水圧実験
まず、つぎにあげる材料を用意します。
材料
ガラス製のU字管・ゴム管(約1メートル)・ろうと状のガラス(ろうとでもよい)・うすいビニルの膜(直径約10センチの円形)・輪ゴム3個・赤インキ・スタンド
装置のつくり方
① まず、赤インキをたらして着色した水をU字管の半分ほどの高さにいれて、これをスタンドに固定します。
赤インキで着色するのは、見やすくするためです。
② ろうとの口に、ビニルの膜をゆるくはって図のように、輪ゴムで水が入らないように、硬く止めます。
③ ろうとの出口とU字管の一方のガラス管のはしをゴム管でつなぎます。
このとき、U字管の水面が同じ高さになっていることが大切です。
実験1(予備実験)
ろうとの口にはったビニルの面を、静かに指で押してみましょう。
するとU字管の水面が一方から押されて、水面に差ができます。
ビニルの面を押す力が大きくなれば、水面の差も大きくなります。
このことを確かめてから、つぎの実験にうつりましょう。
実験2
こんどは、ビニルの面にはたらく力を、水圧にかえて実験してみます。
まず、ビニルの面を水平にしてだんだん、ろうとを水の中に入れていきます。
ビニルの面が深く沈むにつれてU字管の水面の違いも、しだいに大きくなります。
しかも、注意して、ビニルの面の深さとU字管の水面の違いとをくらべてみるといつでもほとんど同じであることがわかります。
このことは、ある深さでの圧力の強さは、底面が1平方センチで高さがその深さに等しい水の柱の重さと同じであることをしめしています。
つぎに、ビニルの面を水中で傾けてみましょう。
こんども、U字管の水面には違いが見られます。
その水面の違いも、ビニルの面の中心の深さに等しくなっています。
そこで、ビニルの面の中心の深さを一定にして、その深さをかえないように、ビニルの面をいろいろな方向に傾けてみます。
しかし、U字管の水面の違いには、変化がありません。
このことから、深さが同じであれば、面をどのように傾けてもその面におよぼす圧力の強さには、かわりがないことがわかります。
実験3
図のような容器に、水を入れたとき、A点とB点との圧力の強さに違いがあるかどうか、実験して調べてみましょう。
これは、ビニルの面の中心が、A点とB点にいっしょになるように沈めて、それぞれの場合の、U字管の水面の違いをくらべてみればわかります。
実験の結果は、A点の圧力の強さも、B点の圧力の強さも同じになります。
ところが、A点もB点も、水面または水面を延長した面から等しい距離にあります。
したがって、A点もB点も同じ深さになっています。
このような場合でも、同じ深さでは、圧力の強さは等しいのです。
実験2や実験3でわかったような性質をもつ水の内部の圧力を私たちは静水圧、または水圧と呼んでいます。
魚は、この静水圧の中に住んでいます。
私たちも実は、積み重なった空気の底に住んでいるので静水圧と同じ性質の大気圧の中に住んでいることになるのです。
容器に入れられた水の内部には、このような水圧がはたらくので容器の側面にも、左の図のような圧力がかかります。
そこで容器をつくるときにも底のほうが丈夫になるようにつくられています。
ダムの構造などにも、強い水圧にたえられるような工夫がみられます。
そのほか、深い海の底まで潜る潜水艇なども、強い水圧を受けます。
たとえば、フランスでつくられたアルキメデス号は1万メートルの深海まで潜ることができるすぐれた潜水艇ですがこの船が、1万メートルの深さまでもぐると1平方センチあたり、約1トンもの水圧を受けることになります。
そこで、潜水艇の構造にも、特別の工夫が必要で船体に、鋼鉄製の球体になっています。
この中に人間がのって観測しますがゴンドラの壁の厚さに15センチもあります。
大きさは、直径約2メートル40センチで観測のための窓が3つついています。
実験4(食塩水中の静水圧)
こんどは、食塩を充分に溶かした食塩水を容器に入れてその中での水圧を調べてみましょう。
だいたい水中の場合と同じですが、1つだけ大きな違いがみられます。
それは、ビニルの面の中心の深さとU字管の水面の違いが同じではないということです。
U字管の水面の違いのほうが、いつも一定の割合だけ大きいことがわかります。
これは、食塩水のほうが水の密度より大きいのでビニルの面の中心より上にある食塩水の重さが水のときより重いためです。
こそのため同じ深さでも食塩水中の圧力の強さのほうが水の場合よりも強いことがわかります。
また、このときの食塩水の密度を測りその密度をビニルの面の中心の深さにかけるとちょうどU字管の水面の差の値に等しくなります。