鉱物標本のつくりかた
採集してきた標本は、すぐに整理するように心がけましょう。
日時が経つと、採集地を忘れたり、他の産地のものとまじったり壊れたりすることが多いからです。
標本は水に溶けやすいものや、壊れやすいものは別ですがやわらかい歯ブラシなどで、ほこりや泥をとります。
とくに大きな標本は、転がらないようにして厚さ3センチぐらいの木の台の上に、しっかりとすえます。
手にのるぐらいの標本は、紙でつくった標本箱に入れます。
大事な標本は、ガラス蓋のついたものか、プラスチックの箱に入れ綿でよくおさえます。
標本が非常に小さいときは、管瓶に入れておきます。
鉱物には、岩塩やハクテッ鉱などのように、湿り気を嫌うものがあります。
このような標本は、ガラス瓶に入れて、密封します。
キアン鉱やホウエン鉱は、直射日光にあてると、表面がくもります。
黒い紙で包んでおけば、いつまでも、光沢を保っています。
鉱物標本の整理のしかた
標本には、記号・番号などをつけておきます。
採集地や記録を調べたり、また、あとで他の標本とまじったものを区別したりするのに、たいへん便利です。
記号や番号は、標本のすみに、エナメルで小さく書きます。
標本が小さくて直接書けない場合は、標本箱に書きます。
記号は、採集した順序に、通し番号をつける方法、日付と番号をくみあわせる方法、分類番号をくみあわせる方法があります。
いずれも長所と短所があるので、目的により、適当な方法を選びます。
つぎにラベルを用意します。
ラベルと標本とをひきあわせるのには、標本番号によりますから番号は、見やすいところにするためふつうは左上に書きます。
つぎに、鉱物名・産地・採集日・採集者を書きこみます。
鉱物名が、すぐに決まらなくても産地や採集日など、わかることは書きこんでおきます。
とくに、産地はできるだけくわしく、できれば地形図上の位置と見比べられるようにしておくと便利です。
標本箱にラベルを入れたら、その上にセルロイドなどを同じ大きさに切って、かぶせます。こうすると、ラベルが汚れません。
鉱物の分類のしかた
鉱物標本を整理するために鉱物を分類するには、つぎのような方法があります。
鉱物の形による方法
鉱物の性質のところで述べたように、鉱物の形でわけます。
- 正六面体・正八面体・正四面体・斜方12面体などの等じく晶系群
- 柱状結晶の群
- 針状結品の群
- 板状結晶の群
- 結晶形をしめさない群
鉱物の光沢による方法
これは、硬度による方法とあわせると、便利です。
- 金属光沢のある鉱物の群
- 亜金属光沢のある鉱物の群
- 非金属光沢のある鉱物の群
鉱物の硬度による方法
つぎのように分類しておけば、モースの硬度計がなくても鉱物を分類することができます。
- ガラスより硬い(硬度5より大)
- 爪とガラスの中間の硬さ(硬度2.5~5)
- 爪よりやわらかい(硬度2より小)
鉱物の用途による方法
- 金属をとる鉱物
- 物理的性質を利用する鉱物
- 化学工業に使われる鉱物
- 宝石になる鉱物
岩石標本のつくりかた
岩石標本は、採集する場所で、ほぼ形を整えてしまうのがふつうです。
岩石標本の形は、いっぱんに長方形をしていますが、その大きさと形は全部同じように揃えたほうが見やすく、整理もしやすくなります。
学校で使う標本でしたら、縦8センチ、横9.5センチぐらいあったほうが、便利です。
岩石標本も、採集してきたら、すぐ整理するように心がけましょう。
岩石標本の整理のしかた
標本の裏側のすみに、小さく番号をつけます。
マジックで、直接書くか、白いエナメ片をさきにぬっておいて乾いてから、その上に黒のエナメルで書きます。
番号のつけかたも、鉱物の場合と、ほぼ同じです。
ラベルは、左上に標本番号を記入し、岩石名・産地・採集者名を書きこみます。
地質時代や糸状などについては、必要があれば、書きこんでおきます。
紙でつくった標本箱に入れた原本はまとめて、木製の箱(モロブタ)に入れるか、標本タンスに整理します。
岩石の分類のしかた
標本を整理するには、つぎのような分類にしたがうと、便利です。
- 火成岩――(ア)深成岩 (イ)火山岩
- 堆積岩
- 変成岩
このほか、火成岩の分類には、酸性・中性・アルカリ性という化学成分上のわけかたがあります。
白い岩石・灰色の岩石・黒色の岩石というのはだいたい、このわけかたにあてはまります。