採集の道具
いそのみ
岩などにくっついていて、なかなか獲れない貝などを、はがすときに使います。古い小刀でも代用できます。
根ほり
植物採集用の根ほりは、砂の中の動物を掘るのに便利です。
ピンセット
採集用のピンセッ卜は、なるべく大きな、そして丈夫な鉄のものが便利です。
網
海辺で売っている、さじ網でも構いませんが水に住むごん虫に使う特別な網もよいでしょう。
水中眼鏡
水の中をのぞくのに使います。漁師の使う「のぞき」は、たいへん使いよいものです。
採集ぴんと管びん
ふつうウミウシ・イソギンチャクなどの採集には、採集瓶を使いますがプラスチックの入れものにひもをつけて、腰にぶら下げるようにすると便利です。
管びんは、エビや小ガユなどを何匹もいっしょに入れると足やはさみがとれてしまうので、1匹ずつ入れるのに使います。
このほか、ヒトデ・ウニ・貝などをいっしょにいれる布ぶくろや小魚などを入れるビニルぶくろも用意します。
プランクトンネット
プランクトンの採集に必要で、ほかのものでは駄目です。
わらぞうり
これを履いていると、岩の上にはえている、ぬるぬるした海藻などの上を歩くときに、滑らないですみます。
また、裸足で歩くと貝殻やガラスの欠片で怪我をすることもあって危険ですから、古い足袋か靴下などをもっていくほうがよいでしょう。
海辺での採集
海辺へ採集に行くときは、満潮のときを避けて、干潮のときにいきます。
砂浜での採集
海水浴や潮干狩のできるような遠浅の砂浜は、採集にも都合のよいところです。
潮がひいたあとの砂の上には、ぴんぴん跳ねまわるトビムシの類がいます。
また左右のはさみの大きさの違うシオマネキというカニがいますし、ヒトデもいます。
砂の中には、さまざまな二枚貝や、ゴカイ・アナジャコなどがもぐっています。
標本にするものは、みな、生きている新しいものを採集するようにしなければなりません。
岩浜での採集
岩浜は、磯とも言われ岩が多く、こみいった形をしているので、いろいろな海藻がはえており海産動物の種類も砂浜にくらべてずっとたくさんいます。
動かせるような岩があったら、起こして下側を調べてみましょう。
ただし、観察や採集が終わったら、必ず元通りに直しておくことが大切です。
岩に硬くくっついているヒザラガイやヨメガカサなどは、いそのみを使って、まわりを傷つけないようにとります。
また海岸で湯をわかして、それをかけると、楽にとれます。
このほかに、岩にはタマキビやイシダタミなどの巻貝の仲間が、たくさんついています。
岩かげの暗いところには、カイメンやホヤがついています。
竹べらか、いそのみで、はがして採集しましょう。
潮だまりでの採集
潮がひいたあと、岩の上にできる海水の水たまりを潮だまり(タイトプール)と言います。
小さな潮だまりには、あまり動物はいませんが、大きな潮だまりには逃げ場をなくした魚や、そのほかの生きものがたくさんいます。
この潮だまりは、波がなく、底がよく見え、魚などでも、すくいやすく、採集には、非常に便利です。
海藻のあいだには、めずらしいウミグモやヨコエビなどのほか
海藻とそっくりの色や形をしたものが、たくさんすん住んでいます。
プランクトンの採集
プランクトンか採集するには、岩浜や砂浜だけでなく、船で沖へでます。
船をこぎながらプランクトンネット(網)をひいていると海面近くのプランクトンがとれます。
船をとめて網を長くおろし、深いところのプランクトンをとることもできます。
深いところのものだけをとるときは、ひきあげるまえに、網のところの瓶に、ふたをするしくみのものを使います。
同じ日でも、朝と夕方と夜とでは、とれるプランクトンは少し違います。
夏と冬とでも違います。
プランクトンの採集は、時刻や場所、深さなどに応じて、
いろいろにやってみることが大切です。
採集したものは、とった場所と時刻を記録して瓶に入れ
家に帰って、顕微鏡で調べてみましょう。
標本のつくりかた
貝は湯で殺し、なかみをよく観察してから捨て、貝殻だけをとっておきます。
まき貝のまるいふたもとっておきます。
貝殻が泥やごみで汚れているものは、よくふいてきれいにし表面がはっきりするようにしましょう。
整理をするには、ボール箱か、木の箱をいくつにも区切り、その1つ1つの底に綿を敷いて、その上に乗せるようにします。
傾けたり、動かしたりするとき、ぶつかりあわないように、綿を加減します。
そのほかのものは、ホルマリンづけ、あるいはアルコールづけの標本にします。
アルコールのほうがよい場合もありますが蒸発しやすく、値段も高いので、ホルマリンのほうがよいでしょう。
エビやカユは数日間ホルマリソにつけてから形を整えて陰干しにすると乾燥標本にすることができます。
いっぽう、これらは液づけ標本にすることもできますが色素が溶け出して液が褐色になるので、そのたびに液をかえてやります。
こうすると、標本はすっかり白くなり、液も、透明の美しいものになります。
瓶は、適当な大きさの管びんや標本びんを使います。
ごく小さなものを標本にするときは管びんに入れ、いくつかいっしょにして、さらに標本瓶に入れます。
できあがった標本は、大切に扱い、いつも見えるようにしておけば、よい勉強になるでしょう。