湖の堆積物
湖には、北海道の摩周湖や富士山の北にある本栖湖のように流れこんだり流れ出したりする川がないものもありますがふつうは湖に流れこんだり流れだしたりする川がみられます。
このよう湖には、流れこむ川が泥や砂を運んできて、湖の底に堆積します。
そのため、湖はだんだん浅くなり、大きさもせばめられていきます。
またそれに伴って、湖の中央部まで水草が生えるようになり、湖は沼になります。
沼は、さらに尾瀬ヶ原のような湿原になり、ついには、草原になってしまいます。
現在、各地につくられている人工湖もやがては土砂でうめられて、なくなってしまうわけです。
湖は、このように、できてからしだいに変化し、ついには消えてしまいます。
これはちょうど、人間がうまれてから死ぬまでの一生にたとえられます。
この湖の一生は平地にできた浅い湖ほど早く終わります。
湖の跡
むかしの湖の跡に、湖の堆積物が地層になってみられることがあります。
この地層を湖西成層といいまがすが、湖成層には加瀬がふくまれていることがあります。
栃木県の塩原温泉にでる「木の葉石」は、むかしの湖の中にまわりの植物の葉が沈んでで、化石になったものです。
また湖成層にはダイナマイトの原料になる二酸化ケイ素をふくむケイソウ土のあることがあります。
これは顕微鏡でみなければわからないほど小さいケイソウの死骸が湖の底にたくさん堆積してできた土です。
このほか北海道などの寒い地方でよくみられる泥炭層は浅い湖にできた植物の堆積層の1つです。
湖の性質
湖水の表面は、太陽の熱であたためられるので、気温と同じように変化します。
夏と冬、昼と夜によって、あたたかくなったり、冷たくなったりしますが気温ほどの差はありません。
また、深くなるにしたがって、その変化はますます小さくなります。
日本の湖で、冬になって表面が凍るのは、群馬県や長野県よりもほぼ北の地方です。
しかし、湖が深くて大きいと、寒い地方でもなかなか凍りません。
十和田湖・田沢湖・洞爺湖・支笏湖などは寒い地方にありますが、ほとんど凍りません。
湖の色
日本の観光地には、よく湖がありますが水がすんでいて空の青さや周りの木立をうつし、美しいものがたくさんあります。
しかし、湖水の色というのは空の色やまわりの風景に左右されない水の色のことをいいます。
水の色を調べるには水色標準液を使います。
これは1号から11号まで標準の色が決めてあり、湖水の色をこれとくらべます。
標準液の色は、1号が藍色で、番号が増えるごとに緑色から黄色になります。
ふつう山地にある深い湖は3号から4号で、平地にある湖は9号から11号です。
湖の水は、ふつう透き通っていれば、美しい青色に見えます。
日光の7色のうち青みがかった光だけが、反射されて見えるからです。
しかし湖によっては、特別な色をしているものがあります。
たとえば、火山地方の湖は、硫黄のために乳白色ににごっていることがありますし水の中に、いろいろな物質が溶けていたり、プランクトンが多くいたりすると色が違ってきます。
平地にある湖で黄緑色にどんより見えるのはたいていプランクトンのためです。
湖の透明度
水がどのくらい透き通っているかを、水の透明度と言います。
これを調べるには、透明度板という直径25~30センチの白い円盤を使います。
この円盤を水の中に沈め、ちょうど見えなくなった深さをメートルであらわし透明度何メートルといいます。
平地にある湖は、透明度が小さいのがふつうです。
これは、にごった川の水が流れこんだりするためです。
山地にある深い湖は、透明度の大きいものが多く日本には透明度20メートル以上の湖がたくさんあります。
北海道の摩周湖は、1931年に測ったときには透明度41.6メートルで、世界第一でした。
淡水湖と塩水湖
海にごく近くて、海水の入り込む湖は、海と同じように水が塩辛くなっています。
このような湖を塩水湖または、かん水湖といいます。
これにたいして、ふつうの真水の湖を淡水湖といいます。
また、塩水湖と淡水湖の中間の湖、つまり海水にくらべて塩分のうすい湖を汽水湖といいます。
海岸からはなれて海水と関係のない湖にも塩水湖があります。
これは、雨が少なくて蒸発のさかんな地方にある湖です。
日本には、これの例はありませんが、大陸には、これの大きな湖もあります。
イスラエルとヨルダンの国境にある死海という湖は、海からははなれていますが非常に塩分が濃く、魚も住めないということから、この名前がついたほどです。
また、北アメリカのコロラド高原にあるグレートソール湖(大きな塩水湖という意味)は、名前の通りの大塩水湖です。
アジア大陸の内部には、塩水湖の水が蒸発してしまい湖水に溶けていた塩化ナトリウム(食塩)や炭酸ナトリウムなどが堆積しているものもあります。
そのほか湖のなかには、酸性が強かったり硫化水素をふくんでいたりして、生物の住めないものもあります。