コケ・キノコ・海藻の標本の作り方とは? わかりやすく解説!

コケの標本

コケの標本は、いちばんかんたんです。

スギゴケの仲間(せん類)は、採集のところで説明したようにセロハンのふくろに入れて、そのままかわかせばよいのです。

ゼニゴケの仲間(たい類)は、水分が多いので、おし葉標本にしますが、せん類と同じようにしてもよいのです。

サルオガセの仲間(地衣類)は、たいへん水分の少ないものですから、せん類と同じようにします。


キノコの標本

ふつう、キノコは、よくごみを洗いおとして70パーセントぐらいのアルコールかホルマリソの5パーセントぐらいの液につけて、液づけ標本にします。

ツチグリやサルノコシカケのように乾きやすいものは、そのまま乾かしただけで標本(乾燥標本)にします。

海藻の標本

海藻は、おし葉標本か、液づけ標本にします。

海藻のおし葉標本

まず海藻を真水につけて、塩分や汚れをとります。

つぎに、真水を入れた大きなパットか、たらいに海藻を入れます。
そして、台紙を水の中に入れて、海藻の下にさしこみます。

この台紙の上に、ピンセッ卜か指先で海藻をよく広げます。
こうして、形をくずさないように注意しながら台紙といっしょに海藻をひきあげます。

このようにして、海藻をすくいあげた台紙を、ななめにした板の上にならべて水をきります。

水が垂れてなくなったら新聞紙を2、3枚重ねた上に台紙をならべて、上からさらしの布をかけます。



この上に、新聞紙を2、3枚のせて、その上に、またほかの台紙を重ねます。
こうして、新聞紙とさらしの布をかけた台紙とを、互い違いに重ねていきます。

こうして重ね終わったら、あとは、ふつうのおし葉標本と同じように上と下に板をおいて、上から重しをしておけばよいのです。

台紙に、さらしの布を被せるのは新聞紙に海藻がはりつかないようにするためです。

こうして、1日に1、2回、あいだにいれた新聞紙をとりかえます。
天気がよければ、3~5日ぐらいで乾きます。

よく乾いたら、重しをとって、布を静かに台紙からはなします。

たいていの海藻は、体からのりがでるので台紙にはりついていますが、はりつかないものは紙きれやセロハンテープなどで動かないように、ところどころをはりつけます。

ラベルも、ふつうのおし葉標本のように台紙のすみにはっておきます。

海藻の液づけ標本

液づけ標本は、広口びんなどに、5パーセントぐらいのホルマリン液か70パーセントぐらいのアルコール液を入れて、海藻を浸しておけばよいのです。

液づけ標本は、海藻を生きていたときと同じ状態で保存できますが色がかわる欠点があります。




植物の標本の作り方とは? わかりやすく解説!

おし葉標本

植物は、ふつう。おし葉標本にします。

おし葉標本をつくるには、そのための器械もありますが私たちは、もっとかんたんにつくることができます。


標本つくりの道具

道具は、小石をつめたミカンの空き箱と新聞紙つ折りくらいの大きさの板を2枚そろえます。

おし葉標本のつくりかた

採集してきた植物は、4つ折りにした新聞紙のあいだにはさみます。
長すぎるものは、茎をNやMやW字の形に折り曲げてはさみます。

草などの茎は、切れやすいものですから、茎を折るときは折り目をつめでつぶしてから折ると茎が切れません。

木などは、多すぎる枝をはさみで切り落とします。
葉も、多すぎて重なるものは葉柄を残して切り取ります。

葉は、なるべく表をだして、しわや折れ目がつかないようにします。
ただし、2、3枚の葉は、裏を出すようにしておきます。

新聞紙のあいだにはさんだらあいだに、新聞紙を4つ折りにして、2、3枚はさみます。

こうして、標本をはさんだ新聞紙と、あいだにはさむ新聞紙を互い違いに、何枚も積み重ねます。
木の枝や硬い葉の植物のときは、あいだにはさむ新聞紙を多くしてやります。

重ね終わったら、上と下に、用意した板をおきます。
そして、上から石や本などの重しをのせておしつけておきます。

あいだにはさんだ新聞紙は、面倒でも、毎日必ず取り換えるようにします。
新聞紙は湿っていますから、干して乾かせば、また使うことができます。

こうして、1週間から10日もすると、植物はすっかり乾いて、おし葉標本ができあがりますが葉が厚く水分の多いものは、もっと期間がかかります。

できあがった標本は、新しい新聞紙に入れ替えて、そのまま閉まっておいてもよいのですが、なるべく台紙に貼り付けるようにします。



台紙

おし葉標本をはりつける模造紙や画用紙のような厚い紙を台紙と言います。

標本は、小さな紙切れに、のりをつけて台紙にはりつけますがアラビアゴムやセロハンテープがあると便利です。

貼り付けるときは、あとで標本を見るのに邪魔にならないように注意します。

標本を貼り付けたら、台紙のなるべく右下のすみのところに小さな紙をはって、植物の名前・採集したところと月日、採集した人の名前などを書いておきます。

この紙をラベルと言います。

ラベルにはこのほか、植物の学問上の名前と科の名前を書いておくとよいのです。

こうしてできた標本は、虫がつかないようにナフタリンや、しょうのうなどを入れて、しまっておきます。

実や種の標本

種も、大切なものですから標本にします。

種は、たいてい小さくて、なくなりやすいものですから小さなふくろに入れて、その植物の台紙のすみに貼り付けておきます。

実も、小さくて乾きやすいものは、種のようにしておけばよいのですが大きくて水分の多いものは、キノコの標本などと同じように液づけ標本にしなければなりません。

まず、実をよく水で洗ってから、広口瓶にいれて70パーセントぐらいのアルコールかホルマリンの5パーセン卜ぐらいの液に浸しておきます。

これは、実が腐らないようにするためです。




シダ・コケ・キノコの採集のやり方とは?海藻の採集やり方とは?

シダ・コケ・キノコの採集

シダ・コケ・キノコなどは、日かげのじめじめしたところが好きなので森や林の中の日かげのところに多く見られます。

シダ・コケ・キノコなどは、なるべく胞子のふくろのついたものをとるようにします。

胞子は、花の咲く植物の花や実にあたるものだからです。


シダの採集

シダの仲間は、胞子のふくろのつきかたや葉の柄についた毛やうろこのようなもの(りんぺん)に特徴があり種類を見分けるのに役立ちますから、必ず、根や胞子のふくろのついたものを採集するようにします。

胞子のふくろは、たいていのシダでは、ふつうの葉の裏についていますが、なかには、ゼンマイ・シシガシラなどのように特別な葉についているものがありますから注意します。

コケの採集

コケはスギゴケの仲間(せん類)、ゼニゴケの仲間(たい類)、ウメノキゴケの仲間(地衣類)の3つにわけられます。

たいてい、地面や木の幹や岩の上などにはえています。

けれども、サルオガセのように、高い木の枝について糸のように、たれさがっているものもあります。

せん類は、ふつうの植物のように、おし葉標本にしてもよいのですが採集したら土をおとしてセロハン紙でつくった縦・横それぞれ10センチぐらいのふくろに入れそのまま、自然に乾かしたものでも、よい標本になります。

たい類は、せん類と違って水分が多いので、おし葉標本にします。

せん類とたい類の採集で、注意することは胞子のできるめかぶと胞子のできないおかぶの別があるものが多いことです。

このような種類は、なるべくめかぶとおかぶを両方とも採集しなければなりません。

地衣類は、さまざまな形のものがありますが、せん類と同じようにセロハンのふくろに入れて、自然に乾かせば標本になります。
 
コケも、草や木やシダと同じく、採集した場所や月日を書いておきますが、なお木の幹・岩の上などと、はえていたところも書いておきます。

キノコの採集

キノコの仲間は、秋に、いろいろな種類がはえるので秋が採集に適しています。

キノコは、たいていやわらかく、壊れやすいので、持ち運びに注意します。
とくに、ハツタケやベニタケなどは、壊れやすいものです。

また、キノコには毒のあるものが多いので、食用にするためのキノコの採集は、よく種類を調べなければなりません。

それには、先生やキノコの種類をよく知っていいる人に聞くのがよいでしょう。



海藻の採集

海藻は、ふつう磯で採集しますが、そのほか砂浜でも採集します。

海岸の深さは、潮の干満によって違いますから、いちばん浅くなる大潮の日の干潮のときが採集に適しています。

また、海藻は1年生のものが多く、たいてい、春から初夏にかけて、いちばんよくしげります。

ですから、海藻の採集は、昼の潮が1年中でもっともひく4、5月の大潮のころが、いちばんよいことになります。

海藻採集の道具

足には、布でできたそこの厚い足袋か、ワラジや草履を履きます。
海藻の入れものは、どうらんよりも、かごや布ぶくろ、
ビニルのふくろなどが、便利です。

また、小さな海藻を入れるために、くだびんや広口びんなどを用意します。

このほか、ピンセット・ナイフ・ハンマー・たがね・いそがね・かま
水中眼鏡か、のぞき箱などがあれば充分です。

採集の注憲

海藻は、はえている場所や時期により、形がかわっていることが多く反対に種類が違っても、形が似ていることがあります。

また、同じかぶでも、上と下で形が違うことがあります。

ですから、同じ種類と思っても、なるべく多くとり、とるときは海藻全体をとるようにします。

また、採集が終わったら使った金具は必ず、真水で洗っておきます。

磯採集

磯採集は、潮がひいて浅くなった海岸や手の届くような浅いところにはえている海藻をとります。

このときは、海藻のはえている様子や、はえているところにも注意します。

砂浜の採集

砂浜の採集は、台風などによって、海が荒れたつぎの日に砂浜に打ち上げられた海藻を集めます。

深いところにはえている、思いがけない種類の海藻が、とれることがあります。




植物の採集のやり方とは? 草や木の採集のやり方とは?

植物採集の道具

植物の採取は、道具ががなくてもできますが、やはり道具があると便利です。

道具には、自分でつくれるものもありますから、かんたんなものはつくるようにしましょう。


どうらん

採集した植物を持ち運ぶのに、遠いところでとってきたものなどは時間が経つと、しおれてしまいます。

このようなときに、どうらんを使います。

どうらんは、ブリキやトタンでできたカバンのような入れ物で大きさはいろいろあります。
かたから、ひもでさげるようにできています。

やさつ

採集した植物を運ぶのに、どうらんのかわりに、やさつを使うこともあります。

やさつは、竹や金網やベニヤ板を2枚あわせて、ひもで肩からさげられるようになっています。

そのあいだに、新聞紙や吸いとり紙をいれて採集した植物を紙にはさんで運ぶのです。

根ほり

植物は、なるべく根もいっしょに採集するのが、正しい方法です。
根を掘りとる場合は根掘りを使います。

根掘りは、鉄でできていますが竹などを使って、自分でつくることができます。

長さ30センチほどの太い竹を4つに割って、その先を削ってとがらせ、もとのほうを手で握れるようにすれば、根掘りとして使えます。

そのほかの道具

このほか、せん定ばさみ・木ばさみ・虫眼鏡(ルーペ)・ノートーテープ・鉛筆や万年筆、新聞紙などを用意すると、便利です。

また、森林へいくときは、先の曲がったステッキのような棒をもっていくと高い木の枝などをとるときに便利です。

採集した植物のかんたんな持ち運びかた

どうらんややさつを使わずに採集した植物をかんたんに持ち運ぶこともできます。
それには、新聞紙とビニルのふろしきがあればよいのです。

まず、葉の厚い木や草、イネ科やカヤツリグサ科の植物のように
葉の硬いものは何本もいっしょにし、新聞紙に包んで上からひもでしばります。

また、やわらかい種類のものは、やさつにはさむように
新聞紙に1本ずつはさみ、はさんだ新聞紙をいっぽうからまるくまいて、
ひもでしばります。

こうしたものをビニルのふろしきで包んでおけば
植物の形を崩さないで、持ち運ぶことができます。

このほか、週刊誌や列車の時刻表などを利用する方法もあります。

採集した標本を新聞紙などにはさむのと同じように週刊誌や時刻表にはさめば、リュックサックやカバンなどのようなものに入れても植物の形が崩れないので便利です。



草や木の採集

植物は、土地や季節によって種類が違います。
採集するときは、土地や季節の違いに注意しなければなりません。

また、小さい草は、見落としやすいものです。

草の採集

植物の採集は、家の近くの草からはじめます。
庭や道ばたの雑草から、野原、池や川、森や林、山と、しだいに場所を広げていきます。

はじめは、どんな草でもとりおとさないように採集します。
そして、必ず、つぼみや花の実のついたものをとります。

葉と茎だけでは、完全なものとは言えないのです。
また、同じものがたくさんあるときは、そのなかでいちばんよいものを採集します。

そして、できるなら、同じものを何本もとっておきます。

採集した植物は、紙テープなどに採集した場所・年月日などを書いて、茎にむすんでおきます。
場所は、都・道・府・県・郡・市・町・村などを書きます。

木の採集

木も草と同じように採集します。
大きな木は根をとることができませんから、枝だけにします。

花や実がついているとよいのですが草と違って、葉だけで特徴がわかることもあります。

切り取る大きさは新聞紙4つ折りぐらいが、持ち運びに便利です。




海辺の動物の採集のやり方とは? 標本の作り方とは?

採集の道具

いそのみ

岩などにくっついていて、なかなか獲れない貝などを、はがすときに使います。古い小刀でも代用できます。

根ほり

植物採集用の根ほりは、砂の中の動物を掘るのに便利です。

ピンセット

採集用のピンセッ卜は、なるべく大きな、そして丈夫な鉄のものが便利です。

海辺で売っている、さじ網でも構いませんが水に住むごん虫に使う特別な網もよいでしょう。

水中眼鏡

水の中をのぞくのに使います。漁師の使う「のぞき」は、たいへん使いよいものです。

採集ぴんと管びん

ふつうウミウシ・イソギンチャクなどの採集には、採集瓶を使いますがプラスチックの入れものにひもをつけて、腰にぶら下げるようにすると便利です。

管びんは、エビや小ガユなどを何匹もいっしょに入れると足やはさみがとれてしまうので、1匹ずつ入れるのに使います。

このほか、ヒトデ・ウニ・貝などをいっしょにいれる布ぶくろや小魚などを入れるビニルぶくろも用意します。

プランクトンネット

プランクトンの採集に必要で、ほかのものでは駄目です。

わらぞうり

これを履いていると、岩の上にはえている、ぬるぬるした海藻などの上を歩くときに、滑らないですみます。

また、裸足で歩くと貝殻やガラスの欠片で怪我をすることもあって危険ですから、古い足袋か靴下などをもっていくほうがよいでしょう。


海辺での採集

海辺へ採集に行くときは、満潮のときを避けて、干潮のときにいきます。

砂浜での採集

海水浴や潮干狩のできるような遠浅の砂浜は、採集にも都合のよいところです。
潮がひいたあとの砂の上には、ぴんぴん跳ねまわるトビムシの類がいます。

また左右のはさみの大きさの違うシオマネキというカニがいますし、ヒトデもいます。

砂の中には、さまざまな二枚貝や、ゴカイ・アナジャコなどがもぐっています。

標本にするものは、みな、生きている新しいものを採集するようにしなければなりません。

岩浜での採集

岩浜は、磯とも言われ岩が多く、こみいった形をしているので、いろいろな海藻がはえており海産動物の種類も砂浜にくらべてずっとたくさんいます。

動かせるような岩があったら、起こして下側を調べてみましょう。
ただし、観察や採集が終わったら、必ず元通りに直しておくことが大切です。

岩に硬くくっついているヒザラガイやヨメガカサなどは、いそのみを使って、まわりを傷つけないようにとります。

また海岸で湯をわかして、それをかけると、楽にとれます。

このほかに、岩にはタマキビやイシダタミなどの巻貝の仲間が、たくさんついています。

岩かげの暗いところには、カイメンやホヤがついています。
竹べらか、いそのみで、はがして採集しましょう。

潮だまりでの採集

潮がひいたあと、岩の上にできる海水の水たまりを潮だまり(タイトプール)と言います。

小さな潮だまりには、あまり動物はいませんが、大きな潮だまりには逃げ場をなくした魚や、そのほかの生きものがたくさんいます。

この潮だまりは、波がなく、底がよく見え、魚などでも、すくいやすく、採集には、非常に便利です。

海藻のあいだには、めずらしいウミグモやヨコエビなどのほか
海藻とそっくりの色や形をしたものが、たくさんすん住んでいます。



プランクトンの採集

プランクトンか採集するには、岩浜や砂浜だけでなく、船で沖へでます。

船をこぎながらプランクトンネット(網)をひいていると海面近くのプランクトンがとれます。

船をとめて網を長くおろし、深いところのプランクトンをとることもできます。
深いところのものだけをとるときは、ひきあげるまえに、網のところの瓶に、ふたをするしくみのものを使います。

同じ日でも、朝と夕方と夜とでは、とれるプランクトンは少し違います。
夏と冬とでも違います。

プランクトンの採集は、時刻や場所、深さなどに応じて、
いろいろにやってみることが大切です。

採集したものは、とった場所と時刻を記録して瓶に入れ
家に帰って、顕微鏡で調べてみましょう。

標本のつくりかた

貝は湯で殺し、なかみをよく観察してから捨て、貝殻だけをとっておきます。

まき貝のまるいふたもとっておきます。
貝殻が泥やごみで汚れているものは、よくふいてきれいにし表面がはっきりするようにしましょう。

整理をするには、ボール箱か、木の箱をいくつにも区切り、その1つ1つの底に綿を敷いて、その上に乗せるようにします。

傾けたり、動かしたりするとき、ぶつかりあわないように、綿を加減します。
そのほかのものは、ホルマリンづけ、あるいはアルコールづけの標本にします。

アルコールのほうがよい場合もありますが蒸発しやすく、値段も高いので、ホルマリンのほうがよいでしょう。

エビやカユは数日間ホルマリソにつけてから形を整えて陰干しにすると乾燥標本にすることができます。

いっぽう、これらは液づけ標本にすることもできますが色素が溶け出して液が褐色になるので、そのたびに液をかえてやります。

こうすると、標本はすっかり白くなり、液も、透明の美しいものになります。

瓶は、適当な大きさの管びんや標本びんを使います。
ごく小さなものを標本にするときは管びんに入れ、いくつかいっしょにして、さらに標本瓶に入れます。

できあがった標本は、大切に扱い、いつも見えるようにしておけば、よい勉強になるでしょう。




水中に住む生物の採集のしかたとは? 標本のつくりかたとは?

エビ・カニ・貝の採集

エビはよく跳ねるし、カニは横にはうという性質があります。
つかまえるときに、この性質を利用することが大切です。


小さなヌマエビは水草にたくさん集まっています。
少し大きなテナガエビは川底にいます。

どちらも、網で尻のほうからかぶせるようにすると驚いて、うしろに跳ね、しぜんに網の中に飛びこんできます。

また、ミミズなどをえさにしてつることもできます。
ザリガエも、同じようにしてつかまえます。

小川に住んでいるサワガエは、よく石の下などに隠れていますから、そっと石を起こして探します。
すぐ横になって逃げますから、横からあみでつかまえればよいでしょう。

小川や沼にいるシジミやカラスガイは底の泥の中にもぐっています。
これは、貝かき網でひくと、いちどに、たくさんとれます。

カラスガイなどは、大きいので水の中で手探りで探しても、かんたんに採集することができます。
タニシは、淡水の池や水田の泥底でとれます。

小川の貝をとるときは、種類によって寄生虫がいるので注意しなければなりません。

最も恐ろしいのは、ニホンジュウケツキュウチュウの子虫で、これはミヤイリガイ(カタヤマガイとも言います)に寄生しています。

ですから、この貝の住んでいる地方では、うっかり小川などに足を入れると、この寄生虫の子虫が、皮膚から体内に入って血液中に寄生しますから注意しなければなりません。

水中に住む昆虫の採集

小川や池の水面を、すいすいと走るアメンボやミズスマシは手網をかぶせるようにして、たやすく、とらえることができます。

水中を泳ぎまわるゲソゴロウや、タガメ・ミズカマキリ・タイコウチなどは、ときどき、水面に浮かんでは空気を吸って、また水中に沈みます。

このような虫は、浮かんできたところを、網ですくえばよいでしょう。

とらえたものは、水をいっぱい入れて、ふたをしておくと呼吸ができなくなって死んでしまいますから水は瓶の3分の2くらい、入れておきましょう。
 
水に住む昆虫にも、夜、明かりをつけておくと飛んでくるものがありますから、家の中ででも採集できます。

また、池や川の底にある、大きな石をおこしてみるとミノムシのような巣をもったトビケラの幼虫がいたり卜ンボの幼虫のヤゴが見つかったりします。

ホタルの幼虫も、日中は川底の石の下などに隠れていますが夜は親と同じように光るので、見つけることができます。

ヘイケボタルは、きれいな水が流れているところにいます。
ゲンジボタルは、川の淀んだところにもいます。

フサカ・ユスリカ・カゲロウの幼虫も、池の底で見つかります。
これらは、ピンセットでつまんで採集瓶に入れます。

トンボは、よく水面近くを飛んでいるので小川や池のほとりは、とてもよい採集地です。
アカトンボは、腹の先で水面を叩くようにして、たまごを生みます。

ヤンマの仲間は、水草につかまり、腹を水中につけて水面より下の茎の中にたまごを生みつけます。

このような水草の茎をたんねんに探せばトンボのたまごを採集することができます。



カエルの採集

カエルの種類はたいへん多く、種類によって産卵期が違いますが、たまごの採集ができるのは、春さき(2月中旬~3月中旬)と初夏(6月前後)の2回です。

春さきには、アカガエルやヒキガエルがたまごを生みますし初夏のころにはトノサマガエル、6月中旬にはモリアオガエルがたまごを生みます。

採集したたまごは、空き瓶か、空き缶に入れて持ち帰ります。
1、2週間経つと、オタマジャクシがかえります。

オタマジャクシをとるときは、たま網ですくえば、ごくかんたんです。
ヒキガエルのオタマジャクシは、6月はじめに小さなカエルになります。

このころオタマジャクシがいた池のふちなどには、かわいらしいカエルが、たくさん這い上がってきます。

親ガエルは、春さきに冬眠から覚めて、たまごを生みに池のまわりに集まってきたときや池の中を泳いでいるときに、網でつかまえるのがよいでしょう。

トノサマガエルやツチガエルは、網ですくったりミミズのえさでつることができます。

標本のつくりかた

水中に住む動物を標本にするには、採集したら、すぐにガラスの標本瓶に入れ、70パーセントのアルコールか、10パーセントのホルマリンにつけておきます。

しかし、魚類は、長いあいだに色が消えて、白っぽくなるのが欠点です。
カエルなどは、骨格標本にすると骨のしくみがとてもよくわかります。

それには、まず、カエルをエーテルで麻酔させ皮膚をはぎ、内臓や目立った筋肉を取り除きます。

それから80度ぐらいの湯の中でゆっくりにて骨のまわりに残った筋肉などを、丁寧に取り除いて標本にします。

きれいに仕上げるには、さらに、うすい水酸化ナトリウム液につけるか、しばらく水につけてからよく洗い、陰干しにして乾燥させます。




池・小川の動物の採集方法とは? 魚やたまごの採集のやり方とは?

魚をよく観察し、実験するためには生きたままつかまえて、飼育しなければなりません。

魚をとる方法には、いろいろありますが、そのなかで、いちばんかんたんなのは、たま網ですくいとる方法です。


メダカなどは、たま網を水面から叩くようにかぶせると、よくとれます。

4つ手網を使うと、いちどに多くの小魚をとることができます。
これは、網にえさをのせて水中に沈め魚の集まったころに引き上げてとるものです。

すくってとる場合には、たま網や4つ手網より、さじ網のほうが便利です。
また、群れをなしている魚には、と網がよいでしょう。

獲った魚は網の上で長くぴちぴち跳ねさせておくと、すぐ弱ってしまいます。手早く、水の入った入れ物にいれることが大切です。

かいぼり

かいぼりは、魚がいそうなところの水をかいだしてとる方法です。
小川などでは流れをせきとめ、また池の水ならば、流しだすか、くみあげてしまいます。

そのあとを、網ですくえばよいのです。

釣り

大きな池や川で魚をとるには、釣りが第一でしょう。
えさは、釣る魚の種類や季節によって、かえなければなりません。

フナをつるには、冬はアカムシ(ユスリカの幼虫)春はキジ(シマミミズ)、夏から秋にかけては、ねりえがよいでしょう。

ライギョやナマズはカエルの足をえさにしてつります。



びんどう

びんどうと言うのは、びんの底に、ろうと状の穴をあけたもので魚の習性を利用して、かんたんに魚を生け捕りにする仕掛けです。

瓶の中には、米ぬかやおし麦を入れ、口をあみかガーゼでふさいでおきます。

びんどうの口は上流のほうに向けて、川底に沈めておきます。
すると、魚は、えさをもとめて、びんどうの底の穴から、中に入ってしまいます。

おもしろいことに、魚は壁にそって泳ぐ性質があります。
このため、びんどうの中でも、壁にそって泳ぎまわりびんの底に穴がおいているのに、外に出ることができないのです。

だから、沈めてから数時関して引き上げれば、たやすく数多くの魚を採集することができます。

しかも、魚に傷がつくことは、まったくありません。

竹どう

びんどうと、しくみがよく似ていて、竹でつくったものに、竹どうがあります。
これは竹でできた細長いかごの底に、ろうと状の穴をあけておくのです。

ウナギをとるものをウナギどう、ドジョウをとるものはドジョウどうナマズをとるものはナマズどうなどと、いろいろな種類があります。

魚のたまご

川魚のたまごはふつう、水草などに生みつけられているので探し出すのはたいへんです。

池で飼っているコイやフナなら、5、6月のたまごを生む時期にシュロなどの束を入れておくと、それにたまごを生みつけます。

キンギョの場合も、シュロの束を入れておきます。
メダカなどは、飼っている水槽の水草によく生んでいます。




乾燥標本のつくりかたとは? 液づけ標本のつくりかたとは?

標本のつくりかた

どんなにたくさんの虫をとっても、あとの整理を正しくしなければ、なんにもなりません。

しかも、生きものを無駄に殺すことにもなります。
昆虫採集をしたら、必ず立派な標本をつくるようにしなければなりません。

昆虫標本のつくりかたには乾かしてつくるものとアルコールなどの液につけてつくるものとの、2通りあります。


乾燥標本のつくりかた

チョウ・ガ・トンボなどは、おもに羽根を広げた形の標本をつくります。

まず、てんし板・ピンセット・柄つき針・虫ピン・おさえ紙(こしの強い丈夫な紙を細長く切ったもの)を用意します。

三角紙からてんし(羽根を広げること)しようと思う虫をとりだします。
そして、胸部の背中側のまん中から虫ピンをさし針が背中に4分の1ほど残るようにして、まっすぐに溝にとめます。

つぎに、おさえ紙を溝の少しわきにとめ静かに羽根を広げます。
そして柄つき針で前羽根の前の淵をひっかけ左右の羽根のうしろのへりが一直線になるまで形を正します。

うしろ羽根も、少し左右に開き、形を整えます。
トンボでは、うしろ羽根の前のへりが、一直線になるようにするのです。

ここまでできたら、おさえ紙で羽根をびちっととめ最後に、ひげや腹の形も整えて針で支えます。

てんしができたら、ごみのかからない、そして、ネズミの害を受けないような、風通しのよい場所に、10日ぐらいおいて乾かします。
虫の体が、充分に乾いたら、丁寧に、てんし板から外して標本箱に入れます。

トンボの場合は、死んでしばらく経つと、あの美しい色が失われてしまいます。

これをふせぐには、トンボが生きているあいだに腹の下側をはさみで縦に切り、内臓を丁寧に取り出します。

そして、腹部が折れないように乾いた草の茎でつくった細い芯を腹のはしから頭までさしておきます。

なお、長いあいだ、三角紙に入れておくと体が固まってしまう場合があります。

このときは、空き缶の底にだっし綿を平らにしき水で湿らせて、その上にてんしをする虫をのせます。
そしてカビがはえないように、石炭酸水を少し垂らしておくのです。

こうして1週間も経てば、元通りのやわらかさになりますから、これをてんしします。

バッタ・セミなどは胸にピンをさしてコルク板などの上にとめ、ひげ、足の形を整えて、10日間ぐらい乾かします。
甲虫の場合も同じですが、針は右前羽根のつけねにさすようにします。

また、バックやキリギリスなどのように内臓の多いものは、トンボと同じように内臓を取り出します。

つぎにホルマリンをしませた綿でふき最後に綿を腹につめて、もとの形にします。

針がさせないような小さな虫は、名刺などの紙を適当な大きさに切り、これにセメダインやアラビアゴムなどで、貼り付けます。

この紙を針でさして、標本にするのです。

この方法のほかに、ダブルピンという針に小さな虫をさして標本とすることもあります。

こうすると、虫の体の腹側を見ることができるので研究には、都合がよいわけです。



ラベルのつけかた

標本ができあがったならば、ラベルに採集地・採集年月日,採集者名などを正確に記入して、虫をさしてある針にさします。

このラベルがついていないと標本はほとんど、値打ちがなくなってしまいます。

生物を調べるには、採れた場所や季節が大切だからです。
たとえ、面倒でも、ラベルは、必ずつけなければなりません。

液づけ標本のつくりかた

クモや昆虫の幼虫は、乾燥標本にすることもできますが、ふつうは、70パーセソトのアルコールかホルマリンの10倍液(薬局で売っているホルマリンを水で10倍にうすめたもの)につけて液づけ標本にします。

そして、採集地・年月日などを、鉛筆で紙に書き、いっしょに入れておきます。

瓶の外からみやすい液づけ標本をつくるには適当な量の脱脂綿の上に幼虫などの形を整えて、そのまま静かに瓶に入れ綿と瓶の内面で標本をおさえるようにして、液づけにします。




昆虫採集のしかたと種類とは? わかりやすく解説!

昆虫採集のしかた

季節や場所によって、どんな虫がとれるかが、一通りわかりました。
つぎに実際の採集方法を説明しましょう。


みつけどり

花やクヌギ・ナラなどの木の汁に集まっているチョウ・ガ・ハチ・甲虫などをみつけて、捕虫網でとらえる方法です。

捕虫網でうまくチョウをとらえたならば、すぐに網をまわしてチョウが逃げないようにし網の上からチョウの胸を強くおさえて殺します。

殺したチョウは、すぐに三角紙にうつします。

このとき羽根にさわらないように充分注意し、必ず、胸か腹を持ちます。
殺してから時間が経つと、乾いて足やひげが、折れやすくなるものです。

ハチ・甲虫などをとったときは、すぐに毒瓶に入れます。

さがしどり

石や木の皮の下、焚き木のあいだ、腐った木、キノコ、糞などには、めずらしい甲虫・ハサミ・ムシ・ショウジョウバエなどが集まっています。

このようなところは、とくに、念入りに探してみる必要があります。

めくらどり

道を歩きながら、草や木の葉のあいだを網ですくうと虫が網の中に入ることがあります。

また、捕虫網をあてておいてから、急に木を揺すったり叩いたりしても、とれることがあります。
この方法では、思いがけなく、めずらしい虫がとれることがあります。

夜の虫とり

この採集法にはいくつかのやりかたがありますが、そのうちの2、3の例をあげてみましょう。

灯火採集

昆虫が、光に集まる性質を利用したもので、いちばんよくおこなわれます。

ふつうは、谷を見下ろす高台に、白い布でまくをつくりその前に、電灯やアセチレン灯をおいて、集まってくる虫をとるのです。

ガや甲虫の採集には、たいへん効果がありますが月の出ていない、曇った晩を選ぶことが大切です。

このほか、ケーブルカーの駅の電灯や誘蛾灯にも多数の昆虫が集まりますから、注意して見てまわりましょう。

糖蜜採集

黒砂糖を煮詰めて、酒を少しくわえた蜜をクヌギのような、肌の粗い木にぬっておきます。

日が沈んでから2、3回見てまわり、ここに集まった昆虫を採集するのです。
おもに、ガが集まります。

腐肉採集

これは、魚・カエル・獣などの死体や、肉片・馬糞などをガラス瓶に入れ、野山のところどころにうずめておく方法です。

つぎの朝まわってみるとシデムシ・エンマムシ・マグソコガネなどが、たくさん瓶に入っています。

この採集法で注意することは瓶をうずめるときに瓶の口と地面が水平になるようにすること、捕まえた虫は熱湯かアルコールで、よく洗ってから乾燥することです。

昆虫のたまごの取り方

アゲハチョウのたまごをとるにはアゲハチョウのとまったカラタチの木を、注意深く探します。

ガは、おなかの大きいめすを空き箱に入れておけば、たまごを生みます。

アカトンボやシオカラトンボは、たまごを生みにきているめすをとらえて羽根をもち、腹の先で水を叩くと、おもしろいようにたまごを生みおとします。

セミは、紙ぶくろに入れておくと、たまごを生みます。

このほかの虫も、親の虫の性質がわかればたまごをとる工夫ができますから
普段から注意しておくことです。



クモの採集

用意するもの

ふつう、クモの採取には管瓶が3、4本あれば、ほかに特別な準備はいりません。

しかし、もっと次式に、たくさんのクモを集めたいときは、つぎのようにするのがよいでしょう。

直径2センチ、長さ7、8センチぐらいの大きな管びん2、3本と、直径1センチ、長さ5センチぐらいの小さな管びん15本ぐらいを用意し大きいほうの管びん1本と、小さいほうの管びん5本には、それぞれ70パ-セントのアルコールを入れておきます。

ふつうの大きさのクモで、とくにめずらしいとも思えないものはアルコールのはいった大きな瓶に、いっしょにいれます。

また、めずらしいものや小さいクモはアルコールの入った小さな瓶に1匹ずつ入れるようにします。

アルコールの入れていない瓶は、生かして持ち帰るときに使います。

クモの採り方

クモが網をはっていたり、草の葉などにとまっていたら捕虫網で下からすくうようにしてとります。

草原などで、めくらどりしても、かわったクモが採集できることがあります。

しかし、クモにかぎらず動物の採取がするときには、その動物がどんな生活をしているかを調べることが、もっとも大切なことなのです。

ですから、捕虫類をふるまえに、まず草や木の葉の裏側などを静かに調べてみましょう。

クモは地面の上にも地中にも、また木の根毛とや木の皮のあいだなどにも住んでいます。

夏には家のまわりや、やぶの中などに、たまごのふくろを網につるしたり口にくわえたりしているのが、見つかります。

また冬は、枯れ草のあいだや垣根にかかった枯れ葉のかたまりの中から、いろいろなクモが出てきます。

ですから、クモは1年中採集ができるわけです。

採集したクモには管びんごとに日づけや採集した場所を記入しておきましょう。




昆虫採集の道具とは? 採集する時期と場所とは?

捕虫網

おもにチョウやトンボ・アブなどの飛んでいる虫を採集するのに使いますがバッタ・甲虫など、ほかの虫の採集にも便利です。

ふつうは八番線ぐらいの針金で直径30~45センチの枠をつくり、これにナイロンなどでつくった深さ70センチぐらいのふくろをつけたものです。

柄は長さ約1、2メートルの軽くて丈夫な竹を使います。


水網

水中に住む昆虫を採るのに使い網は直径20センチ,深さ25センチぐらいで、金網か丈夫な布でつくります。

柄は、捕虫網のものを代用すると便利です。

毒瓶

ポケッ卜に入れられる細いもの(毒管)と水とうのように肩にかける大形のもの(毒つぼ)とがあります。

毒管は直径3センチ、長さ12センチぐらい毒つぼは直径8センチ、高さ12センチほどでどちらも、底に毒を入れるところがあります。

毒には酢酸エチルや四塩化炭素・クロロホルムなどを使いますが非常に危険な薬品ですから、取扱いには充分注意しなければなりません。

採集のときは、毒管を数本用意して小さな体のつくりの弱い虫と大きな虫とは、別々に入れるようにします。

幼虫採集管

毒管と同じぐらいの大きさのもので、底に金網をはったものです。
幼虫などを生かしたままで、持ち帰るのに使います。

三角紙と三角缶

とらえたチョウ・ガートンボなどを三角紙に入れさらにそれを三角缶や、箱に入れて持ち帰ると羽根が傷みません。

三角紙のつくりかたは、下の図のようにします。
ふつうはパラフィン紙を使い大・中・小の3通りの大きさが必要です。

三角缶は、ブリキでつくった三角形の容器でバンドに通して腰につけられるようにしたものです。

採集箱

これには、いろいろの型のものがありますが、たいてい長さ30センチ、幅20センチ、深さ6センチぐらいのキリの箱で肩から吊るすようになっています。

採集箱は三角紙・毒管・ピンセッ卜などを入れて持ち運べるので採集旅行のときにはたいへん便利です。
日がえりの採集には、それほど必要ではありません。

このほかに、虫眼鏡や野外で観察したことや気づいたことを書きいれるノートを忘れてはいけません。

古かや・空き瓶・空き缶・空き箱などを使い自分で工夫して採集用具をつくってみましょう。



採集する時期と場所

昆虫は、私たちの身のまわりから野山・高山・海辺・池・川・地中など、いたるところに住んでいます。

大きな町でも公園や草木のあるところを探せば、きっと何か昆虫を見つけることができます。

しかし、それぞれの虫の性質によって、あらわれる季節も、時刻も場所も違います。
したがって、採集のしかたもかえなければなりません。

四季の昆虫

ツマキチョウ・ギフチョウ・ウスバシロチョウ・コツバメ・ミヤマセセリなどは、春のチョウです。

このほか、クロスジギソヤソマ・ハルゼミなども春でないと採集できません。

夏は、昆虫の種類もいちばん多くチョウ・ガ・ハチ・アブ・甲虫・トンボ・セミなど、いくらでも採集できます。

秋になると、急に虫の種類は減りますが、なく虫やアカトンボなどの採集にはこの季節がいちばんです。

冬はふつうの方法では、ほとんど虫は採れません。
けれども、オサムシなどの採集には、たいそう都合のよいときです。
フユシャクという、かわったガのでるのも、この季節です。

高山の昆虫

2000メートルぐらいから上の山には、高山だけに住む昆虫がいます。
ミヤマシロチョウ・クモマツマキチョウ・ミヤマモンキチョウ・コヒオドシ(北海道では平地で採れます)・タカネヒカゲ・クモマベニヒカゲなどが、高山チョウの代表的なものです。

ふつう、北アルプス・八ヶ岳・浅間山などで採集できます。

しかし、これらのチョウは、かぎられた場所だけに発生するのですから、むやみにとってはいけません。

このほか、ガロアムシというめずらしい虫も、高山にみられます。

池や川の昆虫

昆虫のなかには、水面に生活するものや水底に住んでいるものがいます。

池や川ではアメンボ・マツモムシ・タガメ・ミズカマキリ・タイコウチ・ゲンゴロウ・ガ厶シ・ミズスマシ・ヤゴなどがとれます。

カゲロウ・トビケラ・トンボ類には水辺でなければとれないものが、ずいぶんあります。

海辺の昆虫

砂浜に打ち上げられた海藻の下には、ヒョウタンゴミムシやルリエンマムシが隠れています。

このほかにもハエやユスリカの仲間で、めずらしいものが採集できます。
海水浴にいったときは、海辺の昆虫も採集しましょう。




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