潜水艦
潜水艦が沈んだり浮かんだりするには船の横につけた水平のかじと、船の中にある海水タンクを使います。
水上に浮かんでいるときは、このタンクは空ですが水を入れると船が重くなるので、だんだん水中に沈むのです。
タンクの大きさは水をいっぱい入れたとき、ちょうど船が水面に隠れるくらいにしてあります。
このときには、船の重さと浮力がつりあって、水中のどの深さにでも、浮いていることができます。
船をもっと潜らせるには、水平のかじをまえに傾けて走ります。
すると、かじの上面に水の圧力を受けますから船首が下のほうに押し下げられ、だんだん深く潜っていきます。
このかじを、これと反対に傾けると船首が上がり水面に近づきます。
浮き上がるには、タンクの水を船の外にだして船の重さを軽くするのです。
水中で用いる推進機関には、空気のいらない電動機を使います。
この電動機は、蓄電池で動かします。
また、潜水艦は海中に深く潜るので、大きな水の圧力を受けます。
この圧力にたえるため、船の断面は円形にし、厚い鋼板で丈夫にしてあります。
連絡船
これは、陸上の列車と連絡するように、決められた時間で航海する船ですから速力が大事です。
また、1日に何回も往復するので、桟橋につけるときに時間がかかってはたいへんです。
それで、スクリューを2本にしたり、フォイトシュナイダープロペラという特別の推進器を使ったりして、楽に操縦ができるようにしてあります。
列車をそのまま積む船では機関室の上の甲板にレールをしいて船尾の大きな口から列車をひき入れて運びます。
砕氷船
海面にはった氷を割りながら航海する船です。
水面から下の船首は傾斜がつけてあり、なだのような役目をします。
ここで氷を押し割ったり、氷の上に乗り上げ、船の前方のタンクに海水を送って、その重さで氷を割ったり、船を左右にゆさぶったりして進むのです。
船尾は、かじやスクリューが氷で壊されないように保護されています。
また、水面下の船体の形がまるく丈夫につくってあること機関の馬力が大きいことなども、この船の特色です。
水中翼船
水中翼船は、ふつうの高速艇と同じような形をしていますが、船底に翼がつけてあります。
速力が増すにしたがって、翼の揚力により、船体が水上にもちあげられて走ります。
このとき、水の抵抗を受けるのは水中翼と、これを支える支柱だけになりますから全体の抵抗は、ふつうの船よりずっと少なくなり、小さな馬力で高速を出すことができます。
翼によって、船体が持ち上げられるのは飛行機が空中に飛び上がることができるのと同じ原理です。
しかも、水の密度は、空気の密度の800倍もありますから翼の面積も、飛行機にくらべてずっと小さくてすみます。
水中翼には、いろいろな種類の形がありますが現在実用化されているものは、水中に貫通フープ型と水中貫通分離型の2つです。
この形式の水中翼船は、水面を飛び跳ねたり、横波で船体が傾かないように工夫ています。
水中翼船は、全速力で走ってもほとんど波をたてず、また、発進や停止がかんたんです。
そのため、運転しやすく、少しの波ならば、ほとんど揺れずに走ります。
ヨーロッパでは川や湖や静かな沼で遊覧船や旅客船として、さかんに利用されています。
近頃では、日本でも開発が進み、たくさんの水中翼船がつくられています。
原子力船
原子力船は、船に積んである原子炉から発生する熱を利用して蒸気をつくり、この蒸気をタービンにあてて、推進器をまわします。
原子炉は、ほとんど燃料を納給しないで長いあいだ活動を続けますから、これまでの船のように、たくさんの燃料油を積んで走る必要がまったくありません。
そのため、大型の高速船では、とくに有利です。
また原子炉は、重油を燃やすときのように空気を必要としませんから水の中に潜って走る潜水艦などには、とくに便利です。
船に積まれた原子炉は厳重にしきられていて乗組員が放射能の害を受けないように工夫されています。
また、船が衝突したり、座礁したときでも、原子炉が壊れたりすることのないように原子炉を包んでいる部分は、特別に丈夫な構造になっています。
すでに、原子力潜水艦や原子力砕氷船・原子力貨客船もできました。
船の形のうえでは、これまでの船のような煙りを吐き出す煙突がないのが特色です。
特別な役目をもつ船
船にはこのほか、モーターボート・測量船・観測船・灯台補給船・ケーブル敷設船など、いろいろな種類があります。