海水面の運動
土地の隆起や沈降は、ふつう海水面を基準にして考えます。
ですから土地が静止してしても、海水面のほうが上下に運動すれば土地が隆起や沈降をしたのと同じ結果になるわけです。
氷河と海水面
地球の歴史で、いまから1万年前から100万年前ぐらいまでのあいだを洪積世といいます。
この時代には氷期といわれる非常に寒い時期が4回ありました。
これは、ヨーロッパでもアメリカでも認められているので世界的な出来事であったと考えられます。
氷期には氷河が発達し、たくさんの水が氷河となって陸上に残るため、海水の量がそれだけ減ります。
また、氷期と氷期のあいだのあたたかい間氷期には陸上にあった氷河が溶けて海に流れこむので、海水の量が増えます。
したがって、氷期には海水面の高さが下がり土地が隆起したのと同じ結果になり間氷期には海水面の高さが上がって土地が沈降したのと同じ結果になります。
このような海水面の移動をユースタチック運動といいます。
ふつう、土地の隆起や沈降は、わりあいに部分的で、場所によって違いが見られます。
これにたいしてユースタチック運動は世界全体に共通して見られるという特色があります。
氷河の重みと土地の運動
ヨーロッパのスカンジナビア半島は第四紀洪積世の氷河時代に広い範囲にわたって、厚い氷河におおわれていました。
そして、その重みのために、土地が沈下したといわれています。
ところが、その後、氷河が溶けて地表面の重みがなくなると土地はもとにもどるために降起運動をおこないました。
それは、この地方の海岸段丘の発達からもみとめられています。
そして、いまもこの隆起運動が続いていることが水準点の測り直しによってあきらかになりました。
このように、地表面に大きな重いものが重なると土地が沈降し重みがのぞかれると隆起することから地表をつくっている地殻はその下の物質の上に、木が水に浮かぶように浮かんでいるものと考えられています。