気象台と測候所の役わり
気象台のいちばん大切な仕事は、気象観測をして暴風や大雨などによるいろいろな災害から、人々を守るために天気予報や気象警報を出すことです。
正しい予報や警報を出すためには広い地域で、気圧・気温・湿度・風向・風速などを、同時刻に決められた方法で正しく測って、それを1か所に集めできるだけ早く、天気図をつくらなければなりません。
私たちの日常生活に大切な天気予報は、日本だけの観測では足りません。
もっと広い範囲の観測結果が必要なのです、気象の災害から人々を守るために世界中の気象台が力を合わせて昼も夜も休むことなく、この仕事を続けているのです。
世界中の国々の気象台は、世界気象機関条約の取り決めにしたがって同じ方法で気象観測を行っています。
そして、観測の結果を互いに知らせ合い受け持ちの範囲の天気予報や気象警報を出しています。
気象庁の仕事
日本では、上の表のように、たくさんのところに気象台や測候所があって、多くの学者や技術者たちがはたらいています。
天気予報を出すまで
気象台や測候所で観測した結果は雲量・風・視程・天気・気圧・気温・雲・露点・降水量・最高気温・最低気温などの順に電報で東京お気象庁予報部に報告されます。
また、海の上を航行する船や空を飛ぶ飛行機、灯台、国鉄や電力会社の行う気象観測の結果も使われます。
各地の気象観測の結果は、気象台を通して特別に設けられている有線や無線の通信回路でまた、海の上の船からは沿岸無線局を通して、気象庁予報部に送られてくるのです。
また、世界中とこの国でも、決められた順に、気象無線放送をしています。
これを受信すれば地球上のどこでも、気象の様子がわかります。
インドのニューデリーから、東南アジア・ソ連・ヨーロッパ地域の気象資料がまたアメリカのニューヨークから、ハワイのホノルルを通してアメリカ・太平洋地域の気象資料が、東京の気象庁にラジオテレタイプで送られてきます。
これで、北半球全体の気象観測の結果が、集められるのです。
東京からは、ニューデリーへ、アメリカや極東地域の気象資料をニューヨークヘ、極東・東南アジア地域の気象資料を送っています。
こうして集めた、各地の観測の結果を、記号や数字で白地図の上に書き込みこれに等圧線や前線を引いて天気図をつくります。
この天気図で、低気圧・高気圧・前線の様子や天気の移り変わりの様子を調べて、天気予報をつくるのです。
気象無線通報
気象庁予報部では、集めた内外の気象観測の結果をまとめ気圧配置のだいたいの様子といっしょに内地、船舶また、日本が受け持っているアジア地域の国々に向けて気象無線通報を放送します。
各地の気象台や測侯所では、この放送を受信して大気図を書きそれぞれ、受け持ちの地方の天気予報をつくるのです。
また、気象庁予報部が書いた天気図のいくつかはファクシミリ(無線で天気図をそのまま電送する機械装置)で放送されます。
地方の気象台や測候所で受信して特別の装置を通すともとのものと同じ天気図を機械が書いてくれます。
気象庁では、東経100度から180度のあいだで赤道から北側の北緯60度までの東アジアと北西太平洋の広い範囲の気象放送と警報を受け持っているのです。
いろいろの天気図
気象庁でつくる天気図の範囲は、アジア・太平洋地域、極東地域、北半球全体が主なものです。
場合によって、赤道地域やアジア地域のものも書かれます。
測侯所の観測をもとにした地上天気図のほかにラジオゾンデ観測や飛行機の観測をもとにした、高層天気図があります。
高層天気図は、気圧が100ミリバールのところ(約1万6000メートル)をはじめいろいろの高さについてつくられます。
また、電子計算機によって、24時間、48時間後の予想天気図をつくります。
これら、たくさんの天気図と天気変化図などをもとにしてレーダー観測の結果などをあわせ考え、天気予報をつくるのです。