気圧の測り方
大気の圧力は、いつも一定しているものではなく、たえず変化しています。
それであるときの大気の圧力を観測するのに、気圧計が用いられています。
水銀気圧計
水銀気圧計では、トリチェリの原理を利用しています。
水銀気圧計の下の部分には、水銀をいっぱいつめた皮袋がありそこからガラス管につまった水銀柱が続いています。
そして、下の水銀面にはたらく大気の圧力が変化すると水銀柱の高さが上下するようになっています。
この気圧計で気圧を測るにはまず、袋にふれている1つ目のねじをまわして水銀の面がぞうげの針の先に軽くふれるように調節します。
つぎに2つ目のねじをまわして、ものさしの下のはしを管内の水銀面の頂点にあわせ、それから水銀柱の高さを読み取るのです。
アネコイド気圧計
気圧計には、水銀気圧計のほかに、アネロイド気圧計があります。
アネロイド気圧計では、波形をしたうすい金属製の缶の中の空気が、抜きとられています。
缶の中には、ばねが入っていて大気の圧力で潰されないようになっています。
そして、気圧が高くなると、この缶は少しへこみ低くなるとふくらむのです。
この小さい変化を、てこのしくみで大きくし針の先で気圧が読めるようになっています。
この気圧計はもち運びに便利で、船のように揺れるところでも測れます。
しかし、水銀気圧計ほど正確に測れないのが欠点です。
ボイルの法則
まえに、空気にも弾性があることを学びました。
いま、かんちょう器に空気を閉じ込め指で口をふさいで、ピストンを静かに押してみましょう。
中の空気の体積が小さくなるとピストンを押し返す力がはたらくようになります。
これは、押し縮められた中の空気にもとの状態にもどろうとする性質があるからです。
こんどは、指で口をふさいだまま、ピストンをひっぱって中の空気の体積を大きくしてみましょう。
すると、ピストンを吸い込む力がはたらくようになります。
このときピストンをはなすと、ピストンは吸い込まれてしまいます。
この実験で、ピストンの中に閉じ込めた空気の圧力の強さはもとの体積より小さくする气大気の圧力がり大きくなり反対に、もとの体積より大きくすると大気の圧力より小さくなることがわかります。
くわしい実験によると、閉じ込めた空気の体積が2分の1、3分の2になると圧力の強さは2倍・3倍になることがわかります。
また、体積を2倍・3倍にすると圧力の強さは、2分の1、3分の1になります。
しかも、この関係は空気ばかりでなく、ほかの気体でも成り立つのです。
つまり、温度がかわらなければ、一定量の気体の体積と圧力の強さは互いに反比例するという関係があります。
この関係は、むかし、イギリスの物理学者のボイルが研究したのでボイルの法則と呼ばれています。
ボイルの法則と分子の運動
気体の体私と圧力とのあいだに、ボイルの法則が成り立つのはつぎのような考え方をすると、よくわかります。
多くの物体は、分子と呼ばれる、非常に小さい粒から成り立っています。
この分子は、非常に小さく、全体を1つの球と考えると直径は1センチの数千万分の1にすぎません。
それで、目で見ることはもちろんできませんしどんなに倍率の高い顕微鏡でも、見ることができないのです。
固体では、この分子は規則正しく並んでいますが気体では、1つ1つの分子が自由に動きまわっています。
そして、ほかの分子と衝突したり物の表面にぶつかったりしているのです。
たとえば、図のような1つの円筒の中の、気体の圧力を考えてみましょう。
やはり、分子はさかんに飛び回っていて上の円板にもつきあたっています。
この分子が物にぶつかる力が、気体の圧力のもとになっているのです。
いま、この気体の体積を半分にすると円板につきあたる分子の数は、2倍になります。
そこで、気体の圧力も2倍になるのです。反対に、気体の体積を2倍にしてみます。
すると、円板につきあたる分子の数は半分になり気体の圧力も、まえの半分になるはずです。
また、気体の分子が1つの向きに流れていくことがあります。
空気がそのように流れていくのが風です。
一方からだけ多くの分子がぶつかるので木の葉がそよいだり、煙りがたなびいたりするのです。
圧縮空気のはたらき
空気を強く押し縮めたものを圧縮空気と言います。
空気は、圧縮されると体積が縮み、圧力が大きくなるのでこの力を利用していろいろな仕事をさせることができます。
圧縮空気をピストンをはめたシリンダーに送るとピストンは圧縮空気に押されて動きます。
このことを利用して、電車や機関車などに使われている空気ブレーキでは、制輪子を車輪のタイヤに押しつけて、車輪の回転をとめています。
また、電車のドアエンジンも圧縮空気の力で扉を開けたり、閉めたりしています。
そのほか、圧縮空気は岩石を砕く削岩機や空気ハンマ、びょうを打つ空気リペッタなどに使われています。