ジーンズの潮汐説とは? わかりやすく解説!

考え方の狙い

地球は太陽系ができたとき、ほかの惑星といっしょに誕生しました。
その地球の上に、山や川ができ、生物が生まれ、やがて、人類があらわれてきました。

ですから人間は、ひとりとして、地球の誕生を見たもはいません。
しかし、みんな、その謎を知りたがっています。
大むかしの人々は、神話の中で想像しましたが、今日の私たちは科学的に判断します。

自然の中には、自然界の歴史が刻まれています私たちは、それを注意深く読み取るのです。

太陽系の性質こそ、その生い立ちの記録なのです。
これを手がかりとして、地球の誕生を説明するのが、考え方のねらいです。

デカルト以来、20あまりもの、たくさんの説がだされました。
ここでは20世紀に発表された説のうちから、代表的なものを述べることにしましょう。


ジーンズの潮汐説

1916年に、イギリスのジーンズという天文学者は、つぎのような説を立てました。

原始の太陽は、まだ惑星をしたがえてはいませんでした。
この太陽のそばを、ほかの恒星が通り過ぎました。
恒星が近づいてくると恒星の引力が太陽にはたらきはじめ太陽の表面が持ち上がります。

このような現象か潮汐作用といい、地球の海面が月の引力で高くなるのと同じです。
恒星が太陽に最も近よったとき、恒星の引力で太陽の内部から、厚いガスが、ひものように引き出されました。

このガスのひもは、恒星が通り過ぎるときに受けた力で太陽にまきつくようにまわり出しました。
その形は、両はしが細く、中心のあたりが太くなっています。

時間が経つにつれてガスのひもはちぎれ、いくつかの火の玉になりました。
この火の玉が、1つ1つの惑星で、しだいに冷えて固まり、現在のようになったのです。

また、その惑星が、太陽のまわりをまわるうちに太陽の引力によって、惑星から衛星が飛出しました。

地球も月も、このようにして誕生したというのです。
このジーンズの説のことを潮汐説といっています。

潮汐説の良い点と悪い点

惑星のうちで、太陽にいちばん近い水星といちばん遠いめい王星とが小さくて中ほどにある木星や土星が大きいことは、潮汐説でうまく説明できます。

また太陽系の性質のうちいくつかは、なるほどとうなずけます。
しかし潮汐説では、どうしても説明できないこともあります。

潮汐説によると、惑星の軌道の形は細長い楕円になるはずです。
ところが実際には、円に近い軌道で太陽系の①の性質に反しています。

また太陽から引き出された厚いガスが、寄り集まって惑星が生じたということも説明しにくいことです。

ふつう、真空中にガスを放すと、より集まるどころか、飛び散ってしまうからです。
さらに、めい王星ほどの遠くまで飛び出すためには恒星は、太陽にぶつかるぐらい近づかなければなりません。

太陽と恒星の出会い

ジーンズの立てた潮汐説は、ビュッフォンの説に似ています。
違う点は、相手の天体が彗星ではなくて、恒星であること直に太陽にぶつかるのではなくて、ごく近くを通り過ぎることです。

恒星は、どれも光る点のように見えますがそれは地球からたいへん遠くにあるためで、実物は太陽ぐらいの天体です。

また地上から眺めると、恒星は、まる天井に散りばめられた宝石のようにいつまでも、星座を形づくっているように見えます。

しかし、これも実際には、お互いに毎秒10キロぐらいの速さでそれぞれ、勝手な方向に動いているのです。

いま、恒星の大きさを人間の胸囲ぐらいに例えるなら1つ1つの恒星のあいだの距離は、約500キロ(直線距離で東京~青森間)動く速さは1年間に約3メートルになります。

これでは、隣同士が、たとえ向きあって動いたとしてもすれ違うには、約5万年かかります。

まして、勝手な方向へ動くのですから、何千兆年経っても恒星どうしは出会えないでしょう。

こんな具合ですから、太陽と恒星が出会うということはごくまれな珍しい出来事なのです。

それにもかかわらず、星の世界には太陽系と同じようなものが、かなりたくさんあるのです。




モバイルバージョンを終了