水素をつめた風船
アルキメデスの原理は、水ばかりでなく、空気についても成り立ちます。
つまり、空気中にある物は、すべてその物と同じ体積の空気の重さに等しい浮力を受けて、その分だけ軽くなっています。
ゴム風船は、空気をつめても浮かび上がりませんが水素をつめると、空気中に浮かび上がります。
これに風船全体の重さより、風船にはたらく空気の浮力のほうが大きいからです。
たとえば、1リットルの水素をつめた風船には約1.29グラムの浮力がはたらきます。
1リットルの水素の重さは約0.09グラムですから
1.29 – 0.09 = 1.20(グラム)
だけの力を受けて、この風船は空気中に浮かび上がるのです。
しかし、実際には風船や糸の重さがあるので風船を浮かせる力はもっと小さくなります。
物の重さと空気の浮力
空気中で物の重さを測ると、その値は本当の重さとは、少し違ってきます。
たとえば、ばねばかりで物の重さを測ると空気による浮力だけ小さい値があらわれてくるからです。
式であらわすと、測った値=(本当の重さ)-(空気の重さ)になります。
そのため、本当の重さを知るには測った値に空気の浮力を足してやらなければなりません。
しかし、空気の重さは、ふつうの物の重さにくらべて非常に小さいので私たちがふつうに物の重さを測るときには空気による浮力を考えないことにしています。
気体の比重
空気より比重の小さい気体を風船につめるとその風船は、空気中に浮かびあがります。
たとえば、ヘリウムという気体は、その比重が空気の約0.14倍なので大きな気球を飛ばすときに使われます。
いろいろな気体の比重を調べると、空気の比重よりも大きいものも小さいものもあります。
たとえば、酸素の比重は、空気の約1.1倍でアンモニアは空気の0.597倍にあたります。