船
船は、鉄でつくられていますが、水に浮かびます。
洗面器や茶碗なども水に浮かびますが水が容器の中に入りすぎると沈んでしまいます。
言い換えれば、容器の内部の空気を水におきかえると沈んでしまいます。
このことから、物が浮かんでいるためには内部の空気が大切なはたらきをしていることがわかります。
たとえば、茶碗をとって、このわけを考えてみましょう。
浮いている茶碗がおしのける水の体積は図の水面下の斜線の部分の体積に等しいはずです。
この体積のうち、比重が1より大きな瀬戸物でしめる体積の割合いは極めて小さく、その大部分は、水よりはるかに軽い空気です。
しかし、空気の部分でおしのけた水の重さも浮力としてはたらくので、茶碗が浮くようになるのです。
このように、材料でおしのける水の重さよりも空気でおしのける重さのほうを大きくするように工夫すればたとえ材料の比重が1より大きくてもその物を浮かせるだけの浮力をつくることができます。
船が浮かぶわけも、茶碗と同じです。
比重の測定
浮力を利用して、いろいろな物の比重をかんたんに測ることができます。
水に沈む物の比重
たとえば、石の比重を測るには、まず石の空気中での重さを測ります。
つぎに、水中での石の重さを測れば、石の比重がもとめられます。
水に浮く物の比重は、もちろんこの方法では、測れません。
その場合には、その物を静かに水中におしこんでしまうまでに流れでた水の重さを測り、それで空気中の重さをわればその比重をもとめることかできます。
液体の比重
油の比重は、油に沈む物の重さを、つぎのように測れば、もとめられます。
たとえば油に沈む物として、石を選んだとするとまず、空気中での石の重さ(W)を測ります。
つぎに、水中での石の重さ(Q)と油の中での石の重さ(P)をはかります。
そして、つぎの式から、油の比重をもとめます。
浮きばかり
浮きばかりは、液体の比重をかんたんに測るためのものです。
これを測ろうとする液の中に浮かべその液面の目もりを読みとれば、それが比重になります。
浮きばかりの目もりには、その目もりより下の部分の体積で浮きばかり全体の重さを割った値が、書きこまれています。
いま、この浮きばかりをある液に浮かせてみて液面の目もりが1.3であったとします。
すると、この目もり以下の体積に等しい液体の重さが浮力としてはたらき、それが浮きばかり全体の重さとつりあっているはずです。
したがって、目もり1.3は、この液体の密度だということになります。
密度も比重も同じあたいですから、これを比重といってよいのです。
浮き
海水よく使われる、浮き輪や浮きボート、港や海岸などで見かける浮標なども、浮力を利用したものです。
そのほか、自記雨量計で雨量を測るときやガス湯わかし器で水の量を加減するところなどに浮きが上手に利用されてします。