毛管現象と水の高さ
細い穴の通ったガラス管(これを毛管という)の下のはしを水槽に入れます。
このとき、毛管の内面がきれいであれば、水は内面を濡らしながら毛管の穴を通って、ある高さまであがります。
このときの毛管内の水面を注意してみると、下側にくぼんでいます。
こんどは、同じ毛管の内面に油を塗って、水に立ててみるとまえとは反対に、毛竹管の水は下がってしまいます。
このときの毛管内の水面は、まえと反対に、上側にもりあがっています。
このような現象を毛竹現象と言います。
これも、表面張力によって起きる現象の1つです。
内面がきれいなガラスの毛管ではガラスが水に濡れてその管内の水面は、下側がくぼんだ形になっています。
ところが、このような面は水平な面よりも表面積が広いので表面張力のはたらきは、この面を水平にしようとして下の水までもひきあげてしまいます。
そして、水面があがって水平になると水はガラスをぬらす性質があるので、また下側にくぼんだ形になります。
そこで、また同じことが繰り返されて水面が高くあげられしまいにはくぼんだ水曲をもちあげようとする表面張力とその下の水の柱の重さとが、同じになってしまいます。
つまり、そこまで毛管内の水面が表面張力によってあげられたことになるのです。
また、毛管内か水で濡れないようにしてある場合にはまえと反対で管内の水面は上にとがった形になります。
こんどは、表面張力によって、水面が押し下げられることになるのです。
そして表面張力の押し下げようとする力と面の深さによって決まる水圧とは、同じになるところまで下がってつり合うことになります。
水銀の中に、ガラスの毛管を立てる場合にはいつでも毛管内の水銀面が下げられます。
また、毛管現象によってあがる水の高さは毛管の穴の太さによって違います。
穴が細いほど、管内の水面の曲がり方が激しくなり表面張力の効果が大きくなるので、水は高くあげられます。
同じ穴の太さの毛管でも、液体の種類が違うと、あがる高さも違います。
これは液体の種類によって、表面張力も密度も違うからです。
このことを利用して、いろいろな液体の表面張力の強さを測ることができます。
日常見られる毛管現象
てぬぐいの一方のはしを水につけておくとしだいに上のほうまで濡れてくるのは水が布目を毛管としてあがってくるためです。
すい取り紙のはたらきも、万年筆の先にインキを送るしくみも毛管現象に基づくものです。
また、下の図のような自記温度計や乾湿球湿度計などに使われている記録用のペンも、万年筆のペンと同じしくみです。
そのほか、大きな木が、根で吸った水を高い先の葉まで運ぶことができるのも1つにはこの毛管現象の助けによっているのです。