動物と湿度
どんな生物でも水分のまったくないところでは生きていくことができません。
動物が、元気に活動するのに、それぞれ都合のよい温度があるように適当な湿度もまた必要なのです。
これは、いつも、じめじめしたところにいるナメクジを乾いたところにうつすと、しばらくは生きていても、やがて、死んでしまうことから見てもわかるでしょう。
夏眠
熱帯地方には、1年が、雨期と乾期とにわかれているところがあります。
こういうところでは、乾期になると、ひどい乾きと暑さのために活動できなくなる動物があり、なかには、少しでも涼しくて水分が逃げない場所で、じっと眠ってしまうものがあります。
これを夏眠、または乾眠と言います。
マダガスカル島に住むキツネザルの仲間は乾期になると小枝などで巣をつくり、この中で夏眠します。
アフリカや南アメリカの熱帯地方では乾期になると沼の水が干上がってしまいます。
すると、ここに住むハイギョは沼のそこに穴を掘って入り粘液の膜ですっぽり体を包み、乾期が終わるまで夏眠します。
このほか、熱帯地方に住むヘビやカエルの仲間に夏眠するものがあります。
夏眠をしているときは冬眠中と同じように体の中の皮下脂肪を、少しずつ使って、命をつないでいます。
動物の低温麻酔
動物は、まわりの温度の違いによって、さかんに活動したり、活動が鈍くなったりします。
セミは、夏の日中の気温の高いときによく鳴きますしイナゴは、日中はさかんに飛びまわり、なかなか捕まえることができませんが、朝夕の気温の低いときなら、わりあいかんたんに捕まえられます。
また、ハエも涼しい日には、動きが鈍くなります。
このように、とくに変温動物は、まわりの温度が上がったり下がったりすると体温もそれにつれてかわってきますから、まわりの温度の変化の影響を受けやすいことになります。
変温動物を、冷たい水の中や、冷蔵庫の中に入れたりすると急に体温が下がって、動くことができなくなります。これを低温麻酔と言います。
写真①はタナゴ・キンギョ・ドジョウを氷水の中に入れて低温麻酔したものです。
ふつうの水にもどすと、また泳ぎだします。ドジョウ・キンギョ・イモリの実験です。
イモリは、氷水の中でも麻酔されません。
カエルは腹のほうから冷やしても、なかなか麻酔できませんが頭部から冷やすと、かんたんに麻酔できます。