気象台や測候所の仕事
気象台や測候所は、どの府県にも必ず1つはあり、多い県では5つもあります。
そして、1つの県全体の予報を受け持つのが地方気象台です。
管区気象台や海洋気象台は、その県の地方気象台の役目もしています。
測候所は、地方気象台の下にあって、ふつう県内の一部分の予報を受け持っています。
1日の気象観測の回数は、日本全体の天気図をつくるうえにどれくらい大切な場所であるかによって、それぞれの気象台・測候所で違います。
また、観測の種類も、どの仕事に重点を置くかによって、いろいろあります。
気象台や測候所では、気象観測の結果を、電報で気象庁予報部に報告します。
また、気象庁が放送する気象無線放送や天気図のファクシミリ放送を受信して天気図をつくり、それぞれ、受け持ちの地方の天気予報や気象警報を発表します。
いろいろな観測
① 地上気象観測
毎時観測(1日に24回)のところと、3時間おき(1日に8回)のところと6時間おき(1日に4回)のところなど、場所によって違います。
② 高層気象観測
ラジオゾンデの観測(全国で16か所)、測風気球観測(全国14か所)をおこないます。
③ 海洋観測
海水の温度や比重・うねり・潮汐などを観測します。
④ 地震観測
地震計を絶えずまわしています。
地震が起こると、すぐに観測結果を気象庁観測部に報告します。(全国で108か所)
⑤ 火山観測
大島三原山・浅間山・阿蘇山などの火山活動を見守り振動・地盤の傾斜・噴煙・ガス・火山灰や、溶岩などの噴出物、爆発などを観測します。(全国で13か所)
⑥ 大気放射能観測
雨水や雪にふくまれている大気中の放射能を測定します。
⑦ 生物季節観測
桜の開花・紅葉する植物や、ツバメ・ヒバリなどの動物が季節によってうつりかわる有様を観察します。
⑧ 無線ロボット雨量計の観測
結果を気象通報所や測候所で受信し、ダムの調節や、洪水警報のもとにします。
観測の結果は、管区気象台を通して、ただちに気象庁に報告されるほかに1か月ごとにまとめて、気象庁観測部に報告されます。
気象台や測候所は、前に説明した、いろいろな天気予報や気象警報を出します。
そして、テレビ・ラジオ・新聞で、いっぱんの人に知らせるほかに警察・国鉄・電力会社・市町村役場などに知らせます。
とくに鉄道や電力会社には、特別の気象通報をおこなっています。
また、漁船が安全に仕事ができるように海上の天気のうつりかわりを漁業無線局を通して各漁船に知らせています。
海洋気象台
函館・神戸・舞鶴・長崎の4か所にあって、海洋観測船をもっています。
観測船は、海上気象観測のほか海水の温度・塩素量や酸素などの化学分析・海水の放射能・プランクトンなどの海洋観測をおこないます。
海洋気象台は、海上を走る旅客船や貨物船が、安全に航行できるようにまた、港を遠く離れて魚を獲る漁船が安心して仕事ができるように海の上の天気予報や、気象警報を出しているのです。
航空気象台の仕事
東京都羽田にある東京国際空港には日本や外国の航空会社のたくさんの飛行機が毎日約230機、離陸したり、着陸したりしています。
このたくさんの旅客機が安全に飛べるように航空管制塔などいろいろの設備がありますが、その中に気象の仕事をする東京航空地方気象台があります。
外国へ行く旅客機の操縦士に、出発前にここへ来て飛行機の飛ぶ道筋の気象の様子と、予報を詳しく聞いていくのです。
航空気象台では、国内の気象観測結果はもちろんホノルル・東京間とニューデリー東京間の国際気象通信回線を通して太平洋・アジア大陸など、広い範囲の気象観測の結果を集め地上天気図やいろいろの高さの高層天気図をつくります。
これまでのプロペラ式の旅客機はふつう7000メートルくらいの高さを飛んでいましたがジェット旅客機は1万メートルから1万3000メートルくらいの高さを飛びます。
それで、このような高さで、低気圧や前線がどこにあるか気温はどのくらいかがわかるような天気図が必要なのです。
また、いちばん強い風は、どの高さに吹いているかその風速は何メートルかなども調べます。
航空会社は、それらをもとにして電子計算機によりいちばん短い時間で飛んでいけるコースを決めるのです。
ジェット機の操縦士は、とくに、そのときのジェット気流の様子をくわしく知らねばなりません。
航空気象台では、飛んでいる旅客機にたいして無線電話放送によって、空の気象の様子と天気予報を知らせています。
また、航空気象台では、外国の飛行場にある気象台と連絡して旅客機が飛んで行く先の気象状況や、飛行場付近の天気の様子を知らせます。
着陸するまえの旅客機には、飛行場付近の天気の様子を教えます。
とくにジェット機には、滑走路の見通しや、気温・風の様子が大切です。
航空測候所は日本に7か所あって、東京航空気象台と連絡して飛行場や旅客機の飛ぶコースの天気の様子と予報や警報を知らせる役目をもっています。
また、たいがいの飛行場には気象台の分室があって、このような仕事をしています。
空を飛ぶ旅客機の数は、年ごとに増え、しかもジェット機の発達によってスピードは、ますます、速くなってきました。
航空気象台や航空測政所のはたらきによって旅客機は安全に大勢のお客や貨物を運び、しかも経済的に飛んでいるのです。