エビ・カニ・貝の採集
エビはよく跳ねるし、カニは横にはうという性質があります。
つかまえるときに、この性質を利用することが大切です。
小さなヌマエビは水草にたくさん集まっています。
少し大きなテナガエビは川底にいます。
どちらも、網で尻のほうからかぶせるようにすると驚いて、うしろに跳ね、しぜんに網の中に飛びこんできます。
また、ミミズなどをえさにしてつることもできます。
ザリガエも、同じようにしてつかまえます。
小川に住んでいるサワガエは、よく石の下などに隠れていますから、そっと石を起こして探します。
すぐ横になって逃げますから、横からあみでつかまえればよいでしょう。
小川や沼にいるシジミやカラスガイは底の泥の中にもぐっています。
これは、貝かき網でひくと、いちどに、たくさんとれます。
カラスガイなどは、大きいので水の中で手探りで探しても、かんたんに採集することができます。
タニシは、淡水の池や水田の泥底でとれます。
小川の貝をとるときは、種類によって寄生虫がいるので注意しなければなりません。
最も恐ろしいのは、ニホンジュウケツキュウチュウの子虫で、これはミヤイリガイ(カタヤマガイとも言います)に寄生しています。
ですから、この貝の住んでいる地方では、うっかり小川などに足を入れると、この寄生虫の子虫が、皮膚から体内に入って血液中に寄生しますから注意しなければなりません。
水中に住む昆虫の採集
小川や池の水面を、すいすいと走るアメンボやミズスマシは手網をかぶせるようにして、たやすく、とらえることができます。
水中を泳ぎまわるゲソゴロウや、タガメ・ミズカマキリ・タイコウチなどは、ときどき、水面に浮かんでは空気を吸って、また水中に沈みます。
このような虫は、浮かんできたところを、網ですくえばよいでしょう。
とらえたものは、水をいっぱい入れて、ふたをしておくと呼吸ができなくなって死んでしまいますから水は瓶の3分の2くらい、入れておきましょう。
水に住む昆虫にも、夜、明かりをつけておくと飛んでくるものがありますから、家の中ででも採集できます。
また、池や川の底にある、大きな石をおこしてみるとミノムシのような巣をもったトビケラの幼虫がいたり卜ンボの幼虫のヤゴが見つかったりします。
ホタルの幼虫も、日中は川底の石の下などに隠れていますが夜は親と同じように光るので、見つけることができます。
ヘイケボタルは、きれいな水が流れているところにいます。
ゲンジボタルは、川の淀んだところにもいます。
フサカ・ユスリカ・カゲロウの幼虫も、池の底で見つかります。
これらは、ピンセットでつまんで採集瓶に入れます。
トンボは、よく水面近くを飛んでいるので小川や池のほとりは、とてもよい採集地です。
アカトンボは、腹の先で水面を叩くようにして、たまごを生みます。
ヤンマの仲間は、水草につかまり、腹を水中につけて水面より下の茎の中にたまごを生みつけます。
このような水草の茎をたんねんに探せばトンボのたまごを採集することができます。
カエルの採集
カエルの種類はたいへん多く、種類によって産卵期が違いますが、たまごの採集ができるのは、春さき(2月中旬~3月中旬)と初夏(6月前後)の2回です。
春さきには、アカガエルやヒキガエルがたまごを生みますし初夏のころにはトノサマガエル、6月中旬にはモリアオガエルがたまごを生みます。
採集したたまごは、空き瓶か、空き缶に入れて持ち帰ります。
1、2週間経つと、オタマジャクシがかえります。
オタマジャクシをとるときは、たま網ですくえば、ごくかんたんです。
ヒキガエルのオタマジャクシは、6月はじめに小さなカエルになります。
このころオタマジャクシがいた池のふちなどには、かわいらしいカエルが、たくさん這い上がってきます。
親ガエルは、春さきに冬眠から覚めて、たまごを生みに池のまわりに集まってきたときや池の中を泳いでいるときに、網でつかまえるのがよいでしょう。
トノサマガエルやツチガエルは、網ですくったりミミズのえさでつることができます。
標本のつくりかた
水中に住む動物を標本にするには、採集したら、すぐにガラスの標本瓶に入れ、70パーセントのアルコールか、10パーセントのホルマリンにつけておきます。
しかし、魚類は、長いあいだに色が消えて、白っぽくなるのが欠点です。
カエルなどは、骨格標本にすると骨のしくみがとてもよくわかります。
それには、まず、カエルをエーテルで麻酔させ皮膚をはぎ、内臓や目立った筋肉を取り除きます。
それから80度ぐらいの湯の中でゆっくりにて骨のまわりに残った筋肉などを、丁寧に取り除いて標本にします。
きれいに仕上げるには、さらに、うすい水酸化ナトリウム液につけるか、しばらく水につけてからよく洗い、陰干しにして乾燥させます。