動物で音を感じるのは、獣・鳥・魚などの脊椎動物と昆虫たちです。
脊椎動物の耳
獣たちの耳は、外耳・中耳・内耳からできていて人間の耳のしくみと、あまり、かわりません。
外耳は、ふつう耳といっている耳殻と耳の穴といっている外ちょう道(外耳道)からできています。
しかし、たいていの獣は私たちよりも音をよく聞き分けることができます。
ロバやゾウでは、大きな耳殻をもっていて、よく音を集めることができます。
また、ウサギやイヌやウマなどの耳殻は音のくる方向に動かすことができます。
ウマ・イヌ・ネコ・コウモリなどは私たちには音として感じない振動も、聞き分けることができます。
なかでも、暗闇で飛ぶことのできるコウモリは、とくによい耳をもっています。
コウモリは空中を飛びながら毎秒約4万8000サイクルの超音波(人間が聞き分ける音の振動数は毎秒40~2万サイクル)を出していて、これがものにぶつかって反射してくるのを耳で聞いています。
ですから、まっ暗なところでも、ものにぶつからないで飛ぶことができるのです。
鳥には耳殻がありませんが内耳がよく発達していて、同じ仲間が出す警戒とか驚きの鳴き声を、よく聞き分けることができます。
カエルでは、外耳がなく、鼓膜が、直に体の表面に出ています。
内耳もあまり発達していないので音の区別は、あまりよくできないようです。
魚たちは、内耳だけしかもっていませんが水中を伝わる音を聞くことができます。
コイやナマズでは、浮きぶくろが3つの骨片によって内耳の三半規管につながっています。
これは、体の表面にかかる水圧が浮きぶくろに伝わり、この骨片によって音として内耳に伝わるのではないかと言われています。
三半規管は、体のつりあいを保つはたらきをしてします。
こう骨魚類では、三半規管につながる小のうの中に、耳石が入っており、この耳石も体のつりあいを保つはたらきをしているものと考えられています。
昆虫の音を感じるしくみ
昆虫の仲間には、音をよく感じるものがあります。
体の表面にある毛や、うすい膜などを、音波に共鳴させて、その振動を神経から脳に伝えるしくみになっています。
バッタの腹の第一節の左右には、うすいキチン質の膜があって、ここで音を感じます。
このうすい膜の内側は、気管の一部がふくらんでいて膜がよく振動するようになっているのです。
膜には神経がつながっていて、膜が振動すると、これが神経によって脳に伝えられるのです。
コオロギやキリギリスでは、これと同じようなしくみが前足りすねの節の近くにあります。
また、バッタの腹の先のほうにある突起や、モンシロチョウなどの幼虫の毛は、わりあいに低い音に対してはよく振動し、音を聞くことができると言われています。
音を出すしくみ
獣・鳥・カエルなどや昆虫たちは自分の身体に音を出すしくみをもっています。
獣の声帯
獣では私たちと同じように、のどの奥の気管のところに声帯といううすい膜があって、これを肺から吐き出す空気によって振動させ、音を出します。
しかし、獣たちでは話すことはできません。
ただ鳴きかたで、喜びや苦しみ、警戒などを区別するだけです。
鳥の鳴管
鳥の声帯は、鳴管と言って、のどの奥の気管が気管支とつながるところにあります。
鳥も、いろいろに声をかえて、ひなをよぶ声、警戒する声などを区別して出します。
カエルの声のう
カエルの口の両わきには、まるくふくらむふくろがあります。
これは声のうと言い、声を響かせるところです。
高い声でなくカエルは、たいてい声のうをもっています。
アマガエルのおすは、のどのところに声のうがあります。
昆虫の発音器
クツワムシ・キリギリス・コオロギ・マツムシなどは片方の前ばねに、やすり状になった部分があり、もういっぽうの羽根でそこをこすって音を出します。
イナゴやバッタは、うしろ足のもものところにぎざぎざがあり、これを前羽根とすりあわせて音を出します。
セミのおすは、腹の下側に発音器をもっています。
この中に、鼓膜があって、そこについている筋肉で鼓膜を振動させて音を出します。
この音は、共鳴室でさらに大きくされます。
また、ハエ・カ・ハチなどは、飛んでいるときに音を出しますがこれは、すばやく羽根をふるわせるからです。