イネの栽培方法とは?苗の育てかた、田植えとは?

動物・植物

イネ・ムギの栽培

イネとムギは、古くから、大切な作物として栽培されてきました。
イネに適した土地では米が、ムギに適した土地では麦が主食に使われています。


イネの栽培

イネは、あたたかくて湿り気の多い気候を好みます。

アメリカや地中海沿岸などでもつくられますが、いちばん多くつくられているのは、日本・中国南部・東南アジアで、これらの地方のいちばん大切な作物です。

イネには、田につくる水稲と、畑につくる陸稲(おかぼ)とがありますが、
ふつうにイネと言えば水稲のことです。

イネのつくりかたにはいろいろありますが、いちばん多いのは苗代で苗を育てて田にうつし植える移植栽培です。

日本のイネの栽培技術はすぐれていて、せまい面積からたくさんの米を収穫することでは世界でいちばんです。

苗の育てかた

イネの苗をつくるところを苗代と言います。
苗代は、日あたりがよく、手入れをするのに便利なところにつくります。

いっぱんに、寒い地方では雪がとけるとすぐに苗代をつくりますが、あたたかいところでは、5月ごろにつくります。

まず、土をおこして、肥料をよくまぜながら、土を細かく砕きます。
幅120センチぐらいの長方形の区切りをつけ、まわりの土をもりあげて表面を平らにならします。

これをまき床と言います。

このまき床の上に、よく消毒した種を一面に散らばるようにまいて種が見えなくなる程度に土をかけます。
種まきは移植する予定の日の、40~50日まえごろにおこなうのがふつうです。

それから、まき床のあいだの溝に水を入れます。

水は、まき床の上までいれることもありますし、まき床の上に焼いたもみがらをまき、その上をビニルや油紙などでおおうこともあります。

芽が出てきたら、よく日光に当てて、丈夫な苗が育つようにします。
寒い日や風の日は、水を入れて保護します。

このほか、肥料をやったり草をとったりカスガマイシンやスミチオンなどの薬をかけて病気や虫の害をふせいだりします。

田の準備

苗が大きくなるまえに、肥料をやり、田おこし・あぜぬり・代かきなどの田植えの準備をします。

まず、たい肥をまいてから田を耕し、それから、化学肥料をやり、水を入れて代かきをします。
この作業には、近ごろは耕うん機が使われています。

代かきは土を砕いてやわらかくし苗を植えやすいようにするためにおこなうのですが水が地下に染み透ってしまわないようにする役目もあります。

田のまわりから水がもれるところでは代かきをするまえに、土をねってあぜをぬり、水が漏れるのをふせぎます。



田植え

イネの移植は、ふつう田植えと言います。

田植えは、早いところでは5月10日ごろからはじまりますが遅いところでは7月10日ごろまでおこなわれます。

種をまいてから40~50日経つと苗は高さが20センチほどになり葉は6、7枚で田植えをするのにちょうどよい大きさに育ちます。

苗代に水を入れて土をやわらかくし、手で少しずつ、丁寧に苗を抜き取ります。
そして、根の土をよく洗いおとし、一握りほどに束ねて田に運びます。

苗は、2、3本ずつをひとかぶに植えます。
ふつう、縦・横それぞれ25センチぐらいの間隔に植える正じょう植えか縦を10センチ、横を30センチぐらいの間隔に植える並木植えにします。

植えるときは、印をつけた綱を使ったり植えるまえに定規や枠で土の表面に印をつけたりして、決まったところに植えます。

最近は、田植えにも機械が使われるようになってきました。

手入れ

田植えがすんだら、田に充分に水を入れておきます。

しばらくすると、しおれかかった葉が勢いづいてどんどん伸びだし茎も枝わかれして、かぶも急に大きくなります。

かぶが充分大きくなったころ、水を落として2、3日のあいだ田を干します。
これは「中干し」といって、根のはたらきをよくするのに役立ちます。

穂が大きくなりはじめるころからイネにはたくさんの水が必要になりますから田には水を充分に入れておきます。

田植えをしてから10日おきぐらいに、3、4回、草をとります。
しかし、近ごろはPCP・MCP・DCPAなどの薬をまいて草を枯らすのがふつうです。

追ごえは、穂がでる30日ほどまえに、窒素肥料をやるのがふつうです。

獲りいれ

穂が出て、40~50日ぐらい経つと、イネの実は熟します。
穂が黄色くなったころに刈取ります。

刈り取ったイネは小さく束ね木や竹でつくったイネかけにかけて、よく乾かします。
よく乾いたら、脱穀機でもみを落とします。

進んだところでは、刈取りと脱穀とを同時にするコンバインが使われます。

こうして脱穀されたもみは乾燥機でよく乾かしてから、もみすり機にかけて玄米にします。

イネの害虫と病気

イネの害虫で、いちばん大きな害をするのはニカメイチュウです。
茎のもとのほうが褐色になって枯れるのはメイチュウの害です。
これはスミチオン・ダイアジノンなどでふせぎます。

また、病気で恐ろしいのはいもち病です。

葉や茎に黒いはん点ができ、これが広がるとイネは実らなくなったり、枯れたりします。

天候が悪かったり、窒素肥料をやりすぎると、かかりやすくなります。
この病気は、カスガマイシンやキタジンPなどでふせぎます。




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