生物は、体にいろいろな器官を持っています。
しかも生物の種類によって、同じ器官でも、少しずつ違います。
このような生物の器官を調べると、生物の進化の証拠を知ることができます。
相同器官と相似器官
生物の器官は長い地質時代を通して、かんたんなものからしだいに複雑なものにかわってきています。
古生代の海にうまれた肺魚の胸びれと、両せい類の前足と人の手の骨をくらべると、その形やはたらきは、まったく違っています。
しかしこの3つの骨を調べてみると、どれも5本の指の骨がありつくりがたいへんよく似ていることなどから、もとは同じ前足からだんだんかわってきたものと考えられます。
このような器官を、相同器官と言います。
これにたいして、つくりは違っていてもその形やはたらきが似ているものを、相似器官と言います。
たとえば、魚のひれとイクチオサウルスの後足はまったく違うつくりをしていますが、その形やはたらきは、たいへんよく似ています。
このような生物の器官は生物が生活のしかたや環境によってかわっていくという進化を知るための証拠になっています。
退化(痕跡)器官
生物の器官には、形だけが残って、もとのはたらきを失ったものがあります。
このような器官を、退化器官または痕跡器官と言います。
ヒトのもう腸についている虫垂・耳を動かす筋肉・尾てい骨などは現在の私たちには、なんの役にも立ちません。
しかし虫垂は、草食動物の大事な消化器官になっています。
また、耳を動かす筋肉や尾てい骨は、ほかのほ乳類では役に立つ器官です。
このほか、ニシキヘビのかぎ爪やセミクジラの後足の骨なども同じように退化器官といえます。
退化器官は、その生物の先祖の器官のなごりということができるので進化の証拠になっています。