生物が、卵から親に成長するまでの様子を、発生または固体発生と言います。
多くの生物の発生の様子を調べると、進化の証拠を知ることができます。
脊椎動物の発生
魚類・両せい類・は虫類・鳥類・ほ乳類などのいろいろな動物の発生を調べてみましょう。
はじめの形は、どれも、たいへんよく似ています。
しかし発生が進むにつれて形がしだいにかわり、それぞれの特徴があらわれてきます。
しかも、その発生の様子を見ると、縁の近いものほど、よく似ています。
このようなことは、外から見た形だけでなく、内臓や血液についても言えることです。
いろいろな動物の血液や、血液にあたる体液の中のおもな化学成分を調べてみると下の表のようになっていることがわかります。
これを見ると、生物を地球上にあらわれた準に並べたとき順番の近いものどおしは、その化学成分が似ています。
また、古い時代にあらわれたものほど、海水の成分に似ています。
このことは、最初にあらわれた生物が、海の中で生まれたことをしめす1つの証拠になっています。
同時に、生物が発生した順序をもしめしてします。
生物の発生についての法則
1つの生物について、小さいときの体から成体になるまでの体の変化をたどれば個体発生の様子を知ることができます。
中生代の海に栄えたアンモナイトは、成長するにつれてやわらかい体を入れておくための、硬い部屋をつくっていきます。
古い部屋と新しい部屋との境には、しきりがありますがそのしきりが体についているところは縫合線という、波形の複雑な模様をつくっています。
若い部屋の縫合線から、成長の順に縫合線の形の変化をたどると個体発生の様子を知ることができます。
たくさんのアンモナイトについて縫合線の形を調べてみると古い時代のものほどかんたんな形をしていて新しい時代のものほど、しだいに複雑な形になってきます。
このように生物の仲間が、大むかしから今までの長いあいだに少しずつ進化してきた様子を、系統発生といいます。
また、縫合線の佃体発生の様子を調べると図のように縫合線の系統発生の順にしたがって、かんたんな形のものからしだいに複雑な形のものに、かわっていきます。
このことは、生物の個体が成長するときにはその生物の先祖からかわってきた進化のしくみと深い関係のあることをしめしています。
そのため「個体発生の様子は、系統発生の様子を繰り返してあらわす」という法則が立てられています。
つまり、このことは「生物が、むかしから進化してきたありさまを、もういちど繰り返してくれる」という意味です。
このような考えかたを、≪ヘッケルの反復説≫と言います。