シダの体
シダの仲間は、ワラビ・イヌワラビ・シノブなどの身近なものから私たちの見たこともないようなものまで、いろいろあります。
そして、これらは、それぞれ違った体つきをしていますが、もとになるつくりはあまりかわりません。
根を、ていねいに掘ってみると、地中に根茎がはっていて、これに細いひげ根がついています。
また、根茎のほかに、地上茎があって、カニクサのようにつるになるものや、ウラジロのように何年も枯れないもの、ヘゴのように木になるものなどがあります。
そして、たいてい鳥の羽根のような、羽状複葉となります。
その葉柄には、うろこのようなものが、ついています。
これらの葉のつきかた、その他は、すべて種類わけの手がかりになります。
胞子のう
イヌワラビやシノブなどでは、葉のうらのところどころに胞子の入った胞子のうというふくろが集まって胞子のう群をつくっています。
この胞子のうには柄がついていて、ふくろの表面は一層の細胞でできた、うすい膜になっています。
そして、胞子のう群は、包膜といううすい膜でおおわれています。
イノモトソウやワラビなどでは、葉のへりに、やはり包膜でつつまれた、胞子のう群がたくさんならんでいます。
ノキシノブやミゾシダなどのように、包膜のないシダもあります。
茎のつくリ
シダの仲間の茎も、木部と師部が集まって維管束をつくっていることは、花の咲く植物と同じですが、形成層がありません。
ワラビでは、維管束が、隣りのものとつながって網のめのようになっていますが種類によって、さまざまなならびかたをしています。
葉のつくリ
シダの仲間の葉は、花の咲く植物とあまりかわりません。
しかし、表皮にも葉緑体があることが、たいへん違っています。
スギナの体
春になると、野原などに、ツクシがでてきます。
これは、スギナの胞子をつくる特殊な茎で、かっ色のりん片状のものが葉にあたります。
ツクシの先にある長楕円形の部分が胞子のうの穂で、これは六角形をしたたてのようなものが集まってできています。
この六角形のものの裏側に、たくさんの胞子のうがついています。
胞子は、この胞子のうの中に入っているのです。
ほかのシダの胞子と違って、4本の糸をもっています。
この糸は空気が乾くと伸びて湿ると縮み、この運動で胞子は飛び散ります。
スギナは、ふつうのシダの体(栄養体)にあたり、ふしからは、放射状に細い葉が出ています。
そして、光合成はおもに茎でおこないます。
コケの仲間の体
コケの仲間は、種類によってさまざまな形をしています。
そして、スギゴケの仲間のほかは茎・葉・根の区別がはっきりしていません。
スギゴケの体
スギゴケは茎・葉・根からできていますが茎には道管や師管がなく、葉には葉脈がありません。
根が仮根と言って、細胞が1列にならんでいるか、それが枝わかれしているかだけで道管も師管もありません。
スギゴケは、茎の先に長い柄をだして、その先に、帽子のようなものをかぶった、胞子のうをつくります。
この中に、胞子がたくさん入っています。
スギゴケの仲間には、おすのかぶと、めすのかぶが別々になっているものがあります。
このようなものでは、めすのかぶだけに、胞子のうができます。
ゼニゴケの体
ゼニゴケには、葉と茎の区別がありません。平たい葉のようなものと、根があるだけです。
葉のようなものには、葉脈がなく根も仮根で細胞が一列につながっているだけです。
ゼニゴケにも、おすのかぶとめすのかぶとがあります。
ウメノキゴケの体
ウメノキゴケは、ウメの幹などについていて、広がっています。
体は平たい葉のようなものだけで、根も茎もありません。
これは、コケといっても、ふつうのコケではなく、モとカビがいっしょになり、カビがモをつつんでいるのです。
このような仲間は、地衣類と言います。