毛管現象とは?日常見られる毛管現象とは? わかりやすく解説!

毛管現象と水の高さ

細い穴の通ったガラス管(これを毛管という)の下のはしを水槽に入れます。

このとき、毛管の内面がきれいであれば、水は内面を濡らしながら毛管の穴を通って、ある高さまであがります。

このときの毛管内の水面を注意してみると、下側にくぼんでいます。


こんどは、同じ毛管の内面に油を塗って、水に立ててみるとまえとは反対に、毛竹管の水は下がってしまいます。

このときの毛管内の水面は、まえと反対に、上側にもりあがっています。

このような現象を毛竹現象と言います。
これも、表面張力によって起きる現象の1つです。

内面がきれいなガラスの毛管ではガラスが水に濡れてその管内の水面は、下側がくぼんだ形になっています。

ところが、このような面は水平な面よりも表面積が広いので表面張力のはたらきは、この面を水平にしようとして下の水までもひきあげてしまいます。

そして、水面があがって水平になると水はガラスをぬらす性質があるので、また下側にくぼんだ形になります。

そこで、また同じことが繰り返されて水面が高くあげられしまいにはくぼんだ水曲をもちあげようとする表面張力とその下の水の柱の重さとが、同じになってしまいます。

つまり、そこまで毛管内の水面が表面張力によってあげられたことになるのです。

また、毛管内か水で濡れないようにしてある場合にはまえと反対で管内の水面は上にとがった形になります。

こんどは、表面張力によって、水面が押し下げられることになるのです。
そして表面張力の押し下げようとする力と面の深さによって決まる水圧とは、同じになるところまで下がってつり合うことになります。

水銀の中に、ガラスの毛管を立てる場合にはいつでも毛管内の水銀面が下げられます。

また、毛管現象によってあがる水の高さは毛管の穴の太さによって違います。

穴が細いほど、管内の水面の曲がり方が激しくなり表面張力の効果が大きくなるので、水は高くあげられます。

同じ穴の太さの毛管でも、液体の種類が違うと、あがる高さも違います。
これは液体の種類によって、表面張力も密度も違うからです。

このことを利用して、いろいろな液体の表面張力の強さを測ることができます。



日常見られる毛管現象

てぬぐいの一方のはしを水につけておくとしだいに上のほうまで濡れてくるのは水が布目を毛管としてあがってくるためです。

すい取り紙のはたらきも、万年筆の先にインキを送るしくみも毛管現象に基づくものです。

また、下の図のような自記温度計や乾湿球湿度計などに使われている記録用のペンも、万年筆のペンと同じしくみです。

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そのほか、大きな木が、根で吸った水を高い先の葉まで運ぶことができるのも1つにはこの毛管現象の助けによっているのです。




表面張力とは?表面張力の利用とは? わかりやすく解説!

表面張力

容器に入っている水の面は、いつでも水平ですが毛布やほこりの積もった床などに落とした水滴は、ほぼ球形になっています。

また、スイレンやイモの葉の上にある水滴も、丸い玉になっています。
水道管からぼたぼた垂れている水や雨粒も空中ではだいたい球形になっています。

また、コップに水を静かに注いでいっぱいにしてからなお水を加えていくと水はこぼれないで、水の山もりができます。

このほかにも、私たちの身のまわりにはこれに似た現象がいろいろ見られますがいずれも水の表面の性質によるのです。


水には、その表面積を、できるだけ小さくしようとする性質があります。
この性質のために、水の表面には、力がはたらいているのです。

水ばかりでなく、どんな液体にも、このような性質があってその裏面に力がはたらいています。
そこで、この力を液体の表面張力と呼んでいます。

この力があるために、液体の表面にはうすい膜があってその膜が、いつも小さく縮もうとしています。

小さな水の粒が球形になろうとするのも、表面張力のためです。
まるい球の形は、体積が一定であるときいちばん小さい表面積をもった形なのです。

コップの水がこぼれでるには、水がいっぱしになったうえにもっと表面が広くならなくてはなりません。
ですから表面張力のほうが、横に流れでる力よりも強いあいだは水の山もりができるのです。

実験1

鉄は水に沈みます。
ところが、油をぬった針を静かに水面におくと水に浮かべることかできます。

針の置き方は、図のように、ろ紙を使うのがよい方法です。

水にぬれない針は、まず自分の重みで、水面の膜をくぼまします。
そのために表面がわずかに広くなるので、表面張力はそのくぼんだ面をもとにもどそうとはたらきます。

この力が、針を支えているのです。

これとまったく同じ原理で、水面を運動する動物がいます。
それは、池などにいるアメンボやミズスマシの仲間です。
ちょうど、水面のうすい膜の上を氷すべりでもしているように走っていきます。

実験2

一方のガラス管が短いU字管を用意して長いガラス管のほうから、静かに水を入れてやります。

短い管が水でいっぱいになっても、なお水を加えると、水はこぼれないで、図のように管の水面が違ったままでつりあっています。

このとき、短い管の水面は、半球状にもりあがっています。

これも、表面張力のはたらきです。
短い管の水面が半球状にもりあがっているので平らな場合よりも、表面が広くなっています。

そのため、表面張力は球面を下げるようにはたらくので長い管の水面はその力につりあう分だけ、高くあがることができるわけです。

実験3

針金で、コの字形のわくをつくり、2本の針金の先を図のように曲げて、それに針金(A)をわたしておきます。

これを石鹸液に入れて静かに鉛直に引き出すとわくにうすい石鹸の膜ができます。

さらに、わくを静かに傾けて、水平に近づけていくと針金が膜でひきあげられるようになります。

この場合、石鹸液にも、表面張力があります。
そのため、石鹸の膜はできるだけ表面積を小さくしようとして針金を内側に引いているのです。

ところが動くのは針金だけですが、針金(A)には重力が別にはたらいているので、その重力よりも大きくなければ動かすことはできません。

わくを傾けると、針金にはたらく重力は図のようにわけて考えられます。
そして、しまいには表面張力のほうが大きくなって針金を引き上げるのです。

走る小舟

表面張力を利用したおもしろいおもちゃがあります。
夏の夕方、えん日などで見かけるセルロイドの小さな船です。

この船のうしろに、しょうのうの小さな白いかたまりを1つつけて水に放すと小舟は生きてでもいるように、いつまでも水面を走りつづけます。

この小舟の動力が、実は表面張力なのです。
しょうのうが水に溶けると、溶けた水の表面張力が小さくなります。

そのために、小舟のまえとうしろでは、表面張力の違いができ小舟は大きな表面張力のはたらく方向へ動きだすのです。



散弾の製造

ウサギや小鳥をうつのに使われる猟銃弾は散弾といって、小さな鉛の玉がたくさん入ったものです。
この鉛の玉の製造には表面張力が上手に利用されています。

はじめ、高温に熱して溶かした液状の鉛を適当な大きさの穴の開いたふるいのようなものから下の水の中へふるい落とします。

穴からふるい落とされた液状の鉛は空中を落ちているあいだに表面張力のはたらきで小さな球形になります。
これがそのまま水におちこんで、急に冷やされ、鉛の玉になるのです。

この場合、ふるいの位置があまりに低すぎるときれいな球形の玉ができません。

シャボン玉

シャボン玉とゴム風船はよく似ていますがこの玉が縮もうとする力はゴム風船ではゴムの弾力ですがシャボン玉では石鹸の膜にはたらく表面張力です。

いま、ここに、大きさも厚さも同じ2つのゴム風船を用意して一方を大きく、他方を小さくふくらませます。

それを図のように、ガラス管の両はしにとりつけます。
すると、大きいほうから、小さいほうのゴム風船に空気が流れて同じ大きさになってつりあいます。

ところが、図のように、シャボン玉で同じような実験をしてみると小さいほうから大きいほうのシャボン玉に空気が流れて小さいほうは、ますます小さくなってしまいます。

この実験からわかることは表面張力はゴムの弾力とは違うということです。

ゴム風船の場合には、大きくふくらんだほうがもとにもどろうとする弾力が強くなります。

しかし、シャボン玉では、面の曲がり方が大きいほどつまり、小さいシャボン玉ほど、表面張力の効果が大きくなるのです。

容器の壁と液体

ガラスの容器に入れられた水の面はガラスの壁の近くでは水平になっていません。

ガラスの壁がきれいで、水に濡れやすくなっているとその面は、図のように、上に曲がっています。

また、もし、ガラスの壁に油をぬって、水に濡れないようにしておくとこんどは反対に下に曲がります。

水がガラスの壁を濡らす場合には、ガラスの壁は水を持ち上げて図の下のような実線でしめす形の水面になります。

これでは、水の表面が広くなるので、表面張力のはたらきによって図の点線の形にして安定を測るのです。

反対にガラスの壁が濡れない場合には、はじめ実線の形をとろうとしますが、これも表面張力のはたらきで、図の点線の形になります。

また水銀は、ガラスを濡らさないのでガラスの容器に入れられた水声にガラスの壁の近くでは、いつでも下に曲がった面になります。




水準面と水平面とは?連通管の利用とは? わかりやすく解説!

水準面と水平面

糸のはしに小石をつけてたらすと、糸はまっすぐな直線状になります。
この糸の方向を鉛直方向と言い、その線を鉛直線と言います。

いま、水槽に水を入れ、図のように糸をたらしてその糸と水面との関係を調べてみると水面は糸の鉛直線に垂直になっています。

静かな池の水面でも、同じことがわかります。
このような性質のある水面を、水準面と呼んでいます。

ところが、鉛直線は地球の中心にむかう線であり地球はほぼ球形であることを考えると、広い水準面は球面状になっていなくてはなりません。

水槽に入った水の表面や、小さな池の水面などでは地球が非常に大きいので、その曲がり方がわからないだけなのです。

容器に入った水の面を平らに伸ばしてみると図のように、水凖面とは違った面が得られます。

これを、水平面と呼んでいます。

したがって、容器中の水準面は、いつでも水平面だと言えます。


連通管

いくつかのガラス管を、底でつないだ容器を、連通管と言います。

水の入った連通管の水面は、どれも水平面になっていてこれらのうちのどれか1つの水面を平らに伸ばすとどの管の水平面も同じ高さになります。

このわけを、図のようなU字管の連通管で調べてみましょう。

U字管の底をつなぐガラス管に、図のような1つの面を考えると水が静止しているためには、この面を押す右からの水圧も左からの水圧も、同じ大きさでなくてはなりません。

ところが、水圧の強さは、水面からの深さだけできまりますからこの2つの水圧が等しくなるためには、両方の管の水面が同じ水平面であればよいことになります。

連通管の利用

ボイラなどのように、中を通して見えない物に入っている水の量を知るのには、水位計が使われます。

これは、細いガラス管になっていて連通管の原理によって、ガラス管の水面と同じ高さまで、水があることがわかるしくみになっています。

水準器

水平を確かめるための道具に、水準器があります。

これは下の写真のように、曲がったガラス管にエーテルがエーテルとアルコールの混じった液を入れ空気をわずかに残して両はしを閉じたものです。

ガラス管の気ほう(閉じ込められた空気)がちょうど中央で止まっていれば、その水準器は水平なのです。




浮力が利用されているものとは? わかりやすく解説!

船は、鉄でつくられていますが、水に浮かびます。
洗面器や茶碗なども水に浮かびますが水が容器の中に入りすぎると沈んでしまいます。

言い換えれば、容器の内部の空気を水におきかえると沈んでしまいます。
このことから、物が浮かんでいるためには内部の空気が大切なはたらきをしていることがわかります。

たとえば、茶碗をとって、このわけを考えてみましょう。

浮いている茶碗がおしのける水の体積は図の水面下の斜線の部分の体積に等しいはずです。

この体積のうち、比重が1より大きな瀬戸物でしめる体積の割合いは極めて小さく、その大部分は、水よりはるかに軽い空気です。

しかし、空気の部分でおしのけた水の重さも浮力としてはたらくので、茶碗が浮くようになるのです。

このように、材料でおしのける水の重さよりも空気でおしのける重さのほうを大きくするように工夫すればたとえ材料の比重が1より大きくてもその物を浮かせるだけの浮力をつくることができます。

船が浮かぶわけも、茶碗と同じです。


比重の測定

浮力を利用して、いろいろな物の比重をかんたんに測ることができます。

水に沈む物の比重

たとえば、石の比重を測るには、まず石の空気中での重さを測ります。
つぎに、水中での石の重さを測れば、石の比重がもとめられます。

水に浮く物の比重は、もちろんこの方法では、測れません。

その場合には、その物を静かに水中におしこんでしまうまでに流れでた水の重さを測り、それで空気中の重さをわればその比重をもとめることかできます。

液体の比重

油の比重は、油に沈む物の重さを、つぎのように測れば、もとめられます。
たとえば油に沈む物として、石を選んだとするとまず、空気中での石の重さ(W)を測ります。

つぎに、水中での石の重さ(Q)と油の中での石の重さ(P)をはかります。

そして、つぎの式から、油の比重をもとめます。

浮きばかり

浮きばかりは、液体の比重をかんたんに測るためのものです。

これを測ろうとする液の中に浮かべその液面の目もりを読みとれば、それが比重になります。

浮きばかりの目もりには、その目もりより下の部分の体積で浮きばかり全体の重さを割った値が、書きこまれています。

いま、この浮きばかりをある液に浮かせてみて液面の目もりが1.3であったとします。

すると、この目もり以下の体積に等しい液体の重さが浮力としてはたらき、それが浮きばかり全体の重さとつりあっているはずです。

したがって、目もり1.3は、この液体の密度だということになります。
密度も比重も同じあたいですから、これを比重といってよいのです。

浮き

海水よく使われる、浮き輪や浮きボート、港や海岸などで見かける浮標なども、浮力を利用したものです。

そのほか、自記雨量計で雨量を測るときやガス湯わかし器で水の量を加減するところなどに浮きが上手に利用されてします。




水による浮力とは?アルキメデスの原理とは?

水による浮力

ガラスの欠片を、水に浮かべようとしても、沈んでしまいます。
ところが、空のガラス瓶は、浮かびます。
また、木片は、内部が空でなくても浮かびます。

空の瓶でも、その中に釘のようなものを入れていくとだんだん沈むようになり、しまいにはまだ中に空気が入っていても沈んでしまいます。

このように、物が浮かんだり、沈んだりするのはどんな条件で決まるのか、調べてみましょう。


水中での物の重さ

水の中では、物の重さは、どうかわるか、つぎの実験をして調べてみます。

実験1

用意するものは、おしばね兼川のばねばかり大きいビーカー、小さいビーカー、上ざらてんびん、糸、小石、木片です。
大きいビーカーの口にパラフィンをぬって水の表面張力をふせぎます。

① 小石を糸でゆわえつけ、空気中での重さを、ばねばかりではかります。

② 大きいビーカーを少しななめにして水があふれでるくらいにしておきます。

図のようにばねばかりにつるした小石をビーカーの底につけないようにして、水中での重さをはかります。

③ こぼれでた水を、小さいビーカーにとりその水の重さを上ざらてんびんではかります。

水の重さのはかり方は、空のビーカーの重さをあらかじめはかっておき、つぎの式でもとめます。

(水の入ったビーカーの重さ)-(空のビーカーの重さ)=水の重さ

実験2

こんどは木片を用意します。

① 木片の重さを空気中ではかります。

② この木片を静かに水に浮かべ、このとき流れでた水をビーカーにとって、その水の重さをはかります。

③ 木片をおしばね兼用のばねばかりで、静かに水中に沈めます。
そして、木片が完全に水につかったときのばねばかりの目もりを読みとります。

ばねばかりで読みとった重さは浮いている木片を完全に沈めるために必要な力です。
このとき流れでた水を別のビーカーにとって、その水の重さをはかります。

④ 木片を、水中深く沈めたときと、浅いときとでばねばかりの目もりに違いがあるかどうかを確かめます。

これらの実験から得た結果をくらべてみるとつぎのようなことがわかります。

(実験1)から小石の空気中での重さは水中での重さと、こぼれでた水の重さの和に等しい。

(実験2)から(1)木片の空気中での重さは木片を浮かべたときにこぼれでた水の重さに等しい。
(2)浮かんでいる木片を、完全に沈めるために必要な力はそのとき流れでた水の重さに等しい。

(3)②と③のとき、流れ出た水の重さを加えたものは空気中での木片の重さと木片を完全に沈めるために必要な力とを加えたものに等しい。

(4)木片を完全に沈めるために必要な力は水の深さで、かわることはない。



アルキメデスの原理

実験の結果を上手に説明するためには、水中での物体はその物体がおしのけた水の重さだけ軽くなると考えればよいのです。

これを、アルキメデスの原理と呼んでいます。

また、物を軽くするためにはたらく力を、浮力と言います。
したがって浮力は、物体がおしのけた水の重さに等しいわけです。
これらのことは、水ばかりでなく、ほかの液体についても同じです。

(実験1」で、水中での小石の重さは、小石が沈んで、おしのけられてこぼれでた水の重さと同じだから、その水の重さだけ軽くなります。

(実験2」では、最初にこぼれでた水は、木片が水にひたっている部分が、おしのけた水ですから、この水の重さだけの浮力が木片にはたらいているはずです。

この浮力が、木片の重さに等しいので、つりあって浮いているのです。

つぎに、水に浮いている木片を、さらに水の中に押し込むのには、力が必要なことが、まえの実験でわかりました。
この力は、水面に出ていた木片がおしのけた水の重さに等しい力です。

このことは、木片が、新たにおしのけた水の重さと同じ浮力を受けるので、それと同じ力を、浮力と反対方向に加えてやる必要があるからです。

また、木片を全部水中に沈めたときには木片と同じ体積の水がおしのけられるので、浮力の大きさは2回にわたって流れでた水の全体の重さに等しくなります。

ところが木片の重さは、この水の重さよりも小さいので浮いてしまうのです。

木片を、完全に水に沈めておくには木片の重さとこぼれでた水全体の重さとの差だけの力を浮力と反対向きに加えなくてはなりません。

この場合、浮力の大きさとは、水中の深さに関係なくただおしのけた水の重さだけで決まることです。

水に浮くもの・沈むもの

ガラスのビー玉が沈むのは、ビー玉の体積に等しい水の重さよりビー玉の重さのほうが大きいからです。

ここで、まえに説明した物の比重を思い出してみましょう。
比重は、同じ体倣の水の重さの何倍であるかをあらわした数値なので比重が1より大きな物は、水に浮かせると、浮力よりもその物の重さのほうが大きいことになります。

このため、そのようなものは、水に沈みます。
反対に、比重が1より小さいと、その物は水に浮かびます。

もし、比重がちょうど1であればその物は、水中にもぐり、水中のどこにでも留まっています。

しかし、比重が1より大きな物でも、その物の形をうまく工夫すれば瓶や洗面器のように、水に浮かべることができます。

また、もし水のかわりに水銀を使ったとすればこんどは、物がおしのけられた水銀の重さと同じ浮力を受けるので銀や鉄なども浮いてしまいます。

水銀の比重は、約13.6で、銀の比重が10.5、鉄の比重が7.9だからです。
しかし、金のように、比重が19.3のものは、水銀の中に沈みます。




パスカルの原理とは?水圧機とは? わかりやすく解説!

パスカルの原理

こんどは、外から圧力を加えたとき水の内部にどんな変化が起きるかを、考えてみましょう。


ゴムまりに同じ大きさの小さな穴をたくさん開けてその中に水をいっぱい入れます。

穴が小さいと、そのままでは水は外に流れでることはありません。

このときゴムまりの内部には水圧があり、下側の部分ではその上の水の重さだけの圧力を受けていますが表面張力のために、水は流れないのです。

ところが、いまこのゴムまりの一部を、外側から指で押してみます。
すると、中の水はどの穴からも、ゴムまりの面に垂直にしかもほとんど同じ勢いで飛出します。

指の近くの穴では、飛び出る水の方向は、外から加えた力の方向とはほとんど反対になりますが、やはりほかの穴と同じように飛び出ます。

また、押す指の力を強くすると、飛び出る水の勢いも強くなります。

このとき、水がゴムまりの面から垂直に飛び出るのは内部の水が、ゴムまりの面に垂直におさえられる圧力を受けるからです。
この圧力は、指でゴムまりを押したことによってできた、新しい圧力です。

また、どの穴の水も、同じ勢いで飛び出ることから、この新しい圧力はゴムまりの内部のどこででも、同じ強さではたらいていることがわかります。

外からの力は、指とゴムとが接している面を通して水にはたらくわけですから、言い換えれば圧力が外から水の一部に加えられたことになります。

このときの圧力の強さは、加えた力を、接している面積で割った値です。

また、外から圧力の強さを増せば穴から飛び出る水の勢いも強くなることからゴムまりの内部に生まれた新しい圧力も、外からの力を増せば大きくなることがわかります。

そこで、外からゴムまりに加えられた圧力は、ゴムまりの中の水にそのまま同じ強さで伝えられるものと考えられます。

つまり、閉じ込められた水の一部に圧力を加えるとその圧力は、水の各部分に同じ強さで伝えられるのです。

このことは、水ばかりでなくほかの液体にもあてはまることで、これをパスカルの原理と呼んでいます。

このパスカルの原理は、図のような装置を使って実験で確かめることができます。



水圧機

太さの違うU字形の器に水を入れ、その水を閉じ込めるようにAとBの2つのピストンをつけます。
AとBの断面積は、それぞれ、10平方センチと90平方センチであるとします。

いま、ピストンAの上に、50グラムの重りをのせます。
そのために、水は、50÷10=5で1平方センチあたり5グラムの圧力の強さで外から押されていることになります。

この圧力の強さは、閉じ込められている水の各部に同じ強さで伝えられますから、ピストンBの面も同じ圧力の強さで押し上げられることになります。

したがって、ピストンBが受ける全体の圧力は90×5 =450で450グラムになります。

そこで、Bに重りをのせて、ちょうど水をつりあわせておくためには何グラ厶の重りが必要になるかを実験で確かめてみるとまえに計算でもとめた450グラムと、同じであることがわかります。

このパスカルの原理を応用したのが、水圧機です。

これは、小さな力を大きな力にかえることができるのでいろいろなものを圧縮したり、重いものを持ち上げたり、油をしぼったり、材料の強度試験をするときなどに使われます。

また、水のかわりに油を使うときには、油圧機と言います。




水圧実験のやり方とは?水圧の強さを調べる方法とは?

水圧実験

まず、つぎにあげる材料を用意します。

材料

ガラス製のU字管・ゴム管(約1メートル)・ろうと状のガラス(ろうとでもよい)・うすいビニルの膜(直径約10センチの円形)・輪ゴム3個・赤インキ・スタンド


装置のつくり方

① まず、赤インキをたらして着色した水をU字管の半分ほどの高さにいれて、これをスタンドに固定します。

赤インキで着色するのは、見やすくするためです。

② ろうとの口に、ビニルの膜をゆるくはって図のように、輪ゴムで水が入らないように、硬く止めます。

③ ろうとの出口とU字管の一方のガラス管のはしをゴム管でつなぎます。
このとき、U字管の水面が同じ高さになっていることが大切です。

実験1(予備実験)

ろうとの口にはったビニルの面を、静かに指で押してみましょう。
するとU字管の水面が一方から押されて、水面に差ができます。

ビニルの面を押す力が大きくなれば、水面の差も大きくなります。
このことを確かめてから、つぎの実験にうつりましょう。

実験2

こんどは、ビニルの面にはたらく力を、水圧にかえて実験してみます。

まず、ビニルの面を水平にしてだんだん、ろうとを水の中に入れていきます。

ビニルの面が深く沈むにつれてU字管の水面の違いも、しだいに大きくなります。

しかも、注意して、ビニルの面の深さとU字管の水面の違いとをくらべてみるといつでもほとんど同じであることがわかります。

このことは、ある深さでの圧力の強さは、底面が1平方センチで高さがその深さに等しい水の柱の重さと同じであることをしめしています。

つぎに、ビニルの面を水中で傾けてみましょう。
こんども、U字管の水面には違いが見られます。
その水面の違いも、ビニルの面の中心の深さに等しくなっています。

そこで、ビニルの面の中心の深さを一定にして、その深さをかえないように、ビニルの面をいろいろな方向に傾けてみます。

しかし、U字管の水面の違いには、変化がありません。

このことから、深さが同じであれば、面をどのように傾けてもその面におよぼす圧力の強さには、かわりがないことがわかります。



実験3

図のような容器に、水を入れたとき、A点とB点との圧力の強さに違いがあるかどうか、実験して調べてみましょう。

これは、ビニルの面の中心が、A点とB点にいっしょになるように沈めて、それぞれの場合の、U字管の水面の違いをくらべてみればわかります。

実験の結果は、A点の圧力の強さも、B点の圧力の強さも同じになります。
ところが、A点もB点も、水面または水面を延長した面から等しい距離にあります。

したがって、A点もB点も同じ深さになっています。
このような場合でも、同じ深さでは、圧力の強さは等しいのです。

実験2や実験3でわかったような性質をもつ水の内部の圧力を私たちは静水圧、または水圧と呼んでいます。

魚は、この静水圧の中に住んでいます。

私たちも実は、積み重なった空気の底に住んでいるので静水圧と同じ性質の大気圧の中に住んでいることになるのです。

容器に入れられた水の内部には、このような水圧がはたらくので容器の側面にも、左の図のような圧力がかかります。

そこで容器をつくるときにも底のほうが丈夫になるようにつくられています。
ダムの構造などにも、強い水圧にたえられるような工夫がみられます。

そのほか、深い海の底まで潜る潜水艇なども、強い水圧を受けます。
たとえば、フランスでつくられたアルキメデス号は1万メートルの深海まで潜ることができるすぐれた潜水艇ですがこの船が、1万メートルの深さまでもぐると1平方センチあたり、約1トンもの水圧を受けることになります。

そこで、潜水艇の構造にも、特別の工夫が必要で船体に、鋼鉄製の球体になっています。

この中に人間がのって観測しますがゴンドラの壁の厚さに15センチもあります。
大きさは、直径約2メートル40センチで観測のための窓が3つついています。

実験4(食塩水中の静水圧)

こんどは、食塩を充分に溶かした食塩水を容器に入れてその中での水圧を調べてみましょう。

だいたい水中の場合と同じですが、1つだけ大きな違いがみられます。

それは、ビニルの面の中心の深さとU字管の水面の違いが同じではないということです。
U字管の水面の違いのほうが、いつも一定の割合だけ大きいことがわかります。

これは、食塩水のほうが水の密度より大きいのでビニルの面の中心より上にある食塩水の重さが水のときより重いためです。

こそのため同じ深さでも食塩水中の圧力の強さのほうが水の場合よりも強いことがわかります。

また、このときの食塩水の密度を測りその密度をビニルの面の中心の深さにかけるとちょうどU字管の水面の差の値に等しくなります。




圧力とは?水の圧力の強さとは? わかりやすく解説!

圧力

いま、図のような直方体のれんが(重さ600グラム)をいちばん広い面(A面)を下にして、机の上に置いてみます。
このとき、れんがと机のあいだには、どんな力がはたらいているのでしょうか。

まず、れんがの重さは、600グラムですからそれだけの力でA面全体にわたって、机の面を垂直に押しているはずです。

反対に、れんがもA面に垂直に同じ大きさで机からの抵抗力を受けています。
ですから、A面には、両方から同じ大きさの力が同時に垂直にはたらいて押しあっていることになります。

この場合、A面は圧力を受けていると言います。

つまり、机とれんがの触れあう面(この場合はA面)全体に垂直に押しあう力を圧力というのです。

もし、れんがをもう1つ重ねるとA面では、2倍の圧力を受けることになります。
もちろん、れんがが3個になれば、圧力も3倍になります。


圧力と圧力の強さ

こんどは、れんがの置き方をかえてB面を下にして机の上に置いた場合を考えてみましょう。

れんがの重さは、まえと同じ600グラムですからこれだけの重さが、こんどはB面の広さにはたらくわけです。
言い換えれば、まえよりせまい面積に同じ大きさの力がはたらしていることになります。

つぎに、柔らかい、ふわふわした厚いゴム板の上にれんがを置いてみましょう。

下の図からもわかるように、れんがの置き方によってゴム板のくぼみ方が違うことに気がつきます。

このような違いは、どうして起きるのでしょうか。

図の①の置き方では、れんがとゴム板の触れあうA面全体に600グラムのれんがの重さに等しい圧力が、はたらいています。

これに対して、②の置き方では、それより面積の小さなB面に同じ圧力がはたらいています。

これは、机の場合と全く同じです。

しかし、②のようにゴムを大きくくぼますには、①より大きな力が必要です。
言い換えれば、②の置き方のほうがゴムにはたらく力の効果が大きいことになります。

これは、同じ圧力でも、はたらく面積の大小によってその効果が違うことをしめしています。

このことから、圧力をくらべるには1平方センチあたりの圧力の大きさであらわすのがよいことに気がつきます。
そこで、1平方センチあたりの圧力の大きさを圧力の強さと呼んでいます。

圧力の強さのことを、かんたんに圧力と言うこともありますがここでは、はっきり区別して使います。

①と②の場合の圧力が強さを計算してみましょう。
れんがの寸法は、図のようですからつぎの計算によって、それぞれの圧力の強さがもとめられます。

①の場合

A面の面積は、20×10=200 200平方センチです。

この面積に600グラムの力がはたらくのですからこのときの圧力の強さは、600÷200 = 3で1平方センチあたり、3グラムの強さになります。

②の場合

20×6=120(B面の面積)
600÷120=5で、1平方センチあたり5グラムの強さになります。

ゴム板は、圧力の強さが大きいほど、余計にへこむことがわかります。

つぎに、圧力の強さが等しいときはゴム板のくぼみ方も同じになることが図の実験からも確かめられます。

この場合、①の圧力の強さは、600÷(10×6)=10で1平方センチあたり10グラムになります。

また、②の圧力の強さは図の計算と同じで1平方センチあたり5グラムになります。

そのため、①とくらべると、②のほうのくぼみ方が小さくなります。

しかし、③のようにれんがを2個重ねると圧力の強さも2倍になって、1平方センチあたり10グラムになります。

そして、①と同じくぼみ方になります。



水の圧力の強さ

ふたたび水にもどって容器に入って、静止している水の圧力について、考えることにしましょう。

容器の中の水は底の面の上にのっているものと考えることができます。
水にも重さがありますから、底の面には、圧力がはたらいていることがわかります。

この圧力の強さは、底の面のAの位置に1平方センチをとりその上に積み重なった、水の柱の重さに等しくなくてはなりません。

ですから、底の受ける圧力の強さは、水の深さによって違います。

もちろん、底全体の圧力(底圧とも言う)はこのときの圧力の強さに底面積をかければもとめられます。

今までは底だけについて水の圧力を考えましたがこんどは、図のBの位置ではどうなっているか、調べてみましょう。

Bには底がありませんが、Bより上には水があります。
したがって、もしここに底があるとすれば当然この面にも、圧力がはたらくはずです。

Bより上の水は、それより下の水を、B面をさかいにちょうど図の水の柱の重さに等しい圧力の強さで押しています。

また、Bより下の水は同じ圧力の強さで上の水を支えていることになります。

つまり、Bの面には、等しい力で押し合う圧力がありその圧力の強さは、B面の深さによって決まることがわかります。

このようなB面を、水の内部のどこにうつしてみても同じことです。
つまり、ある面の圧力の強さは、深さによって違い深さが同じであったら、どこでも同じ圧力の強さだということになります。

つぎに、ななめに置かれた面(図のC面)では圧力の強さはどうなるでしょうか。

これは、つぎの水圧実験をしてみると、よくわかります。




水の密度とは?水の体積と重さとは? わかりやすく解説!

水の体積と重さ

注射器を用意して、その中に、水を吸いこんで口をふさぎ、筒を押して、中の水を押し縮めていきます。

しかし、中の水を押し縮めようとしてもほとんどその体積を加えることにできません。
また、筒を引き抜こうとしても、中の水はふくらまないため筒は抜けません。

このように、水の体積は、力をくわえても変化しません。
たとえば、フラスコの水をビーカーヘうつしたとしても形はかわりますが、体積には変化がありません。

ですから、私たちは、水の体積を図のようにメスシリングーやますを使って、測ることができるのです。

また、一定の体積の水をビーカーにとりたいときにはピュレッ卜やビペッ卜などを使います。

水の重さを知るには、重さのわかっている容器に水をいれてんびんで全体の重さを測ってから、容器の重さを差し引けばわかります。


水の密度

1立方センチあたりの物の重さを、その物の密度と言います。
ですから、水の密度は、水の重さを全体の体積で割ればもとめられます。

水の密度は、だいたい1立方センチあたり1グラムです。
だいたいというのは、水の密度は、温度によってわずかずつ違うからです。

たいていの物は、熱して温度をあげていくと体積が増えます。
これを熱膨張と言います。
そのため、物の密度は温度が高くなるにつれて小さくなるのがふつうです。

ところが、水の密度は、グラフのように、ちょうど4℃を頂点としてそれより高い温度でも、低い温度でも、小さくなっています。

高い温度で小さくなるのはふつうの物と同じですが4℃以下でも小さくなるのは、たいへん違います。

つまり、水は4℃から0℃に近づくにつれてその体積はわずかずつ膨張していることになるのです。

水には、このような性質があるので冬の寒い日に池の水が凍るようなときには、いつでも表面から凍ります。

昼のあいだにあたためられた池の水が、夜になってしだいに表面から冷えると冷えた表面の水は密度が大きくなるので、底に沈みます。

このような水の移動は、池の水全体が4℃になるまで続きます。

そして4℃以下に冷えると今度は冷えた水は軽くなるので浮くことになります。そのため、氷は表面からできるのです。

もしも、0℃から4℃までの水に、このような性質がないとするといつでも冷たい水が底のほうに沈むことになって氷は底のほうからできることになります。

そうなると、池の魚は、みな氷の中に閉じ込められたり氷の上に追い出されてしまいます。

このこと1つを考えてみても、私たちの身のまわりの自然がたいへんたくみにできていることがわかります。

また、4℃以上の水では高温になるにつれて体積が増えるため、密度が小さくなります。

物の密度は、その重さをその体積で割ったものですが水を熱したとき、重さはそのままで体積だけが増えるために密度が小さくなるのです。

密度が小さくなると、軽くなってその部分は浮き上がります。
水を熱したとき、表面からあたたかくなるのは、このためです。

また、写真のような蒸留装置で、パイプを能率よく冷やすには、冷たい水を底のほうから入れて、上のほうから流し出すようにします。

そのほか、ボイラのパイプがななめになっているのはボイラの水を循環させて、低い温度の水を入れ代わり立ち代わり絶えず熱い炎で、あたためるようにしているからです。



比重

物の重さをくらべるのには、2つの方法があります。

その1つは、AとBのふたりの人のうちどちらが重いかをくらべる場合で、このときは、重さだけを測ればわかります。

もう1つは、ガラスと鉄とではどちらが重いかという場合でこのときには、体積が問題になります。

体積を同じにしておいてくらべるのでなければ、意味がなくなります。
この場合には、密度の大小でくらべることもできます。

また、ある決められた物を基準にして、それと同じ体積の重さがその基準の物の重さの何倍であるかをもとめて2つの物の重さをくらべる方法もあります。

このときの基準の物としては、ふつう4℃の水を選びます。
そして、その物の重さの割合を、その物の比重と言います。

たとえば、鉄の比重は、つぎのような割り算でもとめることができます。

ところが、4℃の水1立方センチの重さを、1グラムと決めてありますから、前の式は、鉄1立方センチの重さと同じ値になります。

そのため、いろいろな物の比重はその物の密度と同じ値になりますが、比重には単位はつきません。




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