花のつくリ
日本は、花の種類の多い国です。
春から夏にかけて咲く花は私たちの身のまわりのものだけでも数えきれないほどです。
そして、花の形もさまざまで植物の種類をみわけるときの目印になります。
しかし、そのもとになる形を調べてみると、たいてい、いちばん外側にがく(うてな)があり、その内側に花びら、さらにその中に、おしべとめしべがあります。
がく・花びら・おしべ・めしべなどのついている部分は、花たく(花の台)と言います。
その形には、さらのような円板形のものや、お椀形のものもあります。
花たくには、また、サクラ・タンポポ・ユリなどのように、花くび(枝から花を支えている部分)が長くなって花こうというものになっているものがあります。
このほか、モクレン・クリなどのように、花くびのないものもあります。
がくと花びら
おしべやめしべは、種をつくるために植物にとってなくてはならないものです。
また、花のそのほかの部分は、めしべやおしべをまもったり虫を呼んで花粉をめしべにつける仲立ちの役をしたりします。
がくは、ふつうは緑色で葉緑体をふくんでいます。
なかには、ユリやチューリップのように、がくと花びらが同じ色や形をしているものもあります。
アヤメのように、花びらとがくとの区別がつかない花もあります。
このような花は花びらにあたるものと、がくにあたるものをいっしょにして、花がいと言います。
また、花びらとがくとをいっしょにして花被と言い1つの花の花びら全体を花冠と言うこともあります。
完全花と不完全花
ナスやエンドウのように、がく・花びら・おしべ・めしべなどがそろっている花を完全花と言い、このうちどれかが欠けている花を不完全花と言います。
オオケタデの花は、花びらがなくドクダミやヤナギの花は、がくも花びらもありません。
これらは、みな不完全花です。
合弁花と離弁花
サクラ・バラ・アブラナなどのように花びらが1枚ずつはなれているものを離弁花、または離弁花冠と言います。
また、キク・キュウリ・キキョウ・アサガオ・ツツジなどのように花びらがひと続きになっているものを合弁花あるいは合弁花冠と言っています。
おしべ・めしべ・花粉
おしべは、花粉の入っているやく(花粉ぶくろ)と、これを支える柄の花糸とからできています。
花糸は、サクラのように1本ずつはなれているのがふつうですが。ツバキ・ムクゲなどは、花糸のもとが全部いっしょになっています。
また、エンドウでは1本だけ別になっていますし、アブラナなどでは、6本のおしべのうち4本は長くなっています。
タンポポやキクなどでは、やくが全部くっついています。
やくの中では、花粉がつくられます。花粉の表面には突起があり、ざらざらしていて、めしべにつきやすいようになっています。
ツツジなどでは、花粉に細い糸がついていて、めしべにねばりつきます。
花粉は、風に吹かれたり、昆虫や鳥の体について、めしべに運ばれます。
めしべは、花の中心にあって、その先の部分を柱頭、根もとの部分を子房、その中間の部分を花柱と言います。
子房の中には、胚珠があります。
胚珠は、その中の卵細胞と花粉管の中の精核とが受精すると生長して種となります。
ですから、イネやクルミのように種が1つしかできないものは、胚珠が1つです。
キュウリやヘチマのように、種のたくさんできるものは子房の中にたくさんの胚珠があります。
子房は、受精したのち、大きくなって果実になります。
子房の位置は、植物によって、さまざまです。
たとえば、ナスとキュウリをくらべてみるとナスではへた(がくのあと)が実のもとにありますがキュウリではへたが実の先にあります。
ナス型のものは、花のときに子房ががくの上にあるので子房上位と言い、
いちばんふつうにあるものです。
また、キュウリ型のものは、子房ががくの下にあるので子房下位と言い、高等な植物のキク・ウリ・キキョウなどがその例です。
チダケサシ・シモツケソウ・アマチャなどは子房の中ほどにがくがあるので、子房中位ですが、このようなものはあまり多くありません。
花のつきかた
花が茎についている様子を花序と言います。
花序は、つぎのように大きく2つにわけることができます。
いくつかの花が、ユリのように茎の先から下にむかって咲いていくものは有限花序と言われ、これと反対にフジのように下から上のほうにだんだん咲いていくものは、無限花序と言われます。
有限花序は、ふつう集散花序と言われ、これには単頂花序(チューリップ)・多出集散花序(ミズキ)き散花序(ハコベ)・巻散花序(キュウリグサ)互散花序(ハンニチバナ)などがあります。
また、無限花序には、穂状花序(オオバコ)・総状花序(アブラナ)散房花序(オミナエシ)・散形花序(サクラソウ)頭状花序(タンポポ)などがあります。