紅葉
秋になると、木の葉が緑から紅や黄にかわって野山を美しく彩ります。
葉の色がこのようにかわることを紅葉または黄葉と言います。
この紅葉は、秋になって葉が落ちるまでに起こるだけでなく、春になって木の芽が伸び、新しい葉が開いたばかりのときにも起こります。
秋になって、だんだん気温が下がり、根や葉のはたらきが衰えてくると、葉にふくまれている葉緑素が壊れるので、緑色がだんだん消えてきます。
そのかわりに、アントシアンという赤い色素ができるので葉の色が紅色にかわるのです。
また、イチョウやヤナギなどは、秋になると葉が黄色くなります。
これは葉の葉緑素が壊れて、いっしょに葉にふくまれていたキサントフィルやカロチンなどという色素の色があらわれるからです。
これらの色素の色は普段は葉緑素の緑色のために消されて、あらわれなかったのです。
葉の色がかわる植物には、つぎのようなものがあります。
- 黄色になるもの……イチョウ・カツラ・ユリノキ・イタヤカエデ・ポプラ
- 紅色になるもの……カキ・ツタ・ヌルデ・カエデ・ニシキギ・ドウダンツツジ
落葉
サクラやヤナギなどの木は、秋も終わりに近づくと葉をふるい落として、寒空に裸の枝を広げて、冬を越します。
いったい、なんのために、葉を落とさなければならないのでしょうか。
また、どのようにして、葉が落とされるのでしょうか。
落葉するわけ
植物は、生活するために必要ないろいろな養分を、根から取り入れます。
しかし、それほど必要でないものも、いっしょに吸いあげられたり必要な養分でも、余分に吸いあげられたりしてしまいます。
それで、このような余計な養分や体の中で使っていらなくなったものなどは葉のところまで運んで、体外に吐き出さなければなりません。
ところが、葉に送っても、水分だけが先に出ていってしまい葉な中には、だんだんいらない余計なものがたまってしまいます。
ですから、葉は古くなるほど、これらのものに邪魔されて光合成のはたらきが衰えてきます。
また、気温か低くなると根のはたらきが鈍くなって水分が充分にとれなくなります。
そして、葉をつけていたのでは体の水分がどんどん逃げ出していってしまいます。
このため、役に立たなくなった古い葉は、体から落として冬を越すのが、いちばん植物の生活にかなっているわけなのです。
落葉のしくみ
落葉するときには、葉のつけねのところに離層という特別のさかいめができる植物があり枝から葉のほうへ水分かいかないようになります。
そのために、葉はひとりでに枯れてしまい離層のところから、はなれ落ちてしまうのです。
落葉樹と常緑樹
木には、サクラ・ヤナギなどのような落葉樹とマツ・スギ・カシなどのような常緑樹があります。
落葉樹は毎年秋になると、いっせいに葉を落としますが常緑樹は、1年中緑の葉をつけています。
しかし、常緑樹でも、葉の寿命がくると葉を落としたり、葉のついたまま枝を落としたりします。
葉の寿命は種類によって違い同じ種類でも木によって違います。
また、針葉樹はたいてい常緑樹ですがカラマツやアメリカのラクウショウなどのように秋になると葉を落としてしまう落葉樹もあります。