水に住む動物
海・川・湖などの水の温度は、場所や季節によっても陸地の温度ほど激しくかわりません。
そのうえ、これらの水には、生物の生活に必要な栄養分が、たくさんふくまれています。
ですから、陸上にくらべると海や川や湖などは動物にとって、ずっと住みいわけです。
水に住む動物のいろいろ
水に住む動物には、アメーバ・ヤコウチュウなどのような体のしくみのかんたんな動物をはじめクラゲ・イソギンチャク・貝・エビ・カニ・ヒトデ・魚・クジラなど、さまざまな動物がいます。
かわった動物に、カイメン・サンゴ・イソバナ・コケムシ・エボシガイ・ウミシダなどがいます。
これらは、海底の岩の上についていて、動くことができませんし形も植物のように見えますが海水の流れがプランクトンなどの食物をたえず運んでくれるので、じっとしていても生活することができるのです。
水に住み動物の体の形やしくみ
水は、空気にくらべて、ずっと密度が大きいので体が浮きますから体を支える足はいりません。
このため、水に住む昆虫では、ゲンゴロウのように足が体を支えるためでなく、泳ぐための足になっているものもいます。
体の形も、泳ぎやすいように平たい流線形をしています。
ウニやヒトデのように、あまり動かない動物は体が星形か円形、または球形をしていて、左右の区別がありません。
クラゲは、体が浮きやすいように、つりがね形や、ふくろのような形をしています。
ところが、エビ・魚などのように、水中で泳ぐ運動をするものは体の中心を境にして、右側と左側が同じ形をしています。
そして、たいていは、体のうしろはしに尾びれがあって、これで水を押しやって泳ぎます。
魚には、さらに、背・腹・胸などにもひれがあって体が横に揺れるのをふせいだり、急に止まったり方向をかえたりするのに都合よくなっています。
また、どの魚にも、ほとんどみな浮きぶくろがあって体を浮かすのに役立っています。
クジラ・イルカ・アシカなどの獣やウミガメなどは、もとは陸に住んでいたのですが、海の中で生活するようになってから足や尾の形がかわって水中を泳ぐのに都合のよい、ひれにかわりました。
ことに、クジラは、前足が胸びれに、尾が尾びれになってしまいました。
種類によっては背にも、りっぱな背びれができていて魚と間違うほどです。
海に住む動物と波・光
海岸近くの浅いところは、波がひどいので、ここに住む動物は貝類のように、硬い殻で身をつつんだり岩などにしっかりくっついていなければなりません。
海の深いところに行くと、波はなくて静かになってきますが、そのかわり、光が届かなくなり、だんだん暗くなってきます。
ですから、深海魚では目が大きくなったり非常に深いまっ暗なところにいるものでは目があっても、ものを見ることができないので反対に目が退化しているものもあります。
また、深海魚には発光器をもっていて、自分で光を出すものもあります。
チョウチンアンコウは、背中から長い枝が伸びて、その先に提灯のようなものをぶら下げ、それが口の前で光ります。
ほかの魚たちが、その光に誘われて近づくと大きな口で食べてしまいます。
魚の浮きぶくろ
魚が水の中に浮いていられるのは、浮きぶくろがあるためです。
魚の浮きぶくろは、食道の一部がふくらんでふくろになったもので子魚のうちは、浮きぶくろと食道とが細い管でつながっていますが成長するにつれて、細い管がなくなります。
しかし、コイ・フナ・サケ・ウナギなどのように成長して親になっても、細い管が残っているものもあります。
浮きぶくろには、細い血管がたくさん集まってできた赤腺というしくみがあって、ここで血液中の酸素や二酸化炭素を浮きぶくろの中に出します。
水の中に二酸化炭素が多くなると赤腺からたくさんの二酸化炭素が出され、浮きぶくろが大きくふくらみます。
また、浮きぶくろの中のガスは卵円腺というところから吸い取ることができるので魚たちは、この浮きぶくろの大きさをかえて、自由に体を浮き沈みさせることができます。
また、深海魚などが住むような深いところでは魚は、たいへん大きな水心圧力を受けます。
そのため、深海魚では、浮きぶくろの中の気体の圧力を大きくして体が水の圧力に押し潰されないようにしています。
浮きぶくろは、このほか音を聞いたり呼吸をするのにも役立つことがあります。
動物の体を住みかとするものかわった動物に、ほかの動物の体を住みかとしてぃるものもあります。