では、2つの車が強く触れ合っていないと滑って空回りすることがあります。
また、伝える力が大きすぎると、まわす力がでないで滑ってしまいます。
この滑りをなくすためには、両方の車のふちに、互いにかみあうぎざぎざの歯をつければよいわけです。
かんたんなものには、はね車のように車のふちに、平たい板を等しい間隔で取り付けたものがあります。
たとえば、おもちゃの歯車には一方に、はね車の形のようなものを他方には、車のふちに鋼線をならべてつけたものがあります。
このような歯車では回転が滑らかにいかなかったり歯の形がすぐ壊れたりして、よい歯車とは言えません。
そこで、精密な機械に使ったり大きな力を伝える歯車には特別な歯をもった歯車がつくられています。
歯車に使われている材料も、その使い道によって、違いがあります。
強い力でかみあう場合には、鋼鉄や特殊のプラスチックでつくります。
それほど力が強くないときには黄銅や、ふつうのプラスチックなどでつくります。
歯車の回転の向きと回転数
2つの歯車を組み合わせて、回転運動を伝える場合その回転の向きは、いつも互いに反対になります。
はじめの歯車と同じ向きにまわしたいときには歯車をもう1つ使えばよいわけです。
回転軸の方向をかえたいときはかさ歯車や、ねじ歯車のような、歯のつけ方の違った歯車が使われます。
回転数は、摩擦車の場合は、車の半径に反比例しますが歯車では、歯の数に反比例します。
たとえば、図のように、A・Bの歯車の歯数がそれぞれ60枚と30枚あるとします。
Aの歯車に動力がついていて、Aを1回転させると60÷30 = 2で、Bの歯車は2回転します。
したがって、Aが1分間に100回まわれば、Bは200回まわります。
面の数が3分の1、4分の1、5分の1……になると回転数は3倍・4倍・5倍……になります。
反対に、歯の数が2倍・3倍・4倍……となれば回転数は2分の1、3分の1、4分の1……になります。
いろいろの歯数のものを、いくつも組み合わせると回転の速さを、必要な大きさにすることができます。
歯車の術の数が多くて数えにくいときには、摩擦車のように半径、または直径をくらべて回転数を決めても、あまり違いはありません。
これは、歯車の中心から、歯と歯がかみあう点までを半径とする円が歯車の歯の数に比例しているからです。
歯車の回転力
歯車の場合も、摩擦車や、ベルトとベルト車の場合と同じように車の半径が大きいほど、回転力は大きくなります。
正確には、回転力は、歯の数に比例します。
たとえば、歯の数が、2倍・3倍・4倍……になれば回転力も2倍・3倍・4倍……となります。
モーターで動くおもちゃの乗り物を調べてみると図のように大小の歯車を使って回転数を小さくし回転力を増やすようにしてあります。
モーターの回転は速いのですが回転力が小さいので、このようにして力をつけているのです。
ぜんまいで動くおもちゃでは、②図のように2組みの歯車で回転数を増し、回転力を小さくしています。
ぜんまいは、強い力で軸をまわしますがこれに歯車を組み合わせると回転力が小さくなり、回転数が増します。
これらの組み合わせ方は、実際の機械にもたくさん利用されています。