川の浸食作用とは?滝や早瀬のでき方とは? わかりやすく解説!

川の浸食作用

地表を流れる雨水は、風化作用でできたれきや土砂を地表から洗い流して川すじへ運びます。

川は、これらのものをいっしょにおし流しながら、川底や谷の両側を削ります。これが浸食作用です。


川底を削るはたらき

山地を流れる川や、大水のときの川は流れがはやく水はうずをまいて流れ、れきや土砂を運びます。

この川水やれきや土砂が、川底を削るはたらきをします。
ふつう、川は山地から流れだし、平野に出て湖や海に注ぎます。

したがって、山地を流れる上流では、川底の傾斜が急で流れもはやく川底を削るはたらきは中流や下流にくらべて強くなります。

こうして、川水が川底を削るにつれて、谷は深くなります。

かめあな

川の上流で、直径数センチから、ときには十数メートルにおよぶつぼのような穴が見られることがあります。これがかめあなです。

かめあなは、川底の岩にわずかなへこみや割れ目があったところで水がうずをまいて流れ、岩がとくに強く削られてできたものです。

かめあなの壁には、川水がうずをまいて流れたことをあらわす横すじが見られます。

また、かめあなによっては中にまるい石の入っているものがあります。
これはかめあなのできる途中で、石が入り込み水のうずに流されてまわりながら穴を削り、石もまるくなったものです。

木曽川上流の寝覚の床や、宮崎県都城付近の関の尾、埼玉県の荒川上流の長瀞付近には川底の岩肌の上に、たくさんのかめあなが見られます。

峡谷

川の流れが急で、川底を削るはたらきが長いあいだ続くと川の両岸はV字形の切り立った絶壁になります。

このような谷を峡谷といいます。峡谷は、山地や高原でよく見られます。

これらの土地は、隆起をしてできるので川は長いあいだ川底を削るはたらきを続けるからです。

また峽谷は硬い岩石のところによくできます。

硬い岩石のところでは、谷の両側が、風化によって崩れ落ちたり雨水で削られたりしにくいため、両岸が切り立った峡谷ができやすいのです。

アメリカにあるコロラド峡谷(グランドキャニオン)は世界的に有名な大峡谷で、長さ400キロ、深さ1000~1500メートルもあります。

そのほか、西ドイツのライン峡谷、ルーマニアとユーゴスラビアのあいだにあるドナウ川の鉄門峡などが有名で、詩や歌に詠われています。

日本では広島県大田川上流の三段峡・和歌山県熊野川上流の瀞八丁、天竜川の天竜峡・黒部川の黒部峡・石狩川の神居古潭などが峡谷として有名です。

峡谷がしだいに深くなると川の傾斜が小さくなって川の流れがゆるやかになり川底を削るはたらきがだんだん弱くなります。

そして、峡谷の両側が風化や浸食によってしだいに崩れ幅の広いふつうの谷になっています。



滝と早瀬

山地の川底には、でこぼこがたくさんあります。
なかには川底が急な崖になっていて、水がほとんど垂直に流れ落ちているところがあります。

こういうところを滝と言います。

また、川底が急で水が岩にぶつかったり石を転がしたりしてしぶきをあげ、水音を立てて流れているところがあります。

これを早瀬とよんでいます。

滝や早瀬のできかた

滝や早瀬のできかたには、いろいろあります。

第一は、川底が硬い岩とやわらかい岩でできているところでここでは、やわらかい岩が早く削られるので、硬い岩とのあいだに段ができます。

アメリカと力ナダの国々を流れる、セントローレンス川にあるナイアガラの滝はこのようにしてできたものです。

第二は川の支流が本流と合うところにできます。

本流は支流よりも水の量が多いので川底をも深い谷になります。
そのため、支流が本流に流れこむところには高さの違いができて滝や早瀬ができます。

もう1つは火山の溶岩や、山崩れ・地すべりの土砂が川をせきとめたところにできます。
せきとめられた場所を越えて川水が流れるところに滝や早瀬ができるのです。
日光の華厳の滝は、このようにしてできたものです。

滝や早瀬の後戻り

滝や早瀬は、川のはたらきでたえず削られるので長い年月のあいだにはしだいに上流へあともどりします。

また、滝であったものも、削られてしだいに早瀬のようになりついには早瀬もなくなって、静かな流れになってしまいます。

ナイアガラの滝をつくっている硬い岩石は石灰岩でその下には、ねん土が固まってできた、やわらかいケツ岩があります。

このケツ岩が、滝のうずまきやしぶきで削られて後退すると、上の石灰岩がおちて、滝が後戻りします。

ナイアガラの滝は、このようにして約7万年のあいだにはじめにできたところから、約15キロも上流へ後戻りしています。

日光の華厳の滝は、男体山の噴火で流れだした溶岩が大谷川をせきとめてつくったものです。

滝をつくっているのは硬い溶岩ですが、その下には、やわらかい凝灰岩があります。

この凝灰岩は、中禅寺湖から流れてくる地下水や滝のうずまきに削られて、少しずつ後退しています。
それがある程度進むと、上の硬い溶岩がおちて滝が後戻りします。
華厳の滝は、このようにして、できてから現在までに、約2キロほど後戻りしています。

消える湖

湖から流れだす川が、湖の出口の川底を削って湖水を全部流しだしてしまうことがあります。

湖は干上がって、平地になります。

また反対に湖へ注ぐ川が、運んできた土砂で湖を埋め立てしまうこともあります。

この2つは、ともに川のはたらきによりますが前の例は、川の浸食作用によるものです。

甲府盆地(山梨県)・山形盆地・米沢盆地(山形県)・花輪盆地(秋田県)などは大むかしは湖であったものが、富士川や最上川・米代川などによって水をはきだされ、盆地になったものだと言われています。

川岸を削るはたらき

川は、川底を削るはたらきとともに、川岸を削るはたらきもします。

上流ではおもに川底が削られますが、中流以下では両岸を削って、だんだん川幅を広げます。

川は川すじに邪魔物があると、流れが一方の岸に強くつきあたります。
つきあたった流れは、その反動で、下流の反対がこのようにして川は左右に曲がりながら流れるようになります。

川がまがりくねって流れる様子は蛇が動いているのに似ているので川の蛇行といいます。

蛇行している川は、まがっている外側では流れが速く川底や川岸を削る力が強いので、外側へ外側へと川幅を広げていきます。

反対に内側では流れの速さが遅いので、小石や土砂が積もります。
川の中流以下では、このようにして幅を広げ、平野をつくります。




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