飛行機にはたらく力
どんなものでも空中で手ばなすと、重力のために下のほうに落ちていきます。
物が下に落ちないようにするには、重力と同じ大きさの上向きの力で支えなければなりません。
飛行機1台の重さは、小さいものでも400~500キログラム大きなものでは100トン以上のものもあります。
こんなに重いものが、うまく空中を飛ぶことができるのは、それにはたらく重力とつりあうだけの上向きの力がはたらいているからです。
この上向きの力を揚力と言います。
飛行機に大きな翼があるのは、この揚力をつくりだすためなのです。
ところで飛行機は、空気の中をすばらしい速さで飛びます。
すると同じ速さの風が、飛行機のいろいろな部分にあたります。
飛行機の速さが、1秒間に100メートルなら、飛行機にあたる風の速さも、1秒間に100メートルです。
こんなに強い風があたると、主翼には強い空気の力がはたらきます。
この翼にはたらく力は、図のように、ななめ上にむいています。
この力を上向きの力とうしろ向きの力にわけてみましょう。
上向きの力が揚力、うしろ向きの力が抗力、または空気抵抗です。
翼以外の部分、たとえば胴体や脚などには揚力はほとんどはたらかず、抗力だけがはたらいています。
翼に揚力がはたらくためには、飛行機は空気の中を、ある速さで進まなければなりません。
また、飛行機のいろいろな部分に、空気の抵抗がはたらくので、これに打ち勝つだけの、まえ向きの力で、ひっぱってやることが必要です。
このまえ向きの力を、推力と言います。
飛行機が推力を出すには、プロペラを使うやり方と、ジェットを使うやり方とがあります。
プロペラのはたらきは、扇風機と同じです。
エンジンでプロペラをまわすと風が起こります。
言い換えれば、プロペラの羽根が空気をうしろ向きに押しやるのです。
すると、その反面でまえ向きの力がはたらきます。
この力がプロペラによる推力です。
ジェットのはたらきも、これとよく似ています。
ジェットエンジンの中で、空気とガソリンや灯油をまぜた圧縮ガスに火をつけて燃やすと熱いガスがものすごい勢いでうしろ向きにふきだします。
この反動で、まえ向きの推力がはたらきます。
このように.飛行機の飛ぶわけを考えてみると飛行機には揚力をつくる翼と
推力を出すプロペラかジェットがあれば、それで飛び上がることができるのです。
ところが、飛行機には、このほかに尾翼・胴体・脚(着陸装置)などの部分があって、それぞれ大切なはたらきをしています。