定点観測船・気象観測ロケットと人工衛星の役割とは?

定点観測船

海上の測侯所ともいうべきものです。

広い海の上の決まったところにいて、ふつうの気象観測やラジオゾンデ観測や海洋観測をおこなっています。


それから、電波灯台の役目をしています。また、ときには海難救助にも協力します。
日本では、海上保安庁の巡視船に気象庁の観測員が乗り込んで毎年5月から11月まで、この仕事をしています。

この巡視船に、その位置が、四国の南450キロの海上にあるので梅雨前線や、南洋から日本にやってくる台風の観測にたいへん大切な役目をもっています。

定点観測船では、水のほかにはなにも見えない海の上で荒波と戦いながら、毎日観測を続けています。

そして観測の結果は、無線電信で気象庁に送られています。

海に囲まれた日本にとって、この観測船の仕事は天気予報や気象警報を出すうえになくてはならないものです。

気象観測ロボッ卜

人が住めないような山や島に据え付けられて、自動的に気象観測しその結果を無線電信で知らせる装置です。

ロボット雨量計はその1つで雨量の様子を観測し自動的に、こくこくと電波で発信します。
測候所や気象通報所で、その電波を受信し、山に降った雨の量を知ることができます。

ロボット雨量計の観測は、洪水警報の大切な資料になります。
また大雨のまえにあらかじめダムの扉を開いて放水するかどうかを決めるもとになります。

このほか、気象観測ロボットには、風向と風速だけを測るものもあり
いろいろの種類の気象観測を自動的におこなえるような器械もできています。



気象観測ロケットと人工衛星

ラジオゾンデで観測できる範囲よりも、もっと高い空の気温に湿度・風向・風速などの様子を観測するためには、ロケットが使われその観測結果はロケットから電波で地上に送られてきます。

また、特別につくられたカメラで空のずっと高いところのロケットから地球表面にある雲の様子を、撮影することもできます。
雲の様子がうつったフィルムはロケットが地面や水上に落ちたときに取り出すのです。

人工衛星は、いろいろの役目をもっていますが気象観測のためには特別のカメラを備え、地球のまわりをまわりながら広い地域に分布する雲の写真をとります。

人工衛星の飛んでいる高さは地上から数百キロくらいですからこの人工衛星の撮影した雲の写真を見ると、どこに雲がたくさんあるかまた、どんな雲かが、ひとめでわかります。

この人工衛星には、カメラで撮った雲の写真をテレビで地上へ送ってくるような装置がつけられています。

このテレビ装置で送ってきた雲の分布を見ると低気圧・前線や台風がどこにあるかが、ひとめではっきりとわかります。

このような人工衛星が、たくさん地球のまわりをまわり気象のうつりかわりを地上の気象台にこくこく知らせるようになれば天気予報はもっと正確になり災害をふせぐためにも、たいへん役立つことでしょう。

地球ができたのは、約50億光年も前のできごとといわれています。
その最初の姿はどのようであったでしょうか。

地球は、どろどろに溶けた、厚い大きな原始太陽からわかれてきたものではじめは火の玉のようであったという考えかたです。
これはジ-ンズの潮汐説で代表され、広く認められていました。

ところが、20世紀の半ばに入り、シュミットによって隕石説という新しい考えが発表され、潮汐説にとってかわるようになりました。

隕石説というのは隕石や宇宙塵の星雲の一部が太陽のとりこになりその中で星雲の粒がお互いにぶつかりあいながら固まり地球のような惑星のもとになったというものです。

ですから、地球のできはじめは、むしろ冷たかったというのです。
このように、地球の誕生については全く違う1つの大きな考えかたがあります。

つぎに、この違いについて調べてみましょう。




気象レーダー・ラジオゾンデ・気象観測機とは? わかりやすく解説!

気象レーダー

これは、雨雲の様子を調べるためのレーターです。

ある決まった短い波長の電波を出して、その電波が雨雲にぶつかって跳ね返ってくるのを受信してテレビと同じようなブラウン管にうつしだすのです。

このようにして、雨雲がどこに分布しているかどの方向に動いて、どれくらいの強さで雨が降っているかを知ることができます。


台風や梅雨前線、雷雲を観測するのに大切な器械です。

気象レーダーの使う電波の波長は、3センチ、5.6センチ、10センチなどのものがあり観測できる範囲は遠いところは400キロくらいまでにもおよびます。

前ページの写真のレーダーは、室戸岬測候所のものでこのパラボラアンテナの直径は4メートルもあります。
これはとくに台風観測のためにつくられたものです。

このほかに、乱象レーダーを備えつけてあるところは、全国十数か所あります。
とくに、富士山頂にあるレーダーは日本でいちばん広い範囲を受信することができるので台風観測に大いに役に立っています。

気象レーダーによって、台風のうつりかわりが手にとるように観測することができるので、これは台風の予報にはなくてはならない器械です。

気象観測機にも気象レーダーがつけてあります。
また、最近は人部分の旅客機にも気象レーダーがつけてあります。

ラジオゾンデ

電波を利用して、空の高いところの気象を観測する器械です。
直径2メートルもあるゴム風船に水素ガスを詰めこれに観測器械と無線の発信器をつけて空に飛ばします。

このゾンデは、1分間にだいたい350メー卜ルの速さで2万メートルから3万メートルまでの高さにあがっていきます。

観測は毎日2回、定期的におこなわれ高い空の気温・湿度・気圧・雲などを観測します。
ラジオゾンデから送ってくる測定値はモールス符号で発信されこれを地上で受信します。

また、ラジオゾンデから発信される電波の方向をはかって風船が風に流されていくありさまから、上空の風向と風述をはかります。

ラジオゾンデの観測は、ふつう、夜・昼の2回おこないます。
気象台では、各地のラジオゾンデ観測の結果を集めいろいろの高さについて高層天気図をつくります。

高層天気図は、毎日の・天気予報にとって役立つことはもちろんですが高い空を飛ぶ飛行機には、とくに大切なものです。

ラジオゾンデのほかに、小型のゴム気球を飛ばしそれが風に流されていく方向をはかり、上空の風向と風速だけを観測するものもあります。

これをレーウィンといいます。



気象観測機

これは、台風の観測に活躍する、特別の装置をもった飛行機です。
気象観測の器械や気象用レーダーをもっていて台風についてのいろいろな観測をします。

この観測機は暴風の範囲を調べたり、ドロップゾンデといって、ラジオゾンデの器械をパラシュートにつけたものを飛行機から落とし台風の中心の気圧や気温を観測します。

また、海面の波の様子から中心付近の風速の観測をします。

そして、ときには、危険を冒して台風の中に飛び込んで中心の様子を調べることもあります。
こうして、台風の中心の位置をとらえ、台風の大きさ強さ、移動する方向などを調べます。

こうして観測した結果は飛行を続けながら無線で報告します。

いま、日本付近の台風の観測は、アメリカ空軍の気象観測校がこの任務についています。
そして、観測した結果は、気象庁に知らされます。

気象庁では、この結果をもとにして予報当番がつぎつぎにかわっていく台風の様子や、その動きを知ることができます。

台風のように大きな災害を起こすものには世界各国の気象台が力を合わせて、予報や警報を出しています。

そして、私たちの体や財産を台風から守るようにしているのです。




富士山測候所・鳥島気象観測所とは? わかりやすく解説!

富士山測候所

この測候所は、富士山頂の3776メートルの高いところにあります。
そして、6、7人の観測員が20日間交代で、年中休むことなくはたらいています。

高山測候所としては、世界でも、いちばん高いところにある測候所です。

天気は、空の高いところからかわっていきます。
それで、この測候所の観測は、天気予報とくに台風や前線の様子を知るうえに、非常に大切です。

高層観測には、ラジオゾンデがさかんに使われていますがここでは器械による観測だけでなく、実際に人の目で雲やいろいろなものを調べることができるのです。

ここは、暴風のときには、50メートル以上の強い風が吹きまた、かみなりの落ちることも多いのです。

寒いときは、風速計などにつく、固い霧氷を叩き落としながら観測をするなど、たいへんな苦労をしています。

富土山測候所は、このようにして観測した山頂の天気の様子を東京の気象庁や名古屋・静岡の気象台と無線電話で連絡して、報告しています。

伊吹山・剣山などの測候所も富士山測候所と同じような仕事をしています。


鳥島気象観測所

東京の南方、560キロ、八丈島よりもっと南の海上に、二重式火山の鳥島があります。

面積は約4.5平方キロの小さな無人の離れ島でアホウドリが住んでいることで知られています。

鳥島気象観測所は、第二次世界大戦後の1947年に気象庁によって設けられて以来、南海上に発生する台風や梅雨前線の観測基地として重要な役目を果たしてきました。

ところが、1965年11月、火山爆発の危険を知らせる地震が起こりました。

鳥島は、火山島で、むかし、何回も噴火したことがあります。
明治時代には、噴火のために住んでいた人が全滅したことさえあります。

気象庁では、しだいに大きくなる地震に、観測の中止と観測所員全員の引きあげを命じました。

11月15日、観測所は閉鎖されました。
そして1967年6月1日、ついに廃止されることになったのです。

現在、鳥島付近の気象観測は、定点観測船によっておこなわれています。




気象台や測候所・航空気象台の仕事とは? わかりやすく解説!

気象台や測候所の仕事

気象台や測候所は、どの府県にも必ず1つはあり、多い県では5つもあります。

そして、1つの県全体の予報を受け持つのが地方気象台です。
管区気象台や海洋気象台は、その県の地方気象台の役目もしています。
測候所は、地方気象台の下にあって、ふつう県内の一部分の予報を受け持っています。

1日の気象観測の回数は、日本全体の天気図をつくるうえにどれくらい大切な場所であるかによって、それぞれの気象台・測候所で違います。

また、観測の種類も、どの仕事に重点を置くかによって、いろいろあります。

気象台や測候所では、気象観測の結果を、電報で気象庁予報部に報告します。
また、気象庁が放送する気象無線放送や天気図のファクシミリ放送を受信して天気図をつくり、それぞれ、受け持ちの地方の天気予報や気象警報を発表します。


いろいろな観測

① 地上気象観測

毎時観測(1日に24回)のところと、3時間おき(1日に8回)のところと6時間おき(1日に4回)のところなど、場所によって違います。

② 高層気象観測

ラジオゾンデの観測(全国で16か所)、測風気球観測(全国14か所)をおこないます。

③ 海洋観測

海水の温度や比重・うねり・潮汐などを観測します。

④ 地震観測

地震計を絶えずまわしています。
地震が起こると、すぐに観測結果を気象庁観測部に報告します。(全国で108か所)

⑤ 火山観測

大島三原山・浅間山・阿蘇山などの火山活動を見守り振動・地盤の傾斜・噴煙・ガス・火山灰や、溶岩などの噴出物、爆発などを観測します。(全国で13か所)

⑥ 大気放射能観測

雨水や雪にふくまれている大気中の放射能を測定します。

⑦ 生物季節観測

桜の開花・紅葉する植物や、ツバメ・ヒバリなどの動物が季節によってうつりかわる有様を観察します。

⑧ 無線ロボット雨量計の観測

結果を気象通報所や測候所で受信し、ダムの調節や、洪水警報のもとにします。
観測の結果は、管区気象台を通して、ただちに気象庁に報告されるほかに1か月ごとにまとめて、気象庁観測部に報告されます。

気象台や測候所は、前に説明した、いろいろな天気予報や気象警報を出します。

そして、テレビ・ラジオ・新聞で、いっぱんの人に知らせるほかに警察・国鉄・電力会社・市町村役場などに知らせます。

とくに鉄道や電力会社には、特別の気象通報をおこなっています。
また、漁船が安全に仕事ができるように海上の天気のうつりかわりを漁業無線局を通して各漁船に知らせています。

海洋気象台

函館・神戸・舞鶴・長崎の4か所にあって、海洋観測船をもっています。

観測船は、海上気象観測のほか海水の温度・塩素量や酸素などの化学分析・海水の放射能・プランクトンなどの海洋観測をおこないます。

海洋気象台は、海上を走る旅客船や貨物船が、安全に航行できるようにまた、港を遠く離れて魚を獲る漁船が安心して仕事ができるように海の上の天気予報や、気象警報を出しているのです。



航空気象台の仕事

東京都羽田にある東京国際空港には日本や外国の航空会社のたくさんの飛行機が毎日約230機、離陸したり、着陸したりしています。

このたくさんの旅客機が安全に飛べるように航空管制塔などいろいろの設備がありますが、その中に気象の仕事をする東京航空地方気象台があります。

外国へ行く旅客機の操縦士に、出発前にここへ来て飛行機の飛ぶ道筋の気象の様子と、予報を詳しく聞いていくのです。

航空気象台では、国内の気象観測結果はもちろんホノルル・東京間とニューデリー東京間の国際気象通信回線を通して太平洋・アジア大陸など、広い範囲の気象観測の結果を集め地上天気図やいろいろの高さの高層天気図をつくります。

これまでのプロペラ式の旅客機はふつう7000メートルくらいの高さを飛んでいましたがジェット旅客機は1万メートルから1万3000メートルくらいの高さを飛びます。

それで、このような高さで、低気圧や前線がどこにあるか気温はどのくらいかがわかるような天気図が必要なのです。

また、いちばん強い風は、どの高さに吹いているかその風速は何メートルかなども調べます。

航空会社は、それらをもとにして電子計算機によりいちばん短い時間で飛んでいけるコースを決めるのです。

ジェット機の操縦士は、とくに、そのときのジェット気流の様子をくわしく知らねばなりません。

航空気象台では、飛んでいる旅客機にたいして無線電話放送によって、空の気象の様子と天気予報を知らせています。

また、航空気象台では、外国の飛行場にある気象台と連絡して旅客機が飛んで行く先の気象状況や、飛行場付近の天気の様子を知らせます。
着陸するまえの旅客機には、飛行場付近の天気の様子を教えます。

とくにジェット機には、滑走路の見通しや、気温・風の様子が大切です。

航空測候所は日本に7か所あって、東京航空気象台と連絡して飛行場や旅客機の飛ぶコースの天気の様子と予報や警報を知らせる役目をもっています。

また、たいがいの飛行場には気象台の分室があって、このような仕事をしています。

空を飛ぶ旅客機の数は、年ごとに増え、しかもジェット機の発達によってスピードは、ますます、速くなってきました。

航空気象台や航空測政所のはたらきによって旅客機は安全に大勢のお客や貨物を運び、しかも経済的に飛んでいるのです。




天気予報・気象警報のいろいろな種類とは? わかりやすく解説!

テレビ・ラジオや新聞の天気予報では、高気圧・低気圧や前線がどこにあるかだいたいの気圧配置をいって、それらがどう移り変わっているかを説明しています。

そして各地の今日、今晩、明日、明後日の天気・風・気温・湿度・雨量などの様子を予報します。

このほかに、その日から1週間の予報をする週刊予報と1か月、3か月などの長い期間の天気を予想する季節予報があります。

これらの天気予報は、ふつうの家庭はもちろん農業など、社会の各方面でいろいろの計画を立てたり予定を組むうえに役立つようにつくられています。

強い風や大雨などによって、大きな災害の起きそうなときには気象注意報や気象警報を出して、被害をできるだけ少なくするように呼びかけます。


気象注意報と警報

風速が毎秒10メートルを超えて、被害の起こりそうなときには、強風注意報を出します。
大雨が降って、30ミリから50ミリくらいの雨量があると予想されるときには大雨注意報を出します。

また、湿度がたいへん低くなりそうなときには、異常乾燥注意報を出します。

大気中の湿度は、ふつう、50パーセントから60パーセントくらいですがときには空気が乾いて、湿度30から20パーセント以下になることがあります。

このようなときには、火事が起こりやすくいっぱんの人に火の用心をするように、呼びかけるのです。

このほかに、風雨注忿報・風雪注意報・大雪注意報・霜注意報・濃霧注意報などがあります。

台風が近づいて、風や雨がものすごく強くなり木や塀が倒れたり、洪水になって大きな災害が起こりそうなときには、暴風雨警報をだします。

とくに、台戦が日本に近づいて来たときには台風の進む方向や暴風の範囲など、つぎつぎとかわる様子を説明する、台風情報を発表します。

このほか大雨警報・大雪警報・暴風警報があります。

これらの気象警報が発表されると、私たちの学校は特別に休校になったり、安全なところに避難したりすることがあります。

とくに、つぎのことは、ぜひ守りましょう。

  1. 外出や旅行は止めること。登山・海水浴は、絶対にしないこと
  2. ラジオやテレビの天気予報や気象情報をよく聞いて台風がどこにあるかを正しく知ること
  3. 停電や断水になることがあるから、懐中電灯・ろうそく・飲み水などの用意をしておくこと
  4. 警察署や消防署からの避難命令などをよく聞くこと

高潮警報

強い低気圧や台風が上陸すると、高潮が起こるころがあります。

1959年9月の伊勢湾台風のときには海の波が4メートル以上の高さで名古屋市付近の海岸を襲いました。

このため、大災害が起こって、大勢の人が死にました。

このようなことが予想されるときには、高潮注意報や高潮警報や発表します。



洪水警報

梅雨前線や台風のために、大雨が降って、洪水になりそうなときには洪水警報を出します。

1日に100ミリ以上の大雨が降ると低い水はけの悪いところは水がたまりたいがいの川は、洪水が起こる危険があります。
山地では、1日に200ミり以上の大雨か降ると、山崩れの危険があります。

利根川など、洪水をお越しやすい川ではとくに、気象台と建設省とが力をあわせて、洪水警報を出す仕事をしています。

洪水警報が出ると、人々は力をあわせ、堤防の弱いところに土のうを積み排水がポンプを用意し、また、ダムの水を調節して洪水にならないようにします。

火災警報

空気が乾き、風が強くなると大火事の心配があります。
湿度が40パーセントより低く、風速が10メートル以上になると気象台から、そのときの気象の様子を消防署に知らせます。

消防署は、その知らせによって火災警報を出し人々に火の用心をするように呼びかけるのです。

津波警報

地震が起こると、各地の気象台や測侯所は地震観測の結果を、すぐ電報で気象庁観測部へ報告します。

気象庁観測部は、それによって、地震の起こった位置・深さ・地震の大きさ・各地の地震の揺れ具合を発表します。

また、津波が襲ってくる心配のあるときには、津波警報を出します。
津波警報は、津波の来そうな沿岸と予想される津波の高さを知らせ、人々に強く注意します。

津波警報は、警察・電電公社・放送局・海上保安庁・国鉄などの電話やラジオを通して市町村役場所や船、いっぱんの人々に知らされます。

この津波警報に、地震が起こってから、20分以内に気象庁から発表するようになっています。

気象資料の統計や調査

気象庁では、各地の気象台や測候所から、月ごとにまとめて送ってくる観測資料や災害調査報告をもとにして、いろいろの統計や調査報告をつくります。

これらは、農業や工業など、たくさんの産業社会のいろいろな方面に役立つことはもちろん、また、学問の研究のもとにもなります。




気象台と測候所、気象庁の役わり・仕事とは? わかりやすく解説!

気象台と測候所の役わり

気象台のいちばん大切な仕事は、気象観測をして暴風や大雨などによるいろいろな災害から、人々を守るために天気予報や気象警報を出すことです。

正しい予報や警報を出すためには広い地域で、気圧・気温・湿度・風向・風速などを、同時刻に決められた方法で正しく測って、それを1か所に集めできるだけ早く、天気図をつくらなければなりません。

私たちの日常生活に大切な天気予報は、日本だけの観測では足りません。

もっと広い範囲の観測結果が必要なのです、気象の災害から人々を守るために世界中の気象台が力を合わせて昼も夜も休むことなく、この仕事を続けているのです。

世界中の国々の気象台は、世界気象機関条約の取り決めにしたがって同じ方法で気象観測を行っています。

そして、観測の結果を互いに知らせ合い受け持ちの範囲の天気予報や気象警報を出しています。


気象庁の仕事

日本では、上の表のように、たくさんのところに気象台や測候所があって、多くの学者や技術者たちがはたらいています。

天気予報を出すまで

気象台や測候所で観測した結果は雲量・風・視程・天気・気圧・気温・雲・露点・降水量・最高気温・最低気温などの順に電報で東京お気象庁予報部に報告されます。

また、海の上を航行する船や空を飛ぶ飛行機、灯台、国鉄や電力会社の行う気象観測の結果も使われます。

各地の気象観測の結果は、気象台を通して特別に設けられている有線や無線の通信回路でまた、海の上の船からは沿岸無線局を通して、気象庁予報部に送られてくるのです。

また、世界中とこの国でも、決められた順に、気象無線放送をしています。
これを受信すれば地球上のどこでも、気象の様子がわかります。

インドのニューデリーから、東南アジア・ソ連・ヨーロッパ地域の気象資料がまたアメリカのニューヨークから、ハワイのホノルルを通してアメリカ・太平洋地域の気象資料が、東京の気象庁にラジオテレタイプで送られてきます。

これで、北半球全体の気象観測の結果が、集められるのです。

東京からは、ニューデリーへ、アメリカや極東地域の気象資料をニューヨークヘ、極東・東南アジア地域の気象資料を送っています。

こうして集めた、各地の観測の結果を、記号や数字で白地図の上に書き込みこれに等圧線や前線を引いて天気図をつくります。

この天気図で、低気圧・高気圧・前線の様子や天気の移り変わりの様子を調べて、天気予報をつくるのです。



気象無線通報

気象庁予報部では、集めた内外の気象観測の結果をまとめ気圧配置のだいたいの様子といっしょに内地、船舶また、日本が受け持っているアジア地域の国々に向けて気象無線通報を放送します。

各地の気象台や測侯所では、この放送を受信して大気図を書きそれぞれ、受け持ちの地方の天気予報をつくるのです。

また、気象庁予報部が書いた天気図のいくつかはファクシミリ(無線で天気図をそのまま電送する機械装置)で放送されます。

地方の気象台や測候所で受信して特別の装置を通すともとのものと同じ天気図を機械が書いてくれます。

気象庁では、東経100度から180度のあいだで赤道から北側の北緯60度までの東アジアと北西太平洋の広い範囲の気象放送と警報を受け持っているのです。

いろいろの天気図

気象庁でつくる天気図の範囲は、アジア・太平洋地域、極東地域、北半球全体が主なものです。
場合によって、赤道地域やアジア地域のものも書かれます。

測侯所の観測をもとにした地上天気図のほかにラジオゾンデ観測や飛行機の観測をもとにした、高層天気図があります。

高層天気図は、気圧が100ミリバールのところ(約1万6000メートル)をはじめいろいろの高さについてつくられます。

また、電子計算機によって、24時間、48時間後の予想天気図をつくります。

これら、たくさんの天気図と天気変化図などをもとにしてレーダー観測の結果などをあわせ考え、天気予報をつくるのです。




海上交通、航空機における気象との関係とは? わかりやすく解説!

海上交通と気象

旅客や荷物を乗せて、海上を走る船や、港を遠く離れ魚を獲る漁船にとって、霧や、暴風は大敵です。

1955年5月、瀬戸内海で紫雲丸は、濃い霧のために第三宇高丸と衝突し、またたくまに沈没してしまいました。

そして、乗っていた修学旅行の小・中学生が、大勢遭難しました。

レーダーを備えつけて、危険物が見えるようにしたり無線電話で互いに連絡がとれるようにして、霧の中でも走れる船もたくさんあります。

それでも、せまい海峡を通るときや、港を出入りするときには、とくに注意がいります。
秋の台風・冬の季節風・冬や春先に、発達しながら速い速度で移動する低気圧は海上の船にとっては、いちばん恐ろしいものです。

強い風と高い大波のために、大きな船も木の葉のようにもまれてしまいます。
1954年9月、函館港外で遭難した洞爺丸は、15号台風の暴風と高波のために沈没し1000人以上の人が、犠牲になりました。

冬から・春先に、アリューシャンやカムチャッカ方面で遠洋漁業をしている商船は、大しけに注意しなければなりません。

この季節の強い低気圧の風は、台風と同じくらい強いものですから船に乗ってはたらいている人たちは、いつも天気予報や気象警報を聞いて仕事をしているのです。


航空機と気象

空を飛ぶ飛行機は、天気の影響を、もっとも、うけやすい乗り物です。

近頃のようにジェット機が発達して、スピードはますます速くなりしかも、飛行場から、あいついで飛び立つようになると気象に安全運航のために、いよいよ大切になってきました。

飛行場には、コントロールタワーがあって、着陸する飛行機を安全に導き離陸する飛行機に、順番に離陸の指令を出し、空の交通整理をしています。

また、霧や煙霧があっても、飛行機を電波で導いて安全に着陸させるような設備があります。
それでも、雲の高さが150メー卜ル、視程が1600メートル以下になると安全な着陸は難しくなります。

このようなときは、飛行機の発着は禁止されます。

東京や大阪の飛行場では、濃い霧や煙霧のために、旅客機が着陸できないで引きかえしたり、ほかの飛行場に着陸するようなことがあります。

工場地帯に近い飛行場では、工場からでる多量の排煙によって視程が非常に悪くなることがあります。

霧や煙霧のほかに、飛行機に影響するのは強い雨・吹雪・着氷・空中電気・気流の乱れ・雪などがあります。

気象台では、飛行機の飛ぶ空路や飛行場の気象を説明し、視程や風向、風速を予報します。
操縦士は、空路の気象の様子を調べ、安全にそして経済的に飛ぶように、飛行の計画を立てるのです。

とくに、ジェット旅客機は、滑走路の気温と風が、エンジンのはたらきに、関係します。
たとえば、滑走路の気温が高いとエンジンの力が少なくなって、滑走距離は長くなります。

飛行機の速度は、1秒間に50メートルから300メートルくらいです。
高い空では、いつも10メートル以上の風が吹いているので向かい風になるか、追い風になるかによって、速さがたいへん違います。

日本の付近の上空では、6キロから10キロくらいの高さにジェットストリームといって、非常に強い西風の吹くところがあります。

ジェットストリームは、夏と冬とで違い、南で北に移動しますがだいたい、地球をとりまく帯のようになっています。

このジェットトストリー厶での風速はときには1秒間に100メートル以上にもなることがあります。
日本からアメリカまで、ジェットストリームを利用して飛ぶと時間をたいヘん縮めることができます。
したがって、燃料の節約にもなるわけです。

東京からハワイのホノルルまで、大型ジェット旅客機はふつう夏に7時間目40分、冬は6時問20分で飛びます。

上空の西風は、夏よりも冬のほうが強いために定期旅客機の時間表も、このようにかわるのです。

近頃、冬のジェットストリー厶を利用した大型旅客機が東京からホノルルまで5時間20分ほどで飛び、予定の時間を2時間も縮めました。

このように旅客機は、経済的で安全な空路を選んで飛んでいるのです。




工業、農業、交通における気象との関係とは? わかりやすく解説!

工業と気象

工業の発達とその土地の気候のあいだにも、大切なつながりが見られます。
福井県や石川県は、昔から絹織物の産地で、近頃は人絹織物も盛んになりました。

このわけは、

  1. 長い冬のあいだ、農家が暇になって、工場に、はたらきにでられる人が多いこと
  2. 水力電気が、動力して、たくさん使えること
  3. 湿り気が多いために、糸きれがしないので、よい織物ができることなどです

    1. いろいろな工業のうちで、気象に関係があるのに織物・金属・機械器具・窯業(かまや炉を使って、粘土や鉱石などを高温で焼いたり融かしたりして、陶器・ガラス・セメントなどのような加工品をつくる仕事)・化学・製材・木製品・印刷製本・食料品・ガス・電気などです。

      工場の中では、有毒ガス・ほこり・湿度・温度などが仕事の能率と、製品の良し悪しに関係してきます。

      仕事をするのに都合のよい温度は、仕事の種類によって、いろいろ違います。
      また、よい製品をつくるのに都合のよい温度と湿度も、上の表のように調べられています。

      近頃は、大きな工場では、空気調節装置をつけて生産に都合のよい温度、湿度を保つようにしています。

      また、時計やカメラ・ラジオなどの精密な器械を取り扱っている工場ではほこりを取り除く装置を取り付けるようになりました。

      長業と気象

      作物のとれ高は、気象のかわり具合と深い関係があります。
      稲・麦・野菜・果物など、すべての植物がよく育つためには適当な気温・湿度・日光・雨が必要です。

      米がたくさんとれるためには、だいたい次のような気象条件が必要です。

      ① 稲が育つ6・7・8月の気温が高く、晴れの日が続き、しかも円の水が充分あること。
      ② 稲のかぶが大きくなるころには、とくに気温が高く、適当な雨量があること。
      ③ 花が咲く時期は、晴れた日が続き。温度が高く、取り入れの時期に雨が少なく
      もみを干すのに都合がよいこと。

      ④ 花が咲く時期に台風の害がないこと。
      異常高温が続いたり、雨が降り続くと、稲の病気や虫の害が起こりやすくなります。

      種まきのとき、肥料をやるとき、農薬をまくとき、取り入れ・保存のときなどに気象は、大きな影響をあたえますから、天気用法をよく理解して利用しなければなりません。



      交通と気象

      汽車・電車・船・飛行機など、陸・海・空、すべての交通は、気象と深い関係があります。

      鉄道と気象

      鉄道事故のもとになるものに大雨・暴風・雪・霧などがあります。

      台風や梅雨の大雨のために、洪水が起こり、鉄橋が流され土砂崩れのため、線路が埋まってしまうことがあります。

      台風や強い低気圧のために、強い風が吹いて風速30メートル以上になると、列車の運転を中止します。

      冬になると北海道では、凍上(地面の中にふくまれている水分が凍って膨張するために地面が持ち上げられること)が起こって、道床にでこぼこができます。

      このような線路の上を列車が走るのは、たいへん危険です。

      また、吹雪のために見通しが悪くなると、列車の安全運転が難しくなり線路に雪が積もると列車が走れなくなります。

      大雪のために、線路がうずまることが予想される場合にはラッセル車やロータリー車などを配置し、線路の雪をのぞくために、たくさんの人を動員します。

      また、ときには、乗客の数を制限することもあります。
      このほかに、信号機や転てつ機(ポイント)の故障も、起こりやすくなります。

      濃い霧のために、見通しが悪くなり、視界(見通しのきく範囲)が1000メートル以下になると、列車は遅れるようになります。

      視界が50メートルくらいになると、列車はとくに信号をしっかりと確かめ速度を落として1秒間に2.5メートルの速度で走らねばなりません。

      国鉄や私鉄は、いつも気象台と連絡をとって気象の変化に注意し、車が安全に走れるようにしています。




体感温度とは? 気候と住まい、食物の関係とは?

私たちの暮らしと気象

私たちの毎日の生活は、天気のうつりかわりに、深いつながりがあります。

私たちばかりではありません。
地球上に住む動物・植物は、すべて気象の影響を受けています。

しかし、その影響を、自分の考えでいろいろにかえることができるのは人間だけです。

私たちは、暑さや寒さにしたがって、着物を取り換えます。
また、進んで暖房や冷房をすることもできるのです。


体感温度

私たちの感ずる暑さ寒さは、ただ気流の高い低いだけでなくそのときの湿度や風によって、ずいぶん違うものです。

それで、湿度・風・日射・などをあわせ考えて暑さ寒さをあらわすようにしたものを、とくに体感擾度といいます。

温度計で測った気温と体感温度とは、かなり食い違いいが起こることがあります。

気温が体温に近い35度くらいになっても、湿り気がうんと少なく体から、汗が、どんどん蒸発すれば、そんなに暑く感じません。

反対に、気温がそれほど高くなくても、湿り気がうんと多く汗が蒸発しないと、たまらないほどの暑さを感ずるものです。

家の中にいて、いちばん気持ちのよいのはだいたい温度が18度、湿度65パ一セントのときとされています。

気候と住まい

私たちの住む家は、暑さ・寒さ・雨・雪・風などから、体を守るためにつくられたものです。
したがって、住まいの形やしくみは、その土地の気候と、深い結びつきがあります。

たとえば日本の夏は湿り気が多く、暑いので家は大きな窓を開け、風通しをよくしてあります。
しかし、冬になると、このような家は寒く、毎日こたつを使っている日が5か月も6か月も続く地方さえあります。

日本では、北海道の果てと九州南部とでは、たいへん気候が違います。
したがって、これからは家の建て方をもっと研究してその地方の気候に適した建築をしなければなりません。

気候と食物

食物は、私たちの成長や活動のもとになるものです。
この食物も、季節や気候に大きなつながりを持っています。

寒いときは、あたたかいものやカロリーの多い脂肪質のものを、たくさん食べます。
じめじめした梅雨のころや、暑い夏には、食物の蓄えかたに、気をつけなければなりません。

1年のうちで、食中毒の多いのは、6月から8月です。

このころの気温と湿度とが、最近の増えるのに都合がよいしまた、暑さのために胃腸が弱っているからです。

細菌が増えるのに都合のよい気温は25度から30度のあいだです。
このように四季の移り変わりと、食物とは、深い関係があります。




日本の冬、日本海側の雪の特徴とは? わかりやすく解説!

日本の冬

日本の冬は、地形に影響されるために太平洋側と日本海側とでは天気の様子がだいぶ異なります。

太平洋側では、湿り気の少ない北西風が吹き天気のよい日が続きます。
いっぽう、日本海側では、くもりがちで、雪の多い日が続きます。
このように、場所によって、雪が多く降る地域と降らない地域とがあります。


日本海側の雪

日本海側では、大陸から吹いてくる、冷たい北西の季節風は日本海をわたるとき、海面であたためられます。
下のほうがあたためられると、空気は、対流で上に上がっていきます。

このとき、海面から蒸発した水蒸気も、上に上がってきます。
そして、上空に上がっていった水蒸気は雲になります。

こうして、日本海を渡ってきた雲は本州の中央を通るとき山脈に突き当たり上昇して冷え、日本海側に雪を降らせます。

この雪を降らせた空気は山脈を越えると温度が上がるため乾燥して雲は消えてしまいます。

太平洋側で、乾いた北西風が吹くのは、この乾燥した空気のためです。
この乾いた風を、地方によってはからっ風とかおろし風とよんでいます。

雪国の生活

東北のうち日本地方では冬になるとたくさんの雪が降るために表での仕事ができなくなります。
このため、雪が降るまえに長い冬の生活に備えて、いろいろな工夫がされています。

たとえば農家では、家畜小屋や仕事をする所が1つの尾根でつながったL字形の中門造りなども、その1つです。

また、雪がたくさん積もる地方では、雪の重みで家が潰されないように屋根の傾斜を急にして、雪がすぐ落ちるようにしてあります。

そのほか、1階からの出入りができるなくなるため2階からの出入りができるように家のつくりが工夫されています。

農家では、畑仕事かできなくなるため夏に備えて縄をなったり、俵をつくったりして冬を過ごしています。

しかし、最近は、機械化と生活様式などの変化から冬の仕事はなくなり都市へ出稼ぎにいく人が多いようです。



雪の害と益

日本海側では、たくさんの雪のために線路が埋まって、列車が通れなくなることがあります。

また、線路ぎわの崖などから、雪が崩れ落ちて線路を埋めてしまい列車が立往生することもしばしばあります。

最近道路交通が非常に発達したため、雪国でも主な市街道路の雪を早く解かさなければなりません。
このため、道路の中央に、噴水のように絶えず水が出ている融雪器が設けられています。

雪国に限らず、都会でも雪が降ると、自動車はみなタイヤチェーンを巻かないと走ることができません。
そのため、スピードが落ちて、交通が麻痺状態になることもあります。

ぼたん雪が降ると、電線のまわりに雪がくっついてその重みで伝染が切れることもあります。
そして、電気もつかず、電話もできない、という事態が起こることもあります。

そのほか、山の斜面に積もった雪が、急に流れ出して雪崩が生じることがあります。
雪崩が起こると人が死んだり、家が潰されたりすることもあります。

このように、雪はいろいろの害をあたえます。
しかし、春になって、山の雪がとけて川に流れだすと水力発電に利用され、役に立つこともあります。

大きな水力発電所やダムは、ほとんど雪どけの水が利用できる川にそってつくられています。

また、水田の多いうら日本では、この雪どけ水をかんがい用水として、田植えに利用しています。




冬の天気図の特徴とは? わかりやすく解説!

冬の天気図

下の図は、冬の天気図の1つの例です。まず、この天気図の特徴を調べてみましょう。

夏のあいだ南の海上にあった小笠原高気圧は弱くなり南東のほうにいってしまって、この天気図には顔を出していません。

そのかわり、大陸に中心のある大きな高気圧が、この天気図の大部分を占めています。
また千島の北部には、目立って発達した低気圧があります。
このような気圧配置を「西高東低」の気圧配置といって、冬の天気図の代表的なものです。


冬の季節風

この天気図では、風向はたいてい北から西のあいだで東シナ海の南部だけが北東の風になっています。

このように広い範囲に渡って大陸から太平洋に向かって吹く風を、冬の季節風といいます。
冬のあいだ、シベリア大陸の高気圧はたいへん強く、ときには1080ミリバールにもなります。

そして、日本の近くを強い低気圧が発達しながら千島かアリューシャン列島のほうへ動いているようなとき、季節風は強くなります。

この強い風は、1日か2日で治まることもありますが、3日も4日も続くことがあります。
日本の東の海上では、1週間ぐらい、強い風が吹き続けることもあります。

このように長続きする季節風は、昔、大西風と言われていました。

帆を使っていた時代や、私の機関の力が強かった時代には大西風にであって港へ戻れなくなり、ただよい流れた漁船がたくさんありました。

むかしの漁師や船乗りは、冬の大西風を台風と同じように恐れていました。

上の天気図のように、季節風が強いときは、日本海側の北のほうでは雪が降り、日本海側の席のほうでは、雪が雨が降ります。

本州の中央を通っている山脈の東または南側では、晴れていて関東地方などでは関東地方などでは、からっ風が吹いています。

日本の陸地から離れた海上では、ところどころ雲が多くなってにわか雨の降っているところもあります。

冬、千島やアリューシャン列島方面で、低気圧が非常に発達することがあります。
このときの中心の気圧は950ミリバールまたはそれ以下に下がり低気圧の直径が2000~3000キロメートルになることがあります。

このようなときは、暴風の範囲も非常に大きくなりますが最大風速は毎秒30メートルほどで、台風の場合のように秒速50メートルにもなるようなことはありません。

この低気圧は、いつもあるわけでなく、ふつう3日か4日で東の海上に去ってしまいます。

そして、新しい低気圧が、また発達するようになります。




冬の天気の特徴とは? 霜・霜柱・氷柱(つらら)とは?

冬の天気

暦の上では、12月から2月までが冬になっています。
しかし、北海道のような北の地方では、10月の下旬になると気泡はかなり低くなりそろそろ雪が降りはじめます。

そして、11月の中ごろになると、雪が積もるところもあります。

日本の北のほうでは、11月というと、もう冬の気候になっているのです。
また、九州の南部や四国の南部では、12月の中ごろまでは、秋の気侯ということができます。


よく晴れた冬の朝、地面や屋根の上に、まっ白な霜がおりているのを見ることがあります。

霜は、空気の中の水蒸気が、地面や地面の近くの0度以下に冷えているものに触れて、氷の結晶になったものです。

よく見ると、美しい結晶をしていますが、中には、結晶が見られないのもあります。

霜がおりるのは、夜、空がよく晴れて、風が弱くしかも地面の近くに、かなり水蒸気が多いときです。

もちろん、気温も低いときで、百葉箱の中の気温が、3、4度以下にならなければなりません。
このようなときには、地面近くにあるものは、だいたい0度以下に冷やされます。
山奥などで見られる樹水は、樹木に霜ができたものです。

霜柱

霜柱は、冬の夜、湿った地面にできるもので、細長い氷の結晶が集まって地面に直角に立つたものです。

夜、地面のすぐ近くの空気の温度が、0度より下がるとまず土の表面の水分が凍って、小さな霜柱ができます。

このとき、土の中の温度は、まだ0度にならず、水は凍っていません。

土の中の水は、土の粒の細かい隙間を通って、地面に向かって上がってきます。
その水が、はじめにできた氷の根本に届くと、そこで冷やされて、氷になります。

このように氷の根もとに、つぎつぎに氷ができて氷の柱が上のほうに押し上げられていくのです。

霜柱は、粒の非常に細かい粘土と砂とがちょうどよく混じりあってできている土に、よくできます。

凍上

土地があまり冷え過ぎて、土の中のほうの水まで、凍ってしまうようなときがあります。
このようなとき、霜柱は地面にはできないで土の中のほうにでき、地面を持ち上げるようになります。これを凍上といいます。

凍上がよくおこるのは、寒くて積雪が少なく、地下水位の高いところです。
ひどいときには、舗装道路が壊れたり、鉄道線路がまがったりします。

冬の寒さが厳しくなると、手洗い鉢や池の水が凍ります。

水は、温度が0度以下になると、表面のほうから凍っていきます。
氷の厚さは、温度が低いときほど、厚くなります。

つらら

雪国では 軒先に大きなつららがぶら下がっていることが、よくあります。

これは、まず家の中のあたたかみが屋根に伝わると屋根に積もっている雪が解け出し、解けた水が、軒先から滴となって落ちるときに、冷たい空気に触れて、凍ったものです。




秋の天気の特徴とは? 秋霖・時雨・秋の天気図とは?

秋になると、台風は日本の南の海上を通って、東に行ってしまうようになります。

秋霖

秋は、夏の天気から冬の天気にうつりかわる、途中の季節です。

春のあとに梅雨の期間があって、そのあと、真夏になるように真夏から本当の秋の天気になるまでのあいだには、秋の長雨があります。

この長雨を秋霖といいます。

秋霖が終わると、本当の秋になるのですが、そのころになると北海道あたりでは、そろそろ初霜がおりるようになります。

また11月になると東北地方にも、霜がおりるようになってきます。


時雨

時雨というのは、秋の終わりから冬のはじめにかけて降る、にわか雨のことです。

時雨は、大陸から冷たい空気が吹きこんでくるときに起こるもので日本海の沿岸や、海岸から少し離れた盆地などで、よく起こります。

風が強くなって、さあっとひと雨降ったあと、しばらく風が弱くなって雨も止みますが、また風が強くなって雨が降るということを何回も繰り返すものです。

秋の天気図

夏のあいだは、太平洋の高気圧が強く日本の天気は、まったく、この高気圧の影響を受けていました。

秋になると、太平洋の高気圧は少しずつ弱くなりいっぽう、大陸の高気圧が、しだいに強くなってきます。

秋のはじめには、これら2つの高気圧が日本の付近で押し合いをして梅雨に似た長雨の時期があります。
そして、シベリアの高気圧は、だんだんと勢いが強くなってきます。

秋霖は、9月の中ごろから10月の中ごろまで、およそ1か月続きます。
このあいだに台風がくると、雨量はたいへん多くなります。

日本晴れ

秋霖が終わると、そろそろ、大陸のほうから移動性高気圧が出てきます。

移動性高気圧が近づく少し前から天気はよくなってその中心付近では雲1つないさわやかな天気になります。
このような天気を、日本晴れということがあります。

移動性高気圧によるよい天気は、長くは続きません。
高気圧が過ぎ去ったあとには、すぐに低気圧が近づいてきて、雨を降らせます。




台風の影響とは? 台風の予報とは? わかりやすく解説!

うねり

夏休みの終わりごろ海へ行くと、風はあまりないのに、波が高いことがあります。これを土用波といいます。

これは、遠くの海上にある、台風の中心の近くは強い風によって起こされた波が、伝わってきたものです。

土用波のように、遠いところから伝わってきた波を、うねりといいます。
うねりは、波の山と山の間隔(波長)が大きくて、波の山の形がなだらかです。

台風が1000キロメートルも2000キロメートルも遠くにあるのに強いうねりが海岸に打ち寄せて、海岸の堤防を壊してしまうようなことがあります。

東海道や四国の太平洋岸では、ときどきうねりによって被害が起こることがあります。


台風の通過

台風が近づいてくると、まず、にわか雨が多くなります。
雲の流れが速くなり、風もしだいに強くなってきます。

台風の中心が300~400キロメートルまで近づいてくると、暴風雨になってきます。

風の速さは、中心が近づくにつれて大きくなりますが、目の中では弱くなってしまいます。

そして雲の切れ目ができて昼ならば青空が見え、夜ならば星空の見えることがあります。
中心が通り過ぎてしまうと、もういちど風が強くなってそれがしばらく続いてから、すっかり風が治まります。

風害

風によって受ける害を、風害といいます。

台風の中心の近くでは、ものすごい風が吹きますから町の中では、かわらが飛んだり、看板が外れたり、窓ガラスが割れたり、電線が切れたりします。

とくに風が強いときには、家が倒れたり、鉄塔が曲がったりします。

田畑の作物が荒らされたり、木が倒れるのも暴風のためです。
ものすごい台風のため、走っている列車が転覆したことさえあります。

台風の近くで、山ごしの強い風が吹くようなところでは、空気が乾いているため稲が白穂(実が実らず、白くなった穂)になったり大火事のもとになったりすることがあります。

海上では風が強いと波も大きくなり船が壊れたり、沈没したりすることも、珍しくありません。

船乗りのあいだでは、「可航半円」とか「危険半円」という言葉が使われています。
可航半円というのは、台風が進んでいく方向に向かって、左からの半分をさしています。
まだ、危険半円というのは、台風の進む方向の右半分のことです。

台風の危険半円にいる船は、しだいに台風の前のほうに流されるようになります。
また、危険半円は、可航半円よりも、風速が大きいことが多いのです。

可航半円では、台風で船が流されても、台風の後ろ側にできますから右半分よりは安全ということができるでしょう。

海岸の近くでは、波のしぶきが風に吹き飛ばされます。
塩水が木の葉につくと、葉が枯れます。
また、電線につくと、故障を起こす原因にもなります。

水害

台風が近づくと風が強くなるだけではなく、大雨が降ることもよくあります。
そのため、田畑が水浸しになったり、洪水になって、橋や家が流されたりします。

水害の中で、いちばん恐ろしいのは、山崩れです。

これは、山にたくさんの雨が降ったため、土の中に多くの水が染み込んで地盤がゆるくなって、崩れ落ちるものです。

このとき、水と泥がいっしょになって、山の斜面をものすごい勢いで流れだし家でも大木でも、みんな倒してしまいます。
流れが速いので、逃げ遅れて死ぬ人もあります。

秋になってから、台風が日本に近づくと、本州の南岸に前線ができるためいっそう多くの雨が降ります。

台風による水害が、秋に多いのは、このためです。台風のときの雨は、平地よりも山地に多く降ります。

1つの台風で、山地に1000ミリぐらいの雨が降ったという例も、いくつかあります。
1000ミリの雨というと、東京あたりで1年中に降る雨量の3分の2ぐらいですからたいへんな大雨です。



高潮

台風の災害には、風や雨で起こるもののほかに、高潮があります。
海上を台風の中心が通ると、気圧が非常に下がるため、海面がふくれあがります。

そのうえに、強い風が海水を岸に吹き寄せて、海面はさらに高くなります。
こうして高潮となり、陸地に押し寄せた海水によって、大きな災害が起こります。

とくに、強い台風の中心が、南に開いている湾のすぐ西側を通ったときには、大きな高潮が起こります。

満潮のときには、被害がいっそう大きくなります。
海岸の近くの家が水浸しになり、海水といっしょに船が陸地に押し上げられることもあります。

いままで、台風のため、高潮の大きな被害を受けたとことは東京湾・大阪湾・有明海・周防灘・伊勢湾などです。

台風は、いろいろな被害を起こしますが中心から遠く離れたところでは、被害はありません。
かえって雨だけが降って、夏のあいだの水不足がなくなるというところもあります。

台風の予報

強い台風が日本にくると、暴風・大波・大雨・高潮などのために大勢の人が死んだり、怪我をしたり何百億という損害がでたりします。

このような損害を、できるだけ少なくするためには台風がくるまえにいろいろな準備が必要です。

その準備をするためには台風がいつ、どこにきてどのくらいの風を吹かせ、どのくらいの雨を降らせるかをまえもって知っておかなければなりません。

台風の予報は、日本の気象の仕事のうちで、いちばん大切なものの1つになっています。
台風が近づいたことは、気象台の予報でわかりますが私たちでも、つぎのような前触れを観察することができます。

  1. 強いにわか雨が何回も降る
  2. 海岸地方では、毎日規則正しく吹いていた海風や陸風が、乱れてくる
  3. 梅岸では、うねりが出てくる。海鳴りがする
  4. 雲の動きが速くなる
  5. 黒い色をした、朝焼けや夕焼けになる

なお台風が、自分のいるところの、すぐ近くを通るときには台風の進路によって、風向のかわりかたが、違います。

このかわりかたを知っておくと、台風がどちらを通っていくか検討をつけることができます。

図は、台風が通るときの風向のかわりかたをあらわしたものです。(台風が①に来たときの風向は1、⑥にきたときの風向は6)

⑥ 台風が自分の西または北(図のイ)を通るときには風向は時計の針の動きと、反対の向きにかわっていきます。

⑦ 台風が自分の南または東側(図のア)を通るときには風向は時計の針の動きと、同じ向きにかわっていきます。




台風の名前の付け方とは? 台風の来る季節と道筋・形とは?

台風の名前

何年何月何日の台風というかわりに、台風に名前をつけておくと便利です。

第二次世界大戦の終わりごろまで、日本では大きな災害を起こした台風にだけ、名前をつけていました。

たとえば、1934年9月21日に、四国の室戸岬に上陸し大阪に大きな高潮の被害をもたらした台風には室戸台風という名前がついています。

戦後は1つ1つの台風にアメリカの女の人の名前をつけることにしました。

たとえば1947年9月に、関東地方に大洪水を起こした台風にはカスリーン台風という名前がついています。

名前をつけるときには、はじめからABCの順に名前を決めておいて台風ができると、それに順々に名前をつけていくのです。

しかし、人の名前の数は、そうたくさんはありません。
何年かすると、また同じ名前をつけるようになって、不便なことが起こります。
それで日本では、1953年のときから、番号をつけることにしました。

たとえば1954年9月26日に、函館で洞爺丸など数隻の船を沈めた台風はその年の15番目の台風ですから、1954年の15号台風というわけです。

とくに、被害が大きかった場合には、番号のほかに名前をつけることがあります。
1959年9月26日、中部地方を襲った台風は、伊勢湾で大きな高潮を起こしたくさんの死者や大きな被害をあたえました。

そこで、1959年の15号台風であるこの台風には別に伊勢湾台風という名前もつけられています。


台風の進む道

台風は南洋で生まれてから、少なくとも数日のあいだは西または西北西にむかって進みます。
このあいだの速度はわりあい遅く、1時間に20~30キロメートル1日に500~700キロメートル進みます。

たくさんできる台風のうち、全体の約4分の1は、そのま真西または西北西に進んでフィリピンや中国大陸南都のほうに行ってしまいます。

このような台風は、まず、日本へは来ません。

はじめ、西または西北西に向かって進んでいた台風か途中で北西のほうに向きをかえ、さらに北または北東に向きをかえて東シナ海や沖縄、あるいは日本のほうにくることがあります。

台風は、向きをかえた後は、進む速さが速くなります。

ふつう1時間に40~50キロメートル、ときには80キロメートルぐらいの速い速度です。

台風の進む道は、かんたんな形をしているものと、曲がりくねった込み入った形のものとがあります。

また、月によって、かなり違った道を通ります。
前ページの上の図は、1967年に起こった台風のうち、日本付近を通過した台風の道筋です。

台風は、●印のところで発生して矢印をつけた方向に進んでいったものです。
図の中には、ずいぶん、曲がりくねった進み方をした台風のあることがわかりますすが中には、もっとかわった進みかたをする台風もあります。

このようなときには、気象台でも台風の予報をするのに、たいへん苦労します。

台風が日本に上陸したり、日本のすぐ近くを通る月は、主に8月と9月です。
7月や10月に日本に近づくものも、少しはあります。

12月から5月までは、日本に近づくものはないと考えてよいでしょう。



台風の来る季節

台風は、なぜ8月や9月に、日本に来ることが多いのでしょう。
日本の南の海上には、太平洋の高気圧ががんばっています。

台風は、この太平洋の高気圧のふちにそって進みます。
高気圧の南側では、海面からかなりの上空まで東よりの風(これを偏東風という)が吹いています。

台風は、この風によって、西のほうに向かって流されます。
この高気圧が中国大陸のほうまで広がっていると台風はそのまま西のほうに行ってしまって、日本に流行ってきません。

高気圧の西のはしが、琉球諸島あたりにあるときには台風は琉球付近から、だんだんと向きをかえて、北または北東に進むようになります。

小笠原高気圧の北側では、西よりの風(偏西風)が吹いていて、台風は東に流されるのです。
このようなとき、台風は日本に近づきやすいことになります。

高気圧の西のはしが、日本の南東まで退いているときは台風は日本へこないで、日本の東の洋上に行ってしまいます。

10月ごろになると、このような場合が多くなります。

二百十日

二百十日というのは、立春から数えて210日目にあたる日で、9月の1日か2日になっています。
むかしから、この日は暴風雨が起こる厄日だと言い伝えられてきました。

台風が日本に来るのは、9月のはじめだけとは限りません。
最近の3、40年のあいだに9月1日に台風が上陸したのは1938年と1949年の2回しかありません。

このころは、ちょうど稲の花が咲くころですから台風にやってこられてはたいへんだということでとくに警戒するようになったものと思われます。

台風の形

台風は、真上から見ると、まるい形をした渦巻きになっています。
その直径は、ふつう1000キロメートルぐらいで、小さいものでは500キロメートル
大きいものでは1500キロメートルもあります。

しかし、まめ台風といって直径が200~300キロメートルぐらいしかないような小さいものもあります。

台風の背の高さは、発達した台風でも20キロメートルくらいですから全体としては、レコードか、せんべいのように平たい形をしています。

いま、台風の中心を通って、垂直に切ってみると中心のまわりの雲や気流の様子は上の図のようになっています。

中心付近の雲のないところは、台風の目です。

目の大きさは、台風によってかなり違いがあり、1つの台風でもかわっていくものですがふつうは直径20~30キロメートルぐらいです。

形は、ふつう円形ですが、楕円形によっていることもあります。




台風とは? 台風の生まれ方と発達のしかたとは?

台風

夏の終わりごろになると、毎年のように、台風が日本を襲います。
台風というのは、南洋の海の上や南シナ海でできて、暴風雨を起こす低気圧のことです。

このうち日本にくるものは、たいてい南洋で生まれたものです。

台風は一種の低気圧ですが、いろいろの点でふつうの低気圧(温帯低気圧とも言う)とは、性質が違っています。


その主なてんは、次のようです。

① 台風の等圧線は、だいたい円形をしています。

② 中心に近づくにつれて、急に気圧が低くなっています。
風速は中心の近くで、急に大きくなります。

③ 中心のごく近くでは、風が弱く、雲がきれて、青空が見え、夜ならば星が見えます。これを台風の目といいます。

④ ふつうの低気圧の中心からは温暖前線と寒冷前線がでていますが台風が熱帯地方にあるあいだは、前線がありません。

⑤ 台風の中心のまわりでの雨の降りかたには、特徴があります。

それは、中心にむかって集まる螺旋状の雲のところです。
そして、雨は同じように降らないで、ある間隔をおいて、強く降ります。

台風の生まれかた

台風が日本にくるのは、夏か秋です。
しかし、台風が南洋の海の上で生まれるのは夏や秋だけとはかぎりません。

台風が生まれるのは、夏と秋に多く、冬には少ないことがわかります。
また1年中には、だいたい27個の台風ができていることになります。

台風が生まれる場所は、広い南洋の海の上と南シナ海です。
下の図は、15年間に台風が発生した場所です。
○印は、そこで台風が1つ発生したことを、あらわしています。

大きいまるは強い台風です。
この図をみると、台風の生まれる場所は、赤道より少し北(北緯5度)から日本の南の海上(北緯30度)までの、東西に長い区域です。

この区域の東のはしは、だいたい東経170度でそれよりも東野ほうでは、台風のできる数が、非常に少なくなります。

強い台風が生まれる場所は、マリアナ諸島・カロリン諸島マーシャル諸島・硫黄島の付近となっています。

また台風は、春予秋の終わりには、赤道に近いところでできやすくま夏と秋のはじめには、それよりも北によったところでできやすいものです。

台風が生まれる場所は、熱帯地方の海の上でしかも、海面の温度が高い(26度以上)ところです。

熱帯地方の海面は、強い太陽の光を受けてあたためられ海面からさかんに、水蒸気が蒸発しています。

そのため、海面上の空気は湿り気が多くなります。

このように温度が高く、湿り気の多い空気はなにかの原因で、いちど上昇しはじめると、だんだん強い上昇気流を起こす性質があります。

そして、この強い上昇気流のあるところに、台風の渦巻きができるようになるのです。



台風と熱帯低気圧

台風は、生まれたばかりのときは、あまり大きなものではなく中心の気圧もそれほど低くはありませんが、しばらく経つと中心の気圧が低くなります。

そして風速が毎秒17メートル以上になったものを台風としいます。
このほかに、中心の気圧があまり低くなく風速もそれほど大きくならないこともあります。

これを熱帯低気圧といいます。

台風の発達

台風が発達する場合には生まれてから数日後に急に気圧が低くなって、風速も大きくなります。

中心の気圧が下がりきってしまうと、それからのちは台風の範囲(中心のまわりの、まるい等圧線で囲まれている区域)が広くなってきます。

つぎに、中心の気圧が、少しずつ、上がってきます。
上の図は台風の中心気圧の下がりかたと台風の範囲の広がりかたをあらわしたものです。




竜巻・夕立・虹とは? 夏の天気図の特徴とは?

竜巻

竜巻は、小さな空気の渦巻きです。

直径が、100メートルくらいのものですが中心のところは気圧がたいへん低く、ものすごいき暴風になっています。

風の強さは毎秒50メートル以上、ときには、100メートルくらいになることもあります。


竜巻は、たいてい、かみなりを伴うことが多いようです。

竜巻の起こるときは、まず、まっ黒な雲の底が乳房のような形に垂れ下がってきて、その先のほうがしだいに伸びゾウの鼻のような形で、地面に届きます。

海の上に竜巻が起こったときは、海面から水の柱が立つように見えます。
これは、雲の足が海面に届いたあとでできるものです。

陸地で竜巻ができると、ものすごい砂ぼこりが空に巻き上げられときには人や馬が、空中に持ち上げられて、遠くまで吹き飛ばされることがあります。

竜巻は、小さな渦巻きですから、被害が起こるのも竜巻の通り道になった帯のような地域だけです。

そのほかのところは、ほとんど影響がありません。
日本でも、竜巻が起こることがありますが、その数はあまり多くありません。

トルネード

また、アメリカのミシシッピ川の流域では、トルネードといわれる竜巻がよく起こります。

トルネードは、とくに激しい竜巻で、それが通ったところはひどい被害を受けるので、たいへん恐れられています。

夕立

かみなりは午後の2時から4時のあいだに、いちばん多く起こります。
かみなりのときには、にわか雨が降ります。

また、かみなりは鳴らなくても、にわか雨だけが降ることもあります。

このように、にわか雨は、夏の午後に多いものですがさっときて、すぐに行ってしまうので、夕立といわれるのでしょう。



夕立の通り過ぎたあとなどに、虹が出ることがあります。
虹は、太陽の方向と反対側に、雨が降っているときに見えるものです。

虹は、太陽の光が空に浮かぶ水粒にあたって、屈折・反射するためにできるものです。

虹の色は、外側が赤で、内側が、紫に並んでいるのがふつうです。
しかし、これよりも輪がすこし大きくて、内側が赤色、外側が紫色という並び方の色のうすい虹が、いっしょに見えることもあります。

虹の輪の中心は、太陽の中心と、見る人の目とを、結んだ線の上にあります。

平らなところでは、虹の輪が円になって見えることはありませんが飛行機の上や山の上などからは、円形の虹が見えることがあります。

実験

太陽を背にして、霧吹きで霧をつくると、虹のようなものが見えます。
太陽の光が、霧吹きでつくられた水粒にあたって、屈折・反射した光が目に入るからです。

また、夏、水泳に行ったとき、太陽を背にして水面で水を吹くと、やはり同じような現象が見られます。

夏の天気図

図は、夏の天気図の一例です。
日本の南の海上には、高気圧があって本州のほとんど全部が小笠原高気圧におおわれています。

この天気図では、北海道のほかは、天気がよくて風が弱く温度は朝からすでにかなり高くなっています。

この日の午後は、全国にわたって、最高気に30度以上になりとくに東京では34.5度までものぼりました。

気圧配置と季節風

満州の北方には低気圧があって、気圧配置は南が高く、北が低くなっています。
このような型を「南高北低型」といいます。

夏のあいだ、風は太平洋上の高気圧から大陸の低気圧にむかって吹きます。
これを夏の季節風といいます。

夏の季節風は南よりの風で、風の速さは、わりあいに遅く湿り気を多くふくんだ温度の高い風です。




夏の天気の特徴とは? 雷の正体と起こるときの天気の変化とは?

梅雨が明けると、本当の夏になります。
真夏のあいだは、わりあいに、同じような天気が続くものです。

夏の天気の特徴は、朝と夜には雲が少なく、昼間はわりあいに雲が多いことです。
また、かみなりが多いことも、夏の天気の特徴です。

夏は、だいたい風の弱いときですから、海岸の近くでは、昼問は海風が吹き、夜には陸風が吹きます。
そして、朝と夕方はなぎになって、まったく風が吹かないことがあります。

このようなときには、たいへん蒸し暑くなります。


雷(かみなり)

電光(いなびかり)と雷鳴(ゴロゴロという音)とにわか雨をひとまとめにしたものを、かみなりといいます。

かみなりが遠くにあるときには、電光だけが見えることがあります。
音だけ聞こえて電光が見えないときでも雲の中では、必ず電光かつています。

なぜかというとかみなりは、雲の中でできたプラスの電気とマイナスの電気のあいだに、火花が飛んだものだからです。
かみなりが電気の火花だということは、アメリカのフランクリンが発見しました。

雷の正体

かみなりの電気は、積乱雲の中の雨粒が強い上昇気流で高いところに運ばれて凍るときに起こると考えられています。

雲の中でできたプラスの電気とマイナスの電気は、別々のところに集まります。

そして電圧が高くなると、火花が飛ぶようになるのです。
雲と地面のあいだにも、電気の火花が飛ぶことがあります。

これが落雷です。

雲の中で火花が飛ぶときの音は、決してゴロゴロという音ではありません。
雷が落ちたときの、ピシャッとか、ガラッという音と同じ音がでるのです。

ところが、その音が空気の中を伝わってくるあいだにゴロゴロという音にかわって聞こえてくるのです。

かみなりは、高いところや、電気の伝わりやすい金物などに、落ちることが多いものです。

山に登って、雷にであったときは、とくに危険です。
高い木のそばにいたり、金物を持つことのないように、気をつけなければなりません。

雷が落ちて、火事になることもあります。

1940年6月に、かみなりが落ちたのがもとで、東京で大火事になったことがあります。

雷の起こるとき

① 夏、日差しが強くて風が弱く地面が強くあたためられるために激しい上昇気流ができるとき。

② 寒冷前線の近くで、激しい上昇気流ができるとき。

どの場合でも、激しい上昇気流があって、積乱雲ができます。
強い雷の場合には強いにわか雨を降らせたり、ときにはひょうを降らせることもあります。

また、ふつう、雷の後は、温度が下がるものです。



雷のときの天気の変化

日差しが強いために起こる、雷の場合を例にして雷のときの天気のかわりかたの様子を、観察しましょう。

まず、積乱雲が近づいてくると少し遠いところから、ゴロゴロという音が聞こえてきます。

しばらくすると、電光が見えるようになります。

雷雲が頭の上にくると四方がまっ暗になり、冷たい風がさっと吹いてきて電光がものすごく光り、大きな雷鳴がします。

また、温度が急に下がって風向がかわり、大きな雨が、ぼつりぼつりと降りはじめます。

雨はしだいに強くなって、どしゃぶりになりますがたいてい1時間か2時間で終わってしまいます。
そのあとは、からりと晴れて、すがすがしくなります。

雷は、日本中、どこでも起こりますが、関東地方の山よりの地域や九州の南西部でいちばん多く、東北地方の西部や北陸地方でもかなり多く起こります。

日本では、1年中にかなりのあった日の数は、いちばん多いところでも、平均30~35日です。

アフリカや南アメリカの赤道に近いところでは、200日以上にもなるところがあります。




梅雨の影響とは?かび、大水、農作物の影響とは?

梅雨とかび

梅雨には、長いあいだ雨が続くので、子どもたちにとっては外で遊べないのが、いちばん困ることです。

また、湿っぽいうえに、温度がかなり高いので、かびが生えやすくなります。

食物にかびが生えると、中毒を起こしやすく着物を汚れたままにしておくと、かびが生えて、傷みやすくなります。


梅雨と大水

梅雨のあいだは、よく大雨が降って、大水や山くずれが起こります。
1953年の6月末には、九州で非常な大雨が降りました。

このとき、筑後川の上流では、雨量が1000ミリぐらいになったところがあります。
そのため、筑後川の流域は大洪水になり、田畑が水浸しになったりたくさんの家が流され、また7000人以上もの人が死にました。

この大雨では、熊本を流れている白川が反乱して、熊本の町が泥でいっぱいになったり関門トンネルに水が入って列車が不通になるなど、いろいろな被害がでました。

1967年7月のはじめには、西日本一帯が豪雨に見舞われ佐世保・呉・神戸などで、雨量が300ミリを越えました。

そのため、各地で山くずれや堤防の決壊などが起こり、家が流され350人もの人が死にました。

梅雨と農作物

梅雨が長引くと、夏の日照時聞が短くなるので、農作物のできが悪くなります。

とくに、北日本では稲のできが悪くなって、たいへん困ります。
最近では、北海道で、1964年・1965年・1966年と3年も続いて、米が不作でした。

このように、梅雨は、いろいろな災害を起こすこともありますが日本にとっては、なくてはならない、大切な雨の期間なのです。

農家の人たちは、梅雨の雨を頼りにして田植えをします。

もし、空梅雨で、この時期に雨が少ないと、田植えに困るばかりでなく夏になってからは、田の水が少なくて困ることになります。

また、梅雨の雨が少ないと、水力発電のための水が足りなくなるし水道用水も足りなくなってしまいます。

1959年の梅雨のときは、非常に雨が少なくて、田植えにも、飲み水にも困りました。




天気図から見る梅雨の特徴とは? わかりやすく解説!

梅雨のころの天気図には、どんな特徴があるでしょう。

まずはじめに気がつくことは、本州の南の海上に、東西にのびる前線があり前線の上に、低気圧があることです。

前線にそって、細長い範囲に雨が降っています。
ところどころに強い雨も降っています。


前線の北と南に、それぞれ高気圧があります。
北海道の東のほうにあるのは、オホーツク海高気圧で、日本海まではりだしています。

露の天気図には、いつもこの高気圧があらわれています。
また、日本の南のほうには、小笠原高気圧があります。

この天気図では、その中心が、小笠原諸島の東のほうにありますが、もっと西のほうにきていることもあります。

上の天気図では、前線の上に低気圧が2つもあらわれています。

低気圧は、前線の上にできることが多いのですが、露のときにはこの図のように前線の上に、いくつもの低気圧ができることがよくあります。

オホーツク海の高気圧は、温度が低くて、湿り気の多い空気でできています。
太平洋の高気圧のほうは、温度が高くて、湿り気の多い空気でできています。

梅雨前線

この冷たい空気と温かい空気は、日本の海の海上でぶつかりあって、前線をつくっています。

これが梅雨前線です。

前線の近くでは、温かい空気が、冷たい空気の上にはいあがっていくので冷たい空気の上に雲ができて雨を降らせます。

前線の北と南では、温度が6、7度違っています。
また前線の南側では、南風がかなり強く吹いています。

太平洋の温かい空気が、冷たい空気の上に押し上がってていく有様がこの天気図からよくわかります。



梅雨と低気圧

前線の上には、ふつう弱い低気圧が発生していることが多いようです。
そして、低気圧は、前線にそって、西から東へうつっていきます。
したがって天気も低気圧の動きに伴って、かわっていきます。

低気圧が遠ざかると、くもりか弱い雨が降っていますが、近づくと強い雨となります。
上の天気図でも、低気圧が遠ざかっている東京ではくもりとなっていますが、低気圧が近づく四国や近畿地方では雨が降っています。

このようにして、梅雨のころには、低気圧が近づくと雨が強くなり遠ざかると雨が弱くなるということが、何度も繰り返されます。

上の図のような気圧配置は、なかなかかわらないので長いあいだ、くもりや雨の天気が続きます。

梅雨明け

本川の疳岸の前線は、少しずつ、北や南に動きながらだんだん日本の北のほうまでのぼっていきます。

そうなると梅雨が終わるわけです。

日本の北のほうへいくと、前線がはっきりしなくなるので北海道あたりでは、本州ほど、はっきりした梅雨はありません。

空梅雨

梅雨は、ほとんど毎年あります。

しかし、年によっては、前線の動きがはやく、数日雨を降らせるだけでさっさと北のほうに、逃げてしまうことがあります。

また、毎年、オホーツク海にがんばっている高気圧がさっさと東のほうへ通り過ぎていってしまうため、梅雨型の気圧配置にならないこともあります。
このような梅雨を「からつゆ」といいます。

空梅雨の起こるのはオホーツク海の高気圧の勢いが弱いかまたは太平洋の高気圧が強すぎるときです。

しかし、ときにはオホーツク海の高気圧が強く前線が南に下がったままで、梅雨が明けてしまう年もあります。

梅雨には、近頃では、まえに書いたようにオホーツク海高気圧や小笠原高気圧と関係があるだけではなくもっと広い範囲の気象状態とも、関係があることがわかってきました。




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